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『実用日本語文法研究会』コミュの「〜ぐらい」と「〜なんて」

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今日の授業で、『テーマ別 中級』の第11課「こまる」をやっているとき、学生が次のような質問をしてきました。そしてタイトル通り「困って」しまいました。


p.56-7行目:
(a)そのときは着物の売り込みぐらいにしか考えていなかったものの…。
という文の中で、「ぐらい」が使われていますが、これはどんな意味ですか?

という質問です。(記号(a)は私が便宜的につけました)。

私は、泰然と、
<「〜ぐらい」は、「〜」を軽く見ているときの表現です。>
と説明し、下のような例文を挙げました。
(b)こんな問題ぐらい簡単にできる。
(c)自転車くらい私にも買える。
(d)電話ぐらいしてください。

すると、もう一人の学生が、「先生、じゃ、それは「なんて」と同じですか?」と質問してきました。

「うーん。ちょっと待って」

(a)そのときは着物の売り込み{ぐらい/×なんか}にしか考えていなかったものの…。
(b)こんな問題{ぐらい/なんて}簡単にできる。
(c)自転車{ぐらい/なんて}私にも買える。
(d)電話{ぐらい/×なんて}してください。

そして
<「ぐらい」も「なんて」も同じように軽く見ていることを表しますが、ちょっと使い方が違うようですね。今、よくわからないので考えさせてください。この週末に考えます>
と言って、その場を収めました。

帰宅後、さっそく<困ったときのグループ・ジャマシイ>で『日本語文型辞典』を見てみました。
------------------------------
p.416【なんて】
Nなんて:
(1)あなたなんて大嫌い
(2)そんな馬鹿げた話しなんて、だれも信じませんよ。
(3)あの人の言うことなんて、嘘に決まっています。
「馬鹿げた」「くだらないことだ」と軽視する気持ちを伴って主題として取り立てるのに用いる。くだけた話し言葉。

p.105
4...くらい<軽視>
(1)そんなことくらい子供でもわかる。
(2)...1キロメートルぐらいなら、片手でも泳げる…。
(3)...ちょっと足がだるいぐらい、風呂に入ればすぐになおるよ。


(6)ビールぐらいしか用意できませんが…。
(7)あいさつぐらいの簡単な日本語しか話せない。


ものごとを「重要ではない、たいしたことはない」ととらえる気持ちを表す。
「そんな簡単なこと、つまらないこと」という意味。後ろには、「大したことではない/容易である/問題はない」といった内容が続くことが多い。
------------------------------
以上です。

なんか、私の説明と似ていて、2つの違いがよくわかりません。来週の月曜日までに、考えをまとめようと思っていますが、すでにお考えをお持ちの方がいらっしゃいましたら、お聞かせ下さい。よろしくお願いします。

コメント(23)

イチャさん、ご無沙汰しております。お元気でご活躍の様子、時折日記で拝見しています。

「〜ぐらい」と「〜なんて」(一応、「〜なんか、〜など」と一緒に扱っていいのですよね)が同じかだなんて、するどいツッコミがはいるのですね。
両者の違いについて残念ながらこれといった考えを持ち合わせていない、というより今まで考えたことがなかったので、とりあえず手元の先行研究―沼田(2000)(「とりたて」『時・否定と取り立て』)―をあたってみました。イチャさんもすでにご覧になっているかもしれませんが、次のような内容の記述がありました。

「など」−妥当性や適切性を欠くという想定を含む。例えば、次の(1)には「太郎が僕の誕生日パーティーにやって来る」ということは起こるべきではない、というような含みがある。

(1)よりにもよって、太郎なんかがぼくの誕生パーティーにやって来た。(沼田(2000))

「くらい」−「最低限」という程度に関わる意味を持つ。

(2)せめて夕食くらいごちそうしてくれてもいいのに。(沼田(2000))

「くらい」については、「最低限」という説明で納得できるかなと思いました。

(3)仕事、頑張ったんだから、ビールくらい飲ませてよ。←高級ワインを飲ませろ、まぼろしの焼酎を飲ませろとまでは言わないけれど、最低限のところでせめてビールを!

「なんて」については、(1)や次の(4)(5)の場合は沼田(2000)にある「妥当ではない」、あるいは「問題ならない。考えられないことだ」というようなところかと思います。

(4)自転車なんて私にも買える。←私が買えるものを考えたとき自転車は安すぎて問題にならない。
(5)ダイヤの指輪なんてとても今の給料では買えない。←今の給料で買えるものを考えたときダイヤの指輪は高すぎて問題にならない。

ただ、特に「〜ばいい」や命令文のような“価値判断”を含む文の場合は、「〜を嫌なもの、つまらないものとして見る」というような意味が出やすいのではないかという気がします。

(6)試験なんてなくなればいい。
(7)メタボなんて気にするな。

十分な検討とは程遠い内容ですが、とりあえず。
tintinさん、こちらこそご無沙汰です。

昼過ぎまで考えていたら寝てしまい、先ほど目を覚まして、パソコンを立ち上げ、コメントを読ませていただきました。頼もしい限りです。

のちほど、吟味しながら読み返しますが、今はとりあえず、こちらで、思いつくままに書き連ねているメモをここに入れておきます。(沼田さんの本は、岡山に置いたままです)

--------------------------------------------------
【「くらい」】
(1)「ぐらい/くらい」:
<程度>(→「×なんて」「○ほど」)
・ベトナムで10年ぐらい生活した。
・あの橋ができるまで、あと半年ぐらいかかる。
・彼より私の方が20cmぐらい背が高い。

・食事もできないぐらい心配した。
・久しぶりに会ったら、驚くくらい大きくなっていた。
・日本人と同じぐらい日本語が話せる。

(2)「Aくらい、Bはない」:
<程度の上限・下限の例示>(→「×なんて」「○ほど」)
・彼くらい英語が上手な人は(このクラスには)いない。
・彼くらい英語が下手な人は(このクラスには)いない。
・フエくらい、住みやすいところはない。
・ハノイくらい、住みにくいところはない。
・ベトナム語くらい、文法の易しい言語はない。
・ベトナム語くらい、発音の難しい言語はない。
・魚ぐらいおいしい食べ物はない。
・うちの母ぐらい優しい人はいない。
・セオムに乗るくらい、楽しいことはない。
・パソコンくらい便利なものはない。
・バイクタクシーに乗るくらい、怖いことはない。
・気の合う友達と酒を飲むくらい、楽しいことはない。

