香港ノワール映画－英雄片－コミュの【香港ノワール／絶頂期】ミスティー

原題：霧都情仇(Misty)
韓国　ソンイル･シネマーク／香港　アート･ヤング･プロダクション作品　92年　92分　カラー　ヒーロー･コミュニケーションズ／ビデオチャンプ配給

監督：ピーター･パウ　脚本：カルビン･プーン　撮影：リー･タクシン　音楽：クリス･バビダ
出演：レオン･カーフェイ／グロリア･イップ／ウェイス･リー(レイ･チーホン)／キャリー･ン／チャルヤ･チャン／サクヒュン･カン

―解説―
ふたりの女性をめぐって､暗黒街のボスとの対決を余儀なくされた殺し屋の男と､彼の部下となり危険な悪事へ引きずり込まれた韓国人青年ふたりの姿を描くサスペンス･ロマン。『南京の基督』(95年)などのレオン･カーフェイ(梁家輝)､『孔雀王』(88年)などのグロリア･イップ(葉蘊儀)､『九龍大捜査線』(93年)などのウェイス･リー(レイ･チーホン=李子雄)､『カップルズ』(96年)などのキャリー･ン(吳家麗)のほか､韓国人俳優のチャルヤ･チャン(鄭哲也)とサクヒュン･カン(姜碩鉉)が出演。ピーター･パウ(鮑德熹)監督､92年作。

―物語―
韓国からイギリスの大学に留学中のマーク(鄭哲也)とケント(姜碩鉉)は､美しい女学生チャーリー(葉蘊儀)に恋していたが､イタリア系の不良学生と争いになり退学処分になる。途方に暮れた彼らは､チャーリーの運転手兼ボディガードのハンク(梁家輝)の薦めで､暗黒街を仕切る彼女の養父チャン(李子雄)の仕事を手伝うようになった。大金を得た彼らはチャーリーとの仲も深めていくが､性的な興味で近付くチャンに彼女は不安を覚える。仲睦まじい３人やハンクと通じる情婦サリー(吳家麗)の様子にゆがんだ憎悪を抱くチャンは､ハンクにマークとケントを消すよう命じた…。

コメント(3)

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[1] mixiユーザー 11月21日 13:03

これまた毛色の変わった"香港ノワール映画"の登場です。何が変わってるかと申しますと､この映画実は韓国と香港の合作なんですね。実際には韓国の映画会社が出資する形で､現場での制作やキャストは香港側が担っている恰好となっています。"韓流"ブームが日本を始め東アジアを席巻するおよそ10年近く前の作品です。韓国側のプロデューサーを務めたシン･ソンイル(申星一､画像左)は､韓国で知らない人はいないと言われる超大物俳優でもありましたが､2018年に惜しまれつつこの世を去っています。
俳優の格で言えば､レオン･カーフェイ(梁家輝､画像中)が配役のトップではありますが､物語の中心にいるのは､撮影当時18歳だったグロリア･イップ(葉蘊儀､画像右)です。
日本･香港の合作『孔雀王』(88年)にて､物語のカギを握る魔界の美少女役で鮮烈な印象を残したグロリアは､その愛くるしいルックスで､たちまち日本でもアイドル的な人気を博し､映画雑誌を中心にグラビアを飾るようになりました。日本での成功を受け､香港でもジャッキー･チェン(成龍)の映画に助演するなど､若手スター候補として急速に注目を集めていました。本作は､グロリアの日本での人気が一段落した後､清純派のアイドル路線から大人の女優への脱皮を試みた1本であり､小悪魔的な表情やセクシーな水着姿のほか､初々しいベッドシーンにもチャレンジしています。実際劇中登場する韓国人青年ふたりのファム･ファタル(運命の女)的な役どころでもあり､３人の関係性は香港映画史に残る名作『風の輝く朝に』(84年)を彷彿とさせもします。
申し上げた通り物語の中心はグロリアと韓国人青年ふたりなので､青春ドラマ的な要素もありますが､よりアダルティかつエロチックなムードが強めなのは､韓国の映画会社がからんでいる故とも言えます。そして全編イギリス･ロケであることや前述のファム･ファタルの設定などから､"香港ノワール"というよりもその語源となった本来の｢フィルム･ノワール｣に近い雰囲気にあふれています。
そういうワケで､レオン･カーフェイは大人の色気にあふれた陰のある二枚目役ですが､主演というより若者たちを見守りいざというときは頼りになる助っ人的な位置なんですね。彼らと対立する悪役にウェイス･リー(レイ･チーホン=李子雄)。本作のように偏執的な狂気をはらんだ役などはハマり役です。ただ過去の作品に比べて芝居が一本調子で､類型的な悪役に収まった印象を受けました。そして彼らと共演の多いキャリー･ン(吳家麗)が､大人の女性のフェロモンを振撒きながら､大胆な演技を披露しているのも見どころです。
監督のピーター･パウ(鮑德熹)は､香港映画界を代表するカメラマンの一人で､監督としては本作が２本目になります。光と影を巧みに用いた映像美が見事です。本作の後撮影を担当した『グリーン･ディスティニー』(2000年)で､第73回アカデミー賞撮影賞にノミネートされることになります。クリス･バビダ(鮑比達)が手掛けた劇伴も印象的です。
日本では､何と英語版にて劇場公開された後､そのままビデオ化されました。数ある日本公開された"香港ノワール映画"で英語版による上映は､大変珍しいケースです。

[2] mixiユーザー 11月28日 16:59

>>[1]
この映画は深夜のTV放送で観ましたが、映像がスタイリッシュでとても良かったです。
香港映画ファンの間でまったくと言っていいくらい語られないのが不思議です。

[3] mixiユーザー 11月29日 20:11

>>[2]
コメントありがとうございます。関西ではOAされたのですね。
この映画はいい意味で香港映画らしくなくて私も好きな1本です。
挙げて頂いたスタイリッシュさと､大人のエロチシムズにあふれた映像美は､後の韓流につながる当時の韓国映画の長所を取り入れた面も多分にあったのではないでしょうか。
日本での公開も突発的で小規模だったためか､DVD化もされずファンの間でも話題に上りませんね。唯一取り上げてたのは下記のサイトのみで､グロリアの出演作では名作と絶賛してます↓
http://sankyoh.web.fc2.com/movies2.htm

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