法学院　行政書士試験制覇の扉コミュの行政書士試験対策　会社法⑥　補助機関

さて、ここまでに関して様々な会社の構造を見てきました。

今回は会社の中枢とも言える株主総会と取締役会の他に、監査役などの補助的機関についても見ていきたいと思います。

※監査役とは

監査役とは取締役などが行う業務執行を監査する機関をいいます。
簡単に言うと、適正な業務が行われているかどうかをチェックする機関のことです。

権限としては次の３つがあります。

１．監査権限

業務全体の監査を行い、監査報告書をなどを作成できる権限です。
これは業務が違法に行われていないかを監査しますが、業務の内容が妥当かどうかを監査する権限はないと考えられています。

これは行政事件訴訟法（以下、行訴法と呼ぶ）の趣旨とよく似ています。
行訴法はある事件についてそれが適法かどうかを判断することができますが、妥当かどうかまでは判断することができません。

司法権は法にのみ審査権を許すので、それを脱却した部分までは司法審査は及ばないという趣旨を会社法の監査役の権限に照らし合わせると良く似ているとは思わないでしょうか？

２．差止権限

監査役は取締役が違法な業務執行をしないかどうかをチェックしますが、取締役の違法行為（業務範囲逸脱を含む）に対して会社が著しい損害を受ける恐れがある場合、監査役は当該取締役に対して、その行為をやめるよう請求することができます。

３．代表権限

監査役が取締役に対し、反対に取締役が監査役に対して訴訟をおこそうとするとき、監査役が会社を代表します。

※人数

人数制限は特にありませんが、監査役会の場合は監査役は3人以上必要とされ、その半数は社外監査役である必要があります。

★監査役の選任・解任・任期

監査役の選任は、株主総会の普通決議で足りますが、解任する場合は特別決議によります、そして任期は4年間となっており、非公開会社においては10年間まで伸長することが可能です。

更に監査役は会社の取締役や使用人、執行人などを兼ねることを禁止されています、これは監査役という客観的視点からの監査を維持する為であると思われます。

★その他の職務

・取締役または取締役会への報告義務

取締役が不正を働いたり、またはそうするおそれがあるときは、監査役は取締役または取締役会へその旨を報告しなければならない。

・必要と認めるときは取締役会へ出席し、意見を述べる義務がある。

・報酬の定め

監査役の報酬額が定款などで定まっていないときは、株主総会の決議によって決することとされています。それに対して監査は意見を述べる機会が与えられています。

監査役が2人以上ある場合において、定款や株主総会の決議によって定まっていないときは、監査役同士の協議によって報酬額を定めますが、これには株主総会などで定めた上限の範囲内で定めることが必要とであると、全員一致が必要とされている点に注意しましょう。

※監査役会とは

簡単に言えば、定義としては取締役会と同じですが合議制で監査をする団体をいいます。

監査役会では3人以上の監査役で構成されています、そしてその半数は社外監査役でなくてはなりません。

監査役会を招集する場合は取締役会のときと全く同じです、1週間前に通知を発しなければなりません、無論全員の同意があれば通知を省略することができます。

※議事録って？

簡単に言うと、監査した内容や監査役会の決議などが記録された書類その他のものを言います。

議事録は会社に、監査役会があった日から10年間、本店に備え置かなければなりません、色々と細かくて面倒ですね。

議事録は一定の要件に該当する者であれば裁判所の許可がなければ閲覧・謄写したりすることができません。
具体的には次の3人です。

株主・・・権利行使に必要と認めるとき

親会社社員・・・同上

会社債権者・・・役員の責任を追及する為必要があるとき

監査役がおかれている会社の株主や親会社の株主は裁判所の許可がなくては文書閲覧ができないことは以前お話したしたと思います。どちらも要件は同じなので、会社債権者の目的部分に焦点を合わせて覚えると楽かもしれません。

※会計監査人の職務

会計監査人は計算書類の会計監査を行う機関です、大会社及び委員会設置会社では必ず必要とされる存在であることは機関設計の章でお話しましたね。

１．権限

計算書類等の監査、その監査について会計監査報告書という小難しい書類を作成します。
計算書類等を監査するため、いつでも会計帳簿等を閲覧・謄写でき、取締役に対して会計に関する報告を求めることができるのです。

また、職務上必要と判断されれば、子会社などに対して会計に関する報告を求めたり、業務及び財産の状況を調査することもできます。

２．義務

その職務を行うに際して、取締役が何か不正を働いていたり、法律や定款に違反する行為などを発見したときは、遅滞なく監査役（会）に報告しなくてはなりません。

重大な事実は見過ごせない、ということですね。

★任期は1年間となっており、とても短いです。

★報酬等

取締役が会計監査人の報酬を定めますが、その際必ず監査役の同意を得る必要があります。

監査役会設置会社であれば監査役会、委員会設置会社であれば監査委員会の同意をそれぞれ必要とします。

※委員会設置会社とは

主に、指名委員会・監査委員会・報酬委員会の３つを置く会社をいいます。

これらを置く意味としては、業務の監督機能及び執行機能を分離して会社を運営するもの、といったところにあります。

機関設計の章でもお話したと思いますが、委員会設置会社では『必ず』取締役会・会計監査人・執行人を必要とします。既に監査委員会が存在しているので別途で監査役を置くことはできません。

★取締役会との関係

取締役会は監督機能に視点をおきます、よって業務執行の担当は取締役会で選任される執行人と呼ばれる者が担当することになります。

委員会設置会社の取締役は監督、言い換えればある意味で監査役と余り変わらない立場にあるはずなので、支配人や使用人を兼ねることは許されません、よって特別取締役の制度は採用不可です。

★委員の人数

委員は3人以上で構成されます、そしてその過半数は社外取締役でなければなりません。

以上で監査役に関する章は終わりです、ここまで読んでくださった方々、大変お疲れ様でした。

会社法攻略の鍵はなんといっても株式と機関です。

この２つを得意にできれば商法分野は十分得点源として見込めることでしょう。

できれば株式会社設立の流れも押さえておきたいですね、この３つを押さえればあとはマイナーな分野ばかりですので、商法は制したも同然です。

まだ会社法以外の商法典について記述していませんが、それは後々、会社法が終わってからにしようと思います。

本音を言えばここで会社法を打ち切って商法典について解説したいのですが、商法典は1問の出題である上に毎年細かい問題ばかりで学習するにおいては割に合わない面が多いのが現状です。
新試験になったばかり頃は良かったのですが、出題者も困ったのか段々とマイナーな面からの出題が目立つようになってきました。

個人的には素直に商行為とかから、捻った問題を1問出せば良いと思うのですが、どうにもそうはいかない訳が問題を作る側にはあるようです。（全部憶測　責任感無し）

次回はそのマイナー分野の１つである資金調達について触れてみたいと思います、余り細かく解説はしませんが枠組みと概要を掴んで頂ければ良いかと思われます。マイナー分野でも出題されそうなは組織再編辺りではないかと予測しています、過去に何度か問われていますしね。

それでは次回の章でまたお会いしましょう。