太平洋戦争は防げたのかコミュの樋口季一郎について

この度、参加させて頂いた林と申します。以後よろしく。
で、さしあたりお題を（というかご感想をお聞かせください）

戦後、日本は国土防衛戦を行った経験を持つ。
この史実をほとんどの人は知らない。そして知っておくべきだと思う。

ソ連は一方的に日ソ中立条約を破棄して、カムチャッカ半島～南千島列島ルートと樺太～北千島列島ルートの２派に別れて侵攻してきた。

不凍港のほしいソ連軍は、ポツダム宣言受諾を無視し、北部北海道制圧を目指したのである。

日本は1945/8/14にポツダム宣言を受諾した。

そしてこれを受け、樋口は「18日16時の時点で停戦し、こちらから軍使を派遣」「その場合も、なお敵が戦闘をしかけて来たら、自衛のための戦闘は妨げず」と発令した。

極東ソ連軍司令部は8/15 占守島上陸作戦を発令。8/18には上陸作戦を開始した。この報を聞いた樋口は第91師団に「断乎反撃に転じ、ソ連軍を撃滅すべし」と指令を出した。

当時日本軍は、本土防衛戦に備えて戦線を縮小し、占守島に最精鋭部隊を置いていた。ノモンハン・ガダルカナル島・キスカ島撤退作戦の生き残りである。ソ連軍は初めて本格的な反抗戦をこの島で経験したといっていい。

さらには島嶼戦の経験がソ連には無かった。

この二つがあいまって、日本軍の圧倒的な優位のまま戦闘は23日まで続き、ソ連の降伏勧告に堤師団長は悠々と調印して戦闘は終わった。

珍しく日本軍が勝ち逃げしたのである。

双方の死傷者は日本側600名程度、ソ連側3000名とされている。日本軍総兵力23000名、ソ連軍総兵力8363名である。

ソ連の死傷率はなんと34％！
一般的には死傷率3割を超えると組織だった戦闘が不能になるとされる。

ソ連の北部北海道制圧の野望はこの部隊によってぶち壊されたといっていい。恐らく、根室から稚内を結ぶラインは彼らの手に落ちていたはずだが、その稚内側の攻略に失敗し作戦は破綻した。

樋口はこの一戦で英雄となり、同時にソ連の戦犯指名を受けた。明らかに「樋口憎し」の報復制裁である。

この人物の人生も中々愉快である。

1938年、5千～2万人のユダヤ人がシベリア鉄道オトポール駅まで避難していた。しかしながら満州国への入国の許可が出ず、足止めを食らっていたのである。

ハルピン特務機関長だった樋口はこの惨状に見かねて、ユダヤ人に対し即日給食と衣類・燃料の配給、要救護者への加療、出国斡旋、満州国内への入植斡旋、上海租界への移動の斡旋等を行っている。

さらに北部軍への更迭人事は明らかに二二六事件の影響と思われる（彼は桜会の中心人物だった）。アッツ・キスカへの近衛師団配軍と言うのもこの事件の懲罰人事だったと聞いた。

左遷だろうと何だろうとこれだけの人物が終戦直後に北部にいたことを日本は神にでも感謝しなければならない。歴史とは面白いものである。

戦犯指名を受けたときは、世界ユダヤ協会はいち早く世界中のユダヤ人コミュニティーを動かし、世界的な規模で樋口救出運動が展開された。

結果、ダグラス・マッカーサーはソ連からの引き渡し要求を拒否して、樋口の身柄を保護した。マッカーサーのソ連に対する「嫌がらせ」というしかない。

コメント(3)

最初
全て
最新の40件

[1] mixiユーザー 01月08日 00:26

初めまして、百太郎です。

いいお話ですね。
日本という国はほんとに不思議な国です。
ここぞと言うときには、ここぞという人材が出てくるのですね。

興味深く拝見させて頂きました。

[3] mixiユーザー 01月10日 22:27

ご感想ありがとうございます。
トピックは「太平洋戦争は防げたか」というテーマで、僕にも興味深い分野です。知見の高い人々が集まっていますので、釈迦に説法とは思いますが、僕の感想を書きますと・・・

どう細工しても、防げなかったと思います。直接の原因はアメリカと日本の大陸での利害の相反ですが・・

ここで、アメリカの要求を呑んで大陸から引き上げれば戦争は起きませんでたが、それをやると国民の反発はクーデターが起こるほどのものだったと思います。その意味では、戦争はいつも前の戦争を引きずってしまいます。

日露戦争と第１次大戦で得た権益を捨てることは国民には容認できないものだったようです。

「この権益を得るためにどれほどの血を流したのか！」

日露戦争で辛抱に辛抱を重ねて「勝ち取った」（という風に国は国民に伝えた。実際は「負けなかった」という程度のものだった。）

その結果がポーツマス条約であり、戦争報奨金はなかった。
日比谷騒動の緒元ですね。

ログインすると、みんなのコメントがもっと見れるよ