はじめまして。
いつも興味深く、戦々恐々と皆さんの投稿を楽しませてもらっています。
10数年ほど過去の、とある東北にＩターンしていた時のお話をさせて下さい。このような場所に書き込みするのは初めてなので、どうぞお手柔らかにお願いいたします。
そして大して怖くないので、その点でもお許しくださったら幸いです(*- -)(*_ _)ペコリ
そもそも東北に住もうと思ったのは、姑が頻繁に倒れるようになってからでした。
舅が亡くなってからの姑は、脳梗塞の軽度な発作をくり返しては、頻繁に倒れるようになっており、50代で重度の脳梗塞を発症した経緯もあって、もはやひとり暮らしさせているわけにいかなくなり、さりとて一緒に住めるほどの広さのある家もなかったため、転居の必要があったのです。
仕事の関係で家の大部分に、仕事の作業スペースが必要であり、いっそのこと仕事の関連のある東北に住んでもいいかなと考え、緊急入院してしまった姑の容態の悪化もあり、１度だけ内見した古い民家に引越しを決めてしまいました。
田舎とはなにかも知らない都会者が、東北の冬も知らず移り住んで驚き慌てる顛末です。
さて、引っ越した先は築年数60年を越える、古い民家でした。
先ずおどろいたのは、屋外にある風呂場にあったシャワーが水しか出ないこと。
追い炊きしても、風呂に入っている間の湯温が冷めるのを食い止められないこと。。。
どうやってこの家の人達は風呂を使っていたのか！？
仕方なく自分達でお湯の出るシャワーを設置しました。
北側の押し入れの下の段の床板に、人が余裕で出入りできるような巨大な穴が空いていて、地面から風がビョービョーと吹き込んでくる。
ので床板も作り直し、部屋さえも根だから腐っていたのでやむなく……等の、大々的な直しがそこら中であり、ようやく住めるようになって１年後、姑を引き取る形で同居を始めました。
とある晩のことです。
その夜は何故か眠いのに、子供達の読んでいた少年漫画を読むでもなく、ページを引っくり返しながら遅くまで居間に居ました。
家族の誰もが自室に引き上げて寝静まっているのに、私だけ何故だか落ち着かず、寝に行こうと思いながら立ち上がる気になれないのです。
ふと、さっきから家の周りでおかしな物音が続いていることに気がつきました。
先に書いたように、家の外に離れて風呂場がありまして、どうも音は風呂場とトイレの周りを歩き回っているようです。
住んでいた民家は横に広く、８畳の居間を始めに南側に８畳が3つあり、終わったところで急な階段で２階に上がれるようになっており、その先の西側の突き当たりに離れがあって姑が暮らしていて、２階が我々の寝室でした。
つまり、東西に８畳が合計で５つ。それが２列に並んでいる家なのです。
２列の部屋が引き戸で大広間になり、南側は廊下という田舎の家屋でした。
東端の居間は、西側の姑の離れや寝室への階段と真逆にあり、細い廊下を真っ暗な庭を横目に歩いていかないと、家族のところへ行けません。
風呂場は一畳位の脱衣所と、６畳ほどのバカのようにデカイ浴室が居間よりも東側の屋外にあり、ついでに風呂場よりももっと先に暗いトイレがあり（このトイレは怖くて誰も使用出来ませんでした）、とにかく東西に長いのです。
その、東側の突端にある風呂場とトイレの周りを歩き回る砂利を踏む音が、遠くなったり近くなったりしているのでした。
子供の誰かが、風呂に入ろうとしているのかと考えてみたのですが……。
そんなに歩き回るには、街灯もない田んぼの真ん中にある民家ですから、子供も怖がって有り得ません。
隣の大家さんも、大人でも30歩は歩かないと敷地の入口につけないくらい離れてますし、まして夜更けに人気のない風呂場や、ボロボロで田舎特有の、臭いトイレに用があるわけがありません。
ザリザリ、ジャリジャリ……。
近くなったかと思うと、また裏の方へ回ったり、明らかに妙で私自身も動きが取れなくなりました。
夫は酒好きで、グテングテンになるまで呑んで寝てしまうので、全くあてになりません。
携帯を子供達が持っていなかったため、電話で呼ぶこともできず、自分のガラケーを握り締めたまま、どうしようかと固まって様子を伺っていました。
足音が居間の方へ近づいてきます。
