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登記法 ○゜○゜コミュの個人債務者の私的整理に関するガイドライン」に基づき

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個人債務者の私的整理に関するガイドライン」に基づき
作成された弁済計画に従い債権放棄が行われた場合の課税関係について(照会)
(別紙)

平成23年8月11日

国税庁 課税部
課税部長
西村 善嗣 殿

個人債務者の私的整理に関するガイドライン研究会
座長
高木 新二郎

.本件ガイドラインの策定経緯
 東日本大震災の影響によって生じているいわゆる「二重債務問題」については、本年6月に政府の「二重債務問題への対応方針」が取りまとめられた。
 これを受け、金融機関等が、個人である債務者に対して、破産手続等の法的倒産手続によらず、私的な債務整理により債務免除を行うことによって、債務者の自助努力による生活や事業の再建を支援するため、私的整理に関する関係者間の共通認識を醸成し、私的整理を行う場合の指針となるガイドラインを取りまとめることを目標として、本年7月に当研究会が発足した。
 当研究会においては、金融機関団体、商工団体等の関係者等が中立公平な学識経験者などとともに協議を重ねた結果として、本年7月15日に「個人債務者の私的整理に関するガイドライン」(以下「本件ガイドライン」という。)を策定・公表したところである。
 このような経緯から策定された本件ガイドラインは、法的拘束力はないものの、金融機関等である対象債権者及び債務者並びにその他の利害関係人によって、自発的に尊重され遵守されることが期待されている。
 なお、本件ガイドラインは、利用者に対する周知や所要の態勢整備に早急に取り組み、本年8月22日から適用を開始することとしている。

.本件ガイドラインの概要
1 対象となり得る債務者
 本件ガイドラインの対象となり得る債務者は、

 住居、勤務先等の生活基盤や事業所、事業設備、取引先等の事業基盤などが東日本大震災の影響を受けたことによって、住宅ローン、事業性ローンその他の既往債務を弁済することができないこと又は近い将来において既往債務を弁済することができないことが確実と見込まれること。

(注) 上記の「既往債務を弁済することができない」とは破産手続の対象となる「支払不能」の状態にあることを指し、「近い将来において既往債務を弁済することができないことが確実と見込まれる」とは民事再生手続の対象となる「支払不能のおそれ」に相当する状態にあることを指す(Q&A3−3)。

 本件ガイドラインによる債務整理を行った場合に、破産手続や民事再生手続と同等額以上の回収を得られる見込みがあるなど、対象債権者にとっても経済的な合理性が期待できること。

 といった一定の要件を備える個人債務者としている(本件ガイドライン3)。

2 対象債権者
 対象債権者とは、本件ガイドラインに基づく弁済計画が成立したとすれば、それにより権利を変更されることが予定されている債権者をいう(本件ガイドライン2(2))。また、対象債権者の範囲は、主として金融機関等の債権者とするが、本件ガイドラインに基づく弁済計画に参加することが相当と認められる者を含めることとしており、債権額等により対象債権者に含めることが妥当である場合には住宅貸付を行う共済組合や取引債権者などを対象債権者に含めることとなる(本件ガイドライン5(5)、Q&A2−1)。

3 第三者機関
 本件ガイドラインによる債務整理の申出から弁済計画の成立、弁済の完了までの間、本件ガイドラインに基づく手続を、債権者又は債務者の代理人としてではなく、利害関係のない中立かつ公正な立場から遂行するために、第三者機関として「一般社団法人 個人版私的整理ガイドライン運営委員会」(以下「運営委員会」という。)を設置した(本件ガイドライン4(1)(2)、Q&A4−1)。
 この運営委員会は、各種専門家の事業者団体から推薦等を受けて登録された弁護士、公認会計士、税理士、不動産鑑定士、その他の専門家により構成され、個々の債務整理事案ごとに、主に次の業務を行う(本件ガイドライン4(3)、8(1)(2)(3)、Q&A4−1、8−1、8−2)。

