とにかく怖い話。コミュの「このゲームだけは」

A子さんがアメリカに留学していたときに住んでいたアパートであった話。

A子さんの隣の部屋には、母親と小学生の兄弟が住んでいた。弟はハマっているTVゲームがあって、学校から帰ってくると夢中になってやっていた。兄は小学生にしてはTVゲームに全く興味がなく、いつも外で遊んでいた。

ある日A子さんがベランダに出ると、隣の部屋のベランダの窓から部屋の中が見えるのだが、珍しく兄がTVゲームをしていた。それは弟がハマっていたゲームだった。兄も小学生なので、たまにはゲームをすることもあるかと特に気に止めなかった。

次の日、ベランダに出るとまた兄がゲームをしている。兄もゲームにハマってしまったのかと思った。

しかし、それからというものいつ見ても兄がゲームをしている。しかも学校にも行かず一日中やっているようだった。それによく見ると体勢がほとんど変わっていない。どうやらTVの前に座ってから一度も立っていないようだった。そして母親と弟の姿を見ていないことに気がついた。

心配になったA子さんは管理人に相談し、中を確認してもらうことにした。管理人が扉を開けるとものすごい異臭が室内に充満していた。その異臭の中で兄は夢中になってゲームをやっている。兄は何かをぶつぶつと呟きながらゲームをしていた。

「このゲームだけはクリアしなくちゃ。このゲームだけはクリアしなくちゃ。」

よく聞くと兄はそう呟きながら一心不乱にゲームをしていたという。

異臭がキッチンのほうからしていることに気づきキッチンを覗き込むと、そこにはおぞましい光景が広がっていた。キッチンのテーブルの上にバラバラにされた弟の腐乱死体があった。なぜか死体の一部がなかったという。すぐに警察が呼ばれ兄は連れていかれた。

警察の調べによれば、兄弟の母親は以前から育児放棄をしていて、ついに兄弟を置いて出ていってしまったそうだ。しばらくは部屋にあった食料で食いつないでいた兄弟だったが、いつしか食料がなくなり弟は餓死してしまった。兄は一人で空腹と戦っていたが、とうとう空腹に耐えられず、弟の死体をバラバラにして食べたのだという。

兄がやっていたゲームは、生前弟がハマっていたゲームだった。兄が死んだ弟に変わってクリアしようとしたのか、それとも食べられた弟の魂が兄に乗り移ったのだろうか。