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とにかく怖い話。コミュの【創作】 禁断の果実

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以前、以下の創作作品を書いた者です。
描くこども http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=65443581&comm_id=1154462
私の友達 http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=65512407&comm_id=1154462
※本編はコメント9まで。蛇足ながらコメント32に続きがw

この作品は、じょにお氏の「寄生(創作)」
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=65821665&comment_count=13&comm_id=1154462
でのコメントでのやりとりを受けて公開することにしました。
実際に書いたのは二年くらい前ですが、誤字脱字チェック、携帯でも読みやすいようにの改行など多少手を入れております。
内容的にちょっと下なのと怖さが微妙なのとでこのコミュにはふさわしくないかもです。
何か問題があれば削除いたします。



--------------------


「教授。ホントにこっちで合ってるんですか?」
 コンパスを見ながら中南米の奥地を歩くこと七時間。それもまだ目的地に着いてもいないのだ。
「厳君、それを言うのは何度目だい? 環君を見習いたまえ」

 環は俺と同じく教授の助手をしている院生。眼鏡美女という形容がしっくりくるいい女だが、性格がすごいキッツイせいで男っ気全くなし。というか男嫌い。引き合いに出された今も俺を見て鼻で笑いやがった。
「俺、教授の分の荷物も持っているんですけど」
「ああ、すまんすまん。とにかくもうそろそろ着くはずなんだがなぁ……」

 話は二週間前にさかのぼる。うちの教授は中南米の古代史を研究しているのだか、実は教授の弟さんも同じ古代史研究の教授なのだ。兄弟ともに教授。弟教授は主にマヤ暦が専門で、特にマヤ暦には2012年に人類が滅びるという解釈の出来る部分があるということで、ここ数年は頻繁に中南米を訪れては情報を集めていた。
 だが彼は突然消息を絶った。

 彼は一人で行動するのを好んでいたため、衛星携帯電話とGPSを持ち歩き撮影データもこまめに研究室へ転送していた。教授兄弟はフィールドワークで集めた情報を共有していたために、彼が送ったデータは全て教授というか助手の俺たちも見る事が出来た。ここ数年は、現場の弟教授と、こっちの教授とでやり取りしつつ、それを受けて更に弟教授が移動するパターンが出来ていたから、教授いわく「話の途中」でその連絡が途絶えたってことをすごく心配していた。もし何かの事態に巻き込まれたとしても、急いでかけつければ助けることが出来るかも、と「最後に連絡があった場所」を目指しているのだが……

 その最後の場所ってやつが問題だった。彼の研究では、そこには古代マヤ文明を滅ぼした兵器が封じられているという。ただでさえ危険なジャングルに文明を滅ぼした兵器ときたよ。そんな危険なものが実在するのなら、それを守る存在なり仕組みなりがあるかもしれないと教授自身も言っていたほど。インディ・ジョーンズばりの冒険だよ……弟教授はその兵器自身か、もしくは兵器を封じた存在によって消されたって可能性も否めない。本当は俺も来たくはなかった。

 それでも教授にとって、弟教授は長年の研究仲間であり唯一の肉親でもある。せめて遺体の一部でも日本に持ち帰りたいってのは分かるし、旅費も全部出してくれるしってことで参加することになった俺ではある……が、実は教授に内緒でもう一つ理由があった。
 弟教授が撮った写真の中に、不思議な絵があったのだ。マヤ人が記録を残す時に使う石碑(ステラ)。そのステラに刻まれた絵は、まだ見たことがないものだった。木の実を食べた男の股間が大きくなる図と、同じ木の実を食べた女の胸が大きくなる図。まわりの文字を解読するとどうやらその木の実を食べるとそうなる、っぽい。これには金の匂いがした。マヤ古代文明の強壮剤か、いやひょっとしたらマンガに出てくるような悪魔の実かと。

「や、厳君! 環君! こ、これを……」
 教授の悲しげな声に、現実に引き戻された。我々の目の前に少し開けた広場のようなものが現れ、その先にセノーテへの入り口が見え……え……あれって……。
 教授の指した先にあったのは……吊り下げられたミイラ?

