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とにかく怖い話。コミュの未遂にさせたもの

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10歳の冬、自殺に失敗した。


よく遊んだお社で首を吊ろうと考えた。

昼のうちに用意をする。
農作業用の縄でなく、丈夫なザイル。
踏み台として板に小さな木片を釘で固定し足場をつけたものを作った。

夜。

初めは首に巻いて端を枝に結び枝から飛び降りようとした。怖くて出来なかった。

よく遊んだ木の枝に結わえる。上に登ったりもしたので強度は十分。

ロープを確認し、足場を蹴った。


暗転


あ。と目を開けたら、枯れた枝が青紫の空を掴もうとしている手のようだった。

夜が明けようとしていた。
枝が折れ、木の根元に頭を打って気を失っていたのだ。

「ああ。」

と思った。
良かったでも悪かったでもなく、ただ、「ああ」と思った。

後頭部が切れていたが出血は治まっていた。
首の付根と耳の後ろの擦過傷。
肩甲骨の打撲。

寒さと打撲で体がギシギシ軋むのを引きずるように帰ろうとした。


作務所の戸が開き、おじさんが出てきた。
手で招いている。
拒む気力もなくのろのろと従う。

土間に腰掛ると、味噌汁を出してきた。
冷えた体に美味しくて、涙やら鼻やら出ていた。

食べ終わると頭を下げ帰った。

頭は獣医に縫ってもらう。

それで何も変わらない日常に戻った。



6,7年は経ったか、法事で祖父母の家に行った。

所在ないのでお社に散歩に行く。

そのおじさんが話してくれた。
その人はお社の雑務をする人で神主さんではないのだが、ナゼか境内に住んでいる。
今から考えると鳥居の内側に煮炊きする場所があるのも変だが、その地方の神様は大らかなのかも知れない。

自殺未遂後も何度も会っているのだが、何も言わなかったのだが。
なぜかその時に話してくれた。

おじさんが寝ていると、土間から声が聞こえた。

「寒いなぁ。こんな日は温かいのがいいな。温かい味噌汁がいいな」

無視していると声が何度も続いた

「寒いな。温かい味噌汁がいいな」

「味噌汁がいいな」


年寄りの声だったそうだ。

気味が悪いと思いながらも声に従う事にした。

味噌汁が出来上がってしばらくしたら、同じ声が今度は土間にいる自分のすぐ横から


「ああ、外にいる。そこにいる」





戸を開けると幽霊のような我がいた。


コメント(26)

壮絶な子供時代・・。
でも犬さん、猫さん、そして誰か分からないお爺さん?
どうしてもくろたえさんを助けたいと思ってくれてた存在は確かにいたのですよね。
くろたえさんの身の回りには、今でも神さま(妖怪?精霊?)が居る様な気がします。
わーい。くろたえさんだ。
いつもじんわりと心にしみるお話し大好きです。
またいろいろ聞かせてくださいね。
お爺さん…。
それはくろたえさん御自身な気がしました。

くろたえさんて、どこか老賢者な雰囲気があるのです。
生きている方の本人は大変なのに、内面の本質は、至って穏やかで、存在が大きいのですね。

くろたえさんだぁ
\(^ー^)/ウレシイ

悲しい思い出の中に
滔々と流るる 生命の力。
不思議な何か、誰かが
力を貸してくれたんでしょうね。
人は 一人で生きているんじゃないんだなぁ


今更ながら感じました。

また お話聞かせてくださいね。

語り部くろたえさんと引き合わせてくれた、大きくて温かい「何か」の計らいに感謝です。
じんわり来ました。ありがとうございます。
最初、すぐには意味が良く判らなかったのですが
何度も何度も読んでいるうちに涙が出てきました…。
くろたえさんは何かに護られているのですね。
きっと今も護られているのだと思います。
いつも素敵なお話をありがとうございます。

声の主はその木だったのではないでしょうか。
いつも自分の側で遊んでいた子供の危機を見過ごせず、わざと枝を折り、更に雑務のおじさんに助けを求めたのかと。
>>[1]

人との縁の薄かった子供時代は人以外の存在に守られていたようです。
不思議に出会った過去は、同時に驚くほどの人との絆のなさを思い出させます。
お爺さんがどんな存在だったのか今も分かりませんが、人の子を哀れむモノがいてくれたようですね。

