香港ノワール映画－英雄片－コミュの【香港ノワール／黎明期】挽歌を吠う狼

原題：執法者/警網雙雄(Executor/Heroic Cops)
香港　偉業電影公司／雷鳴國際電影貿易公司　81年　95分　カラー　日本劇場未公開(ビデオ)

監督･武術指導：チェン･チュアン　撮影：ワン･ユン･ルン　音楽：マイケル･ライ
出演：ダニー･リー／イン･チーキョン／チョウ･ユンファ／クァン･ホイ･サン／ン･マンタ／ポール･チン／ティエン･ファン／ディニー･イップ／リリー･リー

－解説－
警察とも癒着した犯罪組織に敢然と闘いを挑む刑事たちの姿を描いたアクション･ドラマ。出演は『実録ブルース･リーの死』(76年)などのダニー･リー(李修賢)､『インファナル･アフェア』(2002年)などのイン･チーキョン(尹志強)､『アンナと王様』(99年)などのチョウ･ユンファ(周潤發)､『プロジェクトＡ２』(87年)などのクァン･ホイ･サン(關海山)､『食神』(96年)などのン･マンタ(吳孟達)､『復讐のプレリュード』(95年)などのポール･チン(秦沛)､『ドラゴン怒りの鉄拳』(71年)などのティエン･ファン(田豐)ほか。『醒拳』(82年)などのチェン･チュアン(陳全)監督､81年作。

－物語－
ロン(李修賢)とリー(尹志強)の刑事コンビは､大陸からの不法入国を請ける組織を追っている。長い内偵の末､証人となるマイ･チ(吳孟達)の身柄を確保したが､逃走した彼は何者かに殺された。ロンとリーは､殺人課のエン警部(秦沛)が内通者と突き止め､彼の足取りから組織の黒幕が土地の名士チェン(田豐)であり殺し屋の正体が配下のウ･タオ(周潤發)であることも知る。しかし､組織は彼らの上司チャン警部(關海山)をも抱き込んでおり､彼もまたウ･タオの手で始末された。ついにロンまでが重傷を負い､孤立無援の末停職をくらったリーが取った最後の手段とは…。

コメント(2)

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[1] mixiユーザー 11月10日 22:30

チョウ･ユンファ(周潤發)とダニー･リー(李修賢､画像左)が出ているガン･アクションなら､もれなく"香港ノワール"なのか!? と言うと実は一概にそうは申せません。
"香港ノワール"と言うジャンルは､元々ＴＶ出身のスタッフや海外留学経験を持つ映画人たちによって70年代後半から勃興した"香港ニューウェーブ"に属する流れのひとつです。
しかし､本作を監督したチェン･チュアン(陳全､画像中)は､ショウ･ブラザースやゴールデン･ハーベストなどでカンフーや武俠映画の武術指導やスタントを担当してきた所謂"旧体制派"の映画人です。既に79年には監督デビューしていましたが､処女作と第２作はいずれも独立プロで撮影したＢ級のカンフー映画でした。その彼が３作目にして挑んだ現代アクションが『挽歌を吠う狼』だったのです。そんな事情からスタッフやユンファとダニー以外のキャストも､監督がメインで活動していたショウ･ブラザース関係が大勢を占めています。
とはいえ､やはりニューウェーブの諸作群を意識して作られたところも多分にあり､カンフー映画のスタッフが手掛けた異色の香港ノワールとして位置付けても問題はないかと思います。
ちなみにチェン･チュアン監督は､この作品の後ロー･ウェイ(羅維)監督のプロダクションでレスリー･チャン(張國榮)の主演作や､ジャッキー･チェン(成龍)がトラブルのため制作を中止した『醒拳』(83年､画像右)を手掛けることになります。

※陳全監督の画像は『挽歌を吠う狼』とは関係ございません。

[2] mixiユーザー 03月02日 22:23

実際の主演はダニーと､コレが映画デビュー作となったイン･チーキョン(尹志強､画像左)です。イン･チーキョンはプロのサッカー選手から俳優に転身した異能の持ち主で､長身のダンディーぶりからＴＶドラマや映画で活躍。特に｢インファナル･アフェア｣シリーズでのリョン警視役が知られています。しかしシリーズ終了後鼻腔がんを発症し､闘病の末2010年2月に惜しまれつつも逝去しました。まだ53歳という若さでした。
主役ふたり以外では､組織の冷酷な殺し屋に扮したチョウ･ユンファ(周潤發､画像中)がやはり強烈な印象を残しています。クールさのなかに甘さも残したユンファの演技には､どうしても眼がいってしまいますね～。
あとは､香港映画きっての名脇役ン･マンタ(吳孟達､画像右)が顔を出しているのも注目でしょうか。チャウ･シンチー(周星馳)とのコンビでコミカルな印象の強いン･マンタですが､ブレイク前に出演した『男たちの挽歌Ⅱ』(87年)や『風にバラは散った』(89年､テレビ放送)では､シリアスな悪役演技も披露しており､実はこのジャンルにも欠かせない役者のひとりであることがわかります。

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