 セノーテというのは、ここ中南米はユカタン半島に無数にある天然の井戸のようなもの。とはいっても規模は相当でかく、大型のはスカイダイビングのスポットとしても有名になっていたりもする。石灰岩質の大地は水に侵食されて陥没穴が出来やすく、そこに水が溜まって天然の井戸みたいな状態に……とはいっても、中にはすごく長い鍾乳洞がまんま水没しているセノーテだってある。

 そのセノーテの入り口……ジャングルにぽっかり空いた巨大な縦穴の向こう岸に、植物のつるのようなもので両腕をしばられたまま吊るされている。早速デジカメを取り出し、望遠で撮影する。

 撮った画像をモニタで確認するうち、突然、教授が膝をついた。その全裸のミイラは下半身に激しく焼け焦げた跡があり、正直あまりズームしたくなかったから、俺はあんまり直視はしていなかったのだが……。
「……弟だ……この胸にある傷跡、小さい頃に事故で出来た傷……顔にも面影が残っている……」
 その教授の一言で、さっきまで自分の中に残っていた唯一の前向きな気持ちさえ、ベキッとへし折られた気分だ。

「教授……危ない!」
 環の声に弾かれるように教授を引っ張ると、さっきまで教授が居た場所に矢が突き刺さる。

「厳、囲まれてるわよ」
 いつも強気の環の声が震えている。いや、震えているのは俺も同じか。彼等は古い時代のインディオの戦士の格好をしていた。弓を構えたまま一定の距離を保っている。その中からリーダーっぽい男が一歩前に出ると、我々に裸になるよう指示をする……というか、教授が知っている言葉らしく、そう訳してくれたわけなのだが。

 環が教授に詰め寄ろうとするが、牽制の矢が飛んでくる。ホンモノの矢だ。俺達は素直に従うしかなかった。服を一枚づつ、もったいつけながら脱ぐ。時間を稼ぎつつ逃げる方法を考えてはみるものの……頭の中に浮かぶのは結局「矢が刺さってゲームオーバー」ってシーンばかり。というより全裸って……さっきの弟教授の遺体が脳裏をよぎる。下半身燃やすってどんなハードプレイよ?

「こっち、見ないでよ……」
 そう言われて初めて、自分の隣に服を脱いでいる女が居ることに気付く。なんかさ、命の危険にさらされると種を残そうって気になって……ってアレ、ウソだな。俺のナニは見事にちぢこまっちゃっている。そういや環のオンナっぽい表情も初めて見るかもだな。俺はいつの間にか脱出方法を考えるのを忘れ、チラチラと横目で環の裸を覗いていた。しっかし男っぽいのは性格だけかと思っていたが胸も見事に男だな。そう思いながらも目は釘付け。男ってバカだ。

 環が最後にメガネを外したタイミングで向こうのリーダーさんが何か言った。すぐに教授が訳してくれる。
「もう服を着ていい、とのことらしい」
 ヌード大会はあっという間に終了。とりあえず下半身は守れたのかな?

 俺たちはそのまま彼らの案内するままにジャングルを歩かされる。ついた先は彼らの集落と思しき場所。

 教授が彼らの言葉を喋ることが出来たせいか服を着た後はそこそこ友好的に接してもらえた。だが弟教授は神の怒りに触れたとかで遺体は持ち帰るどころか、触れることすら禁止。教授の無念はわかるけれど、俺と環は二人してもうその話題はやめましょうよと教授を説得する。せっかく無事に帰れそうなのに、ここでこじれるわけにはいかないものな。

 夕飯をご馳走になっている途中、さっきのリーダーっぽい人が教授に何か手渡していた。遺髪なら大丈夫だったよ、と笑う教授に俺たちはゾッとした。なんらかの理由があるにせよ人を平気で殺せる現地の人と、会話できるのは教授だけ。あれだけ説得して「わかった」って言ってたのに、その後も交渉を続けていたのか……明日の朝、無事に帰れるっていう話も信用してよいものか……

 教授の説明によると、彼らははるか昔からこの地に潜み住み大事なものを守っているだとか。大事なものってやっぱアレだよな……文明を滅ぼしたアレ。
 余計なこと話して殺されたりとか、嫌だぜ。

 遺髪をもらえた教授はすっかりスイッチが研究者モードに切り替わったっぽく、リーダーさんとすっかり打ち解けて話し込んでいる。俺たちは集落の外れにテントを広げ先に寝ることにした……というのはフリだけ。

