香港ノワール映画－英雄片－コミュの【香港ノワール／絶頂期】バイオレンス･ポリス九龍の獅子

原題：省港旗兵續集/省港旗兵續集兵分兩路/兵分兩路(Long Arm of the Law-SagaⅡ/Long Arm of the Law Ⅱ)
香港　ゴールデン･ハーベスト=ジョニー･マック･プロダクション作品　87年　90分　カラー日本劇場未公開(ビデオ→DVD)

製作総指揮：レイモンド･チョウ　製作：ジョニー･マック　監督：マイケル･マック　脚本：フィリップ･チェン　撮影：ジョニー･クー　アクション設計：チン･ユーサン

出演：(３点リーダー以降の人名は日本語吹替版ビデオのキャスト)
アレックス･マン(萬梓良)=タイタイ…大塚芳忠
ポーリン･ウォン(王小鳳)=ダイアナ
チョイ･カムコン(徐錦江)=リ･ホントン…玄田哲章
ベン･ラム(林國斌)=チェ･キンサン…堀内賢雄
サイモン･ユエン･ジュニア(袁日初)=ゴ･ホクワン…田中亮一

－解説－
中国から密入国した犯罪者の実態を描いた『省港旗兵九龍の獅子』(85年､ビデオのみ)に続き制作されたバイオレンス･アクション。香港の警察からスパイとなるよう強要された大陸の思想犯たちが､密入国者の犯罪組織に迫っていく。出演は『愛と復讐の挽歌』(87年)などのアレックス･マン(萬梓良)､『霊幻道士』(85年)などのポーリン･ウォン(王小鳳)､『ミラクル･マスクマン』(95年)などのチョイ･カムコン(徐錦江)､『九龍の眼』(88年)などのベン･ラム(林國斌)､『妖怪道士』(83年､テレビ放送)などのサイモン･ユエン･ジュニア(袁日初)ほか。『開心楽園』(85年､映画祭のみ)などのマイケル･マック(麥當傑)監督､87年作。

－物語－
警察は続発する中国大陸からの密入国者による犯罪対策として､同じ密入国者をスパイに仕立て抑止力にしようとする。公安出身の思想犯ホントン(徐錦江)､キンサン(林國斌)､ホクワン(袁日初)の３人は香港の身分証取得を条件に捜査官タイタイ(萬梓良)に身柄を預けられた。３人はそれぞれの特技を活かし､冷徹に潜入捜査を進めていく。平然と殺人も行うやり口に警察は危機感をつのらせるが､遂に彼らは銀行強盗団への接触に成功した。しかし組織の手でタイタイが惨殺され､ホクワンが愛人のダイアナ(王小鳳)に身分を明かしたことから､事態は暗転していく…。

オリジナル予告編動画↓

コメント(2)

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[1] mixiユーザー 04月13日 13:54

『男たちの挽歌』(86年)とは対極の｢香港ノワール映画｣の流れを作った『省港旗兵九龍の獅子』(84年､ビデオのみ)のパート２です。｢香港ノワール映画｣はよく往年の東映ヤクザ映画に例えられることもありましたが､『男たちの挽歌』が高倉健や鶴田浩二の｢任侠｣モノを思わせるドラマチックな作風ならば､『省港旗兵九龍の獅子』は､菅原文太や松方弘樹の｢実録路線｣的な暴力性溢れる描写が強烈です。
一応前作とのつながりを思わせる描写はありますが､別個のストーリーと考えてよいと思います。ただ､無名の俳優を起用して"実録モノ"の迫力と陰惨さを強調した前作からは一転して､商業性や娯楽色を押し出した作風にもなっており､同じプロダクションで同時期に制作していた｢愛と復讐の挽歌｣２部作にアレックス･マン(萬梓良､画像左)とポーリン･ウォン(王小鳳､画像中)といった有名スターを登場させています。ふたりとも『愛と復讐の挽歌』とは正反対の役どころで､アレックスは気のいい潜入捜査官､ポーリンは主人公３人が破滅する発端を作るホステス役に扮しています。
監督は前作のジョニー･マック(麥當雄)から既に監督経験のあった実弟マイケル･マック(麥當傑､画像右)に交代しています。

[2] mixiユーザー 05月09日 04:23

本作で実質的な主役となる"無名"の俳優３名をご紹介しましょう。
リーダー格のホントンを演じるチョイ･カムコン(徐錦江､画像左)は､80年代前半からショウ･ブラザースのカンフー映画に端役で出演し､ショウ･ブラザースが斜陽化するとゴールデン･ハーベストを中心に新興のＤ＆Ｂ作品などで脇役で顔を出し､本作でのジョニー･マック(麥當雄)をきっかけにツイ･ハーク(徐克)など実力派の映画人が手掛ける作品に起用されるようになった直後､90年代に訪れた古装片(時代劇アクション)とⅢ級片(成人映画)のブームで､文字通りひっぱりだこの人気俳優になりました。その後21世紀に入ってからうつ病を患い､映画から遠ざかっていましたが､近年はウォン･カーウァイ監督の『グランド･マスター』(2013年)に出演するなど元気な姿を見せています。

ナイーブな芝居を見せるキンサン役のベン･ラム(林國斌､画像中)は､別項でも紹介している通り､ダニー･リー(李修賢)の主演作に脇で起用された後､ジャッキー･チェン(成龍)率いるスタントチームに合流し､その後は幅広い役を演じる性格俳優として現在も香港映画界で活躍しています。

小柄ですばしっこいホクワンに扮したサイモン･ユエン･ジュニア(袁日初､画像右)は､今や世界的なアクション･ディレクターとして知られるユエン･ウーピン(袁和平)の実弟で､70年代から兄弟とアクション･チームを結成し､スタントマンや武術指導に勤しんでいましたが､80年代に入りウーピンが監督として知名度を上げたのを機に､兄弟のサポートを受け｢第２のジャッキー･チェン｣を目指し４本の主演作を撮ります。しかし､時代は過激なスタントメインの現代アクションに移行しており､俳優として転換点にしようと出演したのが本作でした。しかし彼のキャリアの決定打とはならず､結局89年ウーピン監督でドニー･イェン(甄子丹)主演の『クライムキーパー香港捜査官』(89年)への出演を最後に映画界を引退しました。

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