 債務者による本件ガイドラインに基づく書面により行う債務整理の申出及び必要書類の提出の支援

 債務者が対象債権者に提出する弁済計画案の作成支援

 弁済計画案の内容に応じた次に掲げる事項などについての報告書の作成

 債務者が「対象となり得る債務者」(上記1)であるか。

 本件ガイドラインに適合しているか

 弁済額、対象債権者の範囲、免除割合の合理性があるか。

(注) 弁済額の合理性には、保証債務がある場合、保証人(個人に限る。)に保証履行を求めることの相当性、その負担の範囲の合理性を含む。

 実行可能性があるか。

 破産手続による回収の見込額よりも多くの回収が見込めるかどうか。

(注) 債務者が下記5(2)の債務整理の申出の時点において保有する自由財産を除く全ての資産を処分・換価して弁済に充てる内容の弁済計画案を作成する場合においては、その場合の報告書から上記の事項は除かれる。

 対象債権者に対する弁済計画案の説明等の支援

 本件ガイドラインの解釈又は運用に関するQ&A等の作成及び改訂等

4 本件ガイドラインによる債務整理手続(手順)
 本件ガイドラインによる債務整理の手続は、次の手順に沿って実施される。

(1) 債務者が、全ての対象債権者に対して、本件ガイドラインによる債務整理を書面にて申し出る(本件ガイドライン5(1))。
(2) 債務者は、(1)の申出後直ちに、全ての対象債権者に対して、財産目録、債権者一覧表その他申出に必要な書類を提出する(本件ガイドライン5(2)、Q&A5−1)。
(3) 債務者は、(1)の申出から、弁済計画案の内容に応じて原則として3か月又は4か月以内に、本件ガイドラインに従った弁済計画案を作成の上、全ての対象債権者に提出する(本件ガイドライン7(1))。
(4) 債務者は、(3)の弁済計画案の提出と同日に、全ての対象債権者に対して運営委員会の作成した報告書を提出する(本件ガイドライン8(1))。
(5) 債務者は、(3)の弁済計画案及び(4)の報告書の提出後、全ての対象債権者に対して、弁済計画案及び報告書の説明、質疑応答並びに意見交換(以下「弁済計画案の説明等」という。)を同日中に行う(本件ガイドライン9(1))。
(6) 対象債権者は、(5)の弁済計画案の説明等がなされた日から原則として1か月以内に弁済計画案に対する同意・不同意の意見を表明するものとし、対象債権者の全てが弁済計画案に同意し、その旨を書面により確認した時点で弁済計画は成立する(本件ガイドライン9(2)(3))。
5 本件ガイドラインによる債権放棄額(債務免除額)
 本件ガイドラインに基づいて作成・成立した弁済計画により行われる債権放棄の額は、次に掲げる弁済計画の内容に応じてそれぞれ次に掲げる金額となる。
 なお、弁済計画案における権利関係の調整は、債権者の間に差を設けても衡平を害しない場合を除き、債権者間で平等でなければならないため(本件ガイドライン7(4))、それぞれの弁済計画における債権放棄額もこれを満たしたものとなる。

(1) 収入の見込みのある債務者(下記(3)の弁済計画案を作成する場合の個人事業主を除く。)が将来の収入から分割弁済を行う弁済計画案を作成する場合
[債権放棄額]
債務者の収入、資産等を考慮した生活実態等を踏まえ、破産手続による弁済の見込みよりも多くの弁済がなされるため、結果として、債権放棄額は破産手続によった場合の債権の免責額よりも少額となる(本件ガイドライン7(2)ロ)。

(注) 「収入の見込みのある債務者」とは、将来において継続的に又は反復して収入を得る見込みのある非事業者(住宅ローン等の債務者)、及び将来において継続的に又は反復して収入を得る見込みのある個人事業主をいう。

(2) 収入の見込みのない債務者が債務整理の申出の時点において保有する自由財産を除く全ての資産を処分・換価して弁済に充てる内容の弁済計画案を作成する場合
[債権放棄額]
債務者が上記4(1)の申出時に保有する全ての資産(自由財産等を除く。)を処分・換価して(処分・換価の代わりに「公正な価額」に相当する金額を弁済する場合を含む。)、これにより、まず担保権者その他の優先権を有する債権者が優先弁済を受けた後、全ての対象債権者がそれぞれの債権の額の割合に応じた弁済を受け、なお債権に残額がある対象債権者のその残額が債権放棄額となる(本件ガイドライン7(2)ハ、Q&A7−4)。

