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思えば遠くへ来たもんだコミュの思えば遠くへ来たもんだ 『 大分県 - 臼杵 』

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屋久島をやりきった感で離れ、鹿児島から金券ショップで高速バスのチケットを購入し、勢いで宮崎にはいる。宮崎といえば、日本書紀がらみの土地がちらほら見かけられそうだったものの、あまり気持ちがノッてこない。奄美大島〜鹿児島〜屋久島と巡って、ちょっと気持ちに余裕がなくなってきたのだろう。

夜、恒例の街をパトロール(徘徊)しても見かけるのはダンススタジオとかヒップホップのいかついポスターとか、たこ焼き屋とか。どうにも気持ちはアガってこない。ラーメン食べてもいまひとつ。

翌朝、そうそうにバックパックをかついで特急『日輪』に乗り込む。宮崎から大分にかけての東海岸沿いを走りぬける。シートを後ろにさげて出張気分よろしく、緑の田園に白い鳥がならんで飛んでいくのを寝ぼけまなこに追いかける。

大分県の臼杵という駅で降りる。ここは前夜、ビジネスホテルのロビーにあるパソコンで行程を調べていたところ、四国行きのフェリーに乗る港がある町だった。地図で確かめると、磨崖仏があるらしい。


マガイブツ??? 字のごとく岩壁に仏が彫ってあるらしい。フェリーに乗る時間まで2時間ほどとれる。このさい行ってみるか。神や仏に詳しいわけではないが、行ったらいったで気持ちの収穫があるのが、神社仏閣散策である。駅のホームには、いきなり石仏の首がお出迎えしている。なんとも怪しい気配。


改札をでると、どこからあらわれたのか外国人5人組。バスもしばらくなくって、どうしようかと顔をつきあわしている。僕をふくめて6人だったらシータク2台で料金をシェアしないかって、つたない英語でメイアイヘルプユー。オーケーオーケーとのりこんで様子をうかがうと男女混合スペインチームだった。

いったら失礼になるが、こんな辺鄙な町に外国人の観光客がいるなんて。もしやロンリープラネット(外国人御用達ガイドブック)にも載っているのかしら。なにしているんだって聞かれたので、日食を見てから北に北に日本を旅しているんだって答えると、クールだねって短い返事。


しばらく行くと、小山のすそに田んぼの広がる辺鄙なところにたどり着いた。石の階段が山にのびて、ところどころに屋根が見える。スペインチームは、あっさりチャオっと手を振って先に行ってしまった。ゆっくり辺りを眺めながら歩きはじめる。小雨がちらつく。階段のわきでは、地元のおばあちゃんであろうか、ほうきで落ち葉や枯れ枝をきれいに掃いている。


目の前に現れたのは、岩壁に掘られたいくつもの仏だった。じっと見ていると、まるで目をあわしてくるような、そんな瞬間がとてもたまらない。いいもんだな磨崖仏。自然の景勝のなかに人為的に残された偶像。丁寧さとか均整さとか細かくないところがまた、想像力が喚起されていいんだな。

と、また近くに古そうな神社があって立ち寄って。珍しくおみくじをひいてみると年始同様 『末吉』。かわらんのぉ、と思いながら階段をおりていると、苔に足をとられすっころんだ。


イテテテテッ?!。折れたんとちゃうか。・・・イヤイヤ、これはまだラッキーでしょう。頭ぶつけていたら死んでいるぜ。って痛みをこらえて気をもちなおす。


田園のむこうに蓮の花が群生していて、雨の滴をのみこんで薄紅の花を咲かしている。二羽の白い鳥がゆっくり空からおりてくる。

タクシーを呼んで、フェリーの待つ港に向かうと雲が切れて晴れ間がのぞいてきた。「お客さんの行いがいいからでしょう。」って、あばらをさすりながら苦笑気味にそうですかねぇと。

「ここは江戸時代にキリシタンに改宗した大名の城があって、いまでもそのまわりは旧い城下町が残っているんですよ。」といって、細い道が行きかう市内をぐるっとまわってくれた。

すっかり晴れ上がった港の横には造船所があって、つくりかけのデッカイ船が厚い骨組みをさらしている。

やったぜフェリーだ、とお弁当とビールと名産らしい臼杵せんべいを買い込み、目指せ四国宇和島へとゆっくり船は動きはじめた。


 (2009/8初)

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