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ピークオイルコミュの藻から作るバイオ燃料

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旧タイトル「シュードコリシスティス」



運営方針&雑記407あたりから


Dr.Kさんが紹介して下さった、シュードコリシスティス・エリプソイディアですが、ネット上にはあまり情報は無いようですね。以前、「食糧問題・・・」のトピック53で、食燃ピークの話で登場して下さった、ぺんぎんさんことFarmers_Energyさんのブログ、

農業とエネルギー
http://d.hatena.ne.jp/Farmers_Energy/20080120/p1
でも、結構調べて下さっていますが、

最初は、2005年6月17日の日経新聞の朝刊記事で、その後沢山のblog記事等がありますが、殆どはその日経記事をソースに書かれています。参議院議員の浅尾慶一郎氏も自身の2005年7月3日のメルマガで書いています。
http://www.asao.net/mailinglist/05/0703.html

ジュンツーネット
2005年7月6日
http://www.juntsu.co.jp/topics/topics_cate16.html#05_7_6_4
これはソース不明。


他には、発見元の海洋バイオテクノロジー研究所のHPの説明もありますが、いつ書かれたのか不明ですし、炭素固定の研究とあり、燃料としての実用化については触れられていません。フォトリアクターの写真はありますが。
http://cod.mbio.co.jp/mbihp/j/topics_j_main.php?topicsno=24

2005年12月23日
クラミドモナスワークショップ
http://www.biol.tsukuba.ac.jp/chlamy05/program.html


2006年6月18日放送「軽油を作る微生物」
テレビユー福島
http://tuf.co.jp/ekibun/ekibun060618.html


そして、2007年になって、また少し記事が増えています。一つの発端は、
山路達也の「エコ技術者に訊く」
2007年11月16日
オイルを作る藻が、日本を救う?
http://wiredvision.jp/blog/yamaji/200711/200711160954.html
http://wiredvision.jp/blog/yamaji/200711/200711160957.html

があり、これを引用している人もちらほら。これに関連して、慶應の伊藤先生繋がりで調べると、
慶應大学先端生命科学研究所
2007年4月17日更新
オイル産生微生物
http://www.iab.keio.ac.jp/jp/content/view/163/83/

JST十九年度シード発掘試験研究 No.197
http://www.jst.go.jp/chiiki/seeds/kadai/H19gaiyou.html

などが出て来ます。

そして、今年に入ると、
究極的防災・危機管理としての海外移住(防災移住のすすめ)
2008年1月18日
http://blog.livedoor.jp/kyuukyoku_bousai/archives/50228541.html

2008年1月19日には、農業とエネルギーへのDr. Kさんのコメントに登場します!
http://d.hatena.ne.jp/Farmers_Energy/20080119/p1#c

実は英文検索をかけると、すぐに国際特許の情報が手に入ります。
時期は2006年3月です。
http://www.wipo.int/pctdb/en/wo.jsp?wo=2006109588

その後、日本植物生理学会で発表しています。
2006年3月20日
日本植物生理学会
http://www.jspp.org/11lecture/documents/54_57.pdf

特許の方を見ると、色々と詳しい事が書かれています。
重油を生成するボトリオコッカス・ブラウニの話も(Botryococcus braunii)
Metzger and Largeau, Botryococcus braunii: a rich source for hydrocarbons and related ether lipids, Appl. Microbiol. Biotechnol 66 (2005)


しかし、ここにも実験手法は書いてありますが、あまり定量的な事はわかりません。

そこで、新聞記事に、「重油を作る微生物に比べると、二倍以上の速度で増殖するので、生産効率が高いという。」とあるので、ボトリオコッカスの方を軽く調べてみると、

http://www.sakura.cc.tsukuba.ac.jp/~eeeforum/1st3EF/poster_abstract.pdf
に、

「Botryococcus を屋外の大規模フール(面積19 ha、深さ30 cm)で培養することを想定し、そのエネルギー生産システムをモデル化することで、エネルギー生産技術開発としてのシステムの全体を評価した。アセスメントの結果、エネルギー収支はプラスであり、二酸化炭素もかなりの量を削減することがわかった。燃料生産量は118 t/ha・年、生産コストは155円/Lと他のBDF生産バイオマスと比べて極めて優れたBDF原料で
あることが判明した。エネルギーペイバックタイムも0.19年と他の再生可能エネルギーと比較して遜色がない。 」

とあります。単純に2倍の効率だとすれば、かなりいい感じですよね。
ボトリオコッカスの方は、最適pHが11とかなりのアルカリ条件ですが、繊維工場のアルカリ排水を使えば、排水浄化の効果も期待出来るようです。
まあ、重油よりも軽油の方が全然使い道あるわけですが。

年間1万キロ乗る車(ディーゼル、15キロ/L)に必要な面積はおよそ25m^2。5メートル四方。


Dr.K

ぬりさん

>生産コストは155円/L

工場出荷価格ですかね。ちょうど昨今のレギュラーガソリン価格と一致しますね。ただし、こちらは重油。

軽油で、しかも 2倍の効率なら、私の皮算用によると畳 2枚分で 100リットル。
これで年間 1,500km、重量物が運搬できれば、1世帯の問題としては十分。

おいしいとこどりの、超甘計算ですが。

日本の植物油供給量は、現時点でもおよそ260万トン = 310万kl (比重 0.84 として )。
歩留まり 90%くらいの、高品位 BDF 精製プラントはすでに実用稼動しているので (京都)、100% 回収で、100?/世帯・年は確保 1?

ぬり
似たような計算してましたね。私は移動中の携帯電話の計算機ですが、大体計算は一致(25m^2は2畳の約7.3倍)してちょっと安心。私は密度を0.9で計算してましたが。
仮定の違いはいつもの想定する未来の差ですね。
最初は家庭菜園のイメージで私も2畳で考えたんですが。1500キロも走れれば十分という世の中が早くこればよいと思います。


日本は4700万世帯なので、植物油廃油でBDFを作って、一世帯に年間59リットルですか。約900キロ。
意外と多いような、全然足りないような。


なんににせよ、日本はディーゼル車もっとあっていいのでは。

コメント(129)

いえ。それならそう書くのですが、収量を上げるためにショ糖などをあたえているようです。
光合成はむしろ補助的な感じなくらい収量があがっちゃうみたい…。無理に光にあてようとするよりらくなんでしょうが…。

つまりなくても生きていけるのですが、あるとめちゃ増えるみたいなんですね。
肥料か養分と言えば適当でしょうか?ただそれがショ糖だとエサって感じしませんか?日本の研究者と話した時にエサと言ってた方がいたので。

投資家を騙すためにこっそり与えている場合もあるようで、どの事業者が何を与えているのかまだ実のところは不明です。糖分をあたえれば劇的に増えるのは間違いなさそうなんですが。


一方、工業排水を使って収量を増やす研究もされています。
ただし、排水のクォリティを保つ事が難しいのと、まさに培地がコンタミしちゃってすぐに水がダメになっちゃう。水の純化が元々最大のコスト要因。燃料搾取時に不純物が混ざる。ボイラー燃料用途なら使えるが重油は余ってる。

などの障壁があるようです。


最近は原油もEUETSも下落し、開発投資の外的環境も悪化してます。
工場のCO2、海藻が吸収 竹中など、沖縄で実証実験

 竹中工務店と東京電力、沖縄電力、東京工業大学などの産学が、工場や発電所で発生する二酸化炭素(CO2)を海水に吹き込み、繁殖した海藻をバイオ燃料に利用する温暖化対策技術の開発に着手した。CO2で育てた海藻を石油代替燃料に活用することで温暖化ガスの排出抑制を狙う。2012年以降に沖縄などで実証試験を実施する構想で、18年にも全国で事業を始めたいという。

 産学は10月に「海洋バイオマス研究コンソーシアム」を発足させた。計画では臨海コンビナート周辺などに専用施設を設ける。水槽の海水に工場などの排ガスを吹き込み、CO2を海藻に取り込ませる。繁殖した海藻でバイオ燃料を生産する。排ガス中のCO2は高濃度なので海藻を大量に増やせるという。海藻は成長が早く、食料と競合しないバイオ燃料原料として有望視されている。(16:00)

http://www.nikkei.co.jp/news/sangyo/20081114AT2G1300K14112008.html


海藻って言ってますけど、多分micro algaeですよね。
●日時:2008 年12月2日(火)
18:30 〜20:00 講演と質疑
20:00 〜21:00 ミニ交流会(立食)
●場所:日本工業倶楽部 4階第1会議室
(東京都千代田区丸の内1-4-6 TEL:03-3281-1711)
●テーマ:二酸化炭素ビジネスと藻類の可能性
●講師:出雲 充様(株式会社ユーグレナ代表取締役社長)

発表概要 ユーグレナは光合成を行なう微細藻類であり、高い栄養価をもつことが知られていた。近年、ユーグレナの大量培養に成功したことにより健康食品等への応用が可能となった。また、ユーグレナは高濃度二酸化炭素環境下にも耐え得るため、火力発電所等の排ガス中に含まれる二酸化炭素を削減できる可能性を持っている。

▼(株)ユーグレナ
http://www.euglena.jp/
▼資料をダウンロード
・ユーグレナ_総合説明パネル[PDF/432KB]
http://cluster-japan.cluster.gr.jp/techno/presen_detail/pdf/002.pdf

行きたかったなあ。
誰か行ってませんか?
これはすごい!・・・かも?!