(3)「Aくらい[可能]」:
<(Aの程度)容易・簡単>(→「○×なんて」「×ほど」)
・自転車{○くらい/○なんて}だれでも乗れます。
・自転車{×くらい/○なんて}だれも乗れません。
・高校生なのだから、英語{○くらい/○なんて}話せるはずだ。
・小学生なのだから、英語{×くらい/○なんて}話せるはずがない。
・足し算{○くらい/○なんて}小学生にもできる。
・微分・積分{×くらい/○なんて}中学にもできない。
・ピアノ{○くらい/○なんて}うちの子供にも弾ける。
・ピアノ{×くらい/○なんて}うちの子供には弾けない。
・いくら忙しくても電話{○くらい/×なんて}できます。
・来週は忙しいから電話{×くらい/○なんて}できません。

・いくら忙しくても電話{○ぐらい/×なんて}してください。
・せっかくベトナムに来たんだから、フォー{○くらい/?なんて}食べて帰りたい。


(4)「Aくらいなら」:
<簡単な程度>
・自転車{○くらいなら/○なんて}、いつでも買ってあげますよ。
・ひらがな{○くらいなら/○なんて}、私にも書ける。
・この絵{○くらいなら/×なんて}、私にも描ける。
・大学院卒業の彼女{○くらいなら/×なんて}、こんな事は知っているはずだ。

<価値の比較>
・あんな男と結婚する{○くらいなら/×なんて}、死んだ方がいい。
・あんなレストランで食べる{○くらいなら/×なんて}、自分で料理した方が安くておいしい。
・来年買う{○くらいなら/×なんて}、いま買った方が得だ。
・死ぬ{○くらいなら/×なんて}、何だってできるはずだ。

(5)「Aくらいしか、Bない」:
<少数・単純な程度・レベル>
・ベトナムはサイゴンくらいしか行ったことがない。
・日本料理は天ぷらぐらいしか食べたことがない。
・彼とは、挨拶ぐらいしかしたことがない。
・友達が来ても、お茶ぐらいしか準備できない。
・パソコンはゲームぐらいしか、したことがない。
・パソコンはゲームぐらいでしか、遊んだことがない。
・男の人は、父親ぐらいとしか、話をしたことがない。
・彼女ぐらいにしか、キスしたことがない。
・ベトナムはいつでも暑いぐらいにしか思っていなかった。
・地震などは遠い国のできごとくらいにしか考えていなかった。
(済みません、字数制限に引っかかってしまいました。)
以上は「ぐらい」です。

以下は「なんて」です。

----------------------------------------

【「なんて」】
<「Aなんて」で、Aを特定の例(specific sample)として取り上げ、それに対する判断(judgement)・価値(value)・解説(comment)を述べるときに用いる>

《注》「なんて」は、「など(等)→なんか→なんて」という形がある。いずれも、少しずつ用法が異なるが、ここではとりあえず「なんて」の使い方だけを見る。

(→「〜の場合」「〜は」)
・トピコなんて、見たことも聞いたこともない。
・私は高校しか卒業していないが、彼女なんて大学院を修了している。
・私は漢字も書けるが、彼女なんてカタカナも書けない。

・サッカーなんて、おもしろくない。
・漫画なんて、親から買ってもらったことがない。
・漫画なんて、いつでも親が買ってくれた。

・犬を食べるなんて、私には想像もできない。
・日本へ奨学金で留学できるなんて、本当にうらやましい。
・彼女が美しいなんて、私には思えない。

・あなたになんて、会いたくない。
・ご飯をフォークでなんて、食べられない。
・今から15分でなんて、できそうにない。
・3時になんて、絶対に行けない。

・日本製の車なんて、高いと思うよ。
・彼女なんて、たくさんボーイフレンドがいるんじゃないか。

・この町に、空港{×なんて/○ぐらい}必要だ。
・この町に、空港{○なんて/×ぐらい}要らない。

・「ベトナムではどんな食べ物がおいしかった?」
 「空芯菜のニンニク炒めなんておいしかったなあ」
・「この学校の学生は、きちんと時間に来ないね。彼女なんて授業が終わる10分前に来たんだよ」

・馬なんて、乗ってみたいとは思わない。
・馬なんて、どこにでもいる動物だ。
・馬なんて、見たことがない。
・馬なんて、一番役に立つ家畜だと思う。

・タバコなんてやめた方がいい。
・私の意見なんて、誰も聞いてくれない。
・彼の意見なんて、参考にできる点がたくさんある。
・彼なんて、みんなから尊敬されている。
----------------------------

以上が手持ちの全てです。
苦慮しています。ただ、「くらい」に関しては、概ね以下のように整理できるのではないかと思いますが、いかがでしょうか?

つまり、「ぐらい」は物事を程度という観点から取り上げ、それにどのような意味づけがなされるかは、述部あるいは被修飾部分の性質によると言えるような気がします。

【「ぐらい/くらい」】
★「[数量]+ぐらい/くらい+B」:
<数量が概略であることを表す>
(→「×なんて」「○ほど」)
(1) ベトナムで10年ぐらい生活した。
(2) あの橋ができるまで、あと半年ぐらいかかる。
(3) 彼より私の方が20cmぐらい背が高い。

★「[程度表現]A+ぐらい/くらい+B」:
<Bの具体的な[程度]を示すものとしてAを示す>
(→「×なんて」「○ほど」)
(4) 食事もできないぐらい心配した。
(5) 久しぶりに会ったら、驚くくらい大きくなっていた。
(6) 日本人と同じぐらい日本語が話せる。