２列に並んだ北側の列に風呂場があるため、南側の分だけ風呂場から居間は出っ張っています。
その為、センサーライトで赤外線で反応し、強く光るようにしてありました。
センサーライトは、風呂場への道と、玄関先を照らすものと2つ設けていました。
足音が居間にちかづいて、居間からの窓から、側面の風呂場とのセンサーライトがついたことが知れました。
居間にはカーテンを掛けていましたが、田んぼの真ん中にあるため外は真っ暗ですから、センサーライトで明るくなると分かるのです。
既に子供ではないことが分かっていたので、何者かが居ることに怯えながら息を殺していました。息を殺しても、居間の電気が煌々と付いているので、意味はありませんが……。
そして、ギョッとする瞬間が来ました！
建て付けの悪い玄関の引き戸の鍵をかけるのを、その日は忘れていたようなのです。
その土地ではどの家も鍵などかけないのが当たり前で、いつしか慣れてしまってました。
それでも鍵などかけるようにはしていたので、入れないと安心していたら、その日に限って空いていたらしいのです。
不意に、ガラガラガラッと玄関が開けられてしまいました！！
居間からは玄関を通り抜けて、その先の廊下に行かないと家族のいる部屋へは行けません……。玄関を押さえられると、私は独りで立ち向かわねばなりません。
仕方なく玄関に出てみると、中年男性が立っています！！
「お母さんが！！ は、来ていますよね……っっ！！
〇��□
、��子がココにっ、居ますよねっっ！！
お母さんｯﾂ！！
お か あ さん、居るんでしょ！？」
ものすごい早口なのですが、一文と一文な妙な間があり、非常に切羽詰った感じがします。
玄関に踏み入って来た体は前後に揺れ、首を伸ばして家内を覗きこみ、勢い余って今にも靴を脱いで上がってしまいそうです。
「ここには、そんな人はいません！早く出て行って！！」と強く繰り返すと、玄関から一歩外へ出てくれたので、必死にドアを締めて鍵をかけ、落ち着こうとしました。
とりあえず家から出てくれたのですが、廊下の窓はサッシではなく古くもろくなっていて、体当たりで簡単に破られてしまう代物でしたので、全く安心はできません。
急ぎ警察へ連絡しました。
「不審者現る」とのことで、大至急、パトカーを派遣するとのこと。
東京の友人に電話して起きてもらい、電話をつなげたままで警察を待ちました。
外を確認するために電気を消した居間の、カーテンを開けて見ると……！！
男がまだ玄関の前にいるではありませんか！
怖くて仕方が無いのですが、見てビックリ。
玄関先に立ち、庭に向かって小用をしています〜！
ここに来てプチんと切れてしまい、玄関をあけて後ろからどついてから「早く立ち去れ！」と怒鳴ってしまいました（汗）
モソモソと向こうむきで振り返らず、服をしまう気配がして、道の方へ行ったようなのですが見ているのも怖いので、直ぐに玄関を閉め、男が立ち去ったのを見送ることは出来ませんでした。
玄関脇の居間に戻り、カーテンを開けて見ているのですが、家から離れるのに一つしかない庭に面した細い私道を男が立ち去るのが確認できず、家の敷地内に男が留まっているのは確実です。
住んでいた家は袋小路になっていて、庭に面した細い砂利道しか、公道へ出る道がないのです。
家の裏手は畑になっていて、土まみれになって良いなら出れないこともないのですが、真っ暗ですし、何よりも東西に家が塞いでいるため、大きく回らないと裏手に出ることはできません。
玄関から家の裏手に回るためには、居間を通り過ぎて風呂やトイレのある方向へ戻るか、庭を突っ切って西側から裏手に回るかのどちらかしかありません。
そのどちらも、外を見ていれば必ず把握できます。
男の気配が玄関で消えたということは、庭先に紛れているとしか思えないのです。
いつ、とち狂って廊下にでも体当たりされ侵入されたら、身動きができない姑はどうなるのか……、子供達は……。
警察の到着を、今から今かと手に汗をかいて待っていました。
サイレンが鳴り、やっとパトカーが2台到着しました。通報から15分くらい経っていたでしょうか。
駆けつけた警官は、玄関でざっと事情を確認して、直ぐに家の周りを警官が4人で見て回ってくれましたので、私も参加して玄関先を探しました。
