数多くのファッション誌、カルチャー誌、CDジャケットなどでフォトストーリーを発表している永瀬さん。その写真の最大の魅力は、被写体たちとの時間を濃密に共有しながら、しかも受け手たちへ対等な目線で飛び込んでいける、そんなスナップの形而上的な力にあります。2006年に刊行した写真集『青の時間〜THROUGH THE LOOKING-GIRL〜』では彼女の持ち味を最大限に活かし、女ともだちを、同じ成熟のステージにいる女性としてじっくり捉え、その瑞々しい魅力を阿吽の呼吸の中で引き出して見せました。
そして、もう一段進化した永瀬沙世の表現となるのが本展です。彼女は「自分が何者かを決めつけて生きていきたくない」と言います。「空を撮っていても、空を描写しているわけではなく、人を撮っていても、人をかたどっているわけじゃない。その対象にぶつかった反射、反響が写真に写る」と考え、展示タイトルを「空中リフレクション」と名付けました。回りの何かにぶつかった反応によって自分を知ることができ、反射、反響を求めて自在に中空を舞っている飛行感覚こそ生きている実感だといいます。
ライブの様子を追い続けたロックバンドTHE BACK HORNの写真も織り交ぜつつ、風景や静物など大小の写真50点前後を新旧問わず、今の視点からセルフリミックスして展示予定。スライド投影も含めたインスタレーションで彼女の写真観を体感していただきたいと思います。
永瀬沙世(ながせ・さよ) 写真家
1978年兵庫県伊丹市生まれ。神戸女子大学卒業。 2006年写真集「青の時間〜THROUGH THE LOOKING-GIRL〜」(プチグラパブリシング)を出版。2008年「New York Photo festival」へ出品。2000年から、ほぼ毎年写真展で作品を発表し続けている。本展で発表する作品の中には、2005年から撮り続けているロックバンド「THE BACK HORN」のライブ写真があり、映像、CDジャケット「産声チェーンソー」「美しい名前」も手掛けた。
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