★「Aくらい、Bはない」:
<「Aと[同じ程度]のBはない」。「Aが、Bの最上級の[程度]をもったものである」という気持ちを示す。「Aが一番Bである」>
(→「×なんて」「○ほど」)
(7) 彼くらい英語が上手な人は(このクラスには)いない。
(8) 彼くらい英語が下手な人は(このクラスには)いない。
(9) フエくらい、住みやすいところはない。
(10) ハノイくらい、住みにくいところはない。
(11) ベトナム語くらい、文法の易しい言語はない。
(12) ベトナム語くらい、発音の難しい言語はない。
(13) 魚ぐらいおいしい食べ物はない。
(14) うちの母ぐらい優しい人はいない。
(15) セオムに乗るくらい、楽しいことはない。
(16) パソコンくらい便利なものはない。
(17) バイクタクシーに乗るくらい、怖いことはない。
(18) 気の合う友達と酒を飲むくらい、楽しいことはない。

★「Aくらい、できる/してください/してほしい」:
<「Aくらい[可能・依頼・願望]」。「Aが軽微・簡単・容易な[程度]をもったものである」という気持ちを表す>
(→「×なんて」「×ほど」)
(19) 自転車{○くらい/○なんて}だれでも乗れます。
(20) 自転車{×くらい/○なんて}だれも乗れません。
(21) 高校生なのだから、英語{○くらい/○なんて}話せるはずだ。
(22) 小学生なのだから、英語{×くらい/○なんて}話せるはずがない。
(23) 足し算{○くらい/○なんて}小学生にもできる。
(24) 微分・積分{×くらい/○なんて}中学にもできない。
(25) ピアノ{○くらい/○なんて}うちの子供にも弾ける。
(26) ピアノ{×くらい/○なんて}うちの子供には弾けない。
(27) いくら忙しくても電話{○くらい/×なんて}できます。
(28) 来週は忙しいから電話{×くらい/○なんて}できません。

(29) いくら忙しくても電話{○ぐらい/×なんて}してください。
(30) 早くひらがな{○ぐらい/×なんて}書けるようになってほしい。
(31) せっかくベトナムに来たんだから、フォー{○くらい/?なんて}食べて帰りたい。

★「AくらいならB」:
<Bを肯定するために、十分な[程度]をもつ例(条件)としてAを提示する>
(32) 自転車{○くらい(なら)/○なんて}、いつでも買ってあげますよ。
(33) ひらがな{○くらい(なら)/○なんて}、私にも書ける。
(34) この絵{○くらいなら/×なんて}、私にも描ける。
(35) 大学院卒業の彼女{○くらいなら/×なんて}、こんな事は知っているはずだ。
(36) 死ぬ{○くらいなら/×なんて}、何だってできるはずだ。

★「AくらいならBがいい」:
<Aは否定的[程度](価値)を持つものだ。Bの[程度]もよくないが、AよりもBのほうが[程度]がいいという気持ちを表す>
(37) あんな男と結婚する{○くらいなら/×なんて}、死んだ方がいい。
(38) あんなレストランで食べる{○くらいなら/×なんて}、自分で料理した方が安くておいしい。
(39) 来年買う{○くらいなら/×なんて}、高くても、今、買った方が得だ。

★「Aくらいしか、Bない」:
<Aは、単純・簡単・少数・軽微な[程度]のものだという気持ちを表す>
(40) ベトナムはサイゴンくらいしか行ったことがない。
(41) 日本料理は天ぷらぐらいしか食べたことがない。
(42) 彼とは、挨拶ぐらいしかしたことがない。
(43) 友達が来ても、お茶ぐらいしか準備できない。
(44) パソコンはゲームぐらいしか、したことがない。
(45) パソコンはゲームぐらいでしか、遊んだことがない。
(46) 男の人は、父親ぐらいとしか、話をしたことがない。
(47) 彼女ぐらいにしか、キスしたことがない。
(48) ベトナムはいつでも暑いぐらいにしか思っていなかった。
(49) 地震などは遠い国のできごとくらいにしか考えていなかった。
しかしながら、「なんて」なんていう表現は、まことにとらえどころがないかのように見えます。

【「なんて」】
《注》「なんて」には、「など(と)→なんか→なんて」という形がある。いずれも、少しずつ用法が異なるが、ここではとりあえず「なんて」の使い方だけを見る。

<「Aなんて」は、Aを特定の例(specific sample)として取り上げ、それに対する判断(judgement)・価値(value)・解説(comment)を述べるときに用いる>

★否定表現と呼応しやすいことは確かだが、いつもそうだとは限らない:
(50) 馬なんて、どこにでもいる動物だ。
(51) 馬なんて、一番役に立つ家畜だと思う。
(52) 馬なんて、乗ってみたいとも思わない。
(53) 馬なんて、見たことがない。
(54) サッカーなんて、おもしろくない。
(55) あなたになんて、会いたくない。
(56) ご飯をフォークでなんて、食べられない。
(57) 今から15分でなんて、できそうにない。
(58) 3時になんて、絶対に行けない。

★かといって、否定との呼応を無視することはとてもできない:
(59) トピコ{×なんて/○ぐらい}知っている。
(60) トピコ{○なんて/×ぐらい}聞いたことがない。

(61) この町に、空港{×なんて/○ぐらい}必要だ。
(62) この町に、空港{○なんて/×ぐらい}要らない。

★次のような現象は、どのように説明するのか。
(63) タバコ{×なんて/○ぐらい}吸いなさい。
(64) タバコ{○なんて/○ぐらい}やめなさい。
(65) 酒{×なんて/○ぐらい}飲みなさい。
(66) 酒{○なんて/○ぐらい}やめなさい。
(67) 下着{×なんて/○ぐらい}洗濯しなさい。
(68) 下着{○なんて/○ぐらい}洗濯するな。
(69) 窓{×なんて/○ぐらい}開けなさい。
(70) 窓{○なんて/○ぐらい}閉めなさい。
(71) テレビ{×なんて/○ぐらい}つけなさい。
(72) テレビ{○なんて/○ぐらい}消しなさい。
(73) 上着{×なんて/○ぐらい}着なさい。
(74) 上着{○なんて/○ぐらい}脱ぎなさい。