何故なら……。
男が気配を消してから、何故か玄関先のセンサーライトがつきっ放しで、おかしいのです。
センサーライトは、10秒程度で動かないと消えてしまう仕組みになっていて、その消えるまでの早さに苦労していて、もう少し長く付かないか試してもダメで、やりにくい思いをしていた代物なのに
その晩のその時は、警察に不審者の電話をした時からずっとライトが煌々と点灯したまま、消えないのです。
その事を警官にも告げて、皆でセンサーの先に不審者が居るのかもと想定し、徹底的に調べました。
高い木は一本しかなく、その松の上にもしつこく懐中電灯を下から照らして調べましたが、不審者の発見にいたりません。
それほど太くない松の木を揺らしてみますが、松の葉が虚しく揺れるばかりです。
結局、ライトも消えないし不審者も見つけられません。
警官の4人と私とで丁寧に見て回りましたが、居るはずの不審者を見つけられません。警官がこれ以上は……と、十分に注意するように言い残して、立ち去ることになってしまいました。
深夜とはいえ、パトカーがサイレンを鳴らして２台も到着するのに、周りの家はしんと静まり、誰一人顔を出すものはいません。
田舎のルールがあるのか、野次馬さえ居ないことが、不審者の発見に加勢もないため、心許ない思いをしたものです。
警官たちは帰ってしまいましたが、納得がいかない私は２階の寝室から庭を見張り、必ず不審者が帰るときに通報しようと待ち構えていました。
やはり不審者は敷地内の何処かに隠れていたようで、その後、1時間もしないで現れました。
突如、庭に面した細い私道に現れた男は、ひどく疲れたようにフラフラした足取りです。
直ぐに通報して、一回目よりも早くパトカーが到着。今度はあっという間に、不審者を捕縛することができました。
警官が言うには、不審者の服や髪には松の葉が大量についていたということです。
松の木といえば、玄関先に高い木が一本だけあるのですが、よじ登るには低い場所には枝もなく、上の方だけ枝はあるのですが大の男が留まれる程太くありません。
よじ登って幹にしがみついていたとしても、松の木の周りを確認しながら、警官の持つ強力な懐中電灯でしつこく照らして調べて、誰も居ないことを何度も確認しているのに……？
皆で首を捻ったのですが、不審者本人がどうも4キロちかく離れている精神病院の入院患者だそうで、質問にまともに答えられる状況ではないらしく、トンチンカンなことを口走っており、薬を間違って飲みすぎたのではと結論づけされてしまいました。
男はよくあるような入院服ではなく、私服を着ていたので、まさか入院患者だとはわかりませんでしたし、もし入院服だとしても近くの総合病院だと思ってしまったほど、精神科の病院は遠く離れた存在でした。
不審者の本人が言うには、お母さんを探しに来たということらしいのですが……、
何故、幾つもある道路沿いの家ではなく、公道から離れ、田んぼを超えた真っ暗な庭の我が家の方へしたのか、意味がわかりません。警官との会話も、間が抜けたものになり、困り果ててしまいました。
しかし、訪問者は警官に捕縛され、病院に連れ戻されました。これでもう、不審者は居なくなった筈です。
捕縛の際は、奥まった我が家から、民家の集まる公道でパトカーが停り、職務質問やら私への事情説明やら騒然としたのですが、４軒ほどある民家は静まり返り、サイレンの音にも誰も顔を出さないことも、とても異質に感じましたっけ……。
とりあえず不審者の確保で一安心し、その晩の不思議なことへの興奮が数日続きましたが、それも落ち着いて1ヶ月程した頃です。
本当の【訪問者】が、我が家へ来訪するようになりました……。
庭に沿った砂利道の私道に、深夜
ｶﾞｯ！
ｼﾞｬﾘｼﾞｬﾘ
ｶﾞｶﾞｯ！
ｼﾞｬﾘ……
ｶﾞｶﾞｯー！
ｼﾞｬﾘｼﾞｬﾘ……
ｶﾞｶﾞｯ！！
夜遅くに、重たい何かを引き摺る音が、足音とともにするようになったのです……。
その音は、庭に沿った私道を行ったり来たりを２、３度くりかえして、不意に消えてしまいます。
繰り返していますが、私道は舗装されておらず、庭の遥か手前から砂利が敷いてあり、踏みしめる足音は遠くから聞こえるはずなのですが、
深夜の訪問者は、我が家の庭のあたりからいきなり足音と、重い何かを引きずる音がし始めます。