(注)

 1 「収入の見込みのない債務者」とは、収入の見込みのある債務者に該当しない非事業者(住宅ローン等の債務者)、及び収入の見込みのある債務者に該当しない個人事業主をいう。
 2 この(2)によるためには、債権額が原則20万円以上の全ての債権者を対象債権者とすることを必要としている。したがって、仮に、対象債権者から債権額20万円未満の少額債権者等を除くこととした場合には、この少額債権者等に対して全額弁済を行うこととなるが、この場合であっても対象債権者に対して破産手続による弁済額と同等の弁済を行う必要がある(債権放棄額は破産手続による免責額と同等の金額となる。)(本件ガイドライン3(4)、7(2)ハ、Q&A7−9)。
 3 収入の見込みのある債務者もこの(2)によることは可能である(本件ガイドライン7(2)ハ)。

(3) 事業の再建・継続を図る事業主が事業から生ずる将来の収益による弁済を行う弁済計画案を作成する場合
[債権放棄額]
破産手続による弁済の見込みよりも多くの弁済がなされるため、結果として、債権放棄額は破産手続によった場合の債権の免責額よりも少額となる(本件ガイドライン7(2)ロ)。

(注) 「事業の再建・継続を図る事業主」とは、事業から生ずる将来の収益による弁済により事業の再建・継続を図ろうとする個人事業主をいう。

6 個人保証人への保証履行の請求
 債務者の対象債権者に対する債務を主たる債務とする保証債務がある場合、主たる債務者が通常想定される範囲を超えた災害の影響により主たる債務を弁済できないことを踏まえ、保証人の責任の度合い、保証人の生活実態などを勘案して、保証履行を求めることが相当と認められる場合を除き、保証人(個人に限る。)に対する保証履行は求めないこととしている(本件ガイドライン7(5)、Q&A7−13、7−14)。

.照会事項(照会者の求める見解の内容)
 本件ガイドラインに基づいて作成・成立した弁済計画により債権放棄が行われた場合、その債権放棄に係る対象債権者及び債務者の税務上の取扱いは、次のとおりと解して差し支えないか。なお、運営委員会の報告書により、当該弁済計画が本件ガイドラインに適合したものであることが確認されていることを本件の照会の前提とする(Q&A8−2)。

1 対象債権者(法人)
 対象債権者において債権放棄により生じた損失は、法人税基本通達9−6−1(金銭債権の全部又は一部の切捨てをした場合の貸倒れ)の(3)にいう「法令の規定による整理手続によらない関係者の協議決定で切り捨てられることとなった部分の金額」であり、その切捨てが同通達(3)のロにいう「行政機関又は金融機関その他の第三者のあっせんによる当事者間の協議により締結された契約でその内容がイ(合理的な基準により債務者の負債整理を定めているもの)に準ずるもの」に該当することから、法人税法上、債権放棄の日の属する対象債権者の事業年度において貸倒れとして損金の額に算入する。
2 債務者(個人)
 債務者において債務免除を受けたことによる債務免除益は、所得税基本通達36−17(債務免除益の特例)にいう「債務免除益のうち、債務者が資力を喪失して債務を弁済することが著しく困難であると認められる場合に受けたもの」に該当することから、所得税法上、各種所得の金額の計算上収入金額又は総収入金額に算入しないものとされる。

(注) 同通達(1)及び(2)に特掲している場合に該当している場合には、債務者が受けた債務免除額のうち同通達(1)及び(2)に掲げる金額についてはこの限りではない。