Making Algae Biodiesel at Home

http://www.making-biodiesel-books.com/algae-up.html


家で藻ディーゼルを作ろうという本で、e-bookのみの販売のようです。

$99.95
2009.07.16 日経

藻からバイオ燃料製造
 エクソン量産化へ560億円投資 ダウも研究
【シカゴ=毛利靖子】
米石油最大手エクソンモービルは米著名科学者が設立したベンチャー企業と共同で藻を使ったバイオ燃料の量産化技術を開発する。米化学最大手ダウ・ケミカルも藻と二酸化炭素(CO2)からエタノールを生産する実験を開始。グローバル企業の間でトウモロコシなど食料を使わない代替燃料開発が活発になってきた。
エクソンが提携するのは、人間の全遺伝子情報(ヒトゲノム)の解読に貢献したことで知られるクレイグ・ベンター博士らが設立した米シンセティック・ジェノミクス。6億ドル(約560億円)を投じる。米カリフォルニア州に実験用の温室を作り、光合成で繁殖する藻から燃料を量産する技術を開発する。トウモロコシから作る現在のエタノールより効率よく生産するのが目標で、5〜10年以内の実用化を目指す。
ダウは米テキサス州に保有する石化コンビナート内に施設を建設。米ベンチャー、アルジェノール・バイオフュエルズや米ジョージア工科大学と協力し、CO2を藻に供給してエタノールを生産する技術を開発する。

藻類を利用したバイオ燃料開発へ=米エクソンモービル〔BW〕

7月16日11時37分配信 時事通信
*【ビジネスワイヤ】米石油大手エクソンモービル(NYSE:XOM)は、次世代バイオ燃料研究開発の米シンセティック・ジェノミクス(SGI)と、光合成藻類を利用したバイオ燃料の研究開発で提携したと発表した。両社の技術と専門知識を生かし、ガソリンやディーゼル燃料と代替可能なバイオ燃料の開発、大量生産、実用化のための技術開発を目指す。エクソンモービルは、目標達成時にSGIに支払う3憶ドルを含め、同研究開発に6億ドル以上の投資を行う計画。同社では、「淡水や農地を必要としない藻類光合成起源のバイオ燃料を実用化することで、世界的なエネルギー需要増への対応と、温室効果ガスの排出削減に寄与できる」としている。<BIZW>
 【編注】この記事はビジネスワイヤ提供。英語原文はwww.businesswire.comへ。 
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/1453

藻から作るバイオ燃料
ヒトゲノムを解読したベンター博士の秘策
2009年07月24日(Fri) The Economist

◆次世代バイオ燃料の開発競争で、藻が一歩リードしている。

英国の石油大手BPが自らを「Beyond Petroleum(石油を超えた企業)」と称し、石油会社の間で流行の色がグリーンだった頃、米エクソンモービルは代替エネルギー源の開発合戦から距離を置いていた。同社CEO(最高経営責任者)のレックス・ティラーソン氏はバイオ燃料を、ユーモアを交えて「密造酒」と呼んだこともある。

 それが今、代替燃料の開発に熱心だった企業数社が二の足を踏み始め、事業規模を縮小している中で、エクソンモービルはまたしても周囲と逆の方向に進もうとしているようだ。

 同社は7月14日、次世代バイオ燃料の開発としては恐らく過去最大となるプロジェクトに3億ドルの資金を投じると発表した。そして、それがうまくいけば、さらに3億ドルをつぎ込む用意があるという。


◆エクソンが6億ドル投資するベンチャー企業

この気前の良い贈り物を受け取るのは、米サンディエゴに拠点を置くシンセティック・ジェノミクス。クレイグ・ベンター博士が率いるベンチャー企業である。

 ベンター博士と言えば、1990年代後半に民間出資によるヒトゲノムプロジェクトの指揮を執った米セレーラ・ジェノミクスの元会長、それ以前では、生物種(インフルエンザ菌と呼ばれるバクテリア)として初めて全ゲノム配列を発見した研究チームのリーダーとして読者に馴染みがあるかもしれない。

 今回カネは、人間でも菌でもなく、藻に投じられることになる。

 現在はバイオ燃料の大半は、サトウキビやトウモロコシから作られるエタノールか、植物油から作られるバイオディーゼルだ。だが多くの人は、今から10年後はそうでないことを願っており、その頃にはバイオ燃料が既存の製油所から排出されるもの――具体的には炭化水素――と化学的に似た物質になっていることを期待している。

 問題は、現段階からどのようにして、そこまで持っていくか、だ。

 ベンター博士はその答えが分かったと考えている。そのまま燃料になる炭化水素を作るよう遺伝子操作された単細胞藻を工業規模で培養する(同氏曰く、これは養殖でなくバイオ製造)ことを提案している。

(続く)
◆他社の取り組みと一線を画す秘策

 ベンター博士は決して、藻類を利用してバイオ燃料を生産する構想に取り組んでいる唯一の研究者ではないが、その方法については、一つ二つ秘策がある。

 中でも重要なのは、藻が生み出す油を、培養されている培養基の中に分泌させることだ。多くの藻は油を作り、不確かな将来に備えて体内に栄養分として蓄える性質を持つ。だが、それを体外には放出しない。それでは意味がないからだ。

 競合企業の中には、油を豊富に含む藻から油を抽出するために、細胞を壊す方法を模索しているところもある。だが、ベンター博士は別の生体の分泌経路を実験用の藻に組み込むことに成功した。これらの藻は実際に体内の油を放出しており、油は培養容器の表面に浮かび上がる。

ベンター博士はこのプロセスをバイオ製造と呼ぶ。藻は本来、収穫されるものではない――もっとも、あまりに増殖すれば処分せざるを得ないが――ため、養殖には当たらないのだという。

 エクソンモービルの資金が研究に役立つ2つ目の秘策は、藻油(専門的にはトリグリセリドと呼ばれるもので、炭素と水素に加え、酸素原子も含有する)を作る生成経路を操作し、分子中の酸素が含まれる部分を切り離し、純粋な炭化水素だけが残るようにすることだ。

 その後、数千種の藻を調べ、新たなテクノロジーの「プラットフォーム」に最も適した種を探すことになる。理想的な種は、明るさ(明るいほど速く光合成する)と熱(必要とされる太陽光のレベルが高いほど熱くなる)に対する耐性が高いものだ。

 ウイルスに対する耐性も必要になる。同質の有機体が1カ所に集中しているため、ウイルスは大きな脅威になりかねない。もし適した種を見つけることができなければ、シンセティック・ジェノミクスの研究者は望ましい性質を持つ種を組み合わせ、事実上、新しい種を創り出す。

 光合成に必要なもう1つの物質である二酸化炭素(CO2)は、発電所や製油所、天然ガス処理装置などの工場から出る排ガスが使用される。こうしたCO2は、大気中に排出されて気候変動をもたらす前に確保されるというおまけがついてくる。

◆CO2が貴重な原材料になる日

 このプロセスは本当の意味では100%カーボンニュートラルではない(そうなるためにはCO2を大気中から得る必要があり、もし藻が空気中の限られた量のCO2しか使うことができないとなれば、藻は十分な速さで成長しない)。だが、CO2が最終的に大気中に放出されるまでに、一つひとつの炭素原子が燃料内で2つの役割を果たしていることになる。

 すべてが順調に進めば、石油精製工程の中で、石油やディーゼルが分離する直前の段階に投入できる炭化水素液ができ上がり、それも従来の方法で作った同質のケミカル剤と競争できる価格での生産が可能になる。

 ベンター博士は、現在の技術でも、農地1ヘクタール当たりで見た場合、藻から取れる燃料はトウモロコシから取れる燃料の10倍に上るはずだと言う。

 もちろん、藻を育てる方がはるかに資本集約的なうえ、藻にCO2を無理やり吸収させなければならないことを考えれば、これは公正な比較とは言えない。だがCO2さえ手に入れば、このプロセスは農業に適さない土地でも行うことができる。

 すべての発電所、製油所などがバイオ製造に適した場所に建てられているわけではないため、最終的にはこの点が限界要因になるかもしれない。

 とはいえ、もし実際に製造が可能になれば、CO2は一躍、汚染廃棄物から貴重な原材料に変わり、それを確保するための設備や輸送用パイプラインの建設さえ、経済的に見合うようになるかもしれない。もしそうなれば、実に皮肉なことである。
© 2009 The Economist Newspaper Limited. All rights reserved.
英エコノミスト誌の記事は、JBpressがライセンス契約 に基づき翻訳したものです。
英語の原文記事はwww.economist.comで読むことができます。
微生物利用の次世代バイオ燃料に注目集まる (米国)