ゆっくり、ジリジリと動く気配。
重たいものを引きずりながら運ぶ感じは、たとえば、クワを地面につけて引っ張るとか、もしくは、自転車のスタンドを下ろしたまま引きずるとか、子供達とその音の質感を表現したものです。
そう、酔っ払って寝ている旦那以外の、私と子供全員は、誰もが不審な物音を確かに聞いていました。
今度こそ、実態を見てやる！！誰もが意気込むのですが、
来訪は間隔が非常に長く、来るのも忘れた頃、深夜未明の時間となると、目が覚めても対応が遅れてしまい、音がすることをハッキリ認識した頃には、既に音がしなくなっていたりで、誰もその来訪者を確認することは出来ませんでした。
仕事で徹夜している時もあり、そんな時こそ捉えたいのですが、決定的に家屋に欠陥があり叶いません。
庭先を見晴らせる廊下の窓が、古すぎて老朽化しており、素通しで暗いところを確認するのに至らない透明感しかないのです。
ハッキリ見るには、通報した時のように、２階に上がりサッシの窓から覗くしか方法がありませんでした。
何度も、ガタガタ、ギシギシと大きな音を立てて２階に移動して、確認する頃には、不審な物音はなりを潜め、私道の向こうに広がる田んぼを虚しく眺めるしかないのです。
謎が解明できないまま、さりとて何ら物音以外の問題が起きることもなく、その謎の訪問は2年近く続き、私と子供達を悩ませた挙句、突然に終わりました。
いったい誰が訪問を続けていたのか、今となっては分かる術もありません。
ただ一つ、後から気がついたことがあります。
居間のカーテンが、明るいオレンジ色だったこと。
自分達ではあまり感じなかったのですが、遮光の効果のないオレンジのカーテンは、暗い田んぼの中で一際明るく見え、もしかしたらその色と明るさが引きつけていたのかもしれません……。
この家では、些細なことですが他にも幾つか謎の音がしており、機会があればまた書かせていただきます。
まとめる力がなくて、長文で申し訳ありません。
最後まで読んでくださって、感謝いたします。
いつも興味深く、戦々恐々と皆さんの投稿を楽しませてもらっています。
10数年ほど過去の、とある東北にＩターンしていた時のお話をさせて下さい。このような場所に書き込みするのは初めてなので、どうぞお手柔らかにお願いいたします。
そして大して怖くないので、その点でもお許しくださったら幸いです(*- -)(*_ _)ペコリ
そもそも東北に住もうと思ったのは、姑が頻繁に倒れるようになってからでした。
舅が亡くなってからの姑は、脳梗塞の軽度な発作をくり返しては、頻繁に倒れるようになっており、50代で重度の脳梗塞を発症した経緯もあって、もはやひとり暮らしさせているわけにいかなくなり、さりとて一緒に住めるほどの広さのある家もなかったため、転居の必要があったのです。
仕事の関係で家の大部分に、仕事の作業スペースが必要であり、いっそのこと仕事の関連のある東北に住んでもいいかなと考え、緊急入院してしまった姑の容態の悪化もあり、１度だけ内見した古い民家に引越しを決めてしまいました。
田舎とはなにかも知らない都会者が、東北の冬も知らず移り住んで驚き慌てる顛末です。
さて、引っ越した先は築年数60年を越える、古い民家でした。
先ずおどろいたのは、屋外にある風呂場にあったシャワーが水しか出ないこと。
追い炊きしても、風呂に入っている間の湯温が冷めるのを食い止められないこと。。。
どうやってこの家の人達は風呂を使っていたのか！？
仕方なく自分達でお湯の出るシャワーを設置しました。
北側の押し入れの下の段の床板に、人が余裕で出入りできるような巨大な穴が空いていて、地面から風がビョービョーと吹き込んでくる。
ので床板も作り直し、部屋さえも根だから腐っていたのでやむなく……等の、大々的な直しがそこら中であり、ようやく住めるようになって１年後、姑を引き取る形で同居を始めました。
とある晩のことです。
その夜は何故か眠いのに、子供達の読んでいた少年漫画を読むでもなく、ページを引っくり返しながら遅くまで居間に居ました。
家族の誰もが自室に引き上げて寝静まっているのに、私だけ何故だか落ち着かず、寝に行こうと思いながら立ち上がる気になれないのです。