(75) 漫画{○なんて/○ぐらい}、いつでも親が買ってくれた。
(76) 漫画{○なんて/×ぐらい}、親から買ってもらったことがない。

(77) 犬を食べる{○なんて/○ぐらい}、ハノイでは当たり前のことだ。
(78) 犬を食べる{○なんて/×ぐらい}、私には想像もできない。

(79) 日本へ奨学金で留学できる{○なんて/×ぐらい}本当にうらやましい。
(80) 日本へ奨学金で留学できる{○なんて/×ぐらい}幸せだ。
(81) 日本へ奨学金で留学できる{×なんて/○ぐらい}幸せなことはない。

(82) 彼の意見{○なんて/×ぐらい}誰も聞こうとしない。
(83) 彼の意見{○なんて/×ぐらい}参考にできる点がたくさんある。

(84) タバコ{×なんて/×ぐらい}おいしい。
(85) タバコ{○なんて/×ぐらい}おいしくない。
(86) タバコ{○なんて/○ぐらい}やめた方がいい。
(87) タバコ{○なんて/○ぐらい}いつでもやめられる。
[イチャさん2,3]の書き込み、目を開かれるような思いで拝見しました。そうですね、教室で説明するとなると、各形式を網羅的にとらえておく必要があるのですね。
それにしても、例文に驚きました。作例もかなりあるようにお見受けしましたが、あれだけの例を即座に出してこられるとは・・・。圧倒されました(今回に限らずいつもですが)。

さて、[イチャさん4,5]について、いくつか思いついたことを書いてみます。一貫性に欠けるところ、思いつきにすぎないところが多々あるかと思いますが、お許しを。

?.「Aくらい、できる/してください/してほしい」のところには、[可能・依頼・願望]の他に[(いわゆる)当為]も入るように思います。ついでに言えば、[命令]も。

1)部屋の掃除くらい自分でするべきだ。
2)部屋の掃除くらい自分でしろ。

?.イチャさんの例、(27)(29)で「なんて」が使えないのは、“望ましさ”(仁田論文の「待ち望み」)の点で矛盾がおこるからでは?

(27)いくら忙しくても電話{○くらい/×なんて}できます。
(29)いくら忙しくても電話{○くらい/×なんて}してください。

「〜できる」「〜してください」の文では、当該の事態、上の例でいえば「電話すること」は望ましい事柄ととらえられていると思います。一方、「〜なんて」には「〜」を「嫌なもの、つまらないものとして見る」というようなニュアンスがつきまとうように感じます。そこから、「できる/してください」と「なんて」の間に矛盾が起こってしまうのでは?
なお、(29)に比べると(27)では「なんて」が少しよくなるように感じます。
(63)〜(74)も同様に、“望ましさ”に関する矛盾と考えられないでしょうか?

(63)タバコ{×なんて/○くらい}吸いなさい。
(64)タバコ{×なんて/○くらい}やめなさい。

(63)は「タバコを吸うこと」を望ましい事柄とみなす文、(64)は「タバコを吸うこと」を望ましくない事柄とみなす文。したがって、(63)は「なんて」となじまず、(64)は「なんて」となじむのでは?

?.(75)〜(78)は、最低限のものということが関係している?

(75)漫画{○なんて/○くらい}、いつでも親が買ってくれた。
(76)漫画{○なんて/×くらい}、親から買ってもらったことがない。

「漫画くらい〜」というと、「可能性が考えられるもの、起こり得ることの中で漫画は最低限」という読みになってくるかと思います。(76)では、その最低限起こり得るとしたことを打ち消してしまうため、文がおかしく感じられるのではないでしょうか。(20)(22)あたりの否定文で「くらい」が使えないのも、同様の理由によるように感じます。
ちなみに、「くらい」は常に最低限のものを表すわけではなく、「Aくらい、Bはない」などでは、上限を表すといえそうですね。このあたり、「なんて」との置き換えに関係しているような気がします。

?.(51)と(83)は、同じグループの他の例とはやや異質?

(51)馬なんて、一番役に立つ家畜だと思う。
(83)彼の意見{○なんて/×くらい}参考にできる点がたくさんある。

この2つの例は、“例示”(沼田(2000)では「擬似的例示」)の例ではないでしょうか?(51)であれば、「役に立つ家畜の一例として〜/例えば馬は〜」というような意味になるのでは。
(83)は、“例示”は「なんて」の専売特許ということ?

?. (79)〜(81):「とは」で置き換えられるのは「なんて」だけ?

(79)日本へ奨学金で留学できる{○なんて/×くらい}本当にうらやましい。

(79)〜(81)は「とは」で置き換えられますよね。これも、「なんて」の専売特許でしょうか。ちなみに、沼田(2000)に「「なんて」は引用の「と」を後接させず、「なんて」自体が引用節を構成する主要素とも考えられる」(p.199)という記述がありますが、(79)〜(81)もこの引用節云々と関係するのでしょうか。

それにしても、「なんて」は複雑ですね。「くらい」と違って、あらゆる例を統一して説明するのはむずかしいのでは、という気がしますが。でも、複雑なだけにおもしろそうです。
tintinさん>:
さすがですね。かなりの方向付けをしていただきました。
ありがとうございます。

>あらゆる例を統一して説明するのは
>むずかしいのでは、という気がしますが。
ますます、闘志が…。

(この一週間ばかり、忙しいのでちょっと時間がかかるかもわかりませんが)
なんとか解決に近づきたいと思います。

どなたか、先に、そんなのを書き込んでくださいませんか?
   ([8]は、例文番号を入れ忘れたので削除しました)
昨日1日かけて考えてみました。

「Aなんて」は、「A」を《受け入れがたいもの》として提示する副助詞的な機能と《仮の例「例えば」として提示する》係助詞的な機能が基本となっているような気がします。もちろん、「なんて」が積極的に下の< >を表すというのではなく、< >で示すことを述べるにふさわしい対象として提示するときに使われると言ったほうが正確なのですが…。

いろいろな理屈はまた考えるとして、とりあえず以下のように分けておくと、何とか説明が可能になるのではないかと思われます。ご感想・ご指摘などいただければうれしいです。