2009年08月10日 ニューヨーク発 通商弘報

 微生物由来の最新のバイオ燃料製造技術は、従来の藻の光合成を使ったものに比べ、生産のスケール・アップや生成物の抽出が大幅に簡素化されつつある。大手石油化学会社も、将来的に原油とも十分に価格競争できるとみて、最新技術の獲得に動いている。


・国立再生可能エネルギー研究所(コロラド州ゴールデン)のフィリップス・ピエンコス博士によると、こうしたバイオ燃料製造プロセスが競争できる原油価格は1バレル800ドル程度

・サンディア国立研究所のロン・ペイト博士によると、光バイオリアクターを利用したバイオ燃料製造コストは、1ガロン20〜40ドルだが、光バイオリアクターのような大がかりな装置を使わずに、池など水中で藻を培養して光合成させて製造したバイオ燃料でも、1ガロン10〜20ドルのコストが必要で、現在のガソリン価格やデーゼル価格の1ガロン当り3〜4ドルに比べると非常に高い

・藻由来バイオ燃料のパイオニアであるグリーン・フューエル・テクノロジー(マサチューセッツ州ケンブリッジ)は2009年5月、破綻した。

・同社では、生産規模を拡大するための費用が当初計画の2倍になり、バイオ燃料の生産量も予想を大幅に下回ったため、財務計画が大幅に狂った。同社は、05年と08年に総額3,300万ドルの資金を集めたが、資金繰りがその後急速に悪化し、破綻した。

・この5年間に100以上の藻由来のバイオ燃料企業が起業したが、「多くがこの数年間で倒産する」と、スクリップス研究所(カリフォルニア州ラ・ホーヤ)の生物学者、ステファン・メイフィルド博士はみている

・マサチューセッツ州ケンブリッジで07年に創業したジュール・バイオテクノロジーは7月、微生物の光合成を利用した独自の工程により、バイオ燃料を1エーカー当たり年間2万ガロン生産できる、と発表した。
ジュールは、藻ではない微生物を遺伝子組み換えし、光バイオリアクターで培養、光合成することでエタノール、または炭化水素を製造する。同社によると、このプロセスによるエタノール・炭化水素は、原油価格が1バレル50ドル以上ならば競争できる。同社は、10年早々にパイロット・プラントの建設を始め、まず、エタノールを生産する。炭化水素生産用の実証プラントは11年に稼働する予定だ。

K. Bullis. A Biofuel Process to Replace All Fossil Fuels. Technology Review. 7/27/09
E. Waltz. Biotech’s Green Gold? Nature Biotechnology. January 2009
E. Waltz. Algae Trailblazer Shuts. Nature Biotechnology. July 2009.
T. Hamilton. Dow to Test Algae Ethanol. Technology Review. 7/16/09
D. E. Duncan. Big Oil Turns to Algae. Technology Review. 7/22/09
K. Bullis. A Biofuel Process to Replace All Fossil Fuels. Technology Review. 7/27/09
ミドリムシ 火発排ガスで培養 温暖化対策に新技術

8月30日2時30分配信 毎日新聞
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090830-00000001-maip-soci 

動物と植物の中間的性質を持つ単細胞生物「ミドリムシ」を、多量の二酸化炭素(CO2)を含む火力発電所の排ガスを使って培養することにバイオベンチャー企業「ユーグレナ」(東京都)が成功した。同社はミドリムシからバイオ燃料を作る技術も開発中で、排ガスのCO2を減らしたうえ、代替燃料を作る新たな温暖化対策として注目されそうだ。【奥野敦史】

 ミドリムシは体長約0.1ミリ、水田などにすむ。光合成によりCO2を吸収する植物の性質を持ちつつ、鞭毛(べんもう)という器官で動物のように動く。光合成能力が高いのが特徴で、熱帯雨林の数十倍に達する。

 同社は05年、沖縄県石垣市に食用可能なミドリムシの大量培養施設を世界で初めて建設。ミドリムシを素材にした健康補助食品やクッキーを製造、販売している。今年6月、沖縄電力金武(きん)火力発電所(沖縄県金武町)で、煙突から出る直前の排ガスをミドリムシの培養槽に吹き込む実験を行った。

 この排ガスはCO2濃度が大気の400倍近い約15%に達する。ガスを入れた培養液は酸性になり、大半の生物は生きられないが、ミドリムシは順調に成長した。増殖速度は空気を通した場合の最大20倍に達した。排ガス中の豊富なCO2で光合成をし、増殖したとみられる。

 ミドリムシなどの藻類は、細胞内に脂質が多く、細胞を壊して化学処理すれば良質なバイオディーゼル燃料になる。同社は、培養したミドリムシからバイオ燃料を作り、発電などに利用、その排ガスで再度ミドリムシを培養−−という循環システムの開発を目指す。出雲充社長は「ミドリムシが高CO2濃度のガス中でも育つと証明できた。CO2削減と炭素循環型社会の実現を進めたい」としている。



データが無いのは怪しい。
世界で巨額投資始まる
藻から作る石油(米ダウ・ケミカル、Jパワー、筑波大学)

2009年11月26日(木) 星 良孝=バイオ部

植物プランクトンから石油など燃料を作る取り組みが脚光を浴びている。トウモロコシやアブラヤシなどと比べて、圧倒的に生産効率が高いのが理由だ。米国は量産化に着手する中で、研究実績のある日本の動向が注目されている。

 ワカメやコンブといった海藻の仲間から、石油やエタノールなどを生産するバイオ燃料のプロジェクトが、全世界で相次いで立ち上がっている。海藻の仲間といっても、油分の生産に使われるのは、大きさが数マイクロメートル(マイクロは100万分の1)ほどになる植物プランクトンだ。学校教育で教わる「ミドリムシ」のようなもので、「微細藻類」と呼ばれている。

効率はトウモロコシの100倍


 大きさは小さいが、その生産効率は目を見張る。筑波大学大学院生命環境科学研究科の渡邉信教授の試算では、藻を1ヘクタールのプールで栽培した場合、生産量は最小でも47トン、最大では140トンにもなり得るという。同じ植物で1ヘクタール当たりの燃料生産量を見ると、トウモロコシが0.2トン、大豆が0.5トン、パーム油のもとのアブラヤシが6トンになる。藻の生産効率はトウモロコシの100倍超に上る。

 こうした特徴に目をつけ、米国では、藻を利用した石油生産に巨額投資が続いている。米エネルギー省(DOE)は今年5月に大学、企業で構成する「藻コンソーシアム」に5000万ドル(約45億円)を拠出する計画を発表した。同じく7月には世界最大手の石油会社、米エクソンモービルが、藻に関する研究開発に6億ドル(約540億円)を超える投資を実施すると発表した。

石油ショックが契機に

 米国の藻の研究は、1970年代の石油ショックにさかのぼる。DOEは「アクアティック・スピーシーズ・プログラム(Aquatic Species Program)」として投資を続けてきた。90年代も、大規模な試験を進めた。2004年以降の原油価格の高騰が実用化熱に火をつけた。今や創業間もないベンチャーから、年間1兆円規模を稼ぎ出す石油メジャーまでが開発競争に参戦している。
具体的な商用化プロジェクトも動き始めている。先行企業の1社が、米化学最大手のダウ・ケミカルを中心とするグループだ。ダウは、2009年6月にバイオベンチャーのアルジェノール・バイオフュエルズと共同で、テキサス州にあるダウの敷地内に商業規模の施設を建設する構想を発表している。

 藻からどんな物質を作り出すかには、石油とほとんど同じものから、食用まで様々ある。ダウの場合は、藻を利用してエタノールを生産する計画を進めている。ダウはエタノールを燃料としてだけでなく、化学品の原料としても利用する考えだ。藻類を利用した一種のコンビナートだ。

 藻から生成物を取り出していく工程は大きく2つに分かれる。藻を育成する工程と、育成された藻から生成物を抽出する工程だ。

 最初の育成工程は、大きく分けると2通りのアプローチの仕方がある。1つは屋内で栽培する方法で、もう1つは屋外で栽培する方法だ。

 屋内法は、水槽で人工光を利用する方法だ。屋内の場合、動物プランクトンや微生物の汚染リスクが少ない。その一方で、太陽光の代わりに光合成を促す光源として、蛍光灯やLED(発光ダイオード)などを使う必要があるため、光熱費がかかるのが難点だ。

微生物などの繁殖がリスク

 屋外法の長所は、コストのかからない太陽光を有効活用できること。ただし、藻を捕食する動物プランクトンの侵入や微生物が繁殖したり、藻の栽培にかかせない水が蒸発したりする短所がある。先に挙げたダウ主導のプロジェクトは、屋外法を採用する計画だ。

 動物プランクトンや微生物の繁殖リスクを軽減するため、ダウのプロジェクトに参加するアルジェノールは既に、フィルムを張ったドーム状の水槽内で藻を栽培する生産技術を構築している。フィルムを利用することで、天敵の侵入や水分の蒸発を防ぐ。