ふと、さっきから家の周りでおかしな物音が続いていることに気がつきました。
先に書いたように、家の外に離れて風呂場がありまして、どうも音は風呂場とトイレの周りを歩き回っているようです。
住んでいた民家は横に広く、８畳の居間を始めに南側に８畳が3つあり、終わったところで急な階段で２階に上がれるようになっており、その先の西側の突き当たりに離れがあって姑が暮らしていて、２階が我々の寝室でした。
つまり、東西に８畳が合計で５つ。それが２列に並んでいる家なのです。
２列の部屋が引き戸で大広間になり、南側は廊下という田舎の家屋でした。
東端の居間は、西側の姑の離れや寝室への階段と真逆にあり、細い廊下を真っ暗な庭を横目に歩いていかないと、家族のところへ行けません。
風呂場は一畳位の脱衣所と、６畳ほどのバカのようにデカイ浴室が居間よりも東側の屋外にあり、ついでに風呂場よりももっと先に暗いトイレがあり（このトイレは怖くて誰も使用出来ませんでした）、とにかく東西に長いのです。
その、東側の突端にある風呂場とトイレの周りを歩き回る砂利を踏む音が、遠くなったり近くなったりしているのでした。
子供の誰かが、風呂に入ろうとしているのかと考えてみたのですが……。
そんなに歩き回るには、街灯もない田んぼの真ん中にある民家ですから、子供も怖がって有り得ません。
隣の大家さんも、大人でも30歩は歩かないと敷地の入口につけないくらい離れてますし、まして夜更けに人気のない風呂場や、ボロボロで田舎特有の、臭いトイレに用があるわけがありません。
ザリザリ、ジャリジャリ……。
近くなったかと思うと、また裏の方へ回ったり、明らかに妙で私自身も動きが取れなくなりました。
夫は酒好きで、グテングテンになるまで呑んで寝てしまうので、全くあてになりません。
携帯を子供達が持っていなかったため、電話で呼ぶこともできず、自分のガラケーを握り締めたまま、どうしようかと固まって様子を伺っていました。
足音が居間の方へ近づいてきます。
２列に並んだ北側の列に風呂場があるため、南側の分だけ風呂場から居間は出っ張っています。
その為、センサーライトで赤外線で反応し、強く光るようにしてありました。
センサーライトは、風呂場への道と、玄関先を照らすものと2つ設けていました。
足音が居間にちかづいて、居間からの窓から、側面の風呂場とのセンサーライトがついたことが知れました。
居間にはカーテンを掛けていましたが、田んぼの真ん中にあるため外は真っ暗ですから、センサーライトで明るくなると分かるのです。
既に子供ではないことが分かっていたので、何者かが居ることに怯えながら息を殺していました。息を殺しても、居間の電気が煌々と付いているので、意味はありませんが……。
そして、ギョッとする瞬間が来ました！
建て付けの悪い玄関の引き戸の鍵をかけるのを、その日は忘れていたようなのです。
その土地ではどの家も鍵などかけないのが当たり前で、いつしか慣れてしまってました。
それでも鍵などかけるようにはしていたので、入れないと安心していたら、その日に限って空いていたらしいのです。
不意に、ガラガラガラッと玄関が開けられてしまいました！！
居間からは玄関を通り抜けて、その先の廊下に行かないと家族のいる部屋へは行けません……。玄関を押さえられると、私は独りで立ち向かわねばなりません。
仕方なく玄関に出てみると、中年男性が立っています！！
「お母さんが！！ は、来ていますよね……っっ！！
〇��□
、��子がココにっ、居ますよねっっ！！ お母さんｯﾂ！！
お か あ さん、居るんでしょ！？」
ものすごい早口なのですが、一文と一文な妙な間があり、非常に切羽詰った感じがします。
玄関に踏み入って来た体は前後に揺れ、首を伸ばして家内を覗きこみ、勢い余って今にも靴を脱いで上がってしまいそうです。
「ここには、そんな人はいません！早く出て行って！！」と強く繰り返すと、玄関から一歩外へ出てくれたので、必死にドアを締めて鍵をかけ、落ち着こうとしました。
とりあえず家から出てくれたのですが、廊下の窓はサッシではなく古くもろくなっていて、体当たりで簡単に破られてしまう代物でしたので、全く安心はできません。
急ぎ警察へ連絡しました。
