とにかく怖い話。コミュの【実話】呪いのキーケース？

ソレを初めて手にしたのは一昨年の３月、実家から車で30分の所に彼女と同棲をするための引っ越しをしていた時だった。

彼女は新居で片付け、僕は実家と新居を何往復もして車で荷物を運んだ。

踏み切りのそばに財布のようなものが落ちているのを遠目に見つけた。
車に乗ったままでもドアを開いて手を伸ばせば取れそうな距離。

一回目通った時は後続車もいたから取れず。

二回目は周りに車もなかったのでソレに手を伸ばして取った。

残念。

財布ではなくただのキーケース。
ただブランドがヴィトンだった。
うまくいけば友達に売れる、と当時大学生だった僕は思った。
あんなモノだったとは知らずに。。。

家に持ち帰り引っ越しも終え疲れきった僕は彼女より先に眠った。

ふっと目が覚めた時、彼女も横でスースーと眠っていた。

再び僕は目を閉じた。

次に目が覚めた時はむし暑くて目が覚めた。
３月初旬でまだ涼しい日だったのに。

次は朝まで眠るぞ、と目を閉じようとした視界になにかが映った。

よくわからない。人？白のワンピース？
閉じきった目を開くとどうなるのかと思うと心臓はバクバク。

僕が目を開けたのは決して恐いもの見たさではない。ただの見間違い、そう思いたかったからだ。

目を開けると白いワンピースを着た黒髪ロングヘアーの女が馬乗りになっていた。

僕は震えて声も出ない。

女の左手が動いた。
真上に挙げた左手には包丁が光っていた。

そしてその包丁は真っ逆さまに僕をめがけた。
反射的に目を閉じた。
そして目を開けるとそこにはなにもなかった。

翌朝、昨夜の出来事を彼女に話そうかと思ったがせっかく始めた同棲がなくなってしまうのが嫌だったから僕はなにも言わなかった。

半端じゃなく恐がりの彼女だから。
僕は僕で昨日見た事は絶対夢だったと考えることにした。
だけどやっぱり次の日の夜も夜中に目が覚めて全く同じように包丁を突きつけられた。
ただその日は女がなにか言っているなというのはわかった。
よく聞こえない。
次の日の夜も女は現れた。聞こえた。

『返して』

この家はなんかの怨念があるのだろうか。
毎日眠るのが恐い。
だって夢じゃないという事に気付いたから。
僕の首に刃物をかすめたような傷が３つあり枕もかすかながら血がついていた。次の日の夜ももちろん女は現れた。
今回は最悪。
彼女の悲鳴で目を覚ました僕の上には包丁を持った女が。
また言った。

『返して』

今日は包丁を降り下ろさず壁の方に消えていった。
泣きじゃくる彼女は今のはなんだ、と僕に問いただし、しまいには僕の昔の女の呪いだとまで言った。

僕は心当たりがあった。
昔の女にじゃない。
そう、あの拾ったまんま手をつけていないキーケース。
絶対これだ、これが原因じゃないと困ると思い近くの交番に届けた。
これでキーケースともおさらば。
一件落着。

そう思ったのもつかの間、いやいや、僕のせいじゃない。ただの偶然だろ。
交番に車が突っ込んだ。
だけど恐くなって逃げた。
その夜から女は現れなくなった。
あのキーケースが原因だ。と僕は解釈した。
この恐怖体験は色んな人にした。

呪いなんかの確信は持てないけど恐かったからネタにした。

だけどあれから日も流れこのネタはお蔵入りをする。

・・・はずだったのに。

今年のお盆休み前に弟がバイクで事故った。入院もしてないし特に命には別状がなかった。
お盆休みに実家に帰って弟と久々に話した。事故ったバイクは僕のだったので弟は謝ってきた。

いいよいいよと許し弟の部屋を出ようとした時本当に凍った。

凍りつくような恐怖ってこんな感じなんだって思った。
弟の部屋のテーブルの上にはヴィトンのキーケース。これどうしたのかと聞くとバイクで走ってる最中に拾ったと。しかも中身まで同じ。
僕が体験した話を弟にした。弟は泣きそうになり警察に届けなきゃと言った。

翌朝キーケースを警察に届けたのは僕だ。
同じ交番で前回とは違う方に渡した。
どこで拾ったのか書いていると奥から前回キーケースを届けた時の方が出てきた。
その方の首には２本切り傷が見えた。

『あれ？○○さん。まだ休憩じゃなかったでしたっけ？また例の女が出たんですか？』

僕は急いで交番をあとにした。