ログインしてさらにmixiを楽しもう

コメントを投稿して情報交換!
更新通知を受け取って、最新情報をゲット!

風見しんご・・・崇拝。コミュのジローラモ物語〜永遠の奇跡〜

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
【前書き】

ジローラモ。僕の親友。


そして僕の心にポッカリと空いた穴を埋めていく男。


僕は一度消したパソコンの電源を再度入れると少しずつ光を灯していくように
ジローラモとの思い出を語り始めた。


死んだジローラモに対する償いはそれしか見つからなかった。

コメント(6)

【第1話】ジローラモの葛藤。


 僕がまだ中学生だった頃、ジローラモはまだこの世に誕生してはいなかった。

そして僕が中学を卒業し、高校へと入学する頃にはジローラモは30歳になっていた。

そんなことは僕達の間には関係のないことだと僕は信じきっていた。


 僕が高校を辞めたいと打ち明けたときジローラモは身振り手振りの大きなジェスチャーを交えて僕に話し始めた。

「僕はね、右の耳が聞こえないんだ」

僕は今までそんな事聞いたことがなかったためひどく驚いた。

「ほんとに?でも普通に生活してるよね」

ジローラモは寂しそうな顔をしていた気がする。

「でもホントなんだ・・・。見てごらん?」

ジローラモは自分の右耳を僕の方へと傾けた。
僕も促されるように自分の目を彼の耳へと近づけていった。




その一ヵ月後、ジローラモは妊娠した。




【第2話】ひびき

 乳母車に乳児をのせて僕とジローラモは近くの商店街を散歩していた。

「いい天気だね。」

ジローラモは大きく息を吸い込むような仕草をした。

「ちょっとは黙れよ。外人。」

僕はこの日ひどく苛々していた。

日々の積み重なるストレス、思ったように進まない未来に憤りを感じていた。

「イライラしてる。体によくない。」

「うるせーよ。カタカナの名前のくせに。」

ジローラモは何も言わず首を何回も横に振った。
そして僕の肩に両手をのせてきたのだ。

僕はカッとなってジローラモの手を強く振りほどこうとした。
そして勢い余って乳母車に手が当たってしまった、と思ったのもつかの間、気づいた時には乳母車から乳児が放り出されていた。

僕とジローラモは血相を変えて乳児を硬いアスファルトへ落とさないように動き出した。

間一髪、僕達は二人で抱えるように乳児を優しく支えていた。






あの日と同じ危険を冒してはいけないと二人で相談し、乳母車にはジローラモがのることに決まった。



【第3話】擬似


冬にジローラモと北海道へ旅行をしたことがあった。


レンタカーをジローラモが運転し、1週間かけて様々な観光地をまわった。
最後にジローラモの知り合いが経営する工場へと挨拶を済ませる運びとなっていた。

地図を片手に網走の街を迷走していた。

「おかしいな。このあたりのはずなのに。」

ジローラモは地図を見ながら何度も唸っている。

「あの建物じゃない?」

僕は右手に見える建物を指差した。
建物のエントツからは大量の煙が噴出している。

「いや、多分あれだな。」

ジローラモは反対側に見える大きな建物を指差した。
ジローラモの決断はいつも正しいのだ。

そして僕の意見を言う間も与えないほど、迷わずハンドルを左に切って建物へと入っていった。




その日、僕とジローラモは網走刑務所へ入所した。





【第4話】発覚


そこが網走刑務所だと知ったのは入所してから1年が経った頃だった。

最初にグレーのラインが入ったツナギを渡された時、ジローラモは大層喜んだ。

そしてここではみんな僕のことをニックネームで呼んでくれるんだ、ジローラモは目を輝かせていた。

「みんな、僕のことをロクジュウニバンってかっこいい名前で呼んでくれる。」

僕もジローラモの喜ぶ顔を見て幸せな気分になったことが思い出される。

「ご飯も出てくるし夢のようだ」

ジローラモは子どものように喜んでいた。

そんな穏やかな日々が過ぎ、冬が来ようとしていた。

12月に入った頃、ジローラモは東京に住む友人に会いにいってくると言った。

僕は心配しながらもジローラモを送り出した。

ジローラモは右手を僕に上げて笑顔で荷物をまとめていた。

「行ってくるね」

ジローラモは荷物を持って入り口の方へと歩いていった。

そして入り口に立つ警備の人にも純粋な笑顔を振りまいて外へと出て行こうとしたのだ。

しかし入り口に立つ人間はジローラモに笑顔を返すことなく、逆に鬼のような形相で警棒のようなものを取り出し、ジローラモの顔に激しく殴りかかった。

殴り続けられ、意識が朦朧としながらもジローラモは直感めいたものを薄々感じ始めていた。





もしかしたらここは網走刑務所なんじゃないかってことに。




【第5話】つばめ

僕とジローラモが網走刑務所に入所した時、僕は18歳、ジローラモは45歳だった。

そして僕達が網走刑務所を出所したころ、僕は22歳になりジローラモは34歳になっていた。

全ての荷物をまとめて出所するとき、看守に何故僕達は網走刑務所に入所したのかを問いただした。

「ねぇ、何故僕達が刑務所なんかに入らないといけなかったんだい?」

看守は穏やかな表情で足元に咲いているヒマワリを指差した。

「ほら見てごらん?ヒマワリだよ。」

「ヒマワリ?何故なんだい?」

看守はヒマワリの茎を右手でグッと押さえ、左手で花びらを一枚剥ぎ取った。
そして剥ぎ取った花びらを僕達に向けた。

「これでわかったかい?」

「うん・・少し分かった気がする」

ジローラモは少しだけ頷いた。

「え?わかるの?」と僕は口に出す代わりにジローラモの顔を覗き込んだ。

「さぁ、東京に帰ろう」

ジローラモは僕の肩に手を置いた。

僕は顔を上げて「うん」と言った。






そして僕達は寄り添うように網走刑務所の中へと入っていった。





ログインすると、みんなのコメントがもっと見れるよ

mixiユーザー
ログインしてコメントしよう!

風見しんご・・・崇拝。 更新情報

風見しんご・・・崇拝。のメンバーはこんなコミュニティにも参加しています

星印の数は、共通して参加しているメンバーが多いほど増えます。