 ダウは、アルジェノールの技術を基礎に、独自のフィルムを中心とした部材の開発に当たる。1つは太陽光で光合成に利用する波長を、効率よく集めるフィルムの開発だ。必要な波長だけを利用すれば、藻の生育にとって害になる余計な温度上昇も抑えられる。
太陽光のほか、CO2(二酸化炭素)、窒素分、海水なども藻の生育には欠かせない。アルジェノールの構想では今後、発電所から発生するCO2を取り込んだり、栄養分や海水を適宜導入したりする計画だ。

育成された藻から生成物を抽出する工程も複数ある。従来、多くの企業は油分抽出に、藻をいったん天日干しで乾燥して、海苔の塊のようになったものをクロロホルムやアセトンの中に漬け込む方法を取ってきた。藻に含まれる油分をクロロホルムやアセトンに溶かして、これらの溶媒を揮発させて残った油分を取り出す。

 しかし、乾燥にエネルギーがかかるうえ、クロロホルムやアセトンは、20〜30度ほどの常温では揮発しにくい。結果として工程が複雑になっていた。ダウは、藻の細胞外にエタノールを分泌する技術を開発、藻の細胞を壊して、生成物を取り出す必要をなくした。

生産コストの1ケタ削減を

 今後の研究開発の課題は大きく分けて2つある。1つは優れた藻をより大量に育てること。慶応義塾大学はデンソーと共同で培養液に入れるCO2や窒素分などの量を調整して、最適な培養条件を探っている。もう1つは、藻から有用な物質を効率的に取り出すもの。

 「商業化には生産コストを1ケタ減らす必要がある」と筑波大学の渡邉教授は言う。既存技術を適用した場合、生産量を1ヘクタール当たり年間118トンと仮定すると、生産コストは屋外栽培の場合は1リットル当たり155円、屋内栽培では800円になる。ガソリン価格は低水準にあるので、藻の燃料生産はさらなる低コスト化が必須だ。

 まずは、藻をより大量に育てる研究開発を見ていこう。1つは、藻の品種選抜だ。Jパワーの松本光史・主任研究員は、2006年から全国27カ所で約900株の藻を集めた。

 既に奄美大島のマングローブ林に生息したナビクラ属のケイソウが、他品種より短い1週間で、乾燥重量に対して56%の油脂を蓄積することを発見した。松本氏は「燃やした場合の熱量は石炭と同レベル」と語る。

 品種改良で、より多くの油分を採取したり、藻の生育に悪影響を及ぼす高い温度や塩分濃度に対する耐性を高めることも重要だ。特に耐性は、安定的に生産するためのポイントとなる。屋外栽培の場合、動物プランクトンが侵入すると、1日のうちに藻が全滅することもあるからだ。耐性が高まれば、天敵生物がほとんど生きられない環境で藻を生産できる。
バイオベンチャーのネオ・モルガン研究所(川崎市、藤田朋宏社長)は、筑波大学の渡邉教授とともに品種改良プロジェクトを進めている。ネオ・モルガン研究所は、突然変異の頻度を引き上げる技術を持つ。突然変異とは、遺伝子情報の書き換えが起きることで、生物の形や性質が変化することだ。例えば、キリンの首が長いのは突然変異の結果とされる。

 一般的に突然変異は、DNA(デオキシリボ核酸)がコピーされる際のエラーが原因の1つとなる。ネオ・モルガン研究所は、作為的にエラーを起こすことで、自然界よりも突然変異の頻度を高めて、様々な機能を持つ藻類作りを目指す。

 藻から有用物質を抽出する研究開発を見ていこう。先のダウのように藻が分泌するように改良するというアプローチがある一方で、日本の電力中央研究所が従来法の欠点を一掃する独自技術の開発を進めている。

下水浄化を活用

 電力中央研究所は、下水浄化技術を応用して、燃料などとして利用されるジメチルエーテル(DME)で、藻から油分を分離する手法を開発した。DMEは有機物の溶解力が強く、沸点がマイナス25度のため、常温で直ちに気化する。

 同研究所の神田英輝主任研究員の研究開発は、従来法の乾燥工程をカットすることが最大の特徴だ。栽培液ごと藻をDMEと混合するのだ。DMEは、藻に含まれる油分だけを溶かし込む。このDMEを取り出して60度程度の熱をかけると、DMEは気化して油分だけが残る。使用済みDMEは再利用もできる。実験によると、40%程度の回収率を達成した。


 日本は1980年代以降、東北電力、関西電力、東京電力が、藻を利用した燃料生産の研究開発に注力していた。2000年まで通商産業省(現・経済産業省)も国費を投じていた。その取り組みを無駄にせず、水田を藻の栽培池に利用するなど、日本ならではの取り組みを打ち出せば、海外勢との開発競争に勝ち抜ける可能性は十分にある。日本の技術が力を発揮する領域を、検討する価値はある。

微細藻類油田の詳しい情報は、日経BP社発行のバイオ専門誌 「日経バイオテク」及びBiotechnology Japan(BTJ)を、併せてご覧ください。

 日経ビジネス 2009年11月23日号84ページより

http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20091124/210490/
OriginOil To Develop Sophisticated Algae Production Models
- Global analytics partnership will provide firm basis for industry planning -

Los Angeles, CA January 26, 2010 – OriginOil, Inc. (OOIL), the developer of a breakthrough technology to transform algae, the most promising source of renewable oil, into a true competitor to petroleum, today announced its partnership with StrategicFit, a London-based strategy consulting firm with world-class analytical capabilities. The starting point for the project is the lifecycle model that OriginOil presented to the National Algae Association Quarterly Conference last September, which showed for the first time that a properly sited industrial algae production system could be both profitable and beneficial.

“A recent study by researchers at the University of Virginia’s Department of Civil and Environmental Engineering supported our finding that algae cultivated in a standalone agricultural environment cannot be viable,” said Riggs Eckelberry, OriginOil CEO. “This project will help our industry and its sponsors understand and prove what works.”

StrategicFit Co-Founder and Partner Duncan John said: “We have carefully explored the algae space and believe that there is real promise, but there can also be hype. Fact needs to be separated from fiction in order for the sector to build its credibility with investors, and we applaud OriginOil for taking the lead in driving for industry clarity and transparency."

StrategicFit’s people bring a wealth of knowledge to this partnership, drawing on past work with energy companies such as Royal Dutch Shell, BP, and Statoil; and technology companies such as Philips Electronics and Abbott Laboratories. This diverse experience, with a focus on the energy-sector, will help OriginOil identify key opportunities and challenges involved in commercializing its technology platform. The goal is to simplify strategic decision making through a rigorous quantitative analysis of the variables involved in algae production.”

The partnership will focus on increasing the robustness of the core Algae Productivity Model by refining underlying assumptions and process logic. The team has already upgraded the model from a complex Excel worksheet to Analytica, a sophisticated platform with a modular format and an accessible user interface. Time sensitivity will now be added to the model, with a 20-year horizon that includes discounted cash flow variables, time for R&D and scale-up, and ROI estimates based on a waterfall analysis.

Moving forward, the model will address synergistic applications for algae production, including wastewater treatment, natural gas fired kilns, biodiesel refining, and ethanol distillation. The final model will be broken down into web-based analytical modules and will also available by application to the OriginOil Partner Network.

OriginOil CEO Riggs Eckelberry concluded: “We look forward to working with StrategicFit to further refine the Algae Productivity Model. As we continue to develop our technology and prepare for commercial transition, it is critical that we have a viable tool for our partner network to use in strategic decision making. StrategicFit will help us identify and evaluate options to increase value, and improve our business case.”
アオコから『緑の原油』の抽出に成功
―常温かつ乾燥・粉砕不要で高収率抽出が可能に―
平成22年3月17日
独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構
財団法人電力中央研究所
https://app3.infoc.nedo.go.jp/informations/koubo/press/CA/nedopressplace.2008-11-26.1174332432/nedopress.2010-03-16.4882617243/


京都市の広沢池で採取した天然のアオコ(Microcystis属を主とする多くの微細藻類が混在)を用いた試験を実施しました。その結果、予め遠心分離で水分91.0%に粗脱水した試料6.65gに、20℃・0.5MPaの液化DMEを10cm3/minの速度で11分供給したところ、水分4.12gと、『緑の原油』0.24g(乾燥重量の40.1%に相当)を抽出することに成功しました。抽出した『緑の原油』を分析したところ、分子量は200〜400、発熱量が10,950cal/gでした。これに対して、従来の方法では、アオコの乾燥重量の0.60%しか抽出できませんでした。つまり、DMEを用いた方法により、従来法に比べ60倍以上の『緑の原油』を抽出できたことから、液化DMEは、極めて優れた抽出能力を持った抽出剤であることが明らかになりました。
 なお、この方法では、抽出の最終工程で、液化DMEと『緑の原油』を分離する必要がありますが、液化DMEは、常温で0.5MPaから減圧していくと蒸発するため、減圧工程のみで気体として容易に回収できます。さらに回収したDMEは、再度液化することで、抽出剤として再利用することもできます。また、50℃程度の熱があれば、これをDMEの気化熱として吸収することで、大気圧下でより効率よくDMEを蒸発させることが可能となります。このため、現状工場などから環境へ放出されている50℃程度の廃熱を利用し、『緑の原油』を取り出すことが可能になれば、溶剤回収の省エネルギー化の面でも、従来技術より格段に優れたシステムを構築できる可能性があります。
アオコから『緑の原油』の抽出に成功
―常温かつ乾燥・粉砕不要で高収率抽出が可能に―
平成22年3月17日
独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構
財団法人電力中央研究所