----------------------
【「なんて」】
1.<低価値(low value)・無価値(valueless)・負の価値(negative value)と感じているものとして提示する>
(1) サッカー{○なんて/×ぐらい}おもしろくない。
(2) あなたに{○なんて/×ぐらい}会いたくない。
(3) 彼の意見{○なんて/×ぐらい}誰も聞こうとしないだろう。
(4) 馬{○なんて/×ぐらい}乗ってみたいとも思わない。
(5) 馬{○なんて/×ぐらい}どこにでもいる動物だ。
(6) この町に、空港{○なんて/×ぐらい}要らない。
(7) この町に、空港{×なんて/○ぐらい}必要だ。
(8) タバコ{○なんて/×ぐらい}おいしくない。
(9) タバコ{○なんて/○ぐらい}やめた方がいい。
(10) 自転車{○なんて/○くらい}だれでも乗れます。
(11) 自転車{○なんて/○くらい}いつでも買ってあげますよ。
(12) 高校生なのだから、英語{○なんて/○くらい}話せるはずだ。
(13) 足し算{○なんて/○くらい}小学生にもできる。
(14) ピアノ{○なんて/○くらい}うちの子供にも弾ける。
(15) ひらがな{○なんて/○くらい}、私にも書ける。
(16) 早くひらがな{×なんて/○ぐらい}書けるようになってほしい。
(17) 部屋の掃除{○なんて/○ぐらい}自分でするべきだ。
(18) 部屋の掃除{○なんて/○ぐらい}自分でしろ。
(19) 酒{×なんて/○ぐらい}飲みなさい。
(20) 酒{○なんて/○ぐらい}やめなさい。
(21) 窓{×なんて/○ぐらい}開けなさい。
(22) 窓{○なんて/○ぐらい}閉めなさい。
(23) 上着{×なんて/○ぐらい}着なさい。
(24) 上着{○なんて/○ぐらい}脱ぎなさい。
(25) タバコ{×なんて/○ぐらい}吸いなさい。
(26) タバコ{○なんて/○ぐらい}やめなさい。
(27) テレビ{×なんて/○ぐらい}つけなさい。
(28) テレビ{○なんて/○ぐらい}消しなさい。
(29) タバコ{○なんて/○ぐらい}いつでもやめられる。
(30) 漫画{○なんて/○ぐらい}、いつでも親が買ってくれた。
(31) 犬を食べる{○なんて/○ぐらい}、ハノイでは当たり前のことだ。

(字数制限のため)次に続く↓
↑上の続き

2.<非現実的(unrealistic)と感じているものとして提示する>
(32) 馬{○なんて/×ぐらい}見たことがない。
(33) 漫画{○なんて/×ぐらい}親から買ってもらったことがない。
(34) 3時に{○なんて/×ぐらい}絶対に行けない。
(35) 1時間で{○なんて/×ぐらい}できそうにない。
(36) 日本料理をフエで{○なんて/×ぐらい}食べられない。
(37) 犬を食べる{○なんて/×ぐらい}、私には想像もできない。
(38) トピコ{×なんて/○ぐらい}知っている。
(39) トピコ{○なんて/×ぐらい}聞いたことがない。
(40) 来週は忙しいから電話{○なんて/×くらい}できません。
(41) いくら忙しくても電話{×なんて/○ぐらい}できます。
(42) いくら忙しくても電話{×なんて/○ぐらい}してください。
(43) 自転車{○なんて/×くらい}だれも乗れません。
(44) 小学生なのだから、英語{○なんて/×くらい}話せるはずがない。
(45) 微分・積分{○なんて/×くらい}中学生にもできない。
(46) ピアノ{○なんて/×くらい}うちの子供には弾けない。
(47) 日本へ奨学金で留学できる{○なんて/×ぐらい}本当にうらやましい。
(48) 日本へ奨学金で留学できる{○なんて/×ぐらい}幸せだ。
(49) 日本へ奨学金で留学できる{○なんて/×ぐらい}こんなに幸せなことはない。
(50) 日本へ奨学金で留学できる{×なんて/○ぐらい}幸せなことはない。


3.<「(ほかにあるかも知れないが)例えば」のように、不確定な例(undetermined example)として示す>
(51) 馬{○なんて/×ぐらい}、一番役に立つ家畜だと思う。
(52) タバコ{○なんて/×ぐらい}おいしい(んじゃないか)。
(53) サッカー{○なんて/×ぐらい}おもしろい(と思うよ)。
(54) 彼の意見{○なんて/×ぐらい}参考にできる点がたくさんある。
(55) せっかくベトナムに来たんだから、フォー{○なんて/○くらい}食べて帰りたい。
(56) この絵{×なんて/○くらいなら}、私にも描ける。
(57) 大学院卒業の彼女{×なんて/○くらいなら}、こんな事は知っているはずだ。
(58) 死ぬ{×なんて/○くらいなら}、何だってできるはずだ。
------------------------------

以上です。お気づきの点、ご指摘、ご意見をお聞かせください。
こんにちは。
たくさんの例文と分析すごいですね。
私にはできません。
私は「〜くらい」は基準に幅があると考えています。

1 自転車くらい誰でも買える。
2 自転車なんて誰でも買える。

1は自転車およびそれと同程度の(金額・種類)ものへの許容の範囲があります。
それにたいして「なんて」は自転車そのものを提示していると考えます。
いずれにしても「軽視」の気持ちが含まれます。と簡単に教えていますがいかがでしょうか。

A:あなた、シャンサンビルって知ってる?
B:はあ?シャンサンビルなんて知らないよ。

この例を見るとわかるように「なんて」は事物を特定する働きがあるように感じます。
さっそくのコメントありがとうございます。

[11 いか]さんの
「くらい」が<程度>を示す
という見解には賛成です。

ただ、
>それにたいして「なんて」は自転車そのものを提示している
>「なんて」は事物を特定する働き
の部分について言うと、

[10]の3の例文
(56) この絵{×なんて/○くらいなら}、私にも描ける。
でわかるように<特定する>というとまずいのではないでしょうか。つまり、「なんて」は「この絵」という特定のものは指せないからです。

