映画が好きコミュの「ぼくたちの家族」

ＴＶドラマの様な家族再生のホームドラマ的な映画ですか　そこからはみ出る問題点を問い詰めた厳しい映画でもあります

郊外にちょっと大きな家を持つごくありふれた家庭の平凡な主婦が　物忘れがひどくって医者に行き　そこで突然余命１週間と告げられて　びっくりした父と長男は大学生の次男も呼びつけ　母には内緒にしてこれからの事を相談するのだが･･･

そして明かされるのは　バブル絶頂期に興した父の会社は莫大な負債抱えて倒産寸前で　母は父から生活費ももらえないために町金で借金してどんどん膨らんで　長男はひきこもりを乗り越えて今は大きな会社に勤めて妻のはじめての出産を控え大変な時期で･･･

頼りない父をおいて息子二人はセカンドオピニオン的な医者を探し求めて翻弄して　やっと何件目かの医者から治療の受け入れを承諾され　余命がどれだけ伸びるかはわからないものの次なる病院に賭けて　父もまた長男の云う自己破産を受け入れ家の処分も覚悟して　果たしてぼくたちの家族はどこへ行くのやら･･･

まとまりのない家族が余命宣告と破産宣告を同時に受けるサマを　ここで見せる家族像は笑顔や会話のない陰険にして険悪な有様で　暗くて鬱陶しいそんな中に更に最悪最低の状況が割り込んできて　これ以上ない不幸を抱え込んでのた打ち回る家族を見せびらかせ　この底辺から開き直って覚悟するまでの悪あがきぶりも露呈させ　難病モノとは一線を画すシビアな人間像を描く事で今社会の姿を･･･

　

だらしなくも頼りない父親を見せる事でバブル期の名残を晒して　誰もが儲けて会社を興しそしてバブル崩壊と共に借金だけが残り　その間何の才能も発揮できなかった成金社長は借金地獄へと落ち　妻も同時に打出の小槌が如く町金融から出る札びらの虜になって　昭和１０年代の酸いも甘いも知った大人の節操なきバカさ加減を･･･

そしてそれを尻拭いする働き盛りのバブルを知らない壮年男子は　常に上方指向を内に秘めてチャンスあらば転職も厭わない様相で　節操なき世代と云われようが会社より我が身大事の時代に生きて　それは例え大会社で有ろうが破綻する現代社会の不安定さを云い　恐らく監督と同世代と思われる働き盛りの彼らの怒りと苦悶とを･･･