 NEDOの産業技術研究助成事業(若手グラント)の一環として、電力中央研究所・エネルギー技術研究所の神田英輝主任研究員は、液化ジメチルエーテル(DME)(注1)を用いて、藻類(アオコ)(注2)から『緑の原油』(注3)を常温・高収率で抽出する方法を開発することに成功しました。
 この方法は、液化DMEが水にも油にも混ざる性質を利用したもので、アオコから常温で脱水と油分抽出を同時に行えるため、従来の方法に比べて、脱水・乾燥に必要なエネルギーを大幅に低減できるだけでなく、抽出のための有機溶剤が不要となるため、低コストで環境に優しい油分抽出システムを実現できる可能性があります。
 この成果は、2010年3月26日〜29日に開催される社団法人日本化学会第90春季年会(近畿大学 本部キャンパス)で発表されます。


図1 アオコを採取した京都市広沢池(2009年7月16日撮影)

(注1)液化ジメチルエーテル(DME:化学式CH3OCH3)は、最もシンプルな形のエーテル。他のエーテル類と異なり、過酸化物を作らず、無毒で、温室効果やオゾン層破壊の問題がなく、環境調和性に優れる溶剤。中華人民共和国では、石炭から合成される気体・液体両用の安価な人造燃料として利用が進んでいる。日本国内でも、スプレー缶の噴射剤に用いられ、安全性が確認されている。DMEの標準沸点は−25℃であり、今回の検討では20℃・0.5MPaで液化したDMEを用いた。
(注2)藻類は、CO2の固定能力が高く、食物と競合しないバイオ燃料源になりうるという利点がある。一方、藻の一種であるアオコは富栄養化が進んだ湖沼等において生じ、漁業の障害、取水源としての不適合、生態系の破壊といった問題をもたらすことがあるため、これらの有効活用が期待されている。
(注3)『緑の原油』とは、微細藻類の細胞の中の油分を総称したものであり、石油代替燃料として使用する試みが広がっている。

<概要>

 これまで電力中央研究所は、わが国のエネルギーセキュリティ強化の観点から、高含水率の石炭(褐炭や亜瀝青炭)を脱水し、発熱量を向上させて使いやすくする技術として、液化ジメチルエーテル(DME)を用いる水分抽出技術を開発してきました※。この方法は、液化DMEの吸水性を利用して常温で脱水する技術であり、従来の方法に比べて、脱水・乾燥処理に必要なエネルギーを大幅に低減できる可能性があります。
(※詳細は電中研ニュースNo.445 「液化ジメチルエーテル(DME)を用いた脱水技術を開発」を参照
 今般、このDME利用技術を、多量の水分を含む微細藻類からの有機物(油分)の抽出に応用し、既存技術における複雑な工程を簡素化するとともに、大幅な省エネルギー化を図れることを明らかにしました。
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1.背景

 大きさが数マイクロメートルの植物プランクトンは微細藻類と呼ばれています。その光合成能力(二酸化炭素の吸収能力)は高く、単位面積あたりでは、トウモロコシの100倍以上になります。微細藻類には重油や軽油などの『緑の原油』を合成する種類もあり、その温暖化ガス吸収効率の高さとともに、近年食物と競合しないバイオ燃料源としても注目されています。
 しかし微細藻類は水中で光合成するので多量の水を含み、この水分が微細藻類から『緑の原油』を取り出す際の大きな障害になっています。


図2 アオコの採取(ゴミを取り除く様子

2.研究成果概要および本成果の意義

 従来の方法では、微細藻類を圧搾や遠心分離等の機械処理により、泥状の状態まで脱水します。しかしこの状態でも水分は90%も残ります。また、残りの10%に含まれる細胞壁などは、『緑の原油』としては用いることができません。泥状の微細藻類は、その後、天日干しや高温加熱によって乾燥され、粉状となります。このとき、粉状の微細藻類は細胞壁で覆われているため、油分を抽出するためには、細胞壁を酸や粉砕によって破壊しなければならず、ヘキサン、アセトン、クロロホルム等の有機溶剤が用いられます。さらに最終的には、抽出液に含まれるこれら多量の有機溶剤を蒸発させて除去する必要があります。
 つまり、光合成によって作られた『緑の原油』(=エネルギー)を取り出すのに、乾燥、細胞壁の破壊、有毒な溶剤の使用と除去といった、複雑な工程と、それに伴う多くのエネルギーが必要になるという問題がありました。このため、従来の微細藻類に関する研究は、こうした抽出工程を前提として、遺伝子操作や品種改良などによる、特殊な藻の生産を中心に行われてきました。


図3 実験に用いたアオコの光学顕微鏡写真

 そこで電力中央研究所では、自然界に存在する藻を用いることが可能で、かつ乾燥以降の工程を簡略化でき、省エネルギー性・環境調和性に優れた、『緑の原油』を取り出す方法として、液化ジメチルエーテル(DME)を溶剤に用いる方法を開発するための基礎研究を行ってきました。
 DMEはエーテル類の一種ですが、過酸化物を作らず、無毒で、温室効果やオゾン層破壊の問題がなく、環境調和性に優れる溶剤です。DMEの標準沸点は−25℃ですが、20℃・0.5MPaで液化したDMEは油との親和性が高いうえ、水と部分混合する特徴を有します。このため、液化DMEを溶剤に用いると、微細藻類の細胞壁があっても、DME分子が拡散し、その細胞内で油分と強く結合します。そして、油分と結合したDME分子は再び、微細藻類の細胞の外へ出て行きます。つまり、多量の水分を含む微細藻類であっても、効率良く『緑の原油』を取り出すことができると考えました。


図4 アオコを充填したカラム


図5 カラムにDMEを下から上に流した様子
(下半分の濃い部分がアオコ。上半分の黄緑色の液体が、緑の原油を抽出したDME)

 
この仮説を実証するため、京都市の広沢池で採取した天然のアオコ(Microcystis属を主とする多くの微細藻類が混在)を用いた試験を実施しました。その結果、予め遠心分離で水分91.0%に粗脱水した試料6.65gに、20℃・0.5MPaの液化DMEを10cm3/minの速度で11分供給したところ、水分4.12gと、『緑の原油』0.24g(乾燥重量の40.1%に相当)を抽出することに成功しました。抽出した『緑の原油』を分析したところ、分子量は200〜400、発熱量が10,950cal/gでした。これに対して、従来の方法では、アオコの乾燥重量の0.60%しか抽出できませんでした。つまり、DMEを用いた方法により、従来法に比べ60倍以上の『緑の原油』を抽出できたことから、液化DMEは、極めて優れた抽出能力を持った抽出剤であることが明らかになりました。
 なお、この方法では、抽出の最終工程で、液化DMEと『緑の原油』を分離する必要がありますが、液化DMEは、常温で0.5MPaから減圧していくと蒸発するため、減圧工程のみで気体として容易に回収できます。さらに回収したDMEは、再度液化することで、抽出剤として再利用することもできます。また、50℃程度の熱があれば、これをDMEの気化熱として吸収することで、大気圧下でより効率よくDMEを蒸発させることが可能となります。このため、現状工場などから環境へ放出されている50℃程度の廃熱を利用し、『緑の原油』を取り出すことが可能になれば、溶剤回収の省エネルギー化の面でも、従来技術より格段に優れたシステムを構築できる可能性があります。

事業名:2009年度 産業技術研究助成事業
常温・省エネルギーで液化DMEを抽剤として循環利用する藻からの油の抽出技術の開発
事業期間:2年間


図6 常温で得られた緑の原油

3.今後の展望

 この技術を実用化するには、さまざまな藻を用いた基礎実験や、『緑の原油』をDME内で濃縮する技術の開発が必要になります。このため、早期の実用化を目指し、更に試験を重ね、本手法の改善を行う予定です。また、今後は企業等とも協力し、現状の基礎実験装置レベルから、スケールアップを行っていくことも検討しています。

4.研究者(神田英輝主任研究員)の略歴

1995年 京都大学工学部化学工学科卒業
2000年 京都大学大学院工学研究科化学工学専攻博士課程修了
2000年 財団法人電力中央研究所エネルギー化学部研究員
2001年 財団法人電力中央研究所エネルギー化学部主任研究員
2004年〜 財団法人電力中央研究所エネルギー技術研究所主任研究員

5.お問い合わせ先

(本プレス発表の内容についての問い合わせ先)
財団法人 電力中央研究所 (CRIEPI) エネルギー技術研究所 主任研究員 神田英輝
TEL:046-856-2121 FAX:046-856-3346