3に定義したように、「なんて」は、<不確定なものの例>として示す、つまり「(特定できないが)そのような種類のもの。(しかし程度ではない)」と考えた方がいいというのが私の見解です。

たとえば、(56)の「この」を「こんな」に替えると
(56)' こんな絵{○なんて/○くらい}、私にも描ける。
のようになりますが、これを見ると「なんて」が<特定する>と言ってしまうとまずいと思います。(<特定>の定義が違うかも知れませんが)。

では、この(56)'の「なんて」と「くらい」がどのように違うかと言えば、

「なんて」は、
[9]で示した
1.<低価値(low value)・無価値(valueless)・
負の価値(negative value)と感じているものとして提示する>
における(12)〜(15)の例にあるように、
<低い価値>であることを示唆していることになり、

「くらい」は、
[4]で示した<「軽微・簡単・容易な[程度]をもったものである」という気持ちを表す> ことになると思うのですが、いかがでしょうか。

簡単に言えば、

いかさんの例に沿って言うと
>1 自転車くらい誰でも買える。
>2 自転車なんて誰でも買える。
「1は「自転車」が<軽微な程度>のものであることを表し、2は<価値が低い>ものであることを表す」という違いがあるということです。



なお、いかさんの例文
>A:あなた、シャンサンビルって知ってる?
>B:はあ?シャンサンビルなんて知らないよ。
を私の分類に当てはめると
2.<非現実的(unrealistic)と感じているものとして提示する>
の中に入ることになりますが、いま振り返ってみると、この「非現実的」というのはわかりにくく、いかにもまずい用語ですね。もう少しいい用語を考えます。いいアイデアがあればご教示ください。
 国語を教えている者です。やや、門外漢ながら…。

 「なんて」は、「などというものは」の簡略形であり、「など」(副助詞。もともとは副詞)の部分が例示の働きをし、「というものは」が、副助詞「は」の働きに準じて、とりたてて示す働きをしていると考えるといいのではないでしょうか。 
 また、「ぐらい」は、程度を示す副助詞ですが、やや「類推」的に用いられるため、「類」の中の極端な例が「ぐらい」の前に示されることになり、そのために「なんて」に含まれる「例示」の働きと混同してしまうのではないかと愚考します。
ranmaru さん>:
国語学(日本語学?)のお立場からのコメントありがとうございました。

トピックの冒頭に書いてあるような光景は、当地では、日常茶飯事に見られるものです。このため、この種の質問には「5分程度で、端的な例文を3つ程度挙げて説明する」を目標にかかげ、日夜?腐心しております。

しかしながら、その「端的な」とはどのような用法なのかを探るには、語源的な問題・用法のバリエーション・中心的意味などを掌握する必要があります。

その点、
>「類」の中の極端な例
というご指摘は一考の価値があるように感じました。

特に「副助詞」なんていう機能語は、全体の体系を考慮に入れておかないと、のちのち説明に窮することがしばしば起こってきます。

今回の2つに関しても、
「ぐらい」は、「ほど/ばかり」などと、
「なんて」は、「など/なんか」そして「は」などを念頭におく必要があると感じています。

今後ともよろしくお願いします。
イチャさんの“評価”“現実性”“例示”(勝手にまとめました)の3 分類、納得しました。特に2の項目が立てられていることにより、納得度倍増です。
2は、“普通にはありそうにないと思われるもの・こと、簡単には起こりそうにないと思われることを提示する”というような感じを受けるのですが、説明がむずかしいですね。

ところで、例文を見ていて新たな疑問がわいてきました。
例文(56)ですが、この例、私もずっと×だと思っていました。そしてその理由は、いかさんとのやりとりで書いていらっしゃったように、「この絵」が<特定>のものであるためと思っていたのですが、よく考えてみたら(56)はあながち誤用ともいえないような…。例えば、次の(56')のような場合。

(56’)[絵の展覧会で]どれもたいしたことないね。この絵なんて、私にも描ける。
(59) [絵の展覧会で]なかなかの作品がそろってるね。この絵なんて、かなりいいんじゃない?

また、次の「1課の山田さん」は、“特定のもの”だと思うのですが、OKではないでしょうか。

(60)1課の山田さんなんて、課長のポストにかなり近いんじゃない?

一方、(57)は、この文がOKになる状況をなかなか考えにくいように思います。(「なんて」のほうだけ書きます)

(57)×大学院卒業の彼女なんて、こんな事は知っているはずだ。

もし上記の判定でよいとすれば、「なんて」の使用には前にくる名詞ではなく、述語が関係しているということになるのでしょうか。例えば、いわゆる属性を表す述語は「なんて」となじみやすい、などなど。あるいは他の要素が関わっているのでしょうか。
このあたり、誤用にも関わってくるような気がして、ちょっと気になります。
tintinさん>:
コメントありがとうございます。

まず、[9][10]の各項の機能的意味の規定を次のように加筆修正してみました。
-------------------------------
【「なんて」】
1.「AなんてB」における「なんて」は、<Aが低価値(low value)・無価値(valueless)・負の価値(negative value)をもったものであるという評価(evaluation)を添えて提示し、述部Bで禁止(prohibit)・中止(stop)・否定的勧め/判断/意見/主張(negative suggestion/judgement/opinion/assertion)などを述べる>

→[低・無・負の価値]+なんて+[禁止・中止・否定的勧め/判断/意見/主張]


2.「AなんてB」における「なんて」は、<Aを、現実として受け入れがたい(unacceptable)もの、あるいは非現実的(unrealistic)なものであるという評価(evaluation)を添えて提示し、述部Bでそれを説明(explain)する>

→[受入困難・非現実]+なんて+[説明・解説]


3.「AなんてB」における「なんて」は、<Bで示す話題(topic)に対し、Aがその種の特徴(characte/featurer)をもった例であるとして、Aを非限定的(unspecified)に提示する>

→[(話題Bに対する)非限定的な例]+なんて+[話題B]

-------------------------------

さて、tintinさんの、

(56)'[絵の展覧会で]どれもたいしたことないね。この絵なんて、私にも描ける。

ですが、私の語感ではやはりこの文は”?”で、「この→こんな」あるいは「この+程度の」などでないと不自然のような気がします。口頭による発話であれば、音調で「程度の」の部分を省略できると思いますが、だとすれば、(56)'は、省略文と受け止められた場合のみOKということになるのではないでしょうか。

それから、次の2つです。
(59) [絵の展覧会で]なかなかの作品がそろってるね。この絵なんて、かなりいいんじゃない?(60)1課の山田さんなんて、課長のポストにかなり近いんじゃない?

