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諸富祥彦先生(アウエアネス)コミュの現代の「いじめ」をめぐって

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こんにちは
明大HPのWEBマガジン「明治ですから!」に
諸富先生の以下の記事が掲載されていました。
http://www.meiji.ac.jp/koho/desukara/index.html

これは前編なので、いつになるかはわかりませんが
後編も掲載されるはずです。

あらたなトピックをたてるのは、賛否両論あるかとは思います。
前編・後編で1つとトピックにするほうがいいかと考え、
立てさせていただきました。

現代の「いじめ」をめぐって(前編)
文学部 教授  諸富祥彦

 ここ数ヶ月、学校でのいじめや、それに続く自殺の問題がマスコミを賑わしました。教育臨床心理学を専門としている私も、テレビや新聞でこの問題についてコメントする機会が何回かありました。また、この問題にどう取り組むか、たとえば出席停止という対処法の是非をめぐって、さまざまな場所でさまざまな議論がなされています。
 私は、いじめがもっとも深刻だと思われる公立の中学校において、8年ほどスクールカウンセラーをしています。カウンセリング・ルームにいて、いじめにあった子ども、仲間はずれにされている子どもの訴えを聞かない日はありません。
 また、当然ながら、大学教員として、別の大学では学生相談のカウンセラーとして、大学生の悩みも聴いてきました。するとわかるのが、大学生になって「死にたい」と訴えたり、実際に、自死(自殺)を試みたりする子どもの少なからずが、小学校や中学校でいじめられた体験を持っている、ということです。いじめの後遺症は何年も何年も続きます。いじめの10年後に心の傷で自殺される方もいるのです。いじめで傷ついた自尊心を回復することはたいへん難しく、まさに、一生を大きく左右するものだといえるでしょう。
 今回と次回、2回にわたって、私のこうしたカウンセリングの経験をもとに、いじめ問題をめぐって考えたことをお話できればと思います。

 まず今回は、いまの子どもたちが学校で置かれている現状について、おおまかにでも、お伝えしておきたいと思います。わたしの経験では、すべての学校にはいじめがあります。いや、小学校高学年から中学校に限っていうと、すべてのクラスにいじめらしきものはある、と言っていいかもしれません。さらにいえば、いつ、どの子どもがいじめられてもおかしくない。いつ誰が排除されてもおかしくない。そんな状態にあるのです。特に、思春期の女の子たちの世界はいびつで、学級はさながら戦場のような状態です。
 そうした中でも最悪なのは、中学校2年生の学級内の女子の世界です。いまのクラスでは、2人から4人の小グループがいくつも存在しています。そしてそれが島宇宙のように点在しています。これらのグループは、お互いにつかず離れずで、あまり関係を持っていません。そしてこのグループがものすごく排他的です。特に思春期の女の子にとっては、このグループが自分の世界のすべてです。そこから排除されないよう、孤立しないよう、死に物狂いになっています。子どもたちは孤立を何よりも恐れます。クラスに友だちがいないことほど惨めでつらいことはないのです。しかもこのグループには、なんとなくランクづけのようなものがあると子どもたちは感じています。誰か明確なリーダーがいて支配しているのではありません。なんとなく、かわいくて人気があるのがこのグループ。地味でダサいのがこのグループ、といったようになっています。
 最近、格差という言葉がよく用いられますが、中学生女子の世界ほど、明確な格差が存在する社会は存在しない、と言っていいように思います。いや、小グループを単位として、それぞれのグループには上下のランクづけが存在しており、しかもそのランクづけは、多くの場合、家柄や容姿、身体的特徴などの、本人の努力によってはいかんともしがたい要因によって決まってしまうのですから、格差というよりは階級が存在する、といったほうがより実態に近いかも知れません。
 具体的な例として、ここでは、ある女子高生の場合を挙げましょう。ある女の子はストレートにこう言います。「あのね、今の女の子たちの世界はね、ある種の階級社会なの。太った子は中でも最低の階級。ほかの階級の子たちからは相手にされなくなるの」。
 階級社会!?私は一瞬、唖然とさせられました。しかしたしかに、中学生から高校生くらいの女の子たちをよく見ていると容貌、ファッションセンスなど、なんとなく似た感じの子同士がいつもいっしょにいます。そしてその似たもの同士のグループ(2人から4人の小集団)で、たえず行動を共にしているのです。
 それってどういうことなの? 私がたずねると、先の女の子は答えます。
 「だって、たとえば渋谷のお店に服を買いに行くとするでしょ。私たちが好きなブランドのお店って、ちっちゃいサイズしか置いてないんだもん。太っていると、いっしょにお買い物もできなくなるの」。
 なるほど、これは、ある種の階級社会にちがいありません。スタイル、ルックス、ファッションセンス、成績、言葉づかい… などが似た者同士が寄り集まり、グループをつくって、同じ行動をしていく。その結果、太った子、可愛くない子、機転のきかない子、特異な趣味のある子は自然と置き去りにされ、仲間から外されていくのです。そしてそれが怖いからこそ、女の子は必死で痩せ続けるのでしょう。その背景にあるのは、仲間はずれへの恐怖です。
 女の子の痩せ願望を理解するとき、思春期特有の身体イメージや、マスコミによる偏った情報の問題などが指摘されることも少なくありません。これらもたしかに重要なファクターでしょう。しかし、彼女たちの一番の不安は、こうした学校での人間関係や学級集団の中での、自分の位置づけです。同性の友人たちからいかなる眼差しが浴びせられるか。それにより、学校や学級の中での自分の位置やランクが決まってしまうのです。ある意味では、サラリーマンよりはるかに厳しい競争社会です。
 先に私は、「思春期の女の子たちの世界はいびつで、学級はさながら戦場のような状態です」と申し上げましたが、それは、このような子どもたちの世界の現実を見聞してのことです。いつ、誰を、排除するか、されるか。そのことに子どもたちは非常に敏感になっていて、自分がターゲットとされるようになることを強く恐れています。
 その中で、あるとき、上位グループのリーダー格のA子が、気晴らしのために、下位グループのC子をターゲットに選び、「ねえ、C子をハブにしょうよぉ」と言い始めます。その子と仲がいいことでクラスの中の地位を確保している、いわば側近のB子がそれに追従します。そうしなければ自分がいじめにあうからです。ほかの子も、自分の身を守るために、見て見ぬフリをします。学級内でのいじめは、たとえばこんなふうにして始まるのです。
(後編に続く)
 