財団法人 電力中央研究所 (CRIEPI) 広報グループ 渡辺 准、林田 正輝
TEL:03-3201-6601 FAX:03-3287-2863



(NEDO制度内容についての一般的な問い合せ先)
NEDO 研究開発推進部 若手研究グラントグループ 鍵屋、松崎、千田
TEL:044-520-5174  FAX:044-520-5178
個別事業HP: 産業技術研究助成事業(若手研究グラント)

(その他NEDO事業についての一般的な問合せ先)
NEDO 広報室 萬木(ゆるぎ)、田窪
TEL:044-520-5151
【知の先端】筑波大大学院教授・渡邉信さん 緑藻からバイオ燃料 −産経ニュース−
http://sankei.jp.msn.com/science/science/100419/scn1004190843002-n1.htm


■光合成で“重油”を生産 温暖化・エネ問題の切り札に
 石油に替わるバイオ燃料の原料として、湖や沼などに生息する微細な藻類が世界的に注目されている。筑波大大学院の渡邉信教授は、光合成で重油とほぼ同じ性質の炭化水素をつくる「ボトリオコッカス」という緑藻に着目し、燃料量産技術の実用化を目指す。課題は生産性の向上による低コスト化だが、「将来、日本が産油国になることも可能だ」という。地球温暖化やエネルギー問題を解決に導く切り札として、藻類への期待は高まるばかりだ。(小野晋史)

 ◆天然の製油装置
 藻類には、光合成で炭化水素や脂肪を大量に産生する種が多い。炭化水素は石油や天然ガスの主成分で、1、2億年前に浅い海に生息していた藻類が石油の起源だとする説が有力。二酸化炭素を吸収し、炭化水素を生産する藻類は「天然の製油装置」ともいえる。
 ボトリオコッカスがつくる高分子の炭化水素は、性質が重油とほぼ同じで、抽出方法は培養した藻を搾るだけ。渡邉教授は「重油に相当する炭化水素からは、石油化学工業で利用するナフサや軽油、ガソリンが簡単につくれる。既存の施設は、そのまま使える」と利点を挙げる。

◆低コスト化に挑む
 実用化には安定的な大量生産システムを確立し、コストを今よりも1ケタ下げる必要がある。現在、ボトリオコッカスから作り出したバイオ燃料の値段は1リットル当たり155円程度でまだ高い。
 渡邉教授らは、品種改良や新たな株の探索で、沖縄株よりも効率が高い“超優等生株”の発見を目指す。抽出・精製方法の改良や、実験室での培養実績を屋外プラントで再現することも実用化への課題だ。
 「2013年ごろまでに生産効率を1ケタ上げたい。そうすればコストも下げられる」
 試算では、目標の生産効率が達成されると国内の原油需要を約23万ヘクタール分の休耕田や耕作放棄地などでまかなえ、二酸化炭素排出量も1990年比で約半分に削減できる。「藻類は人類の救世主となりうる重要な生物なのです」
新たなビジネスの最新動向 ―藻類ビジネス―
2010年5月11日 環境・資源エネルギー部 大谷 智一
http://www.mizuho-ir.co.jp/publication/column/environment/2010/0511.html?=mm

世界同時不況の影響で景気に停滞感があり、一部に底入れ感もあるものの、新規事業に着手する企業は未だ少ない。

このような状況の中、米国では新たなビジネス創出に向けて活発な投資の動きがある。それは"藻類"を活用したビジネスである。

藻類とは、身近な例ではコンブやワカメなどの大型藻類やアオコなどの微細藻類の総称であり、英語では藻類のことをalgae(アルジェ)と呼ぶ。近年では、この藻類のうち微細藻類(Micro Algae:マイクロアルジェ)に注目が集まっており、これを活用したビジネスの創出に向けて、特に米国では積極的な投資がなされている。

2010年1月13日、米国エネルギー省(DOE:United States Department of Energy)が発表したプロジェクト「National Alliance for Advanced Biofuels and Bioproducts(略称:NAABB)」では4,400万ドル(約40億円)を藻類生産とそれを活用した製品の開発に助成する計画である。この事業はアメリカ復興・再投資法に基づくもので、この事業以外にも企業育成の観点から様々な予算が配分されている。また、投資銀行における藻類ビジネスへの投資についても盛んに検討がなされており、代表的な企業ではエクソンモービル社が藻類の研究開発に対して6億ドル(約540億円)を超える投資計画を発表している。

藻類を利用したビジネスのターゲットとしては、培養技術の開発および藻類を原料として生産される燃料、医薬品、食品、飼料、化成品等、多種多様な製品製造が挙げられる。特に燃料については、石油に代わる新規燃料として期待が高い。微細藻類はナタネやパームなど他の陸上の油脂植物と比較しても単位面積あたりの生産性が何十倍も高い可能性があることから、食料と競合しないバイオ燃料としての期待が大きい。現在、米国ではエネルギーセキュリティ(*1)の観点からバイオ燃料製造の議論が進んでいるが、国内においては藻類由来のアスタキサンチン(*2)やミドリムシを原料とする健康食品などでの利用が商用化されている。

藻類ビジネスの行方については、必ずしも楽観論ばかりではない。実態としては藻類の大量培養は技術的に困難な部分が多く、本格的な商用化は2030年ごろとの意見がある。また、日本では過去に大規模な研究開発を実施したものの社会のニーズが現在程強くなかったことや、プロジェクト遂行上の課題があったことなどから成功に至らなかった経緯があり、研究開発に消極的な状況も見受けられる。

しかしながら、技術的に課題が多い状況にも係わらず、米国で活発な動きを見せていることや中国企業における投資の動きなど、藻類ビジネスの勢いを見ると一過性のものではなく、新たな産業になり得るのではないかと感じてしまう。

藻類ビジネスについては今後どのような流れになるか未だ不透明なところはあるが、日本は藻類については過去の研究蓄積や有望な藻類の株を有しており、国際的な優位性があると言える。現在の状況のように国際的な流れを傍観しているだけではせっかくのビジネスチャンスを失うことになりかねない。藻類ビジネスは有望な株以外に培養施設や抽出施設、製品製造等の技術開発の他、目指すべきマーケットの検討やそれに向けた研究開発へのフィードバック等、一連のプロジェクトマネジメントが成否を大きく左右すると考えられる。このような状況においては研究開発費を絞っている日本の企業や一研究機関だけで実施することは困難であり、この将来的なチャンスを生かすためには、行政、大学等研究機関、プラントメーカー、化学メーカーなどが連携しオールジャパンでの取り組みをしてはどうだろうか。

*1政治、経済、社会情勢の変化に過度に左右されずに、エネルギー源を確保すること。
*2主にエビ・カニなど甲殻類、サケ・マスの身、タイ・コイの表皮などに含まれる天然色素の一種。俗に「悪玉コレステロール(LDL)の酸化を抑制する」、「動脈硬化を改善する」、「糖尿病を予防する」などと言われている。
なんとトヨタも手をだしました。気付かなかったー。
シュードコリティスティスエリプソイディアの方なので、デンソーと組むんですかね。

ボトリオコッカスブラウニーの筑波大渡辺先生は、手作りのビニールハウスで頑張っているというのに。




Toyota to start algae biofuel research project

Toyota may be well established as the hybrid car leader but it hasn’t turned its attention away from other alternative fuels.
According to a report in The Nikkei, Toyota will team up with Chuo University and Japan’s Agriculture Ministry to begin a research project with the aim to produce biofuel from the algae Pseudochoricystis. One of Toyota’s suppliers – Denso – has actually been working on biofuels derived from this form of algae for several years. The hope is to commercialise the product as a substitute for petrol and diesel by 2020.
As part of the research, attempts will be made to extract oil produced by the algae. It is hoped that mass production technology can be developed within 10 years that will allow it to be used for both car and jet fuel. If successful, it is estimated that the algae based biofuel could meet 10-20 per cent of domestic demand for diesel.
According to The Nikkei, the Agriculture Ministry had previously talked to Mitsubishi Chemical Corporation about the project. Other participants will include Microalgae Corporation and Kyoto University.

http://www.thegreencarwebsite.co.uk/blog/index.php/2010/05/25/toyota-to-start-algae-biofuel-research-project/
藻類関係のセミナーはなんでこんなに高いかね。


★バイオマスエネルギーを巡っては、米国が主導権を握っているのが現状です。しかしながら、昨今食糧を原料とするバイオマスエネルギーが、食糧の高騰を招くなどの問題を招き、食糧原料に頼るのは限界になってきています。そのような背景で最近注目を集めているのが、自ら軽油に似た炭化水素を蓄積する微細藻類です。それらは、将来の石油代替資源として有望であると期待されています。
★本セミナーでは、微細藻類の工業利用全般について概観し、微細藻類の将来的石油代替燃料の可能性を中心に、その技術の第一線でご活躍している先生が解説いたします。
★対象:バイオ燃料に関心のある商社、石油製造・プラントメーカ、車両・部品製造メーカ、航空機部品製造メーカ、造船・部品メーカ、バイオマス燃料の導入を進める各自治体のエネルギー担当者など。
次世代バイオマスエネルギーでビジネスチャンス!!
藻類の工業利用とバイオ燃料生産の可能性
●日 時 2010年6月9日(水) 10:00〜15:10
●会 場 ホテル機山館 地下会議室 <東京都文京区本郷4-37-20> 
》》 会場地図はこちら 《《
●受講料 49,560円(1人/税込み)※資料代を含む
なお、第4講終了後(15:25〜16:15)は無料特別講演となります(資料は付きません)。
※要事前予約
※定員になり次第しめきりさせて頂きます。
● 5/9まで
早割適用受講料 47,082円(税込)/1人
※『早割制度』…開催日の1ヶ月前までにお申し込みの方に限り、
受講料を5%割引いたします。
●主 催 株式会社エヌ・ティー・エス