この2つは、上の新しい<規定>によれば、「かなりいい」「かなり近い」という述部の対象として、「この絵」「1課の山田さん」が<その種の特徴をもった例として、非限定的に提示されている>こと、さらに、述部は、これらの発話以前に、そのことが話題になっていた様子がうかがえること、などと解釈できると思います。

つまり、私が[10]の3で述べた<不確定な例>という言い方は不適切であり、したがって、ここは今回の3で、<非限定的に>に宗旨替え?したということです。(すみません)。いかがでしょうか?

なお、
(57)×大学院卒業の彼女なんて、こんな事は知っているはずだ。
については、もう少し考えさせてください。
イチャさん、早速のお返事、ありがとうございます。
まず(56’)ですが、やはりこの文は○かなぁ、という気がしています。かなり文脈の支えが必要ではありますが。少し変えて、次の(56’’)ではどうでしょうか。

(56’’)[絵の展覧会で]どれもたいしたことないね。〔指差して、「例えば〜」という意味で〕この絵なんて私にも描けそう。

もっとも、根本的な問題はおそらく今回のイチャさんのご説明で解決したのではないかと思うのですが、新しい意味既定で一つ伺いたいことが…。
イチャさんのおっしゃる「非限定的」とはどのような意味か、教えていただけますか。私は、「そのものだけに限定しない。そのものだけではなく、他にも同種のものがある」というような意味かなと思ったのですが、この解釈でよいのでしょうか。
Xin cảm ơn, chị tintin!
(スィン カム オン チー ティンティン = tintin 姐さん、ありがとうございます)

<非限定的に>というのは、<"これ"と限定、特定、指定しないで、「この種の/この類の」という例として>という意味です。

これは、たとえば、「は」のような限定的な取り立てとはかなり異なる取り立てであることを言いたいのです。先の例を引けば、以下のようになります。

(51) 馬{なんて/は}、一番役に立つ家畜だと思う。
(52) タバコ{なんて/は}おいしい(んじゃないか)。
(53) サッカー{なんて/は}おもしろい(と思うよ)。
(54) 彼の意見{なんて/(に)は}参考にできる点がたくさんある。
(55) せっかくベトナムに来たんだから、フォー{なんて/(だけ)は/を}食べて帰りたい。

しかし、前回の<不確定な例>に続き、<非限定的>というのも誤解されやすいということなんでしょうね。これも拙者のボキャ貧(死語?)のなせるワザであります。反省…。


で、
懸案?の(56'')ですが、

(56'')[絵の展覧会で]どれもたいしたことないね。〔指差して、「例えば〜」という意味で〕この絵なんて私にも描けそう。

この文における「この」が「例えば」も含意することを認めるのであれば、○になるでしょう。しかし、

(56)'''この絵は私が買ったものだ。

において、「この」は、「例えば」も「この種の」も含意し得ないわけですから、やはり、「この」にそのような含みがあるとするのは無理だと思います。

では、それでもなお、そうした読みが可能だというのであれば、それは「この絵なんて」における「なんて」が、「この」にそうした含みを与えるのではないかとか考えられます。

もっとも、(56),(56)',(56)''を何度も口の中で唱えていると、いつものように<だんだんよくなる法華の太鼓>です。(笑い)
Xin cảm ơn, ??? ichamonologyst!(あってますか??)

わたしも法華の太鼓症候群?疑ってみる必要がありそうですね。とりあえず(56’’)は2,3日おいてからもう一度見なおしてみます。
これをご覧のみなさんはどのように感じていらっしゃるでしょうか。

前回の質問内容についてですが、これまで問題点をきちんと整理せずに考えていて、あいまいな物言い、質問になってしまいました。反省…。
ポイントを簡単に整理してみました。

―用法3について―
?「Aなんて」の意味(「なんて」の機能)
?Aになり得る名詞

?については、イチャさんに賛成です。「なんて」はAを「限定、特定、指定しないで、「この種の/この類の」という例として」提示するということですね。また(56’’)で、「例えば」という読みが生じるとすれば、それは「この」の働きではなく「なんて」の働きによるものというご意見にもまったく「異議な〜し」です。

私が一番こんぐらかっていたのは?でした。(56)に関するいかさんとのやりとりで、「「なんて」は「この絵」という特定のものは指せない」としていらっしゃることから、イチャさんはAには特定のものはこないというふうに考えていらっしゃるのかなと思ったのですが、そのあたりはいかがでしょうか?
私は、Aには特定されていないものだけでなく、(54)の「彼の意見」や(60)の「1課の山田さん」のように特定のもの(確かに、「特定」とはなんぞや、ということが問題ですが)もくることがあり、そうした特定の名詞も「なんて」がつくことで結局は“同種のものの中の一例”という読みになる、というように感じています。したがって、「なんか」の前にくる名詞が特定のものかどうかは必ずしも文の適否を決める要素にはならないのでは、と思うのですが。
なんだか細かいことですが、×の文の原因をさぐるのに明確にしておく必要があるかなと思い、再度おたずねすることにしました。ご意見をお聞かせください。
tintinさん>:

>「「なんて」は「この絵」という特定のものは指せない」
>としていらっしゃることから、
>イチャさんはAには特定のものはこないというふうに
>考えていらっしゃるのかなと思ったのですが、
>そのあたりはいかがでしょうか?

