太陽活動は20世紀初頭から活発化しましたが、どうやら1990年前後にピークを越えたようです。ところが、地上の日射量の観測値は、1950年代半ばから世界的に減少傾向にあったようです。この Global dimming(地球薄暮化)と呼ばれる日射量の長期的な減少傾向は、1990年頃に止まっており、それ以降は日射量はむしろ上昇する(Global brightening)傾向にあると言われています。
Global dimmingを発見したのはスイスの日本人研究者大村氏で、最初に発表された論文は30年間に10%減少しているというもので、ほとんど信用されなかったようです。その後研究が進んで、数年前から気象学者の間で認められるようになり、30年間に4%ぐらいの日射量の減少があったとされています。
“It is important to note that many of the simulated temperature variations during the pre-industrial period shown in Figure 6.13 have been driven by assumed solar forcing, the magnitude of which is currently in doubt. Therefore, although the data and simulations appear consistent at this hemispheric scale, they are not a powerful test of the models because of the large uncertainty in both the reconstructed NH changes and the total radiative forcing.”(page.479 (47/66))
地球の暗化と明化
1960年以降、工場地帯だけでなく、マウナロアや北極・南極のような清浄な環境を含めた世界的な多くの地域で地表における日射の減少が観測されました。この現象は地球の暗化(Global Dimming)と呼ばれています。1961年から1990年までの日射の減少は、全球の地表において30年で4%(7 W/m2)に達すると見積もられています。この原因は人間活動からのエーロゾルとエーロゾル前駆物質の放出増加が、エーロゾルと雲の光学的厚さを増加させたためと考えられています。 地上の日射のこの減少にもかかわらず、陸上地表温度は、1961〜1990年間に約0.4K増加しました。Wild et al.(2004)は、この増加は温室効果ガスの増加では説明できず、地表でのエネルギーバランスから、地表からの水蒸気蒸発量(潜熱)の減少の可能性を指摘しています。Roeckner et al.(1999)とLiepert et al.(2004)も、モデル等の解析から、人為起源のエーロゾルによる光学的厚さの増加に起因する地表での日射の減少が、温室効果ガスが引き起こす地表温度の上昇より、地表のエネルギーバランスに対してもっと重要であることを示しています。このように、地表における日射の減少は、潜熱フラックス等を通して降水を含めた水循環に影響を及ぼす可能性が指摘されています。 一方、主として北半球の1990年以降の観測によると、地球の暗化は1990年代まで継続せず、代わりに1980年代末以降、広い範囲で日射の増大が観測されています。これは地球の暗化(Global Dimming)に対して地球の明化(Global Brightening)と呼ばれています。