ログインしてさらにmixiを楽しもう

コメントを投稿して情報交換!
更新通知を受け取って、最新情報をゲット!

愛しき空コミュの愛しき空(空)  10

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
朝起きると
空には雲がかかっていて
鏡に映る歯を磨いている俺の目の下には
寝付けなかったせいかうっすらクマができている。

中々寝付くことができなかった。

布団の中で明日どこにご飯にいこうか。
明日どんな会話をしようか。
なんて考えて結局まとまらないまま。

・・・・今日で最後のデート・・・・
そう思いながら会社へと車を走らせる。

車の中から見上げる空が曇っている。
『雨振るなよ。』
そう願う自分がガキに思えた。

会社につくといつもどおりの業務が始まる。
ただ違うのはいつもの月末ならあわただしく過ぎていく時間も
今日は時計を見るたびに少しばかりがっかりする。

時間っていう奴はほんとうに天邪鬼だな。

いつもなら近くにご飯を食べにいくのだが
今日はコンビニで買った弁当をデスクで食らう。
なぜかって?
ネットで今日どこでご飯を食べるか検索。

いつも行きつけのところばかりだし
最後ぐらいちょっとはオシャレなところにでもと。

昼ご飯を食べ終わる頃にはなんとかレストランをみつけ
一応予約しておいた。

昼以降はとてつもなく忙しく
それでも定時には無償に帰りたい俺は
きっとどんなビジネスマンより俊敏な動きをしていたはずだ。

いつもこんなに働ければ今ごろ部長クラスにでもなれてただろう。

気づくと定時が迫っていた。

やっぱり時間ってのは天邪鬼だ。

ひと息ついたので加那にメールを入れてみる。
「そろそろ終わりそうだけどそっちは?」

時刻が定時を指した瞬間加那からメールが入ってきた。
「こっちももう終わるよ。じゃあ7時30に迎えにきてよ。」

ちょっとした安堵感。
だって最後なのに仕事で逢う時間が短くなるなんて
そんな切ないことはないだろう。

職場が忙しく皆は残業している。
こういうとき早く帰るのはちょっと気が引ける。
でも後ろめたさを感じながらも
「お先に失礼します。お疲れ様でした。」
そそくさと車へ乗り込む。

朝、空を覆い尽くしていた雲が
格段に減り空は晴れていた。

そのまま一旦家に戻り準備をする。
髪をセットし歯を磨き、香水を一振り。

「そろそろ向かうわ。」
そうメールしてOctober girlの元へ向かった。

到着すると車に乗り込むなり
「今日はどこいこっか。October guyサン。」
「腹へってんだろ?」
「そうだね。」
「じゃあ飯だな。October girlサン。」
「はーい。」