そうですねー。難しいですねー。

「この絵」は、確かに<特定>しているとしか言いようがありません。したがって、だから「この絵」と「なんて」は非常に共起しにくいのでしょう。ただし、文脈上、そうした読み、つまり「この絵→このたぐいの絵」との解釈が可能な状況下であれば、「なんて」を使ってもそんなに不自然さを感じない。ってとこでしょうか。

一方、「彼の意見」や「1課の山田さん」の場合は、確かに<特定のもの>とは言えますが、話し手が<"この"と特定している>とは言えないと思います。したがって、これらの名詞句には「なんて」のつく余地が、少なくとも「この絵」よりは多いと言えるのではないでしょうか。

それからもう一点、述部との関係で見てみます(この方がわかりやすいかも知れません)。

(1) この絵{△なんて}私にも描ける。(←△にしちゃいました)
(2) この絵{○なんて}偽物がずいぶん出回っている。

(1)は、これを聞いた人が「"たとえば"この絵は、私にも描ける」と解釈しようとしても、「この絵」はすでに描かれたもの、しかも他人の作品なわけですから、それを「私にも描ける"例"」とするのは困難です。したがって、この文の「この絵なんて」が「この類の絵」という<低い価値>(前記1の用法)を示す環境が整わないままに発せられたとしたら、やはり不自然だということです。

ところが(2)の文は「"たとえば"この絵は、偽物がずいぶん出回っている」と解釈するのが普通であり、そうするとこの場合の「なんて」は、前記3の用法に沿った機能で解釈されることになると言うことです。

(わかりにくいですか? 説明って難しいですね)
イチャさん
詳しいコメントと「△」(ちょっと、うれしい)、ありがとうございました。
名詞の<特定>の問題と(56)の問題は、もう少し考えてみます。
(56)は「なんか」との類推で言えるように感じているだけかなぁという気も少ししてきて、なかなかすっきりとつかめません。むずかしい…。

いずれにしろ、述部を検討してみる必要がありそうですね。なにか制限がありそうです。これも少し考えてみます。

「なんて」と「なんか」の違いなどもおもしろそう。極々日常的(?)な表現ですが、奥が深いですね。
遅くなりましたが、トピック当初の問題に戻って、その答えとなる案を書いておきます。

学習者の質問は、
>『テーマ別 中級から学ぶ日本語』第11課「こまる」p.56-7行目:
>(1) そのときは着物の売り込みぐらいにしか考えていなかったものの…。
>の中の「ぐらい」はどんな意味ですか。
>それは「なんか/なんて」と同じですか。
という内容でした。

これまで検討してきたように、この2つは大きく異なっています。そして教師は教室でそれを説明してやる必要があります。しかも説明は簡潔明瞭であることが望まれます。以下がその案です。

------------------------------
「ぐらい」と「なんか/なんて」は違います。

その前に、
「ぐらい」は「くらい」ということもありますが、この2つはだいたい同じです。
「なんか/なんて」は、「など」から出てきた言い方です。「など/なんか/なんて」は、少しずつ使い方が違いますが、意味はだいたい同じです。ですから今は「なんて」だけを使って説明します。

(1) そのときは着物の売り込みぐらいにしか考えていなかったものの…。

ここで使われている「ぐらい」は、「着物の売り込み」が「大きな問題ではない、小さい程度のものだ」という気持ちを表しています。これに似た表現で「なんて」という言葉があります。
たとえば:

(2) こんな問題{ぐらい/なんて}簡単にできる。
(3) 自転車{ぐらい/なんて}私にも乗れる。

この文の「ぐらい」と「なんて」は大体同じような使い方ですが、意味は少し違います。
「AぐらいBだ」:「Aという 程度/レベルの低いものはBだ」
「AなんてBだ」:「Aのような(簡単な)ものはBだ」

このとき「ぐらい」は、<程度やレベルが低い>ことを表しますが、「なんて」はそうではありません。「なんて」は「Bだ」の部分によって、(簡単な)という部分の意味が変わります。たとえば、次の例を見てください:

(4) こんな問題{×ぐらい/なんて}だれにもできない。
(5) 自転車{×ぐらい/なんて}私には乗れない。

この場合、「ぐらい」は使えません。<程度やレベルが低い>という意味を含んでいる表すからです。ところが、「なんて」の場合は、「Bだ」の部分によって(  )の中の意味が次のように変わります。

(4) こんな問題{なんて}だれにもできない。
 → こんな問題{のような(難しい)ものは}だれにもできない。
(5) 自転車{×ぐらい/なんて}私には乗れない。
 → 自転車{のような(運転が難しい)ものは}私には乗れない。

ですから、こんな場合でも「なんて」は使えるのです。
「ぐらい」「なんて」の使い方は、ほかにもいろいろありますが、今日は時間がないので説明はこれだけです。
------------------------------

以上のような説明であれば、5分程度で可能だと思います。
ご意見・ご感想をお聞かせください。

更なる説明をおこなう場合については、もうしばらくお待ち下さい。
またまた大変なところはイチャさんにおまかせしたまま、勝手に言いたいことを言わせていただきます。

「ぐらい」と「なんて」のご説明、ほぼ納得したのですが、「なんて」の方に少し言葉を加えた方がよいかなぁという気がしたりしなかったり。一応書いてみます。

(4)こんな問題[なんて]だれにもできない。
 →こんな問題[のようなものは(難しすぎて問題にならない)]だれにもできない。
(5)自転車[×ぐらい/なんて]私には乗れない。
 →自転車[のようなものは(運転が難しすぎて問題にならない)]私には乗れない。

「Aなんか〜」の説明に盛りこむポイントは、?Aを類として示す、?Aに対する評価を表す、という2点かなと思います。
このうち?の評価には、「難しい」「やさしい」のような形容詞的な評価だけでなく、“許容範囲を超えていて妥当性を欠く”というような評価も含まれているように感じます。それで「〜すぎて(あるいは、とても〜で)問題にならない」という部分を付け加えてみました。またここを強調することにより、次のような単なる「は」の文との違いがわかりやすくなるのでは、とも思います。

(2’)こんな問題はだれにもできない。

もちろん「〜は」の文に「難しい」などの意味があるわけではありませんが、(2’)の文を読むと自然に「難しい」ということが想像されると思います。それとは違う評価が含まれるということを明確にしたほうがいいかなと思ったのですが。
いかがでしょうか?

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