 テントの中で一人になった俺はPDA端末の電源を入れた。弟教授の送ってくれたデータをコピーしておいたのだ。集落の人の家に招待された時はもう無理かとも思ったが、教授に通訳してもらい彼らと離れてテントで寝るという作戦を成功させた。あの果実のことを、俺はまだ諦めていなかった。

「まだ起きてる?」
 環が、俺のテントのほうにやってきた。あわててPDA端末を隠すのと同時に、環はテントの入り口のジッパーを開けやがった。
「ナニやってるのよ?」
「なななナニかしてたらどうすんだよ。勝手に開けるなよ」
 ちょっと動揺する俺。中学生の頃、親にマスターベーションを見つかりかけた時くらい焦った。

「へー。あきらめてないのね?」
 ぬ。こいつひょっとして……俺の計画を知っている?
「なんで計画バレてんだって顔ね。大丈夫、教授には話してないわ」
 環を信用してよいものだろうか。チクられたら、俺は下半身丸焼きの刑になるかもしれないこと。
「な、なんのことだよ。明日早いんだぞ、もう寝ろよ」
「協力してあげよっかなって思ってるのに、その態度なわけ?」

 協力……信用してよいものだろうか。というか環ってそんなに金に困っていたっけかな。環はテントの中に入ってくると入り口を閉じ、俺を見つめた。ちょっと顔が近い……というか、昼間のこいつの裸を思い出してしまう。普段友達だと思ってるやつの裸見ちゃうと、なんか顔をまっすぐ見れなくなるよな。

「巌が見ることが出来るデータは私も見ることが出来るのよ……あのステラにあった木の実でしょ?」
 ここまでバレてるのならとぼけるのは時間の無駄ってやつだ。
「協力する……って、もし失敗したら死ぬかもだぞ……」
「でも、巌はやる気なんでしょ?」
「連中が守ってるのは例の兵器とやらだろ? それにさえ手を出さなければ大丈夫なのかな、なーんてね」
「死にかけたってのに、たくましいのね」
 いつもとはちょっと違う口調。やっぱ裸を見せ合った仲だからか?
「俺の本当のたくましさは、あんなサイズじゃないんだぜ」
 調子にのって大口叩いてはみたものの、俺は自分のナニのサイズにそんなに自信があるほうじゃない。大学で初めて行った合コンで優しそうな女の子と意気投合してラブホ行ったら、「ちっさ」って笑われて萎えて傷ついてそのまま一人で帰ってきちゃって以来、女とは縁がないというか女性恐怖症に近い感じの勉強漬けの生活。

「サイズ……」
 環の声のトーンが突然変わった。ちょ、ちょっと、ドキドキする。

「さっきさ……私の裸チラ見してたでしょ……どうだった?」
 どどどど、どうって。どうどうどういうこと? って俺は中学生男子かよ。
「んー。ん……あ、あんまり見てないよ。そんなゆとりなかったし」
 思いっきり嘘をつく。やばい。思い出しちゃったよ。

「ありがと」
 そう言った後、環は自分の過去を語り始めた。昔から胸がないことがコンプレックスだったことを。たいていの男は「美人なのに胸がないからもったいない」と言う。女の価値は胸だけかと、胸がないと自分の価値は全て否定されるのか、と半分泣きながら熱く語る。だからいつの間にか男ってもの自体が嫌いになっていたと。
 女の環にここまで告白されて俺も黙ってはいられなかった。自分の抱えてきた女性への不信感、嫌悪感を隠さずに話した。俺たちは同じ「小さい」悩みを抱えてきた同志。体だけでなく心の中も、お互いを隠すことなく見せ合ったのだ。

「あの木の実、私も狙っていたの」
 俺たちは固い握手をした……となると、限られた時間の中で出来ることをしなくては、だ。


「あの捕まった場所から進んでいた方角。そしてこの場所……多分、あの木の実のステラのあった場所はここからそんなに遠くないはずなんだ」
「でも、その場所って神域だよね。近づいただけでヤバそうじゃない? きっと夜だって見張りいると思う」
「ああ。もちろんそこまでは行かない。俺が狙っているのはこれだ」
 PDA端末にコピーしておいた写真を環に見せた。