●プログラム概要 第1講 微細藻類の産業利用の可能性
<国際的な科学技術動向を踏まえた俯瞰とその課題>
鷲見 芳彦(北海道大学)
第2講 脂質産生微細藻類の探索・収集・保存
関口 弘志(製品評価技術基盤機構)
第3講 藻類由来バイオ燃料の効率的分離技術の開発-Botryococcus brauniiを例として
岡田 茂(東京大学)
第4講 微細藻大量培養の現況と課題
竹中 裕行(マイクロアルジェコーポレーション)
無料特別講演
 微細藻類コミュニティーの持つ生態系サービス機能の包括的理解を目指して
守屋 繁春(理化学研究所)


●時 間10:00〜11:00 
●演 題
 第1講 微細藻類の産業利用の可能性 <国際的な科学技術動向を踏まえた俯瞰とその課題>
●講 師 北海道大学 人材育成本部 
     特任教授 鷲見 芳彦
●内 容
微細藻類(マイクロアルジェ;microalgae)は約30数億年前、地球環境創世記に最初に地球上(海洋)
に出現した生物の1つである。葉緑素を持ち、光合成によって大気中の二酸化炭素を固定化し酸素を産
生する。別名、植物プランクトンとも呼ばれ、現在、約10万種の多様な微細藻類が海水・淡水中に存在
する。
この微細藻類の機能とその利用に、今注目が集まっている。第1に機能性食材をはじめとする医療・健
康バイオ(レッドバイオ)領域での応用、第2に、飼料や環境浄化作用の農・水・環境バイオ(グリー
ンバイオ)の領域での応用、第3に、バイオ燃料をはじめとする工業バイオ(ホワイトバイオ)の領域
への応用も進みつつある。
本セミナーでは、将来の人類のQOL(Quality of Life)向上へ貢献し、かつ我々の抱えるいくつかの課
題を解決しうる「微細藻類」にスポットを当て、これらの3つの領域におけるビジネスチャンスを考え
ると共に、その課題について言及する。
1.微細藻類とは
2.微細藻類が作り出す新しいビジネス領域
3.微細藻類の生み出す価値
4.微細藻類に関連する科学技術
5.国際動向
6.課題
講師プロフィール
1980年 大阪大学 大学院理学研究科 博士課程前期(修士)修了
1980年 帝人株式会社
    ライフサイエンス・医薬医療の研究及び医薬企画・研究企画に携わる
1990年 東京大学医学部にて医学博士取得
2009年 北海道大学 人材育成本部 特任教授
    文部科学省 科学技術政策研究所 客員研究官(兼任)
学会:再生医療学会 他
●時 間11:05〜12:05
●演 題
 第2講 脂質産生微細藻類の探索・収集・保存
●講 師  独立行政法人製品評価技術基盤機構 バイオテクノロジー本部 遺伝資源保存課
      主任 関口 弘志
●内 容
近年、国内外を問わず微細藻類の応用利用へ向けた研究活動が盛んに行われている。その目的(ゴール)
は藻類の光合成能力によるCO2固定だけでなく、代謝産物利用に重点が置かれており、特に脂質を産生す
る微細藻類は、エネルギー生産分野に於いて非常に注目を浴びているものと言える。その為に必要不可
欠なのは、目的を達成しうる有用株を獲得することであり、我々もカルチャーコレクションとして有用
株を提供するために探索・収集・保存活動を行っている。
本セミナーでは、我々の活動のうち、脂質産生微細藻類を提供するために行っている内容を紹介する。
1.NITE Biological Resource Center (NBRC)について
  ・NBRCの活動
  ・NBRCが保有する微細藻類の特徴
2.昔話〜軽油産生微細藻類について
3.有用株の探索・収集について
  ・微細藻類における”有用藻類”とは
  ・“有用藻類”の探索
  ・新規収集のストラテジー
  ・新規収集の実際
  ・候補株から有用株への絞り込み
4.藻類応用利用に関して我々が出来ること、出来ないこと
  ・実用化までの道のり
  ・我々の本業〜カルチャーコレクション
  ・ユーザーの希望と我々の現実

<昼休憩12:05〜13:05>

●時 間13:05〜14:05
●演 題
 第3講 藻類由来バイオ燃料の効率的分離技術の開発-Botryococcus brauniiを例として
●講 師 東京大学 大学院農学生命科学研究科 水圏天然物化学研究室
     准教授 岡田 茂
●内 容
微細藻類の中には脂質を大量に蓄積するため、代替燃料としての利用が考えられているものが存在する。
しかし培養藻体から効率的に脂質を回収するには、藻種により工夫が必要な場合がある。
本セミナーでは、液状炭化水素を大量に生産し、細胞間マトリクスに蓄積するBotryococcus brauniiを
中心に、微細藻類からの脂質の回収法に関する過去の研究例や最近の動向につき概説する。
1.微細藻類からの脂質回収の問題点
2.微細藻類Botryococcus brauniiとは
  ・Botryococcus brauniiはどのような生き物か
  ・Botryococcus brauniiの生産する炭化水素
3.Botryococcus brauniiからの炭化水素回収法
  ・過去の研究事例
  ・加熱処理による回収
  ・最近の動向
講師プロフィール
 1987年 東京大学農学部水産学科卒業
 1989年 東京大学大学院農学系研究科水産学専攻 修士課程修了
 1990年 東京大学大学院農学系研究科水産学専攻 博士課程中退
 同年 東京大学農学部 助手
 1996年 東京大学大学院農学生命科学研究科 助手
 (1997年〜1999年米国ケンタッキー大学 外国人客員研究員)
 2004年 東京大学大学院農学生命科学研究科 助教授
 2007年 東京大学大学院農学生命科学研究科 准教授 現職
●時 間14:10〜15:10
●演 題
 第4講 微細藻大量培養の現況と課題
●講 師 マイクロアルジェコーポレーション株式会社 代表取締役 竹中 裕行
●内 容
周知のとおり、バイオ燃料をはじめとする微細藻類の工業利用が注目を集めている。微細藻類の工業利用に
おける成否の鍵は、大量培養法の確立とその生産コストである。数種の微細藻については大量培養・生産が
行われているが、これらは有用な生理作用が報告されており、それが付加価値として価格に反映し、生産コ
ストをカバーしている。
弊社は、沖縄県宮古島市で数種の微細藻の大量培養を行っている。また、高知県室戸市でも、濃縮海洋深層
水を利用した微細藻の大量培養試験を実施している。
本セミナーでは、微細藻の大量培養の現況と今後の工業利用を推進するために不可欠な生産コスト削減のた
めの課題を弊社の経験・実績を紹介しながら考察したい。
1.微細藻類の工業利用の可能性
2.微細藻の大量培養の現況
3.微細藻の生産コスト削減のための課題
 
講師プロフィール
 1985年 静岡薬科大学(現静岡県立大学)大学院博士課程後期修了 薬学博士
 1993年 マイクロアルジェコーポレーション? 代表取締役 現職
 2006年−2007年 九州共立大学 准教授
その他活動
・日本ビタミン学会賛助会員代表者評議員(1996年−)
・マリンバイオテクノロジー学会評議員(1999年−)
・日本海藻協会理事(2008年−)

無料特別講演
●時 間15:25〜16:15
●演 題
 微細藻類コミュニティーの持つ生態系サービス機能の包括的理解を目指して
●講 師 独立行政法人理化学研究所 基幹研究所 守屋バイオスフェア科学創成研究ユニット
     ユニットリーダー 守屋 繁春
●内 容
水圏に棲息する微細藻類の多様性は我々が考えるよりも遙かに多様であり、その機能も非常に多岐にわたる。
しかし、これら多種多様な微生物間に存在する入り組んだ物質的な共生による複雑な関係性は、人類による
それらの生態系サービスの利用を大きく阻んでいる。
本セミナーでは、そのような複雑な微生物生態系を分子レベルで包括的に理解し、それらの持つ機能を有効
利用するために最近取り組んでいるマルチメタオミックス解析による新しい研究法について概説する。
微細藻類の持つ様々な機能
1.微細藻類の多様性
2.複雑な共生システムの存在とその解析における困難性
3.共生システムの重要性
4.マルチオミックス解析法のコンセプト
5.マイクロコズム「エコトロン」実験の紹介
6.将来の展望ー生態系サービスの包括的利用を目指してー