雑誌「明治」34号(2007年4月15日発行)「明大からの処方箋」より

コメント(7)

「いじめで傷ついた自尊心を回復することはたいへん難しく、まさに、一生を大きく左右するものだといえるでしょう。 」

私は、子供の頃、いじめられました。
そして大人になった現在になっても、その影響が出ていることを感じてしまいます。

また、ここに書かれている「中学生女子の世界」は、子供だけでなく大人になっても、こういう世界(階級社会)が存在していることを実感します。
syanekoさま、情報アップして頂きましてありがとうございます!
「明治ですから!」という題名、良いですね〜

中学校のスクールカウンセリングをされている諸富先生にはクラスで起きている今の現状はすごくおわかりになるのでしょうね。
私も以前、諸富先生の講座でいじめのお話を伺いましたが、中学生は学校で精神的にクタクタになっていると聞きました。
そして親に相談出来ないのも辛いですよね。

子供たちの様々な個性をお互いが認め合い尊重できる教育とはどんなものか・・。

子供たちが目で見たものだけで判断するのではなく、もっと深く想像できる力を養ってもらいたいです。

人の本当の心を想像できる力・・・


後半、また宜しくお願い致しますね。
こんにちは
大変遅くなりましたが、
明大HPのWEBマガジン「明治ですから!」に諸富先生の上記記事・後編が掲載されていました。
http://www.meiji.ac.jp/koho/desukara/index.html

現代の「いじめ」をめぐって(後編)
文学部 教授  諸富祥彦
バックナンバーへ 明治ですから!TOPへ
 前回は、いじめ発生の前提となる、子どもたちの人間関係の世界を、特に中学生、高校生の女子の世界を念頭に置きながら説明しました。そこで私は、いまどきの女の子たちの世界には、ある種の階層が存在していて、そこはさながら戦国時代のようだ、と申し上げました。そしてそんな中、あるとき、上位グループのリーダー格のA子が、気晴らしのために、下位グループのあるメンバーを仲間はずれにするように指令を下すことで、学級内でのいじめは始まっていくのです。
 現実に、こうしたことが多くの学級で日常的に起きています。いじめの背景には、このような学級内での「グループ化」と「グループ内での同調圧力(これをピアプレッシャーといいます)」、そこからの排除の構造があります。

