香港ノワール映画－英雄片－コミュの【番外編】Ｎ.Ｙ.コネクション

原題：大紐約華埠風雲(Yellow Skin)
台湾　名冠影業／アメリカ　聯藝影業作品　85年　84分　カラー　日本劇場未公開(ビデオ)

製作総指揮･監督･脚本：フランク･Ｋ･Ｈ･ウォング
出演：フランク･Ｋ･Ｈ･ウォング／アラン･ロウ／タン･ラン･ファ／フィリップ･コー／ワン･ジュエ

－解説－
麻薬をめぐるチャイナタウンの抗争に巻込まれた顔役の御曹司が､家族を失いながらも孤独な闘いを繰広げる姿を描いたバイオレンス･アクション。『女少林寺』(79年､ビデオのみ)などのフランク･Ｋ･Ｈ･ウォング(王冠雄)が監督も兼ねて主演。ほかに『妖術大変化』(83年､ビデオのみ)のアラン･ロウ(劉徳凱)､『虎狼反撃のテクニック』(83年､ビデオのみ)のタン･ラン･ファ(湯蘭花)､『魔デビルズ･オーメン』(83年､映画祭のみ)などのフィリップ･コー(高飛)､『成龍拳』(77年)のワン･ジュエ(王珏)らが出演。85年作。

－物語－
チャイナタウンの顔役ウォン(王珏)が何者かに銃撃された。事態を重く見た組織の幹部は､妻子とカタギの生活を送る長男ニン･クウォ(王冠雄)を呼び寄せる。事業を引継ぎ報復に及び腰の弟ニン･ファ(劉徳凱)に対し､ニン･クウォは､単身父を撃った犯人への復讐を決意。執念でクリフ率いる一味を捜しハーレムで制裁した。しかし､麻薬の仕事を失いたくない韓国人がニン･クウォの妻子を襲撃。息子の命は奪われ､妻(湯蘭花)も拉致された上暴行を受け重傷を負う。愛人の内通を知ったニン･ファは韓国人に逆襲するが主犯を取逃した。ニン･クウォは旧友クー(高飛)と共に､ハーレムの残党と組んだ韓国人との決着戦に臨む。

コメント(1)

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[1] mixiユーザー 06月20日 12:28

先にご紹介した『上海ヤクザ外伝』(81年)にも主演していた台湾のスター俳優フランク･Ｋ･Ｈ･ウォング(王冠雄､以下漢字名にて記す･画像左)の芸能生活最後にして､主演は勿論､監督･脚本･プロデュースまで文字通りワンマンで手掛けた渾身の1作です。日本でビデオリリースされた際には"香港ノワール最新作"として宣伝されましたが､実際には台湾とアメリカの合作で､ブームの金字塔である『男たちの挽歌』(86年)以前に制作された作品でもあります。
カンフー映画のスーパースター､ブルース･リー(李小龍)が亡くなった73年に台湾で映画デビューした王冠雄は､以降数10本に上るカンフー･武俠映画に主演した後､80年に主演した文芸映画で台湾のアカデミー賞と呼ばれるゴールデン･ホース賞最優秀主演男優賞を獲得します。一方で､現代的かつ進歩的な感覚にも富んでいた王冠雄は､79年に独立プロを立上げ80年代前半台湾で量産された"黒社会(ヤクザ)映画"や"ギャンブル映画"に主演してブームの端緒を作り､以降は現代アクションがメインとなります。そんな人気絶頂の最中の84年､芸能界からの勇退を決意。自身のキャリアの集大成として本作を撮り上げたのです。
当時の台湾製娯楽映画では画期的だった全編ニューヨーク･ロケを敢行した本作で､王冠雄がモチーフとしたのは､ズバリ『ゴッドファーザー』(72年)でした。舞台をNYのチャイナタウンに置換え､王冠雄なりに翻案した作品と言っても過言ではなく､現地で1大勢力を築く華僑ファミリーの親子､兄弟､人種､そして警察と組織の間で起こる対立や抗争､報復劇をガンアクションや暴力描写など織交ぜ多面的に描いています。アクションシーンも拳銃だけではなく､斧やバズーガ砲も使うなどバラエティに富んでますし､海外ロケのせいもあるのでしょうが､演出の洗練度合いも後年の"香港ノワール"作品群に引けを取っていません。しかも日本でビデオ発売されたのは香港公開時と思われる広東語ヴァージョンなので､『男たちの挽歌』の後に作られた"香港ノワール"と錯覚した方も当然いると思います。
台湾のスターであった王冠雄がこれだけ力を入れた作品ですから､キャストも台湾のみならず香港や韓国から有名キャストを結集させています。なかでも日本でも80年代に高級インスタントラーメンのCM出演で話題を呼んだ"楊夫人(マダム･ヤン)"こと､台湾で国民的人気を誇った女優で歌手のタン･ラン･ファ(湯蘭花､画像中)と､普段は狂気じみた悪役が多いですが､今回は王冠雄を助け最終決戦にも参加する善玉に扮したフィリップ･コー(高飛､画像左)が特に印象的です。

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