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透析らいふ ミクシイ支店コミュの第74回大阪透析研究会レポート

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年に2回開催されている研究会。

私の施設からはカーボスター(無酢酸透析液)関連の演題を2演題を発表しました。
以下が私が発表したものになります。

「カーボスター使用における適正体重と透析看護師の関わり 〜有症血圧低下時ツールの有用性と妥当性を考える〜」

【はじめに】
無酢酸透析液カーボスターM(以下カーボスター)を多人数用 透析液 供給装置で使用して2年が過ぎました。透析装置や臨床からの研究発表が多数ある中、われわれは、透析中の観察を行っている看護師の立場で、第71回の本研究会から報告を続けてきました。

カーボスター使用における適正体重は2年を通して、「食欲の秋」と呼ばれる時期に大きく影響を受けることがわかりました。血圧低下時の対応数が増加している期間は、血圧低下に伴う患者の苦痛が増大していることを示し、ドライウェイトの迅速な評価が重要になります。カーボスター使用3年目を迎えるにあたり、適正体重の季節変動が危惧される中、ドライウェイトの設定に対し、透析中の観察を行っている透析看護師の役割が重要だと考えました。

そこで、適正体重の調整に迅速に対応でき、患者の苦痛を最小限に抑えるため、「有症血圧低下時ツール」(以下ツール)を作成しました。
ツールには、発熱や風邪などの炎症所見がない、ドライウエイトより5%未満の除水である、透析序盤または中盤である、誤った降圧剤の服用はしていない、透析中に食事をしていないといった、5項目をあげました。すぐに確認しやすいようにカードサイズで、常に所持できるようにしました。透析中に血圧低下があり、この全ての項目に一度でも該当する場合は、患者の適正体重増加による血圧低下を考え、速やかに医師に報告し、ドライウエイトの評価をすることを、医師と看護師の間で取り決めました。

【目的】
ツールの使用頻度と透析中における血圧低下時の対応数の変化を分析し、患者の苦痛軽減の成果とツールの妥当性を検証したので報告します。

当院の外来維持透析患者総数163名のうち、HDF、他院への1か月以上の入院およびツールを活用し始めた平成21年7月以降の透析導入を除く133名を対象としました。
期間は平成21年7月から平成22年2月末です。

調査方法は、透析記録用紙からの血圧低下および対応の集計と、スタッフに対するアンケート調査を行いました。

【結果】
今までの経過と同様に、2009年9月からも血圧低下時の対応数が増加しました。また、一旦は落ち着いていたドライウェイトの平均も、血圧低下時の対応数増加に伴って上昇していきました。
ツールの活用は、使用し始めた7月から9月までには3例に留まっていたのに対し、10月以降では16例の活用がありました。その結果、10月、12月で増加した血圧低下時の対応数が、ツールの活用数の増加に合わせて、翌月の11月、1月には減少しました。

アンケート結果では、ツールの存在を意識していますか?の問いに対し、85%が存在を意識している結果となりました。
また、実際にツールに基づいて医師またはリーダーに報告したことがありますか?の問いに対し、76%がツールを活用した結果となりました。
いいえの回答理由では、ツールのチェック項目に該当する血圧低下に遭遇しなかった。ツールのチェック項目に該当するのか判断が難しかったが、半分ずつを占めました。

ツールに対する意見では、
・透析従事年数に関係なくDW評価の指標になる。
・「DWより5%未満の除水である」の項目に該当しないことが多い。
・今まではDWに関して医師に報告しにくいこともあったが、ツールがあることで報告しやすくなったなどの意見がありました。

【考察】
カーボスター使用3年目の9月からも、透析中における血圧低下時の対応数が増加するに伴い、ドライウェイトの増量が行われました。これは、カーボスター使用1年目・2年目にもみられた、いわゆる「食欲の秋」と呼ばれる時期が適性体重に大きく影響することを裏付ける結果だと思われます。
ツールは季節変動の時期に合わせて使用頻度も高くなりました。透析中における血圧低下時の対応数が増加した翌月にはドライウェイトが調整され、対応数が減少している結果から、ツールが有効活用され、適正体重調整の遅れに伴う血圧低下を最小限に抑えることができ、患者の苦痛軽減につながったものと考えられます。
また、アンケートの結果では、ツールを意識して、回診時に活用したスタッフが7割を超えています。そして、ツールがあることで医師に報告しやすくなったという意見からも、適正体重の評価に迅速に対応する手段として、ツールは有効であると考えられます。
しかし、「DWより5%未満の除水である」の項目に該当しないことが多く、体重増加の多い場合に使用しにくいという意見がありました。これは、DWより5%以上の除水設定では無効という意味ではなく、DWより5%未満の除水の段階で血圧低下がある場合に該当することが理解できていなかったことに問題があったものと思われます。

【まとめ】
カーボスター使用約2年半の経験から、カーボスター使用において、患者の適正体重は季節変動に大きく影響されることがわかりました。
「有症血圧低下時ツール」は、適正体重の評価に迅速に対応できる手段であり、患者の苦痛軽減が図れるものと考えます。
しかし、ツールがより有効に活用されるためには、スタッフがツール項目の理解を高める必要がありました。
「有症血圧低下時ツール」のような適正体重の指標は、カーボスター導入時からの活用が望ましいと考えます。
そして、このツールはカーボスター使用に関わらず、看護師の視点で適正体重を評価し、医師に報告できる指標の一つになると考えます。

