法学院　行政書士試験制覇の扉コミュの行政書士試験対策　基礎法学②

ここからは裁判制度を初めに見ていきたいと思います。

特に裁判制度は最近試験でも問われやすい傾向にあるので、注意してください。

※裁判

裁判には２種類の制度があります、参審制と陪審制です。

参審制とは国民から選ばれた参審員が裁判官と合議体で事件について議論を行い、事実の認定や刑の重さ、法的問題まで解釈する制度をいいます。
我が国の裁判員とよく似ていますね。

これに対して陪審制とは、国民から選ばれた陪審員が事実認定を行い、裁判官が量刑と法律問題を解釈します。
ここでの違いは、量刑の評決を決める点です。

参審制では量刑まで決めることができますが、陪審制では事実認定はしますが、その後の法的処理については関与しません。

※裁判員制度

我が国では、他国の陪審制度にならって裁判員制度というものが導入されました。

これは一定の刑事事件（死刑、無期懲役など重い罪に問われる可能性のある事件）について裁判所が無作為に裁判員候補を選出します。
この時点ではまだ正式な裁判員は確定しません、その後裁判官と一人ずつ面談をし、後に裁判官の判断によって６名の裁判員が正式に選ばれることになります。
これにより、裁判では３人の裁判官と裁判員６人の合計９名による刑事裁判が行われる仕組みとなっているのです。

そして、刑事事件の事実認定を認定するだけではなく、刑の重さまでも裁判員の判断が関与します。
つまり量刑までも裁判員は決めることができるのが特徴です。

尚、司法関係者（弁護士、検察官等）及び一定の年齢に達している者は裁判員として参加することができません。

裁判員制度の趣旨はあくまで司法業界以外の世界で生活を送る一般庶民の視点からみて、客観的に事件を判断するものであり、より司法を国民に身近なものとすることが目的だからです。

そして、正当な理由なく裁判員が欠席した場合、１０万円以下の過料に処せられます。

※法の効力

≪１≫場所的効力の範囲

法の効力が及び範囲は、その国の領土・領空・領海の全てに及ぶとされています。

★POINT　属人主義と属地主義

属地主義とは、自国民であっても他国民であってもその場所で犯罪を犯せばその国の法律によって罰せられる主義をいいます。

これに対して属人主義とは、どこの国で犯罪を犯してもその人物が所属する国の法律によって処罰される主義をいいます。

日本国は原則として属地主義を取っている為、例えばアメリカ人であろうと中国人であろうと日本で殺人などを犯せば、日本の法律によって殺人罪として処罰を受けることになるわけです。

ただし、例外的に属人主義も一部分ですが採用しています、国外であっても一定の犯罪を犯した場合、その者は日本の法律によって処罰されること可能性があるわけですね。

※裁判と法律の適用

主に刑事裁判などでは、まず事実認定が行われます。
本当に被告が殺人を犯したのか、またその手段はなんだったのかなど、事実に間違いがないかどうかを調べる手続きが最初に行われます。

事実認定が確定した後、今度はどのような法律の規定を適用すべきかの判断が行われます。

確定すべき法が決まれば、最後に判決が出されこれが裁判所の結論となります。

このように、①事実認定　②適用すべき法律の確定　③判決　といった具合に進む解釈法は三段論法と呼ばれたりします。

★POINT　自由心証主義

ある事実が真実であるかどうかを判断するのは最終的には裁判官の裁量（考え）に委ねられる主義を自由心証主義といいます。
よって、刑事裁判と民事裁判では事実認定の内容が異なる場合があります。

※有権解釈

有権解釈とは法律を解釈する権限を持った機関が解釈する方法論である。

具体的には次ようなものがある。

例えば立法機関である国会がAという法律を「Bという目的、意味で作った」としても、その法律を執行するのは行政権である各行政機関と司法権を有する裁判所である。

よって、行政権が「AをCとして解釈した」司法権が「AをDとして解釈した」という場合であってもそれは何れも有権解釈と言えることになる。

　　　　　　　　　　　｜―――立法解釈
　　　　　　　　　　　｜
　有権解釈―――｜―――行政解釈
　　　　　　　　　　　｜
　　　　　　　　　　　｜―――司法解釈

その他の解釈としては次の５つがある

尚、ここでは文理解釈を素材とさせて頂きます。

≪１≫拡張解釈（法律の文言の意味を通常よりも広く解釈する論法　例：被害者の損害賠償請求権は、本人のみならず家族固有のものとして他の家族も精神的苦痛を理由に慰謝料等を請求する場合）

≪２≫縮小解釈（法律の文言の意味を限定的に解釈する論法　例：相殺援用は本人のみ等）

≪３≫類推解釈（ある事柄Aについて直接の規定がなくても、他の規定が類似する場合それをAに当てはめて解釈する論法　例：犬を飼っても良いが猫も飼ってよい　

≪４≫反対解釈（法律の文言とは逆の解釈をする論法）　例：車の通行を禁止する、という場合に人なら通っても良い等　

≪５≫勿論解釈（ある規定に類似するものについても同じカテゴリとして解釈する論法）　例：炭酸飲料が欲しいとして、コーラを買う場合、同じ炭酸飲料であるCCレモンも買っても良い等

※裁判所の組織

裁判所は最高裁判所を最高位として、その他の裁判所は全て下級裁判所として扱われます。下級裁判所には次のようなものがあります。

高等裁判所

地方裁判所

簡易裁判所

家庭裁判所

憲法では、特別裁判所の設置を禁止していますが、例外として裁判官を弾劾（免職）させる為に国会によって設けられた弾劾裁判所というものがあります。
この裁判所は上記の５つの裁判所組織から独立しており、通常の裁判所とは違う扱いを受けています。
裁判員は国会の両議院の議員で構成されるようです。

この他法令用語などが残っているのですが、今後の本試験で問われやすいとは言い切れないと判断して勝手ながら除外させて頂きました、ご了承ください。

尚、リクエストがあれば追記させて頂きます。

今回はここまでです、如何だったでしょうか？

様々な解釈法が出たりでややこしい部分もありますが、これらの論法を理解できれば、他の法令科目で実際に問題を解く場合、きっと役に立つ筈です。
保障はできませんが、法学の基礎としてはそれで十分だと思われます。

基礎法学については実際に過去問を参照してどのような論点が問われているかに着目してみましょう。

それでは、大変お疲れ様でした。