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とにかく怖い話。コミュの[実話]世田谷の一軒家

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5月28日の出来事。




映画祭のオープニング編集のため先輩の家に通い詰めだった。

昼は学校、夜中は編集と疲れきっている僕に、「今日は早めに帰ってちゃんと寝てから来な」といつもより早めに帰らせてくれた。

時間は2時半を過ぎていた。

音楽を聞きながら自転車で家路に向かっていた。 

「殺されるー!」

と、何処からともなく聞こえてきた。

最初は喧嘩だと思った。

イヤホンを外して声のする方へ近よる。

一軒家の古い家だ。

「おじいさんやめて!痛い!」

「おらー!救急車呼べー!殺されるー!」

木が邪魔をして見えずらかったがベランダにおじいさんとおばあさんが見えた。

僕は危険だと思い警察に電話し、おじいさんの要望通り救急車も呼んだ。

「おじいさん!今救急車と警察が来ます。落ち着いてください。」

相手を冷静にさせるには自分も冷静にならなければいけない。

でも僕は焦っていた。

なおもおじいさんは叫び続けている。

「救急車呼べー!救急車呼べー!警察呼べー!」

「おじいさん、お願いだからやめて!」

おばあさんも必死に止めさせようとする。

すると叫び声を聞いて近所の男性がかけつけた。

僕は思いきることにした。

「僕が登るので下で待っていてください!」

おじいさんがベランダに乗り出す可能性があったからだ。

垣根を越えてベランダに登った。

そこには70歳近い老夫婦がいて、おじいさんはおばあさんの腕を思いきり握りしめていた。

薄い寝巻をしていておじいさんの顔は怒りというより怯えた表情だった。

「なんだー!来るなー!わー!」

おじいさんの腕を離そうとしたが離れなかったので近所の男性と協力して離した。

警察が来た。

僕ら2人は安心した。

おばあさんは厚く感謝してくれた。

玄関に降りて、おじいさんと警官2人は別室へ。

残りの僕らは玄関で事情聴取を受けた。

僕はおばあさんの話にそば耳を立てた。



おじいさんは腰痛をかかえていて、夜中に急に痛みだした。おばあさんが二階に上がるとおじいさんもついて行き、あまりの腰の痛みに殺されると思ったらしく近所に大声で助けを求めていたとのこと。さらにおじいさんは痴呆症で最近酷くなったらしい。


僕はおばあさんを見た。

顔には青いあざをつくり、腕には赤い跡が見えた。

腕のあざは検討がついたが顔のあざは分からなかった。

するとそこにおじいさんが来た。

さっきとは打って変わって機嫌がよく、僕の隣にいる男性をみて「おー久し振り!元気か?」と言うまでだ。 

どうやら知り合いらしい。

それにしてもこれ程までに態度が変わるものかと驚いて見ていた。

「おじいさん、この顔のあざが分かる?手すりに私の顔を強く押し付けたのよ?」

「全然わからん」

と言って部屋に戻ってしまった。

僕はおじいさんを1人にしてはいけないと思い部屋に入った。

布団を見ると湿っている。 

おねしょをした跡のようだ。

おじいさんの腰をもみながら周囲を見渡す。

猫が二匹いた。 

おじいさんはよく話をしてくれた。

どれも支離滅裂な話が多かったが、穏やかな印象を受けて安心した。

政治や家庭的な話も。

急に話題が変わった。

「あのな、俺もけっこう見えるんだよ。幽霊が。」

「幽霊ですか?」

僕はおじいさんの腰をもみながら相づちをうった。

「例えばそこに電球があるだろ?普通の人には3つ輪っかがあるようにみえるけど俺は違う。見えちゃうんだよね。他に車が停めてあってももう一つ見えるんだ。」

僕は何を話ているかさっぱり分からなかった。

これが痴呆というものなのか。

「もっと幽霊にも警察が対処してくれなきゃね。」

僕は少し怖くなった。

その時おばあさんと事件を聞いて駆けつけた娘さんらしき人も来た。

「もう大丈夫です。ありがとうございました。」

おばあさんは相変わらず感じの良い人だ。

気付けば4時近かった。

男性や警察も帰り、朝になったら病院に行くとおじいさんは言った。

痛みがひいたみたいだ。

帰る素振りを見せるとおばあさんは僕にお礼がしたいので住所を紙に書いて欲しいと言った。

正直迷った。

でも、いつでも力になるからと念を押して言ってから紙に書いた。

おばあさんが見送ってくれた。

相変わらずの低姿勢だった。

別れを告げて自転車の鍵を開けようとした瞬間

「ついていっちゃダメ!」 

と後ろからおばあさんの怒鳴り声が聞こえた。

背筋がゾクッとした。

一目散にその場を後にした。





家に着いた。

4時半。

結局いつもとあまり変わらない。

しかも眠れない。

色々考えていた。

実は怒鳴り声を初めて聞いた時におばあさんも救急車や幽霊や死んだ人がどうのこうの叫んでいた。

まぁ、おじいさんを落ち着かせるために話を合わせたにすぎないのかも。

帰り際、「ついていっちゃダメ!」って言ったのも近くに猫がいたのでそれに言ったのかも。


それにしても幽霊とか考え過ぎだ。





いつの間にか眠っていた。






朝。




ん?



腰に激痛!

まさか!と思った。

その日は学校を休んだ。




夜になって電話が鳴った。

男性の声だ。

この前の件でお礼がしたいとのことだった。

1時間後、玄関の前には40代の男性が立っていた。

どうやらあの家の息子らしい。

「先日はたまたま夜勤で家を離れていました。本当にありがとうございました。どうぞつまらないものですが」

クッキーの詰め合わせをくれた。

「もしまた何かありましたらいつでも言ってください!」

僕なりの正直な言葉だった。

「いや、もう大丈夫です。ましてやもう関わらない方が良いと思います。」

意味ありげに答えた。

でも僕は何も聞かなかった。

その方が良いと思ったからだ。

何か他人が踏み込んではいけない領域があるのではないかと思った。

腰の痛みもなくなり、映画祭も終わってゆっくり出来ると思ったが、あれからよく、家の周りの猫のけたたましい泣き声に明け方目を覚ます。





コメント(10)

「ついていっちゃダメ!」って…猫に言っていたのならいいけど…(((゚д゚‖)))
タイトルをみたときに、世田谷一家皆殺し事件を思い出してしまいました。

ついて行っちゃいけないって言ったのは、腰痛の妖怪かと思いました。

だから後で腰が痛くなったのかと…

違うようですね。
うちも あの殺人事件かと思ったあせあせ(飛び散る汗)犯人の手がかりになればいいのにって 思っちゃったバッド(下向き矢印)

なんだろう 見える人はいるだろうしね…あせあせ(飛び散る汗)
読み手によっていろんな解釈がされそうだな。
オモローww
ちと、背筋に冷たいモノが走りますな。

お爺さんだけではなく

お婆さんにも、見えてたんだろうか?

ゾクリとさせられました。
皆さん、コメントありがとうございます。
長文にも関わらず読んでもらえて嬉しいです。

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