法学院　行政書士試験制覇の扉コミュの行政書士試験対策　基礎法学①

今回は法律科目の土台となる基礎法学に触れてみようと思います。

突然ですが、法律とはなんでしょうか？

この世には実に大勢の人々が存在しており、日々の生活を送っています。

そうした人の集まりを社会集団と呼んだりしますが、誰もが同じ考え、同じ思想を持っているとは限りませんよね。

というより、それぞれ異なっていて当たり前とも言えるでしょう。

考えの食い違い１つで要らぬ争いが起きることも決して珍しくありません。

そこで、社会集団には一定のルールを設けてその中で日々の生活を送ろうと解釈して生まれるのが法律だったり各地域独特の条例だったりするわけです。

つまり法律とは、世の中のルールであり強制的に人々を縛る強い力を持った規範であると言うことができます。

強制力があるということは、ルールを破る者には制裁を、守るものには法の趣旨に沿った行動を執らせる、といったイメージがあります。

法律の目指すべきところは正義や倫理の実現です、それが強いては平和を根ざす根本と言えます。

特に我が国において法律の頂点である日本国憲法に、戦争の惨禍を繰り返さぬよう平和主義を強く謳っています。

では、前置きはここまでにして、それぞれの論点を見ていきましょう。

※法的な責任とは？

法律上の責任は大きく３つに分類できます。

≪１≫民事責任

例えば相手を殴って怪我させたり、誰かの立場を辱めるような真似をした場合、治療費やその人固有の損害賠償を負うことがあります。刑法などで責任を問われることもありますが、基本的に民事責任はお金の話が多いようです。

≪２≫刑事責任

上記の例では言えば相手を殴って怪我をさせれば傷害罪という罪にあたりますし、相手の名誉を傷つける真似をすれば名誉棄損罪など、法律的秩序を破った者が一定の罰を背負う責任のことを刑事責任といいます。

≪３≫行政責任

これは車の運転免許をお持ちの方ならわかるでしょう。
運転中に信号無視をしたり、人身事故を起こした場合、運転免許停止処分、や最悪免許取消し処分などを受けたりすることがあります。

このような責任を行政上の責任といいます。

冒頭でも申し上げましたが、法律の目指すところは正義と秩序の安定です。ですからそれを乱す者には制裁を以て反省してもらうしかないということになります。

そしてこれらの責任は併科することができます。

人を殴れば、暴行罪及び損害賠償といった具合に刑事上の責任と民事上の責任を併科させることができますし、車の運転で事故を起こせば、これに加えて行政上の責任を背負ってしまうこともあります。