「不審者現る」とのことで、大至急、パトカーを派遣するとのこと。
東京の友人に電話して起きてもらい、電話をつなげたままで警察を待ちました。
外を確認するために電気を消した居間の、カーテンを開けて見ると……！！
男がまだ玄関の前にいるではありませんか！
怖くて仕方が無いのですが、見てビックリ。
玄関先に立ち、庭に向かって小用をしています〜！
ここに来てプチんと切れてしまい、玄関をあけて後ろからどついてから「早く立ち去れ！」と怒鳴ってしまいました（汗）
モソモソと向こうむきで振り返らず、服をしまう気配がして、道の方へ行ったようなのですが見ているのも怖いので、直ぐに玄関を閉め、男が立ち去ったのを見送ることは出来ませんでした。
玄関脇の居間に戻り、カーテンを開けて見ているのですが、家から離れるのに一つしかない庭に面した細い私道を男が立ち去るのが確認できず、家の敷地内に男が留まっているのは確実です。
住んでいた家は袋小路になっていて、庭に面した細い砂利道しか、公道へ出る道がないのです。
家の裏手は畑になっていて、土まみれになって良いなら出れないこともないのですが、真っ暗ですし、何よりも東西に家が塞いでいるため、大きく回らないと裏手に出ることはできません。
玄関から家の裏手に回るためには、居間を通り過ぎて風呂やトイレのある方向へ戻るか、庭を突っ切って西側から裏手に回るかのどちらかしかありません。
そのどちらも、外を見ていれば必ず把握できます。
男の気配が玄関で消えたということは、庭先に紛れているとしか思えないのです。
いつ、とち狂って廊下にでも体当たりされ侵入されたら、身動きができない姑はどうなるのか……、子供達は……。
警察の到着を、今から今かと手に汗をかいて待っていました。
サイレンが鳴り、やっとパトカーが2台到着しました。通報から15分くらい経っていたでしょうか。
駆けつけた警官は、玄関でざっと事情を確認して、直ぐに家の周りを警官が4人で見て回ってくれましたので、私も参加して玄関先を探しました。
何故なら……。
男が気配を消してから、何故か玄関先のセンサーライトがつきっ放しで、おかしいのです。
センサーライトは、10秒程度で動かないと消えてしまう仕組みになっていて、その消えるまでの早さに苦労していて、もう少し長く付かないか試してもダメで、やりにくい思いをしていた代物なのに
その晩のその時は、警察に不審者の電話をした時からずっとライトが煌々と点灯したまま、消えないのです。
その事を警官にも告げて、皆でセンサーの先に不審者が居るのかもと想定し、徹底的に調べました。
高い木は一本しかなく、その松の上にもしつこく懐中電灯を下から照らして調べましたが、不審者の発見にいたりません。
それほど太くない松の木を揺らしてみますが、松の葉が虚しく揺れるばかりです。
結局、ライトも消えないし不審者も見つけられません。
警官の4人と私とで丁寧に見て回りましたが、居るはずの不審者を見つけられません。警官がこれ以上は……と、十分に注意するように言い残して、立ち去ることになってしまいました。
深夜とはいえ、パトカーがサイレンを鳴らして２台も到着するのに、周りの家はしんと静まり、誰一人顔を出すものはいません。
田舎のルールがあるのか、野次馬さえ居ないことが、不審者の発見に加勢もないため、心許ない思いをしたものです。
警官たちは帰ってしまいましたが、納得がいかない私は２階の寝室から庭を見張り、必ず不審者が帰るときに通報しようと待ち構えていました。
やはり不審者は敷地内の何処かに隠れていたようで、その後、1時間もしないで現れました。
突如、庭に面した細い私道に現れた男は、ひどく疲れたようにフラフラした足取りです。
直ぐに通報して、一回目よりも早くパトカーが到着。今度はあっという間に、不審者を捕縛することができました。
警官が言うには、不審者の服や髪には松の葉が大量についていたということです。
松の木といえば、玄関先に高い木が一本だけあるのですが、よじ登るには低い場所には枝もなく、上の方だけ枝はあるのですが大の男が留まれる程太くありません。
よじ登って幹にしがみついていたとしても、松の木の周りを確認しながら、警官の持つ強力な懐中電灯でしつこく照らして調べて、誰も居ないことを何度も確認しているのに……？
