香港ノワール映画－英雄片－コミュの【香港ノワール／絶頂期】餓狼烈伝

原題：同根生(Bloody Brotherhood)
香港　チュン･シン･フィルム作品　89年　97分　カラー　日本劇場未公開(ビデオ→DVD→TV)

製作総指揮：ユエン･チンルン　監督：ワン･ロンウェイ　脚本：タン･ウィンハン　撮影：ユー･チク･リム　武術指導：サイモン･タム／ホン･サンナム　音楽：テディ･ロビン／リチャード･ロー／タン･シュウ･ラム
出演：アンディ･ラウ／アイリーン･ワン／デビッド･ラム／チャーリー･チャン／サム･ワイ

－解説－
中国から香港への密入国を試み生別れとなった兄弟が､７年の月日を経て､互いに敵対する立場となって繰広げる確執と闘いを描くバイオレンス･アクション。出演は『墨攻』(2006年)などのアンディ･ラウ(劉德華)､『蒼き獣たち』(91年)などのアイリーン･ワン(溫碧霞)､『プロジェクトＡ２』(87年)などのデビッド･ラム(林威)､『空手ヘラクレス』(73年)などのチャーリー･チャン(陳惠敏)､『プロテクター』(85年)などのサム･ワイ(沈威)ほか。『シティ･オブ･フューリー』(88年)などのワン･ロンウェイ(王龍威)監督､89年作。

－物語－
ホア(劉德華)は家族と中国本土から香港へ密入国を図るが､密航船と沿岸警備隊との銃撃戦で父が死に兄ウェイ(林威)は捕縛された。海に投出され香港の漁師ホーに助けられたホアは､タン親分(陳惠敏)の部下となり､ホーの孫娘チャオ(溫碧霞)と結婚式を挙げるが､タンと対立するハイ(沈威)一派に襲撃される。その後タンが麻薬密売で逮捕され､ホアはチャオの叔父が住む台湾へ脱出､船会社の経営を任され平穏に暮らしていたが､ある日麻薬取引の為ハイが乗込んで来た。ホアに追い出されたハイは刺客を送込むが､それはホアと生別れたウェイで､彼はホアの愛娘を誘拐し誤って殺してしまう…。

コメント(1)

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[1] mixiユーザー 12月23日 07:21

日本のレンタル･ビデオ市場で香港映画人気が高まるなか､当時売出中の若手だったアンディ･ラウ(劉德華､画像左)の出演作が大量にリリースされました。その作品群の邦題にはいずれも"アンディ･ラウの～"とか"アンディ･ラウ主演"と銘打たれていましたが､実際には彼がメインではなかった作品も含まれていました。でもご安心ください､本作は正真正銘アンディ･ラウの主演作ですｗとはいえ､ＡかＢかといえば､限りなくＢ級に近い作品ではあります。
内容は以前別項でお伝えした当時主流だった"香港ノワール"の３つの流れ…香港の黒社会を舞台にした流れと､大陸からの密入国者というテーマが､併さったような感じです。アンディの役は､中国からの密入国者であり､しかも当時定番だったチンピラ=弟分キャラを踏襲しています。また彼の生き別れた兄役が､密入国者モノの原点である『省港旗兵九龍の獅子』(84年)の主演だったデビッド･ラム(林威､画像中)というのも大きなポイントですね。実はそんなに出番は多くないんですけど､イイ芝居を見せてくれます。
脇のキャストもなかなか多彩なんですが､特に印象的だったのは､アンディの親分役に扮したチャーリー･チャン(陳惠敏､画像右)ですね。別項であらためてお伝えしたいと思うのですが､彼は本作の時点で俳優としては充分過ぎるほどベテランだったのですが､アクションからコメディーまで第二の黄金期といえるほど引っ張りだこの状態でした。見て頂ければわかるのですが､性格俳優としてルックス演技とも抜きん出た存在感を見せています。本作でも颯爽とした親分振りから後半での落ちぶれた様まで､見事な演技を披露しています。
監督は当コミュニティで既に『シティ･オブ･フューリー』と『極道香港･復讐の狼』(共に88年)をご紹介済のワン･ロンウェイ(王龍威)です。作品のスケールなどは前2作と比べ若干落ちますが､度を越した暴力と登場人物の追い込み方など､デビュー以来発露してきた王龍威監督本来の過激さが炸裂しています。ただ一方で王龍威は意外とドラマをしっかり描ける監督なので､後半デビッド･ラム再登場以降のアンディを含むメインキャラの悲惨な状況には唖然とさせられますが､作品自体の評価がさほど下がらないのは演出の力だと感じます。でなければ『シティ･オブ･フューリー』のような傑作は作れないはずですから。
日本では､最初に発売されたビデオが北京語(台湾版)という仕様でしたが､その後再発されたDVDはオリジナルの広東語版で､日本語吹替も付いたようですね。

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