                                 以上

今後、無酢酸透析液が主流になると思いますが、長期間経過を発表てきた私たちの資料が少しでも参考になれば幸いです。

その他の施設からの発表の中でも、「不穏行動のある高齢者患者の看護」では、認知症の強い患者さんの透析中のあり方において私は大変共感を得る発表でした。

多くの施設では、不穏行動が激しく抜針事故予防のために透析中はシャント肢を抑制することが少なくありません。

私の施設では抑制は行わない方針であり、抜針事故の可能性が高い患者さんでも、可能な限り透析中は本人の好きなようにさせています。
本を読むのが好きならば色んなジャンルの本を準備するだけで、透析中ず〜と読書してたり。
血液回路は患者さんの視界に入らないよう工夫して、血液回路を意識させないようにすることも重要だったり。

今日のその発表でも、患者さんの人生の背景を尊重して、なぜ不穏行動や血液回路を触る行為があるのか分析して、人らしく、抑制のない透析を実行しているところは共感できおもわず質疑応答の際に感想を述べていました(笑)

コメント(8)

素晴らしい発表でした。
まるで現地で聞いていたかのようです。

お疲れ様でした
面白いですね。色々と応用できそうな、大きな可能性を感じます。
というよりも、そういう体重調整が適正な手段かと思います。
現実には、色々と難しい点があると思いますが・・・

一定の理解が得られたら、項目を増やしてより細分化するのも良いかなぁと感じたんですが、どうでしょう?
YES/NO形式のフローチャートの様な形、とまでは言いませんが、こう・・・
我々には解らないあるいは解りにくい、患者さん自身にしか解り得ない情報も集める事ができれば、より良い透析に繋がるような・・・上手くは言えませんが、そんな考えです。

それと気になったのは、「血圧低下の定義」です。
要するに、何処まで下がったら血圧低下とする『絶対的指標』と、前回測定値からどれだけ下がったかという『相対的指標』があると思うのですが、その具体的な数値はどんな風に決めているのかな?という点です。
その辺が、「判断が難しかった」という所に繋がってくる様に思うのですけど、どうでしょう?
厳密にいえば、一人一人で違いがあると思うのですが、目安というか、基準みたいなものはある程度必要なのかなぁと考えています。
私的には、根拠があるわけではないですが具体的には、血圧が元々低い方を除いて絶対的指標としては90〜100mmHg、相対的指標は数値として上手く表現できませんが、血圧測定値の2点間を直線で結んだ際の角度(傾斜?)が50〜60°以上だと何かしら対応すべきかなぁという風に考えてます。
hikaruさん>

素晴らしい発表かは自分たちではわかりませんが、新しいものを継続して情報の共有を図ることは、医療の現場では大事なことですよね。
無酢酸透析液が広まってきてるとは言え、まだまだこれからです。
お役に立てる情報が発信できたら、幸いです。
Nさん>

ある先生によっては30%の血圧低下があるとなんらかの危険性があるなんて勉強会で聞いたことあります。

今回私たちが「血圧低下」といたボーダーラインですが、透析記録上血圧低下があったとしても、患者さんが結構ケッロってしてること多いですよね。
どこまで下がったらという一定基準を設けるのはNさんも仰るようにかなり難しい点があります。

そこで、患者さんが何らかの症状を訴えているもしくはスタッフから見た他覚的症状をポイントとし、その有無でツールと照らし合わせています。

基本は患者さんがどうであるかだと思っています。

体のメカニズムをこと細かく分析してリスクを最小限するとなれば、Nさんの考えで観ていくことがよいでしょう。

いつも、的確なコメントありがとうございます。
こちらこそ、ありがとうございます。
やはり難しい所ですよね。
数値の基準なんていっても、結局、最終的には症状を頼りにせざるを得ないでしょうし・・・


話が逸れますが・・・
もしかしたら、血圧下がっても症状が無い事の方が問題なのかもしれない、と思う事があるのです。
それもまぁ一概には言えないと思うんですが、自覚しにくいというか反応が鈍いというか、何かしら原因があるんじゃないか、と。
それを「個人差」という言葉で納得したくない、という所です。
良い事か悪い事かは推測できないですが、もっと突き詰めて色々と明らかにしないといけない事が山積みじゃないかと感じます。
何とか数値化して客観的に、という事ですけど、逆に数値だけで見るという偏った考えも何だか違うという相反した考えが共存していて・・・ん〜・・・
どうしたものかなぁと悩んでいる所です。
お疲れ様でしたわーい(嬉しい顔)
うちの施設では、カーボスター導入はないのですが
かっぱちゃんの発表は共感する所も多く
毎回、楽しみに聞かせて頂いてますわーい(嬉しい顔)
今回も、ぜひ使いたい内容で
早速、本日上司に相談してみました。

6月は、学会ですか
また、発表楽しみにしていますほっとした顔
お疲れ様でした湯のみ
発表内容がよく理解でき とても参考になりました。

無酢酸透析はうちの施設でも
まだ行われていませんので
とても興味のあるところでした。

血圧低下と症状は本当に個人差があり
スタッフや医師の認識の違いもありますよね
同じ視点でともに考えられるツールの使用は
同じレベルでの看護を提供できる手段の一つでもあり
ぜひ うちでも活用させてほしいものですぴかぴか(新しい)

不穏・高齢者などの対応も今まさに!って感じです。
とにかく騒ぐ前に徐水を進める とか
薬剤で沈静!
って スタッフがうちには多いので
ぜひその発表内容を読ませてあげたいものです

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