皆で首を捻ったのですが、不審者本人がどうも4キロちかく離れている精神病院の入院患者だそうで、質問にまともに答えられる状況ではないらしく、トンチンカンなことを口走っており、薬を間違って飲みすぎたのではと結論づけされてしまいました。
男はよくあるような入院服ではなく、私服を着ていたので、まさか入院患者だとはわかりませんでしたし、もし入院服だとしても近くの総合病院だと思ってしまったほど、精神科の病院は遠く離れた存在でした。
不審者の本人が言うには、お母さんを探しに来たということらしいのですが……、
何故、幾つもある道路沿いの家ではなく、公道から離れ、田んぼを超えた真っ暗な庭の我が家の方へしたのか、意味がわかりません。警官との会話も、間が抜けたものになり、困り果ててしまいました。
しかし、訪問者は警官に捕縛され、病院に連れ戻されました。これでもう、不審者は居なくなった筈です。
捕縛の際は、奥まった我が家から、民家の集まる公道でパトカーが停り、職務質問やら私への事情説明やら騒然としたのですが、４軒ほどある民家は静まり返り、サイレンの音にも誰も顔を出さないことも、とても異質に感じましたっけ……。
とりあえず不審者の確保で一安心し、その晩の不思議なことへの興奮が数日続きましたが、それも落ち着いて1ヶ月程した頃です。
本当の【訪問者】が、我が家へ来訪するようになりました……。
庭に沿った砂利道の私道に、深夜
ｶﾞｯ！
ｼﾞｬﾘｼﾞｬﾘ
ｶﾞｶﾞｯ！
ｼﾞｬﾘ……
ｶﾞｶﾞｯー！
ｼﾞｬﾘｼﾞｬﾘ……
ｶﾞｶﾞｯ！！
夜遅くに、重たい何かを引き摺る音が、足音とともにするようになったのです……。
その音は、庭に沿った私道を行ったり来たりを２、３度くりかえして、不意に消えてしまいます。
繰り返していますが、私道は舗装されておらず、庭の遥か手前から砂利が敷いてあり、踏みしめる足音は遠くから聞こえるはずなのですが、
深夜の訪問者は、我が家の庭のあたりからいきなり足音と、重い何かを引きずる音がし始めます。
ゆっくり、ジリジリと動く気配。
重たいものを引きずりながら運ぶ感じは、たとえば、クワを地面につけて引っ張るとか、もしくは、自転車のスタンドを下ろしたまま引きずるとか、子供達とその音の質感を表現したものです。
そう、酔っ払って寝ている旦那以外の、私と子供全員は、誰もが不審な物音を確かに聞いていました。
今度こそ、実態を見てやる！！誰もが意気込むのですが、
来訪は間隔が非常に長く、来るのも忘れた頃、深夜未明の時間となると、目が覚めても対応が遅れてしまい、音がすることをハッキリ認識した頃には、既に音がしなくなっていたりで、誰もその来訪者を確認することは出来ませんでした。
仕事で徹夜している時もあり、そんな時こそ捉えたいのですが、決定的に家屋に欠陥があり叶いません。
庭先を見晴らせる廊下の窓が、古すぎて老朽化しており、素通しで暗いところを確認するのに至らない透明感しかないのです。
ハッキリ見るには、通報した時のように、２階に上がりサッシの窓から覗くしか方法がありませんでした。
何度も、ガタガタ、ギシギシと大きな音を立てて２階に移動して、確認する頃には、不審な物音はなりを潜め、私道の向こうに広がる田んぼを虚しく眺めるしかないのです。
謎が解明できないまま、さりとて何ら物音以外の問題が起きることもなく、その謎の訪問は2年近く続き、私と子供達を悩ませた挙句、突然に終わりました。
いったい誰が訪問を続けていたのか、今となっては分かる術もありません。
ただ一つ、後から気がついたことがあります。
居間のカーテンが、明るいオレンジ色だったこと。
自分達ではあまり感じなかったのですが、遮光の効果のないオレンジのカーテンは、暗い田んぼの中で一際明るく見え、もしかしたらその色と明るさが引きつけていたのかもしれません……。
この家では、些細なことですが他にも幾つか謎の音がしており、機会があればまた書かせていただきます。
まとめる力がなくて、長文で申し訳ありません。
最後まで読んでくださって、感謝いたします。
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