「……これって、弟教授のランチ風景だよね?」
「ああ、ステラをバックにペットボトルと潰れたサンドイッチとアボカド……のようなもの」
「そっか! 私もアボカドみたいに柔らかいもの、よく壊さずに持ち運んだなってチラッと思ったの!」
「だろ。きっとこれが例の木の実だ。そして弟さんはこれを手に入れていた」
「……でも、没収されていないかしら」
「最後のメールさ、変な画像が一枚だけだったろ」
「うん。なんか竜みたいに見える樹……本文なかったし」
「本文を打つヒマがなかった……逃げている途中とかで……で、そこで送信した画像だとしたら……」
「そっか、隠し場所!」
「行ってみる価値、あるだろ?」
「巌……ちょっと見直した」

 二人でこっそり準備をする。幸い、あまり荷物は調べられていない。わざと大きな声で言い争いをしている風を装い、聞き取り調査用のICレコーダーにそれを録音した。最悪の場合、そのまま逃げることになるかもしれない。かさばらないよう荷物を慎重に選び、まずは俺がトイレに出た。

 そんなに人数の多い集落ではなかったし、それに教授のおかげで信用も得ている。昼間見た集落の様子と夜中の今の様子とを見比べ、見張りの位置を確認して戻る。充分いける、と、環にゴーサインを出した。

 ICレコーダーをリピートの再生モードに切り替え、俺たちは集落を抜け出した。


 夜のジャングルは歩きにくい。だが、俺たちの大きくふくらんだ期待を阻む障害物などないに等しかった。

「このへんね」
 GPSを見る。確かにそうだ。
「ね。あれ、あの樹でしょ!」
 ナイトモードに切り替えたビデオで撮影してみると、確かにツタのからまったフォルムがちょっと竜に似ている大樹が映し出される。位置座標からしても間違いない。丁寧に周辺を探した結果、ちょっと登ったところにウエストポーチをひとつ見つけることが出来た。中にはデジカメと、そしてジップロックに入ったアボカドのようなものが二つ。一つは割って齧った跡がある。皮はかなり固い。これ……間違いないよな。

 ジップロックを開けるとハンパない甘い香りが広がる。断面にライトを当てて見ると、トロリとした表面は本当にアボカドに似ているが、種は見当たらない。

「割れてるほう……ね、これ、まだ食べられると思う?」
 女ってのはやはり怖い。弟教授の最後のメールの日にこれがここに置かれたとしたら、この暑いジャングルに二週間放置されて……でもこの匂いを嗅いでいたら……だんだん……

 俺はその割れた果実をナイフで完全に二つに分け、片方を環に手渡した。ちょっと舐めてみる。甘い。腐っている匂いではない。この匂い、すごい食欲をそそるというか、なんというかたまらない香り。俺は貪るようにそれを食べた。クリーミィなそれはあえて形容するならば「冷たくない桃のアイス」といった感じか。気がついたら、皮に残っている汁まで全部舐めとっていた。

「気がついたらペロリといっちゃってたわ」
 環も同じであったようだ。腹下すとしたら、それも一緒になるな。

 まるまる残っているほうをコンコンと叩いてみる。この固さなら荷物の中に隠しても潰れなさそうだ。そっちのほうはタオルにくるんでもう一度ジップロックにしまった。

 食べた皮は匂いが甘すぎるから穴を掘って埋める。持ってきた水筒の水で手と顔とを丁寧に洗い、匂いが消えたのを確認してから集落へとこっそり戻った。

 ICレコーダーを止め、二人で声をひそめて喜びを噛みしめあう。喜びのあまり抱き合って……その……なぜか、そういう流れに。俺は環の胸を愛しいと思ったし、環も俺のアレを笑ったりはしなかった。俺と環はもう運命共同体みたいなものになっていたんだ。



<コメントへ続く>

コメント(18)

<続き>


 日本に帰ってからは、忙しかった。弟教授の葬儀と、それからデータの整理。あの木の実は教授の知り合いの植物学者に渡し、詳しく調べてもらうことにした。

 弟教授がメールで送ったデータは本当にごくごく一部。デジカメに残っていた膨大なデータを、系統だてて整理しているだけであっという間に三日が過ぎた。その三日目の夜、環から連絡があった。家に来て欲しいと。そういえば日本に戻ってから、忙しくて会えていない。俺も一昨日くらいからすごくムラムラしてたから仕事も早々に片付け、環の住むアパートへと急いだ。


 呼び鈴を押すとすぐに鍵を開ける音。扉の向こうで待っていたのか……そんなに……と喜んだのも束の間、俺のアレがおかしい。扉の向こうの環はワイシャツ一枚を羽織っているだけの姿なのに……なぜか萎えてしまう。というか、環の胸!