 実際、スクールカウンセラーをしている私への相談で一番多いのが、「仲間はずれにあいそうなんだけどどうしよう」というものです。なかには3人くらいで相談に来て「○○さんのこと仲間はずしにしたいんだけど、どうしたらいいですか」という子たちもいます。いつ排除するかされるか、わからない。そのことに中学生くらいの女の子たちは、みんな、どこか脅えています。孤立するのを恐れて、自分を消して、グループに同化しようとします。特別ないじめられっ子だけでなく、みんな脅えているのです。
 さらに最近は、この「排除の武器」としてメールが使われています。かつての不幸の手紙のように、チェーンメールを使って脅していくいじめが流行っています。いじめで服を脱がされて、下着姿になっているところを携帯で撮って、写メールで送るといった仕打ちも行なわれています。
 では、私たち大人は何ができるのでしょうか。

 かつて、こんなことがありました。ブルブル震える女の子がカウンセリングルームにやってきました。その子はいいます。「先生、このまま教室にいると、私、友達のこと刺しちゃいそう。しばらくここにいさせてもらえますか」「もちろん、どうぞ」そう言って迎え入れると、その子はムカツク友だちに無理して自分を合わせてつきあっていたら、イライラしてきて、気づいたらコンパスを握って震えていた。そんな自分がこわくなったからここに逃げてきた、といいます。そんなことを10分くらい話したでしょうか。「じゃぁ授業にいってきます」と自分で教室に帰っていきました。
 こうした経験から私が考えるのは、子どもたちが安心して逃げ込める場、助けを求めることのできる場、つまりセーフティネットをたくさん用意しておくことできないか、ということです。
 学校でできることとして私が提案したいのが、「こころの第2担任制」です。教育相談週間などで、「担任ではなく、自分がこの先生になら話せる、という先生を子どもが選んで2人きりで15分ほど話をする」そのチャンスを学期に1回つくるのです。中学2年生を対象にしたある調査で「あなたが悩みを相談できない先生は誰ですか」を調べました。するとダントツトップが学級担任でした。思春期の子どもは、深刻な悩みであればあるほど、担任や親など、近すぎる人には相談できません。むしろ少しななめ位の関係にある人のほうが相談しやすいものです。学校にはいろんな大人がいます。担任だけにこだわらず、子どもが自分で選んだ先生と相談できるようなシステムを積極的につくっていきましょう。

 もうひとつは、子ども同士の助け合い、ピアサポートといいますが、これを行なうことです。たとえば中3や小6など、上級生の子どもの一部にカウンセリングのエッセンスを教え、下級生の相談にのってもらうのです。高校生が中学校にいき、中学生が小学校にいってもいいでしょう。子どもたちにとって、教師よりずっと身近で相談しやすい存在です。
 茨城県の下館中学校などでは実際にやっているのですが、生徒が自主的にいじめ撲滅をめざした組織をつくり、いじめの相談や、昼休みのいじめパトロールなどを行なうとたいへん効果的でしょう。こうした活動の積み重ねによって、「いじめはださいこと、かっこう悪いこと」という感覚が生まれ、学校全体が「正義の共同体」に生まれ変わること。それが何よりも重要です。
 地域でできることは、もっとメール相談ができる機関を充実させることです。最近の子どもたちは、悩みを語る力が弱いので、電話での相談は好みません。電話相談ではなく、メールでの相談の場を増やすことです。
 親御さんにできることは、「学校に行きたくない」「眠れない」「おなかが痛い」などのシグナルを敏感にキャッチすること。子どものつらさを理解して、ときには、無理して学校に行くのをとめて、お子さんを休ませることも必要でしょう。いじめた子が学校に楽しく通っているのに、いじめられた子が学校に行けなくなるのはおかしい、理不尽だと言う方もいます。私もそう思います。いじめは犯罪に等しい、卑劣な行為です。いじめた子には、出席停止も含めた厳しい対応が必要だと思います。しかし、まずわが子のいのちを守ることが先決です。学校を休ませ、「何があっても私はお前を守るから」と宣言し、すぐに学校と連絡して対応策を練ってください。