人の無関心や悪意が強いぶんだけ、人の反対のものが守ってくれたのでしょうか。
30年経った今なら、素直に生きていることに感謝できます。

いつも、コメントをありがとうございます。
>>[2]

人の世界で、しかも都心での生活なので不思議からは遠くはなれています。
また、忙しい仕事などで感性なども鈍っていることでしょう。
霊感などない我には何も感じれませんが、無事に生きている今を見守っていてくれていたら、嬉しいですね。

コメントをありがとうございました。
>>[3]

我を認識してくださってありがとうございます。
今までの話も気に入ってくださってナニヨリです。

また、思い出したら書かせていただくこともあるかと思います。

コメントをありがとうございました。
>>[3]

我を認識してくださってありがとうございます。
今までの話も気に入ってくださってナニヨリです。

また、思い出したら書かせていただくこともあるかと思います。

コメントをありがとうございました。
>>[4]

ご無沙汰しております。
覚えていてくださって嬉しいです。&驚きです。

書いたものはお気に召しましたでしょうか。

コメントをありがとうございました。
>>[5]

どこか高いことから俯瞰されているような、ゆふさんからのコメントなので心して読ませていただきました。
老賢者ですか・・・
本人は心も頭も幼くつまらない感情に振り回される事が多々ある、大人に成りきれていない未熟者なのですが。
昔、転生を繰り返した古い(?)魂で「業」と「浄化」どちらも強く負っている。といわれた事がありましたが、何か関係がありますかね。
まあ、一族が「神の縁」と「人の呪い」との業と強かったですから、我だけではないだろう思っていましたが。

何があっても心は中庸でありたいと思っているので、内面を「穏やか」と表現されて、とても嬉しいです。

コメントをありがとうございました。
>>[6]

確かに「命の力」ですね。「命への力」とでも言いましょうか。
優しい意思の上に力を向けてくれたのでしょう。
この頃は、少しの違いで死んでいたかも知れないことが多々ありました。
そんな中で、少しだけ力を分けてくれたのかと思います。

人は、人という種族の中でも、様々な命の中でも、けっして一つで存在しているものではないのですね。

我も誰かの力になれればと願います。

コメントをありがとうございました。
>>[7]

今回もコメントをありがとうございます。

「語り部」ですか。
我が語るのは「伝えなければならない」というよりも、「吐き出して整理したい」という感じですかね。
子供の頃に感じた感情は覚えていません。
文章に起こして初めて、その時の感情を思い出します。
「ああ、悲しかったのだ」「苦しかったのだ」過去の自分を慰めているような、利己的なものではありますが、
そのことが、誰かの目に留まり、心の琴線を揺らすことが出来るのなら嬉しいですね。
我の今の存在理由は、「なにか」の意思に沿っているのか、正解は分かりませんが、きっと生きているだけで許してくれるだろうと思っています。
>>[8]

「じんわり」いい言葉ですね。
優しさや癒しを想像します。
そんなふうに誰かにすることが出来るのは嬉しいです。

コメントをありがとうございました。
>>[9]

分かりにくい文章で申し訳ありません。
拙い文章使いで「不思議」を描くのは、頭の残念な我には大仕事です。
そんななか、何度も読んでいただき、感じ取ろうとしていただき、本当にありがとうございます。

我を護ってくれる存在は、とても分かりにくく、命の危険を覚えた日々ではありましたが、それでも居たのです。
今なら、それが分かります。

コメントをありがとうございました。
>>[10]

いつもコメントをありがとうございます。

はい。
木の枝に乗ったり、揺らしたりして遊んでいた木でした。
木に死体を吊るす非礼を詫びてからザイルを結わえました。
その謝意を受けても、尚、我を生かしたいと望んでくれたのでしょうか。

直前にも揺らした枝が、頚動脈を圧迫するよりも早く折れました。

長寿の木なら、お爺さんの声というのも納得する気がします。
そうかも知れませんね。
木の精とか、そんざ存在だったのでしょうか。
>>[17]

ありがとうございます。
それらに関しては、以降メッセージをさせていただきます。
>>[25]

こちらにもコメントをいただき、ありがとうございます。

人との世界では凍りつきそうでしたが、獣や不思議な存在には温かい接触がありました。

気に入っていただけたのなら、ナニヨリです。

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