「気付いた?」
 そりゃすぐわかる。全くなかったのに三日で……このバスト……H? G? それ以上とか? なのに俺のアレは全く反応しない。

 環は俺のデニムのチャックを外しブリーフをずらすと中から俺の……元気がないアレを取り出す。
「やっぱり、巌のもかなり大きくなってる。これはたくましくないサイズ、でしょ?」
 俺のむき出しのアレの前にワイシャツ一枚の美人……しかも惚れてる女がいて、開いた胸元から相当の巨乳が見えているってのにどうして……

「私、さっきまですごくしたかったの。でも、なんか変。巌と、だと、その気にならないの」
 半分涙ぐんでいる。俺も同じ気分だ。なんか家族の裸を見ているような、そんな親近感さえ覚える。

「なぁ、環。ここ来る途中さ電車の中で俺、逆ナンされたんだよ」
「わ、私は昨日、ゴハン買いに行ったコンビニの店員にナンパされた」
 あの木の実、単なる強壮剤とかじゃなく……
「フェロモン出すのかもね、ここが」

 俺たちはその仮説を確かめるため、お互い無理めなナンパをしてみることにした。二人ともいかにも研究者らしい無頓着な衣装しか持っていない。そんなダサイ格好のまま街に出て、いわゆるイケてる相手を即ホテルへと口説いてみる。俺たちの仮説が正しいなら……

 俺は人通りの多いところに出ていい女を物色する。って、いい女ってどこにいるんだ? 携帯でお洒落なカフェを検索し、とりあえずそこへ移動してみる。

 あ、あれって……TV局がカフェに撮影に来ている。あの女子アナ、有名な子だよな。間近で見るとすげー可愛い……が、近づけないよな……うわ、うわわ。こっち来た。
 俺は「よく来るんですか」とか無難な質問をされた。「初めてです」と言いながら、じっと女子アナを見つめる。デニムにおさえつけられたアレが痛いほど元気になるのを感じる。去り際、その女子アナが俺の股間をじっと見ている……これは……フェロモン効果か?



<続く>
<続き>


 俺はその日、その女子アナを含め3人ものいい女を抱いた。報告がてら環のアパートに戻ると、中から有名なスポーツ選手が出てきた。

「おかえり」
「そっちも効果ありだったようだな」
 不思議な気分。ジャングルの中であの夜、確かに俺たちは愛し合った。とても愛しさを感じたしそれは今でも同じだ。でも、この内側からにじみでてくる性欲は、互い以外に向いている。心の中に嫉妬がないと言えば嘘になるが、それでも、ヤリたい気持ちのほうが強くなっていた。

「みんな、私の胸にむしゃぶりついたわ。男ってほんとオッパイが好きね」
 今、一戦を交えたばかりの環は全裸のまま、ロケットみたいなオッパイを俺に向けながら笑った。やはり俺自身は、環には反応しない。
「そういえば、俺が抱いた女もみんな、まず俺のアレをしゃぶりたがったな」
 二人目の女はあえてカップルに声かけてみたがあっさりホテルに着いてきた。「私、本当はフェラなんてしないのよ」とか言いながらたっぷりねぶるような舌使いだった。
 そんな余裕の笑いを見せる俺のナニを、環は取り出した。でろん、と、垂れ下がる。

「ほんと不思議。巌のこと好きなのに、あの時のエッチにはちゃんと幸せ感じてたのに、今これにはなんかムラムラこないのよね」
 俺は環の真似をして、ナニをミサイルみたいに構えてみた。

 そのあと二人して、世界征服を企む悪党みたいに、高笑いした。


 それからの数日は研究室にも行かずヤリまくった。本当に世界を征服できるんじゃないかってくらい、どんな女でも誘えば一発OKだった。環なんて人気絶頂の俳優とラブホから出てくるところをスクープされていたくらい。

 人生が180度変わった。俺は幸せだった。いままでモテなかった四半世紀を一挙に取り戻した。いや、取り戻したなんてもんじゃないな。
 ひょっとしたら、あの木の実が「文明を破壊した兵器」そのものなのかもと思い始めてもいた。でも、教授に報告もせず、俺も環もずっとずっとヤリまくっていたんだ。



