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透析らいふ ミクシイ支店コミュの第70回 大阪透析研究会

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本日、3月23日(日) 大阪国際会議場にて、第70回大阪透析研究会が開催されました。

いや〜、なんとか今日の学会発表を終えることができて、ホッとしています。同僚の発表も無事終わってほんとよかった。

うちの施設からはナースが2演題、臨床工学技士が1演題の計3演題を発表。

前日まで、スライドの調整や発表原稿の見直しで大変でした。
ちょっと、ナースの演題が少ないのがさみしかったかな〜。

私は「透析中の自己抜針を経験して〜当院における自己抜針予防のひと工夫〜」を発表。

認知症の強い透析患者さんが透析中に針を抜いてしまった事故から、再発予防策を検討し、患者さんの視点からひと工夫したっていう内容。

最近は、カリウム注入事故など、スタッフ側のミスもありますが、患者さんが起こす事故も透析治療にはあります。その中でも、どの施設でもたいがい経験していると思いますが、患者さん自身による抜針事故。そのほとんどが認知症の強い患者さん。

再発防止に色々アイデイアをたくさんの施設が今までに発表してきましたが、それでも事故は起こります。


今回発表した内容を掲載します。


『透析中の自己抜針を経験して 〜当院における自己抜針予防のひと工夫〜』

第69回大阪透析研究会において、認知症患者の自己抜針症例に対する予防策を発表したが、新たに認知症患者の自己抜針事故が発生した。過去の経験で学んだ自己抜針予防策でも事故に至ったことから、新たな予防策を検討したので報告する。

症例:75歳男性。認知症が強く、透析中は何度も本人に注意・説明するが、シャント肢を曲げたり、血液回路を触ったりして圧系統の警報が多い患者である。

患者は認知症があり、抜針の危険性を説明しても透析中にシャント肢を曲げたり、血液回路を触るなどの行為があるため、前回の本研究会で発表した、“そこにテープの端があるから剥がしたくなるのでは?”“そこに血液回路があるから触りたくなるのでは?”という考えを元に、固定テープを工夫した回路固定法を行っていた。

しかし、2007年10月に透析中の自己抜針が発生し、大量の出血事故となってしまった。発見時には患者は手に血液回路を持って引き抜いたと推測される状態でだった。幸い、バイタルサインに異常はなく、血液検査でも明らかな貧血の亢進は認められなかった。この抜針事故報告を受け、事故再発予防対策の検討を行った。

考察:我々は抑制が抜針事故予防対策のひとつとは考えてはいない。なぜなら、シーネや抑制帯による抑制は、ある程度、透析治療について理解力のある患者で、本人の同意が得られれば抜針事故予防に有効であるが、認知症が強いため透析治療が理解できず、本人の同意を得られない場合の抑制は、一時的な抜針事故予防にはなるが、抑制による苦痛やストレスの増強を伴い、更に体動が激しくなり抜針の危険性を高めることになる。よって、シーネや抑制帯による抑制は度外視し、そこに血液回路があるから触りたくなるという考えを元に更なる抜針予防策を考えた。安全かつ安価であることに加え、工作の必要がなく誰でも簡単に行えることを考慮した結果、伸縮ネット包帯を使用した回路固定法を試みることにした。

テープによる通常回路固定の上に、約50cmの長さに切った伸縮ネット包帯を装着しただけのものである。

伸縮ネット包帯はネット状であり、伸びることで包帯下の状況が把握しやすいため、血液回路の屈曲や針先の異常早期発見がしやすいメリットがある。頭部用サイズを使用することにより、シャント血管への締め付けが最小限に抑えることができる。

抜針事故時、患者は血液回路を直接持って引き抜いたと思われる状況から、血液回路が患者の視界にあるから触ってしまうのではと考えられる。そのことから、患者からは従来の回路固定では、血液回路が視界に入りやすい状態に対し、伸縮ネット包帯を装着することで、ほとんど血液回路が視界に入らない状態になるため、視覚的に抜針予防効果が得られると考えられる。伸縮ネット包帯は、装着時でも自由にシャント肢を動かすことができるため、シーネや抑制帯による抑制とは異なり、拘束や不快感など患者に与えるストレスが軽減できると思われる。また、伸縮ネット包帯が、シャント肢の血液回路全体を固定するため、固定テープが必要最低限で済み、テープによる皮膚ストレスが軽減できる効果も期待できる。コスト面においても、約50cmで80円と比較的安価である。
 
まとめ:今回、認知症患者による透析中の抜針事故が発生した。再発防止策を検討し、伸縮ネット包帯による回路固定法を試みた。医療者側の視点では、伸縮ネット包帯による回路固定法は、安価で簡単に使用することが可能であり、固定によるシャント血管への影響も少なく、装着時においてもネットであるため包帯下の観察がしやすい利点がある。患者側の視点では、最小限の固定テープによる皮膚ストレスの軽減と、血液回路がほとんど視界に入らないため、触りたくなる心理を抑える効果を期待できる。また、シーネや抑制帯などでの抑制とは異なり、シャント肢を自由に動かせるため、患者に与えるストレスや苦痛が最小限に抑えることができ、その結果自己抜針予防の効果が期待できると考えている。
 
抜針事故は繰り返されたが、血液透析治療が安全で快適に提供できるように、今後も、患者の視点で事故防止対策に取り組んでいきたい。

こんな感じの内容をスライドを交えて発表しました。現場で起こる事故はオープンにし、なぜ起こり、どうしたら防げるか情報の共有が医療界では必要だと思っています。それが患者さんを守ることにつながるのですから。

感想・ご意見があればどんどんコメントくださいね。

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