.照会者意見(照会者の求める見解となる理由)
1 対象債権者(法人)
(1) 法人税基本通達9−6−1
 法人税基本通達9−6−1(金銭債権の全部又は一部の切捨てをした場合の貸倒れ)においては、債権者たる法人が、債務者につき法的手続又は私的手続による債務整理によりその有する債権につき債務の切捨て(債務免除)を行った場合において、この債務免除による損失を貸倒れとして損金の額に算入される場面及び金額が明らかにされているところである。
 同通達の(1)においては、会社更生法若しくは金融機関等の更生手続の特例等に関する法律の規定による更生計画認可の決定があった場合又は民事再生法の規定による再生計画認可の決定があった場合において、これらの決定により切り捨てられることとなった部分の金額は、貸倒れとして損金の額に算入されることが明らかにされている。
 同通達の(2)においては、会社法の規定による特別清算に係る協定の認可の決定があった場合において、この決定により切り捨てられることとなった部分の金額は、貸倒れとして損金の額に算入されることが明らかにされている。
 同通達の(3)においては、法令の規定による整理手続によらない関係者の協議決定で、一定のものにより切り捨てられることとなった部分の金額は、貸倒れとして損金の額に算入されることが明らかにされている。
 最後に、同通達の(4)においては、債務者の債務超過の状態が相当期間継続し、その金銭債権の弁済を受けることができないと認められる場合において、その債務者に対し書面により明らかにされた債務免除額は、貸倒れとして損金の額に算入されることが明らかにされている。本件ガイドラインは法的手続ではないため、本件ガイドラインに基づいて作成・成立した弁済計画により行われる債務免除については、同通達の(1)及び(2)の場面とは異なる。また、本件ガイドラインに基づいて作成・成立した弁済計画により債務免除を受ける債務者は「債務超過の状態が相当期間継続」しているとは限られないことから、同通達の(4)により照会の課税関係を判断することは相当でない。
 したがって、本件ガイドラインに基づいて作成・成立した弁済計画により行われる債務免除による損失が貸倒れとして損金の額に算入されるかどうかは、同通達の(3)によりその判断を行うこととなる。

(2) 法人税基本通達9−6−1(3)
 法人税基本通達9−6−1(金銭債権の全部又は一部の切捨てをした場合の貸倒れ)の(3)においては、前述のとおり、法令の規定による整理手続によらない関係者の協議決定で、一定のものにより切り捨てられることとなった部分の金額は、貸倒れとして損金の額に算入されることが明らかにされている。
 この「関係者の協議決定で、一定のもの」として、同通達(3)において、次の2つの協議決定が明らかにされている(法基通9−6−1(3)イ、ロ)。

 債権者集会の協議決定で合理的な基準により債務者の負債整理を定めているもの
 行政機関又は金融機関その他の第三者のあっせんによる当事者間の協議により締結された契約でその内容がに準ずるもの
  上記は、債権者集会の協議決定であるため、複数の債権者がいる場合を念頭に置いた取扱いと考えられるところである。
 しかしながら、本件ガイドラインの対象となり得る債務者には、非事業者である住宅ローンを抱える個人も含まれており、対象債権者が単一の金融機関となる場合も想定されること(Q&A3)、及び運営委員会という第三者機関が手続に関与することから、照会の課税関係については、上記に該当するかどうかによりその判断を行うことが相当と考えられる。

(3) 法人税基本通達9−6−1(3)のロへの当てはめ
 本件ガイドラインに基づいて作成・成立した弁済計画により債務免除(債権放棄)が行われた場合において、当該弁済計画が本件ガイドラインに適合したものであることを本件の照会の前提とすれば(上記参照)、当該弁済計画の成立に至るまでの手続、当該弁済計画の対象となる個人債務者及びその債権放棄額については、次の事実が認められることとなる。