<続く>
<続き>


「教授!」
 例の木の実を預けていた植物学者が私に手を振った。

 弟の葬儀から一週間。助手が二人とも、いつの間にか研究室に来なくなっていたせいかそう呼ばれたのは実に久々な気がする。だが、事態はとんでもない方向に進んでいた。私が呼ばれた場所は彼の研究室ではなく、政府の所有する建物。そしてその場には彼以外に政府の人間、それから米国の諜報機関の者と名乗る人々まで。

「あの木の実の解析結果が出たそうだが」
 私の問いかけが終わる前に、政府の高官が隣の会議室に移動するよう指示する。言われた通りに移動すると、大きなプロジェクターにあの木の実が映し出されていた。
「結論から申し上げますと、これは例の『最終兵器』に間違いありません」
 その言葉を聞いて深いため息をついたのは、内閣官房長官その人だった。

「このアボカドに似た実は……いえ、実ではなく卵なのですが、植物ではなくれっきとした生物です。レウコクロリディウムという寄生虫に行動パターンが似ていますが、人類にとって壊滅的な被害を与えます」
 そこで寄生虫学の権威が紹介される。

「レウコクロリディウム。こいつはオカモノアラガイというカタツムリの一種にのみ寄生する寄生虫であります。ただし、オカモノアラガイの中では完全に成長せず、最終的に成体になるのは鳥の体内に移ってからとなります。鳥の糞の中に産み付けられた卵を、運良くオカモノアラガイが食べた場合に、この寄生虫は活動を開始します。日中は葉の陰に隠れてしまうオカモノアラガイを、レウコクロリディウムの幼虫は操り、鳥の目に触れやすい場所へと移動させるのです。さらにはこのカタツムリの触覚へと移動し、鳥の大好物であるイモムシに擬態させるのです……触覚を」

 プロジェクターに気持ち悪い映像が映し出される。カタツムリの触覚が大きく肥大し、それ自体が本当にイモムシのように見えているのだ。

「こうして鳥にわざと見つかりレウコクロリディウムはオカモノアラガイごと、鳥に食べられるのです。そして鳥の体内で成長し、卵を産むようになります……これが、レウコクロリディウムのライフサイクルです。レウコクロリディウムが成長するにはオカモノアラガイでないとダメで、他のカタツムリでは成長できません」

 ここで、別の資料がプロジェクターに映り、解説者が変わる。82年前にメキシコで街が一つ焼かれたテロ事件の記事。そして、メキシカンの死体が二つ……男女だ。男性の方は陰部が抜け落ちたように破損し、女性の方は胸を……切り取られているような状態。

「この死体は、例の『最終兵器』に感染した被害者の死体です。男性の場合は睾丸が、女性の場合は乳腺がポロリと落ち、表面が硬化し一見あの木の実のような状態になるのです。レウコクロリディウムは鳥の糞が乾ききる前にオカモノアラガイに食べられないと孵化しないのですが、『最終兵器』はこの状態になり次の犠牲者に「果実」のように食べられるまでずっと何年もこの状態を維持します」

 再びあの「木の実」……いや、犠牲者の体の一部だった『最終兵器』が映し出される。

「『最終兵器』に寄生された者は、男性の場合は陰茎が、女性の場合は胸が肥大し、異性を惹き付けるフェロモン物質を分泌します。卵の元になるのは男性の場合は睾丸なのですが、活動中は陰茎に居るようなのです。そして、このフェロモン物質は非常に強力で、抗うのは難しいとの報告があります。サンプルが少ないので断言は出来ませんが、どうやら一定期間被害者への感染行為を行えない場合、宿主を死亡させてこの固い殻の卵の状態になるようです」

 官房長官が眉間にシワを寄せながら尋ねた。
「で、その感染行為というのはあれか。性行為ってことか」



<続く>
<続き>


「この卵の中にあるクリームのようなものは、実はこれ非常に小さい卵の集まりです。感染ルートとしましては、口唇もしくは性器のどちらでも感染可能で、寄生された人間が男性の場合は陰茎に、女性の場合は乳腺に移動します。ここで成長すると共にその場所を肥大させ、異性を惹き付ける強力なフェロモン物質を出し始めます。このフェロモンと共に分泌される液体にも卵が含まれているようです。カウパー液や母乳に混ざっても分かりません。82年前のメキシコの事件では感染者を隔離する際、このフェロモンにやられた者が更に感染し二次感染の被害も出ています」