講師プロフィール
 理学博士
 理研工藤環境分子生物学研究室 専任研究員、(独)科学技術振興機構バイオリサイクルプロジェクト 研究
 員などを経て、現職(横浜市立大学大学院 客員研究員 兼務)。

16:30 終了
「藻」からバイオ航空燃料=米中が共同開発へ−青島
2010/06/07 10:14[エネルギー][時事通信社]
 中国科学院青島バイオエネルギー・プロセス研究所がこのほど、米ボーイング社と、「藻」から航空燃料の軽油をつくる技術を共同開発することで合意した。半島都市報が伝えた。 
 「藻」から軽油などを作る技術は、太陽光と二酸化炭素を資源化する新しいバイオテクノロジー。地球温暖化の原因とされる二酸化炭素の排出削減とともに水質改善にも効果がある。
 現在は、「藻」の大量生産と、一般の軽油の数倍から数十倍ともいわれる製造コスト引き下げがボトルネックとなっている。米中双方は5年以内の実用化と10年以内の商品化を目指す。(時事)
藻類バイオ燃料プログラムで温室施設を開設=米エクソンモービル〔BW〕
2010/07/16 16:12[エネルギー][時事通信社]
 【ビジネスワイヤ】米石油大手エクソンモービル(NYSE:XOM)と次世代バイオ燃料研究開発の米シンセティック・ジェノミクス(SGI)は、両社の藻類バイオ燃料プログラムの一環として温室施設を開設したと発表した。実験室から実際の条件をシミュレーションできる温室環境に移行し、藻類から安価な燃料を大量生産できるかどうか検討する。野性株と人工変異株を開放池や閉鎖リアクターなどの成長システムを利用して多様な条件で調べる。収穫とバイオオイルの回収作業なども研究する。次の段階として来年、屋外試験施設を開設することを計画している。
 【注】この記事はビジネスワイヤ提供。英語原文はwww.businesswire.comへ。
Engineering fat-making bacteria: A road to plentiful biodiesel
http://web.mit.edu/mitei/research/spotlights/fat-bacteria.html
 オーランチオキトリウム、ですか。
オーランチオキトリウム、朝日でも取り上げられていますね。


生産能力10倍 「石油」つくる藻類、日本で有望株発見
http://www.asahi.com/science/update/1214/TKY201012140212.html


渡邉教授は「大規模なプラントで大量培養すれば、自動車の燃料用に1リットル50円以下で供給できるようになるだろう」と話している。

だそうです。
 「オーラン/チオ/キトリウム」というふうに切るのだろうか? それとも「オーランチ/オキトリウム」かな?

 最初、前者かと思い「チオ」って何かな、小学校の頃「チオ硫酸ナトリウム」を使ったな、と思って調べたら、硫酸の酸素が1つ硫黄に置き代わったのがチオ硫酸だそうだ。
 (だったら、リンがヒ素に置き代わったら何というのだろう?)

 やっぱり2つに切る後者が普通かな。でも、オーランチ/オキトリウムと言われると、どうしても

 B定食オキトリウムお願いします

と言いたくなる私がここにいたりします。
daiさん

aurantioはラテン語でオレンジ色なので、オーランチオ-キトリウムです。


また記事がでましたね。
まだ出来もしていない技術を、出来るかのように言うのは、テーマがテーマだけに罪深い。

ボトリオコッカスの生産コストは「155円/L」という研究をすでに出しているのに(トピック頭の文参照)、さらっと800円/Lと言っているところとか。
光合成が出来ないなら、相応のエネルギーを餌で供給しなければならないこととか。
無視しすぎだ。
おまけにボトリオコッカスとのカスケード生産なんて、・・・夢のまた夢にしか聞こえないんだけど。



日本を産油国にする「藻」 2011年3月1日(火)
山田 久美 日経ビジネス
生産効率10倍の品種を発見、商業化へまた1歩
http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20110225/218602/

・これまで発見された中で最も油の生産効率が高いとされてきた「ボトリオコッカス・ブラウニー」の約12倍の生産効率
・2010年6月にエネルギー省(DOE)が、藻類系バイオ燃料の開発に携わる3つの研究コンソーシアムに対し、最大2400万ドルの助成金を供与すると発表した。米国以外でも、オーストラリアやイスラエル、中国、インド、インドネシア、韓国など多くの国々がこぞって、微細藻類の研究開発に軸足を向け始めている。
・最も有望視されてきたボトリオコッカス・ブラウニーですら、1リットル当たりの生産コストは約800円。これを、石油と同等の1リットル当たり50円程度にまで引き下げることができないと、石油の代替燃料として商業化できない。
・生産効率を今の10倍以上にして、収穫量を現在の1ヘクタール当たり年間100トンから1000トンに引き上げる必要があった
・ボトリオコッカス・ブラウニーが約6日で2倍に増殖するのに対し、オーランチオキトリウムはなんと4時間で2倍になる。
・面積1ヘクタール、水深1メートルの培養装置を使って、オーランチオキトリウムを4日ごとに収穫するという生産システムを想定したところ、1ヘクタール当たり年間1000トンの油が採れるという計算結果
・耕作放棄地と休耕田の54%で賄える計算
・現在の日本の石油と石炭の輸入量は年間約3億3500万トン。一方、日本の耕作放棄地と休耕田は62万ヘクタールある。そこで、その54%にあたる33万5000ヘクタールを使ってオーランチオキトリウムを培養すれば、年間輸入量をすべてまかなうことができる
・同じ培養装置を使って4時間ごとに容量の67%分を収穫し、そこに、同量の新鮮な培養液を補充する連続生産システムにすれば、1ヘクタール当たり年間1万トン以上、油の収穫が見込める
・現在の世界の年間石油需要量は約50億トン。この連続生産システムの場合、日本の耕作放棄地と休耕田の80%を使えば、その全量をまかなえる計算
・類の基礎研究で世界トップレベルを誇る筑波大学が中心となって、「藻類産業創成コンソーシアム」を結成。国内の大学や研究機関や、つくば市、50社を超える企業が参画
・ボトリオコッカス・ブラウニーが、光合成をしてCO2から油とその他の有機物を生成する緑藻類であるのに対し、オーランチオキトリウムは、水中の有機物を細胞内に取り込んで、油を生成する単細胞の従属栄養藻類だ。そのため、オーランチオキトリウムを培養するには、有機物を与える必要がある。
・ボトリオコッカス・ブラウニーが生成した有機物を有機廃水に還元すれば、オーランチオキトリウムのエサにできる
・オーランチオキトリウムの油は、「スクアレン」と呼ばれる炭化水素で、善玉コレステロールの基
ぬりさん

 一次エネルギーと二次エネルギーの区別がつかないクチですね。勘違い水素ブームのことを考えると、これもはやるかもしれません。

 aurantio という字面を見ると、ラテン語では「黄金色」という意味だったのでしょうかね?
(相変わらず本質と無関係なことが気になるわたし)
このオーランチオキトリウムの話題が朝日新聞で取り上げられてから、色々なところから私に問い合わせがあり、「ぬりさんの仕事ももう必要なくなりましたね」なんて言われます。

大事なポイントを解決してから、夢の話をしてほしいものです。
Is algae biofuel too thirsty?
http://cosmiclog.msnbc.msn.com/_news/2011/04/14/6471719-is-algae-biofuel-too-thirsty
IHI、神戸大学ベンチャーと藻類バイオ燃料開発で合意
【7月7日】
IHIは、神戸大学発のベンチャー企業で藻類バイオ燃料開発を手がけているジーン・アンド・ジーンテクノロジー社とネオ・モルガン研究所と3社で、藻類バイオ燃料事業に関する技術開発を共同で実施するため合同会社を設立することにした。IHIは事業推進のため、当初2年間で4億円の投資を行う。品種改良を重ねた藻類の中でも燃料生産能力が最も高い藻を使って、効率のよいバイオ燃料の生産を目指す。
http://www.ihi.co.jp/ihi/press/2011/2011-7-07/index.html
【学術】微細藻類が生産する炭化水素の生合成酵素遺伝子の特定に成功

東京大学大学院の岡田茂准教授(農学生命科学研究科 水圏生物科学専攻)は、ケン
タッキー大学、テキサスA&M大学の研究者らととともに、微細緑藻(Botryococcus b
raunii)のトリテルペン生産に関わる3つの酵素遺伝子の特定に成功したと発表した。
今回の研究により、今まで知られていたものとはまったく異なるメカニズムで炭化水
素を生産することが明らかになった。

この藻種はトリテルペン系炭化水素(ボツリオコッセン、メチルスクアレン)を大量
に生産するため、代替石油資源として期待されている。今回、ボツリオコッセンの生
合成に関する酵素遺伝子が特定できたことで、「なぜ大量のトリテルペンを作るの
か?」という問いに対する答えを見つける手がかりが得られたことになり、代替燃料
生産の実現化に貢献するものと考えられるという。

→ http://www.a.u-tokyo.ac.jp/topics/2011/20110713-1.html

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