法学院　行政書士試験制覇の扉コミュの2015年　行政書士試験対策　　40字記述式編①

2年間放置気味だった当コミュニティを更新する最初の記事となります。

今回の執筆担当は元管理人、「学問の神　ｌａｗ」が努めさせて頂きます、最後までどうぞ宜しくお願い致します。

さて、今回のテーマは苦手意識を持たれるであろう記述式問題攻略のテーマを挙げてみました。

記述式は1問20点の配点があり、５肢択一式では５問分の配当になりますので決して見逃すことができない部分です。

しかしながら、どのように記述すれば高い評価を得られるかは悩みどころかもしれませんね。

記述のポイントはキーワードが書けていれば高い評価を期待できるのです、文章として成立していれば何でも良いというわけではないのです。

ごく一部の人で勘違いをなさっている方がいらっしゃるかもしれませんが、記述式問題は国語の問題ではありませんので、多少文脈が崩れていてもその問で聞かれているキーワードさえ記述されていれば満点とはいかずとも高い評価を得ることは可能なのです。

では、過去問を例に考えてみましょう。

ここで挙げる問題は平成１９年度に出題された民法の過去問です。

「金銭債務の不履行の損害賠償について金銭債務の特則を２つ書きなさい。」

問題文は省略致しましたが、ここでは問で聞かれていることは

「金銭債務」

「債務不履行」

「損害賠償に関する特則」

以上のキーワードが存在します、つまりこの３つについて答えれば良いわけですね。

では模範解答を見てみましょう。

「債権者は損害の証明を要せず、債務者は不可抗力をもって抗弁することができない。」

ここで重要なのはどこがキーワードになっているかを見抜く力が必要になります。

さきほど挙げた３つのキーワードに沿って考えると模範解答からは次のキーワードを見つけることができます。

「債権者は損害を証明する必要がない」　「債務者は不可抗力をもっても抗弁できない」

以上の２つです。更にバラバラにしてみましょう。

「債権者は」　　「損害を証明する必要がない」　　「債務者は」　　「不可抗力をもって抗弁できない」

ここの問で聞かれているのは「誰が」「どのような理由で」「何ができるのか」です。

まず、債権者側の理由を考えてみましょう。

問題文では、金銭債務の不履行に関する損害賠償の責任についてなので、債権者と債務者が存在することがわかると思います。

よって、まずは「債権者」というキーワードが出てきますね、しかしこれだけでは足りません、債権者が何をできるのかまで書かなくては損害賠償を請求できる理由づけにはなりませんね。

民法の規定では、債権者は金銭債務の不履行については「損害の発生を証明する必要がない」とあります。

ですから最初のキーワードは「債権者は損害発生の証明をする必要がない」または「債権者は損害の証明を必要としない」というキーワードが出てきますね。

次に債務者の側を考えてみましょう。

民法では金銭債務に関して履行不能を認めていません、どのような状況であっても最悪履行遅滞という扱いを受けます、何故なら金銭がこの世から消滅するという普通では想定できないようなことが起こらない限りは、借りてでも金銭債務に尽くせるということが理由として挙げられるからです、よって金銭債務に限っては履行不能という概念は存在しません。

これによることで、債務者の金銭債務に関する責任としては履行不能が存在しないことがわかります。

次に不完全履行ですが、これは解答で挙げられているように不可抗力をもって抗弁することができないので、不完全履行及び履行遅滞何れにおいても適用されます。

そして記述すべきキーワードですが、まず誰が金銭債務責任を負うか、これは既に問題文からも解るように「債務者」ですね。

次にどのような責任を負うか、ですが既に述べましたように「不可抗力を理由に抗弁できない」ということが債務者の負う責任範囲と言えます。

よってこの2者を組み併せると「債務者は不可抗力をもって抗弁できない」というキーワードになります。

このように、誰が何をすべきなのか、どんな責任を負うのか、といったような事例的問題は行政法、民法ともに今のところ記述式の問題ではほぼ毎年問われています、民法の五肢択一の事例問題を解く際の視点を活用して、誰がどうなっているのかを分解して考えられるように訓練をする必要があります。

さて、債権者及び債務者のキーワードが浮かび上がったことで、この２つのキーワードを組み合わせると「債権者は損害の証明を必要とせず、債務者は不可抗力をもって抗弁できない」という記述になり、これが正解の文章となります。

キーワードがしっかりと書き込んであれば、余程支離滅裂な文章でない限り得点することは可能なので自信をもって記述するようにしましょう。

尚、文章設計についてですが、国語的要素で何を必要とするかは出題形式によって異なります。

例えば、解答すべき場所が文章途中で空欄になっていてそこに解答を挿入する空欄補充形式であれば記述解答の最後に「。」を入れていけません。
文章の後が残っているのに途中で「。」で完結させてしまうと文章構成がおかしくなってしまい減点の対象となります、先ほど国語的要素は余り問題にならないと述べましたが、文章の設計上、どのような切り口で問われているかを確認してその問い方に沿った解答を記述することが理想的なパターンと言えますから、問い方に反した記述法は例えキーワードが書きこんであっても減点を免れることはできないので注意しましょう。

その他で言えば「、」は必ず書き込んだ方が良いのかどうかですが、これは記述の解答が文章として一応成り立っていれば最悪挿入しなくても良いだろうと思われます。

、のような句読点は文章を見やすくしたり、読みやすくする為に使うことが多いですから、そういった国語的補助のある句読点は記述式問題では必要性が薄いと考えられるからです。

但し、句読点を入れるか入れないかで文章キーワードの意味が変わるような場合が存在するときは記述した文章に着目して句読点を入れるか入れないかを判断してください。例を挙げるならキーワードを区切る意味で使うような場合です。

尚、空欄補充形式以外の問題では、記述した文章の最後に。を入れ忘れないよう注意しましょう。国語的な要素ではありますが、文章を締めくくる意味では重要な働きと言えます。

最後になりますが、記述した字数を気にされる方がいらっしゃるようですが、求められたキーワードが記述されていれば３５字であろうが４２字であろうが特に関係ありません。

正解できる記述は概ね４０字前後で構成されていますから心配はないと考えます。
字数は特に気にしないで自信をもって記述していきましょう。
何度も言いますが、記述問題は国語の問題ではありません、従って求めらているキーワードをしっかりと書き込んでいれば多少文章的にいびつであったとしても、高い評価を期待することができるわけですね。

今回は民法を題材にした私が考えた記述式対策をお話させて頂きました、如何でしたでしょうか。

記述式は配点が高いですから、何を書いていいかわからない場合でも絶対に諦めないで部分点だけでも取れるよう、とにかく何か書く癖をつけてください。白紙で出せば問答無用で０点となります。

法律の知識があることを前提に記述する問題ではありますが、五肢択一式で聞かれる法律知識と大差はありません、結局のところ出題形式が変わっているに過ぎないからです。

後は難しい法律用語を漢字で丁寧に書けるよう心掛けましょう。

砕いた文章でも得点としては期待できますが、出来ればしっかりとした漢字を使って法律を表現できる文章の方が得点の高さに自ずと差が出ることでしょう。

次回は行政法を題材にした記述式対策編を執筆したいと思います、執筆予定は決まっていませんが、近い内にでも。

今回の情報が皆様の合格に少しでも貢献できれば幸いです。

何かリクエストや一読して下さった感想があればコメントをお願い致します。