※法源とは？

法源とは法規範、つまり法律の源となるもののことであり、裁判官などが裁判を行う際に判断基準として用いることができるものなどを指す。

では、具体的にどのような種類があるのでしょうか。

≪１≫成文法

文章によって表現される法を成分法といいます、我が国では成文法主義をとり、原則として法律は文章によって表現されています。（例：民法や刑法等）

長所：文章で表現されているため、「何をどうすればどうなるか」がはっきりしているので、行動指針として明確に定められている点が挙げられ、法的安定性があります。

短所：流れゆく社会の実情に素早く応じることが困難であり、現時点での社会実情にそぐわなくなった場合などでは妥当性に欠ける点が挙げられます。

≪２≫不文法

成文法とは逆に、文章によって表現されていない法を不文法といいます。主にアメリカやイギリスなどは不文法を中心としているようです。

長所：文章によって表現されていないため、行動指針などははっきりしてはいないものの、文章の内容に縛られることがないので社会実情に柔軟に対応することが可能です。

短所：行動指針が明確ではないため、「何をどうすればこうなる」といった法的安定性に欠ける点が挙げられます。

具体的には次ようなものがあります。

１．慣習法

一定の範囲の人々の間で反復して行われるなど社会の慣習のうち、法として確信されその効力を有するに至ったものを慣習法と呼びます。

簡単に言うと、社会慣習として行われてきた行為が反復継続されることにより、それがやがて法的性質を有するに至り、法律と同等効力をもつものなったもののことです。

２．判例法

これは裁判による判決などで示された理由と結論から構成される不文法をいいます。

法律に規定がない場合、裁判を起こした際に、裁判官が「法律的にはこうであろう」と導き出された考え方などが主となります。

３．条理

物事の筋道を指し、その時代における社会常識や通念のことをいいます。

※法の分類

≪１≫国内法と国際法

国内法は、その国を単位としてその国内において通用する法をいいます。

これに対して国際法とは、国家間どうしで締結される法などを指したりします。
例えば条約などがこれに当たります。

≪２≫公法と私法

公法とは、国と私人の関わりに関する法をいい、例を挙げると憲法、刑法などがあります。

私法とは、個人同士の関わりに関する法をいい、民法や商法などがその代表例です。

≪３≫実体法と手続法

実体法とは、人の権利義務に関する規定を定めた法律を指し、民法などが具体例として挙げられます。

手続法とは、権利義務を実現させる為に必要な手続きを定めた法律を指します、例としては行政手続法、行政事件訴訟法、民事訴訟法などがあります。
訴訟法は裁判の提起に関する法律ですが、提起手続きを定めた法律であること、そして裁判所と国民との関係を規律する法律でもあるので公法としても扱います。

≪４≫一般法と特別法

一般法とは、ある物事の土台となる法律であり、基本的にその物事が形を変えても幅広く適用されるのが一般法の大きな特徴です。
これに対して特別法とは、特定の者や場所、その他の特定の物事に対してのみ適用される法律をいいます。

民法で例えるなら、一定の権利を除きその他の債権の消滅時効は原則１０年間と定められています。
これに対して商法はその原則を修正し、債権消滅時効を５年間としています。
なぜこのようなことが起こるのかというと、民法による取引や契約は一般私人の間では幅広く適用され、特約などがない場合は法定条項に従うこととされていますが、商法の場合は主に「商人」という間柄に着目してそれのみに対して適用することが目的ですから、適用される範囲が限定的で狭いわけですね。

尚、特別法は一般法に優先して適用される点には注意しましょう。

≪５≫任意法と強行法

任意法とは法律の規定に関わりなく当事者の特約によって契約の内容を法律の規定に寄らず変更することを許す法律をいいます。

これに対して強行法とは、任意法とは逆で当事者の意思の如何を問わず、必ずある事項については法律の規定に沿った行動を取らなければならない条項を指した法律をいいます。

例えば、時効の援用をする権利を時効完成前に放棄する、といった特約はできません。何故なら時効の援用の放棄については時効完成後でなければ放棄できないからです、この部分の規定が強行法規と言えます。

※法律の順位とは？

同じ法律の仲間とは言えども順位が存在します。

我が国では、日本国憲法を法律の頂点とし、その下に様々な法規が制定されています。

実際には次のようになっています。

　憲法　　　　　　　　（最も順位が高い）
　 ↓
　条約
　 ↓
　法律
　 ↓
　政令
　 ↓
　府令・省令　　
　↓
　条例
　 ↓
　規則　　　　　　　　（最も順位が低い）

このように考えると、条約をはじめとする憲法以外のあらゆる法規は憲法に反することができず、それに反した規定や適用、法律は全て無効です。

つまり、順位の低い法規はそれより高い法規に逆らうことはできないということですね。

今回はここまでです、如何だったでしょうか。

基礎法学については、できれば軽くでもいいのでサラっと読んで概論を掴む程度でよろしいと思われます。

出題数が２問なので、この分野に執着して余計な時間を使うのは得策ではありません。

それならば民法や行政法攻略に力を入れるのが現実的と言えます。

あと一回分執筆して基礎法学についての章は終了としたいところですが、学習に余裕のある方は、是非ご自分でもテキストを読み返してみたり、記事を見て頂けるなりしてもらえれば幸いです。

それでは、次回の基礎法学最終章でまたお会いしましょう。