ネットで印刷した地図を頭に叩き込んでいたおかげで
迷わず店につくことができた。慣れてないことするもんじゃないな。

「こんな店、空のイキツケなの?」
「まー最後ぐらいこんなところいいだろ。」

イキツケな訳がない。さっき調べたばかりの場所だもの。
かるく質問を濁して店内へ。

「予約していたものですが・・」

ちょっと不安ながらも店員は接客態度もよく対応してくれた。

頼んでいたコースを注文し
加那はワインを飲む。俺は運転だからノンアルコールカクテルで我慢。

何度か繰り返してきた加那との食事。
これが最後か。なんて考えていたり
この高級そうな店での緊張感で思うように味わう事が出来なかった。

食事も終わり
「おいしかったね。」
そう微笑む加那を見て
こいつは彼氏とこういうところきてんのかな。なんて考えてしまう。

手をつなぎ車まで歩く。
そこからはいつものパターン。
お決まりのあの場所へと車を走らせる。

車中ではいつもより煙草を吸うペースが早い。
だってあのレストラン禁煙なのだから。

しかも誤算だったのは食事がでてくるのが遅いことだ。
高級料理ってあんなものなのか?
時計は10時を少し回っていた。

あと2時間。

あと2時間でこの恋人ごっこというゲームも終わる。

長年ずっと言えずにいた
好きっていう言葉も言えなくなるわけだ。

長年繋ぎたくてもつなげなかった
白く細い手もちょっと遠のいてしまうわけだ。

1ヶ月毎日していたメールもできなくなるわけだ。

11月が一生こなきゃいいのに。
10月が一生つづけばいいのに。

カーステから流れる
commonのCome Closeが妙に切なく感じた。

あの場所に着くと
いつも場所でボンヤリしながら今日の出来事などを話す。

しばらくすると加那が聞いてきた。

「今日で終わるね。」
「だな。」
「結局彼氏を嫉妬させることできなかったけどね。」
「そうみたいだな。」
「でも、空には本当感謝している。」
「なに?あらたまって」
「ありがとう。」
「なんだよ!」

加那に『ありがとう』っていう5文字を面と向かって言われるのは
初めてだったのかもしれない。だから異様に照れくさかった。

「昨日の夜ね空になにか喜ばしてあげたいなって思ったのだけど
思いつかなくて素直に気持ちをつたえようって思ったんだ。」

素直な気持ちか・・・。

俺にはいえないことだ。

「だってこんなに長い付き合いなんだし、変に飾らないほうがいいかなーって思ったんだ。」

ドキっとした。

だって今日の俺は背伸びをしてレストランなんか行っていた。

それでも素直に思っていることを少しだけ聞いてみた。

「加那は彼氏のことが好きなんだろ?」
「・・・そうなんだろうね。」
「そっか。」

予想通りだけど、こう実際聞かされると
俺は自分の気持ちをまた引き出しにしまうしかない。

ちょっとだけ素直に俺は言った。

この1ヶ月楽しかったことを照れで隠しながら
俺は加那のこと嫌いじゃねーしゲームに付き合った。
1ヶ月意外と楽しかった。
そして
いった事もない店に今日は連れて行ったことも。

加那は笑っていた。
その後
ルールを破ったあの日のことも話してくれた。

加那が今の彼氏と出逢った頃の話
俺が前の彼女との話
加那とはじめて遊んだ時の話

加那のおかげで
最後って気を張っていた俺がいつもどおりの俺へと変わっていく。

ふと携帯に目をやると
1時をまわっていた。

あんなにもこないでくれと思っていた11月が
1時間も前にやってきていたんだ。

そろそろ帰らなきゃないけない。

「じゃあそろそろ帰ろっか。」
「そうだな。」

帰ろうとの言葉を言い出せないでいた俺に対して
加那が切り出した。
もし加那が言わなかったらきっと俺はその場所で一日を過ごせただろう。もしかしてずっといれたかもしれない。

帰りの間助手席の加那の手を握りたかったが
できないでいたシャイな俺。

加那の家につくと
俺も車から外へでてみた。

「じゃあな。」
「うん。あっそうそう、Sweet Novemberじゃ二人はどうなるの?」
「おしえねーよ。」
「ケチ!」

「でも1ヶ月本当にありがとうね。」
「はいよ。」

本気で付き合っていたわけでもないのに
寂しさで目からなにかこぼれおちそうになった。
それが加那に悟られたくないから

ちょっと勇気をだして加那を引き寄せてハグをした。

「がんばれよ。」

1秒か2秒かな。

加那を抱きしめている間にあふれ出る感情を引き出しにしまいこむのに十分な時間だ。

「なによ。ビックリするじゃない!」

「ルール違反ではないよな。じゃあな。」

「じゃあね。」


家路につくまでの間
この1ヶ月のことを考えていた。
1ヶ月だけなのだからかな。

別に疎遠になるわけでもないのに。

加那が幸せになることを素直に願いたい。




季節は秋から冬になる

11月

俺は
今まで詰め込まれた引出しにも限界があることを知る。


コメント(0)

mixiユーザー
ログインしてコメントしよう!

愛しき空 更新情報

愛しき空のメンバーはこんなコミュニティにも参加しています

星印の数は、共通して参加しているメンバーが多いほど増えます。