 民事再生法における再生計画は、再生手続開始の申立て、裁判所及び裁判所の選任する監督委員(又は個人再生委員)の監督の下で行われる財産状況等の調査手続を経た再生計画案の提出及び再生債権者の同意を経た認可決定により成立する。この点、本件ガイドラインによる弁済計画は、債務整理の申出、運営委員会による確認・報告を経た弁済計画案の提出及び対象債権者の同意という手続により成立することから、民事再生法による再生計画に係る一連の手続に準じて成立するものであること(上記の4)。
 当該個人債務者は、住居、勤務先等の生活基盤や事業所、事業設備、取引先等の事業基盤などが東日本大震災の影響を受けたことによって、住宅ローン、事業性ローンその他の既往債務を弁済することができないこと又は近い将来において既往債務を弁済することができないことが確実と見込まれることから(上記の1)、破産手続開始の原因となる「支払不能」(破産法2、15、30)又は民事再生手続開始の条件である「破産手続開始の原因となる事実の生ずるおそれがあるとき」(民事再生法21、33)と同様の状態にあること(上記1の(注))。
 対象債権者が行う債権放棄額は、破産手続による債権の免責額よりも少額となること(上記の5(1)、(3))又は破産手続による債権の免責額と同等であること(上記の5(2))からすれば、再生計画不認可決定事由の一つである「再生計画の決議が再生債権者の一般の利益に反するとき」(民事再生法174四)に該当しないよう破産手続による弁済額以上の弁済をすること(債権の切捨額が破産手続による債権の免責額と同等以下であること)が求められる民事再生手続による債権の切捨額と同等と認められるほか、債権者間において平等又は衡平と認められるものとなること(上記の5)。
 債務者の対象債権者に対する債務を主たる債務とする保証債務がある場合、保証人に対して保証履行を求めることが相当な場合には、保証履行を求めること(保証履行を求める部分については債権放棄を行わないこと)(上記の6)。
 債務者が上記の状態にあること、債権放棄額が上記に合致した金額であること、上記の保証履行を求めることが相当であるかどうかなど、弁済計画が本件ガイドラインに適合したものであることを第三者機関である運営委員会が確認することとしていること(上記の3)。
 以上の事実からすれば、本件ガイドラインに基づいて作成・成立した弁済計画により債権放棄が行われた場合には、その手続は民事再生法による再生計画に係る一連の手続に準じており、対象となる債務者は破産法又は民事再生法による債務整理の対象となる者であるとともに、その債権放棄額も破産手続による免責額の範囲内であり、保証債務の履行を求める部分については債権放棄が行われないことから、当該弁済計画による債権放棄額については「合理的な基準により債務者の負債整理を定めているもの」(法基通9−6−1(3)イ)により算出された債権放棄額に該当すると解される。
 また、第三者機関である運営委員会がその内容を確認・報告し、対象債権者はその報告の内容を踏まえて当該弁済計画に同意することからすれば、「行政機関又は金融機関その他の第三者のあっせんによる当事者間の協議により締結された契約でその内容がイに準ずるもの」(法基通9−6−1(3)ロ)による債権放棄額であると認められる。
 したがって、本件ガイドラインに基づいて作成・成立した弁済計画により行われる債権放棄額は、法人税基本通達9−6−1の(3)ロを根拠として、法人税法上、貸倒れとして損金の額に算入されることとなる。

2 対象債務者(個人)
(1) 債務免除益に係る所得税法上の取扱い
 個人が債務免除を受けた場合の債務免除益については、所得税法第36条第1項かっこ内に規定する「金銭以外の物又は権利その他経済的な利益」に該当し、原則として、各種所得の金額の計算上収入金額又は総収入金額に算入することとなる(所基通36−15(5))。
 ただし、「債務免除益のうち、債務者が資力を喪失して債務を弁済することが著しく困難であると認められる場合に受けたもの」については、各種所得の金額の計算上収入金額又は総収入金額に算入しないこととされている(所基通36−17)。

(2) 民事再生手続による債務免除益
 民事再生法の再生手続開始の原因は、「債務者に破産手続開始の原因(支払不能)となる事実の生ずるおそれがあるとき」とされている(民事再生法21)。
 また、その再生計画による債権の切捨額は、裁判所の関与の下、上記1(3)のに記載したとおり、破産手続による債権の免責額と同等以下となるよう設定されることとなる。
 このような対象者に対して債権者たる法人が破産手続による免責額と同等以下となる債権の切捨てを行った場合には、その切捨額は、当該債権者たる法人において貸倒れとして損金の額に算入することができることとされている(法基通9−6−1(1))。
 そして、当該債権者たる法人において貸倒れとして損金の額に算入できる債権の切捨額は、その貸倒れの対象となった債務者からの回収が不可能な部分であるということを意味しているのであるから、その回収が不可能な部分については所得税基本通達36−17にいう「債務免除益のうち、債務者が資力を喪失して債務を弁済することが著しく困難であると認められる場合に受けたもの」に該当し、その債権の切捨てにより生ずる債務免除益は、同通達により各種所得の金額の計算上、収入金額又は総収入金額に算入されないこととなる。

