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とにかく怖い話。コミュの天使と悪魔

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誰も信じてくれないかもしれないけど、

ある日から僕は、天使と悪魔が見えるようになった。

お話しではありがちな設定だけど、いざ現実に起こってみると正直困惑した。

天使と悪魔は、事あるごとに耳元でそれぞれの意見を囁く。

…僕はそれを聞きながら、人生の選択をして行くのだが…。

〜〜〜〜〜〜〜〜
 ある朝起きると、いつものように天使と悪魔が僕の顔を覗きこんだ。

天使「へっへっへっ。おいおい、今日お前、熱があるじゃねーかよ? そんな体で無理したらヤバいんじゃねーのか?
…学校なんてサボっちまえよ!
人生は腐るほど残ってんだ。
一日くらい休んでも10年後には大した差なんて出てねーよ!」

悪魔「ダメだよ!学校を休むのはいけない事だよ!
しんどくてもきちんと学校に行くんだ!
一日の遅れが取り返しの付かない遅れになる事もある!
今日一日がんばらなかっただけで、受験に失敗して人生台無しになんて未来…嫌がだよね?」



…結局、僕は悪魔の誘惑に負けて学校へ行く事にした。

未来の見えない僕ら人間にとって、進路はとてもデリケートな部分。
少しでも不安の種は摘んでおかなきゃならない。

熱を計ると38度6分だった。

頭が痛い…。



 通学中の信号待ち。

交差点の向こうにお婆さんが立っている。

…と、その時だった。

そのお婆さんが胸を押さえ、ゆっくりと倒れこんだ。

辺りに人は誰も居ない!

しかし信号は赤!

車は…元々交通量が少ないこの交差点。一台も見当たらない。

天使「ケッケッケッ。絶対にダメだぜ、信号無視なんてしたらよ。
なんてったって、人間が人間同士で決めたルールなんだからよ。
一人がそれを犯しちゃあ、全てがおかしくなる。
あのババアが死のうが生きようが、それは運命だ。
全然大した事ぁねえよ」

悪魔「行くんだ!さあ!何してるんだ行くんだよ!
車なんて全然来ていないじゃないか!
早く行かなきゃあのお婆さんが死んじゃうかもしれないよ!
人の命がかかってるんだ!
さあ!信号無視なんてこの際どうでも良いから助けに行くんだよ!」



 …僕は結局、お婆さんを助ける事にした。
幸いにも、お婆さんの近くに公衆電話があったので、僕の鞄を枕にしてお婆さんを横たわらせた後、119番に電話して救急車を呼び、お婆さんは一命をとりとめた。
…ただ、僕はこのせいで信号無視という罪を犯し、学校にも遅刻した。



先生「はあ?倒れてたお婆さんを助けて遅刻しただと?
そんなウソが通用するか!
廊下に立ってろ!」


…所詮、公務員の、先生にお婆さんを助けたなんて理由を信じる心なんて無く、僕は廊下に立たされる事になった。

仕方が無いので僕は生徒会長の白石さんの横顔を眺めて暇を潰した。

白石さんは一般的には美人では無いし、性格も捻れているから皆から嫌われている。

…でも僕は、そんな白石さんがタイプなのだ。

…と、チラチラと白石さんがこちらを見だした。
 そして何かを思い出したように白石さんは「先生!」と手をあげた後、「私、今朝信号無視している生徒を見かけました!」と僕の事をチクった。



天使「ハッハッハ! だーから言っただろ!ババアなんて放っとけってよ! 悪魔の言う事なんて聞くからこうなんだよ!」

悪魔「これは試練なんだよ!耐えて!耐えるんだよ!
人生、色々だよ!
千代子だよ!」


 先生の指示で、僕は白石さんに連れられて生活指導室に向かう事となった。

…憧れの白石さんと二人きりのシチュエーションなのに…まさか連行という形とは…。

生活指導室に入り、僕は座らされた。
白石さんは僕の目の前に二枚の紙を重ねて置き、「今から生活指導の先生呼んでくるから、それまでに学校の規則とか書いてあるから、ちゃんと目を通しておいてね!」と言って部屋を出て行った。


天使「キャッキャッキャッ。
どうだ?悪魔の意見で動いて泥沼にはまっていく気分は?
イイキミだなぁオイ。
それよりお前しんどいんだろ?
少し机に伏せて仮眠とっとけよ。
は?学校の規則の紙?
んなもん生徒手帳に書いてあんだから体調良くなってからいつでも読めんだろうがよ!」


悪魔「ちゃんと読まなくちゃだめだよ!
白石さんがせっかく用意してくれた紙だ!
見なきゃいけないよ!
好きなんだろ?
…え?裏切られた気分で複雑な心境だって?
馬鹿いうなよ!
男が一度惚れたオナゴを曲げたらいかんばい!」



…僕は結局、しんどさに負けて少し仮眠をとる事にした。

しばらくすると白石さんと生活指導の先生がやってきた。

先生は「何寝てやがる!」と言って僕の髪の毛を鷲掴みにして持ち上げ、頬を何度も何度もぶたれた。

白石さんは「結局読んでいないのね!」と言って、床に落ちた二枚のプリントを拾い上げた。

先生の体罰を受けながら、僕の意識は薄れて行った。

…天使と悪魔。

一体どっちが正しくてどっちが間違っているんだろうか?


僕にはわからない…。


〜〜〜〜〜〜


悪魔「…あーあ。だから言ったんだよ。廊下歩いてる時に直接伝えろってよ。まわりくどい事すっから失敗すんだよ」

天使「いや、これで良かったんだよ! 彼がきちんと白石さんの用意したプリントに目を通すような誠実な若者なら、ちゃんと気づいていたはずだから!
…彼は…白石さんに相応しい男では無かったという事だよ!」

「…もういいよ!…もう、終わったんだから」


私は両肩にそれぞれ座っている天使と悪魔に言った。

そして、先生に見られずに回収出来た二枚のプリントを鞄から取り出した。

学校の規則が書いてある一枚目のプリントを捲り、二枚目を見る。

【ずっと好きでした、付き合って下さい】


悪魔「…あーあ。やっと二人きりの状況作ってやったのによ〜…」

「うるさい!」

私は悪魔を手で払いのけようとした。

当然手は悪魔をすり抜けた。


天使と悪魔のアドバイス。

一体どちらが正しいのだろうか?

私にはよく解らない。


(了)

コメント(5)

さすがです、でびさんかなりいけてます〜!
>>[001]

やっぱりお笑い要素もう少し要る?
>>[2]
いやいや、これはそもそもの天使と悪魔も捻ってあって、ひねくれてるし、僕としては満足です! あんまふざけると叩かれるし〜。
デビもエンジェルもカオス過ぎてなんかもう(´_ゝ`)
(^^)
はじめまして。

最近コミュに参加した者です。
とても面白いお話ですね。
俺も某コミュにてちょっとした書き手をしているのですが、とても勉強になりましたw

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