 最後に先生方や親御さんに絶対にしてほしくないことをお願いします。
 せっかく勇気を振り絞って相談してくれた子どもに対して、「そんなことくらい、気にしないようにしなさい」とか「もっと強くなりなさい」といった言葉で片付けることです。子どもは軽くあしらわれ見放されたと思い、絶望します。もうひとつ、「あなたにも、悪いところがあるんじゃないの」という言葉も、絶対に言ってはならない言葉です。いじめられている子は、ひどく傷つき、自分なんか生きている意味がないのではと思うほど、否定的な気持ちになっています。そんなとき「あなたにも悪いところが」と叱責されることで、子どもたちは立ち直ることができなくなります。いじめられても周囲の大人に相談できない子どもは、親や教師のこうした心無い一言で傷ついている場合が少なくありません。
 学校、地域、親…、すべての大人が力を合わせて「子どもたちが助けを求めやすい環境」をつくりましょう。そして、「何があっても、君たちを守る」と伝えていきましょう。(了)
 
雑誌「明治」35号(2007年7月15日発行)「明大からの処方箋」より

諸富祥彦(もろとみ・よしひこ)
文学部教授(臨床心理学)
1963年、福岡県生まれ。
1986年筑波大学卒業。1992年同大学院博士課程修了。1993年千葉大学講師、同助教授を経て、2004年明治大学文学部助教授。日本トランスパーソナル学会会長、教師を支える会代表、日本カウンセリング学会常任理事。
【主な著書】
『人生に意味はあるか』(講談社現代新書)など多数。
ホームページ http://morotomi.net/

【明治大学 心理臨床センター】
明治大学心理臨床センターは、一般の方々の心の健康に関する悩みや相談をお受けする機関です。子供から大人の方まで、幅広く相談をお受けしています。また、学校教員の生徒への対応や、保育、家庭教育についてのコンサルテーションのご依頼もお引き受けいたします。

■お子さんや子育てについての相談
■心身の悩みについての相談
■家族関係についての相談
■職場での悩みについての相談
■学校教員の生徒への対応についての相談
■グループでのコンサルテーション

※ 相談に応じるのは、臨床心理士の資格を有する経験豊富なカウンセラーです。
※ 相談内容の秘密は厳守いたします。 
※ 必要に応じて医療機関との連携や他機関への紹介も行なっています


〒101-8301 
東京都千代田区神田駿河台1-1 アカデミーコモン7階
TEL 03-3296-4169 URL http://www.meiji.ac.jp/ccp/index.html
受付時間:月〜土曜日(祝祭日は休室) 10:00〜12:30 13:30〜18:00
諸富先生が書かれている言葉。

「何があっても私はお前を守るから」・・・
おっしゃってるように、親御さんは、わが子がいじめられていると気づいたらぜひ宣言してあげてほしい。

最初に書いたように、私は、子供の頃、いじめられました。
そのとき、真に心の支えだったのは、親は私の味方だと信じることができる言葉をもらえたこと。

諸富先生が書かれているような力強い言葉ではなかったけど、それでも、当時、それだけが私が生きていく 心の支えでした。

逆に傷ついたのは、ある人に言われた、「気にしすぎ」だという言葉。
諸富先生が書かれてる絶望させる言葉、まさに「そんなことくらい、気にしないようにしなさい」とか「もっと強くなりなさい」という内容でした。

私が子供の頃と違い、学校にカウンセラーさんがいたり、いっけん、恵まれているようにも思えるけれど。
現実、子供たちにとって、真の意味で心の支えとなるような場所は、まだまだ少ないのかもしれません。

諸富先生が書かれてるように、「子ども同士の助け合い、ピアサポート」の場を設けたり、「メール相談ができる機関を充実」させたり、ぜひに実現化してほしいなって思います。
(私自身が実現化できればよいのですが、独身で子供もいない私がやるのは難しいでしょうね)

もちろん同時に、夢ママさんが書かれてるような、「子供たちの様々な個性をお互いが認め合い尊重できる教育」、 「人の本当の心を想像できる力」を養うことも大切ですね。
syanekoさん、ありがとうございます!
小学校の高学年の娘を持つ私としましては、うなずくことばかりです。
思春期の子供たちは体と心の成長と共に、勉強や習い事でやらなくてはならないことが増え、イライラしている毎日です。
その鬱憤が人への攻撃になってしまうのを、大人や周囲が気をつけていないといけない時期だと思います。
低学年の子供に対しての様に、あれこれ口を出すと逆効果なので、見守り時期ですよね。
諸富先生が最近書かれていた、子供の自己肯定感を持たせる為に、親から子供への愛情のこもった言葉かけが重要ですよね。
諸富先生のいじめについての著書「教室に正義を」を読まれた方の感想が書かれたブログです。
とてもわかりやすかったです。

http://ya42853.blog.so-net.ne.jp/2011-06-04

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