「駆除はできるのかね?」

「82年前の記録によりますと、駆除の方法を調査している間に感染者は次々と死亡してしまい、駆除の方法は分からないままということで……その……一定期間、感染者を増やせないと宿主を死亡させるというさっきの話はここから出ています」

「そ、そんなものが我が国に広まったら大変なことになる……いや、よほど閉鎖的な場所でもない限り、世界中に拡散する恐れがあるじゃないか……その一定期間『SEX禁止令』でも出すのか」
 官房長官はジョークのつもりで言ったのであろうその発言を、誰も笑わなかった。

「あー。コホン。で、持ち込まれたのはその一つだけか?」

 そこで、私に意見を求められた。
「あ、はい。日本に持ち込んですぐ助手が潰れていないかの確認をして、その直後から私が保管しております」
「その助手は?」
「いま、連絡を取っておりますが……」
 全力を挙げて捜査します、と警視総監が報告する。

 私はその後、弟の死の経緯と、あの村の語り部より聞いた『伝説』の話を説明した。
 弟の焼かれていた下半身の話。犠牲者ごと焼くことで一応の「駆除」は出来るということ。もともと敵の部族を滅ぼすために作られた『最終兵器』。感染した者は子を成すことができなくなるということ。老化のスピードが10倍になること。次第に攻撃的になってゆくこと。

 私は嫌な予感がしていた。彼らと連絡が取れないことがとても心配だ。もしも彼らが感染していて、その感染を広げていたとしたら、冗談抜きで2012年に人類は滅んでしまうかもしれない。少なくともこの狭い島国では確実に。





<終>
Upしてくださってありがとうございます♪

クリームが非常に小さい卵の
集まりってとこが
『ぃいやぁ━━━━━━━━━っ!!』
ってなりました(´;ω;`)
じょにおさんのとは
また違った感じでだんぞうさんの
話もすごくすきです☆

こんな実(卵)が本当にあったとしたら
まぢで怖い( TДT)
これが感染とかじゃなくて
胸がおっきくなるだけなら
まぢで食べたいのに………。

(笑)

まただんぞうさんのお話
期待して待ってます!!
投稿おつかれさまです(´・ω・`)
>くちおば//ω//まゆりさん
 コメントありがとうございます。
 美味しい話はそうそう転がってないってことですねw
 あと、個人的な意見ですが、胸の大きさを気にしない男性は周囲見てもけっこう多いように思えます。この話では演出上、このように展開しましたが、私や(おそらく世間一般も)の価値観を反映したものではありません。胸の大きさよりも心の大きさ(広さ)! これが大事なような気がします。


 他のお話ですが、昔(他の場所)にアップしたものなども含めストックはまだあるので、様子を見てアップしようかなとか思ってますが……長いの多いんですよね。
 昼間、モバミクから見てみたら入れている改行が表示されてなくて。改行ないと読みにくい人も多いかも、ということでどうしたらよいのか考え中です。私の携帯のブラウザのせいなのかな?


 あと、以前の作品のURLは、冒頭じゃなく終わりにつけたほうが親切かなぁ。
 まだまだ工夫しなくちゃいけないことが多そうですが、歓迎してくださる声があるうちは細々と書き続けてみようかなと思っています。


 コメントも長くなってしまいました。すみませんw
>まりるさん
コメントありがとうございます。
星新一にはまったのは中学時代。多分あの頃から心の底にずっと根付いたままなんだと思います。
自分だけの言葉、ってやつをずっと探してはいるのですが、偉大な先人を超えるのはなかなか容易ではないですよね。精進いたします。
これは久しぶりに面白い内容でした(^O^☆♪
貴志さんの「天使の囀り」に匹敵するくらいの面白いストーリーでした\(//∇//)\
>Ciel★Phantomhive さん
コメントありがとうございます。
お褒めの言葉、光栄です。

>吉高由里子さん
ストーリーとしてはここで終わりのつもりで、この先は考えていませんでしたが、時間が出来たらちょっと考えてみます。
自分が納得できる結末が出来たら発表してみます。
> さーちゃんさん
ありがとうございます。
面白かったです!!
また書いて下さい、楽しみにしてます(*^^*)
>まぐまぐさん
コメントありがとうございます。次回作は今週末アップ予定です。
>氷柱@おーつかさん
コメントありがとうございます。
精進いたします。

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