(3) 所得税基本通達36−17への当てはめ
 本件ガイドラインに基づいて債務免除を受けることとなる債務者は、上記1(3)ののとおり、破産手続開始の原因となる「支払不能」又は民事再生手続開始の条件である「破産手続開始の原因(支払不能)となる事実の生ずるおそれがあるとき」と同様の状態にある者とされ、民事再生手続の対象者又はそれよりも資力を喪失している者が対象となっている。
 また、本件ガイドラインによる債権放棄額(債務免除額)は、上記1(3)のに記載したとおり、民事再生法による再生手続と同様に破産手続による債権の免責額と同等以下となるように設定することとなる。
 さらに、これらのことにつき、利害関係のない中立かつ公正な立場の第三者機関として運営委員会により確認・報告されていることが照会の前提であることからすれば、本件ガイドラインによる債務免除額は、民事再生手続の対象となり得る者に対して、民事再生手続による債権の切捨額と同等の債務免除をするものと認められる。
 したがって、本件ガイドラインによる債務免除を受けた債務者に係る債務免除益については、民事再生手続による債権の切捨額と同様に、所得税基本通達36−17にいう「債務免除益のうち、債務者が資力を喪失して債務を弁済することが著しく困難であると認められる場合に受けたもの」に該当し、その債務免除益は、同通達により各種所得の金額の計算上、収入金額又は総収入金額に算入されないこととなる。

http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/bunshokaito/hojin/110816/besshi.htm#a02

コメント(2)

再生エネ法23日衆院通過 議運委が決定
2011.8.19 17:19
 衆院議院運営委員会は19日の理事会で、菅直人首相が退陣条件とした再生エネルギー特別措置法案と、子ども手当を10月以降も支給するための特別措置法案を23日の衆院本会議で採決すると決めた。いずれも民主、自民、公明3党などの賛成多数で可決、参院に送付される見通し。参院議運委も19日の理事会で、もう1つの退陣条件の特例公債法案の趣旨説明・質疑を22日の参院本会議で実施すると決定。3党は公債法案を24日に、再生エネルギー法案と子ども手当法案を26日にそれぞれ成立させることで合意している。
受任通知から5年経過後の消滅時効の成否
2011-08-19 20:11:50

テーマ:判例紹介
直感的には弁護士がやると懲戒対象になるような行動に感じたが
まだ判決が公表されていませんので

年月日も不明ですが、東京地裁で

(控訴審)、弁護士が受任通知を

出してから5年間の消滅時効期間が

経過後に消滅時効の援用を通知

したところ、さらにその3年後に

業者が貸金返還訴訟を提起した

案件で、消滅時効の援用を

信義則違反と位置付けて、業者の

請求を認容した判決が出たとの

ことです。

 消滅時効の起算点に関する

最高裁1970/7/15に沿うとき、

貸金業ガイドラインの存在は

権利の行使に関する法律上の

障害にも権利行使を現実に

妨げる事実上の障害にも該当

することにはならないはず。

すると、債務者自ら受任通知を

代理人に発送させて督促を

(法律上や事実上の障害まで

至らないにせよ)停止させつつ、

5年経過したことを理由に、

債務を支払う意向(債務整理)も

債務を法的にカットする意向

(破産)もせずに、時効援用を

講じるのはさすがに権利の

濫用に該当するという法律

構成かと思っていた。

 ところが代理人弁護士の

報告によれば、東京地裁は

「受任通知の送付により、

金融業者の訴訟提起(時効

中断措置)が事実上困難に

なった」という解釈をして、

消滅時効の援用は許されないと

解釈したようである。

 結論はともかく、解釈論と

しては如何なものかと思った。

代理人弁護士は上告する

らしいが、受任通知を発送

したことによる、代理人弁護士と

貸金業者の緊張関係を如何に

やりこなすべきかという点に

関する1つの象徴的論点と

思い、まだ原文まで辿れない

状況ではあるけれども、ここに

紹介した次第である。

http://ameblo.jp/fben/entry-10991313924.html

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