とにかく怖い話。コミュの【実話】ただいま

これは、私の母の小さい頃の話です。

母が小学生だった当時、
釘を線路上に置いて電車に轢かせ、
潰して手裏剣を作るという遊びが
クラスの男子の間で流行っていたそうです。

学校側は危ないということで注意はしていましたが
男の子たちは中々やめませんでした。
いつしか、釘を置いた後電車が来るぎりぎりまで逃げないという
根性試しの要素も出てきたようで
放課後は線路際でよく遊んでいました。

そんなある日のことです。
AくんとBくんがその遊びをしていて
逃げ遅れて電車に撥ねられてしまったのです。
Bくんはなんとか避けきれて軽傷で済みましたが
Aくんの姿がどこにも見当たりません。

学校の先生や警察の人も来て大騒ぎになりました。
警察の人は、Aくんは遠くまで弾き飛ばされたのだろうと考え、
線路脇の草叢などからくまなく探し始めました。

一方、警察の人がAくんのお母さんに連絡を取ると、
「それはうちの子じゃないですよ。Aはついさっき一度帰ってきましたから」
という答えが返ってきました。

お母さんが夕飯の支度をしていると、
「ただいま」
と声がして、寝室の方で物音がしたそうです。
「Aなの？」
と声をかけると、
「そう」
という返事です。お母さんは手が離せなかったので
台所からそのまま訊きました。
「どうかしたの？」
「うん。池に落ちちゃって、服が濡れたから取替えに来たんだ」
「池って線路脇の？　危ないから遊んじゃ駄目って言ったじゃない」
「うん。…ごめんね、お母さん。…みんなが待ってるから、行くよ」
「夕飯までには帰ってきなさいね」

お母さんは、Aくんの声を聞いただけで、姿を見てはいません。
料理の下ごしらえが終わった後、寝室へ行ってみたそうです。
Aくんはもういませんでしたが、確かに寝室の箪笥の前の床が濡れていました。

ですが、後から調べたところ、Aくんの洋服は減っておらず
着替えたならあるはずの濡れた洋服も
洗濯籠の中にありませんでした。

結局、残念ながらAくんは遺体で発見されました。
線路脇にある池から。

撥ねられた地点からかなり遠い池なので
まさかここまで飛んでしまってはいないだろう、と
警察も探すのを後回しにしていた場所だったそうです。