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思えば遠くへ来たもんだコミュの思えば遠くへ来たもんだ 『 沖縄 』

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羽田から2時間。那覇の空港に降りたった。11月にはいっても期待を裏切らない暑さ。これだったらTシャツ一枚でいられるだろう。出口をぬけて迎えに来てくれているはずの友人を探す。が、いない。どうしたのかと、しばらく連絡を待つ。昼寝をしとったと、車であわててかけつけてくる。これぞ沖縄時間。


本島の中央を走る58号の両脇に、家具屋、車屋、洋服屋、カフェバーなどが点在する。米軍の基地が隣接しているせいか、英語表記もあちこちに。スーパーでゴーヤと豆腐、豚肉、生もずくとオリオンビールを1ダース買いこむ。土地のものでご飯にありつくのは格別だ。生もずくがえらく美味い。


沖縄にいる友人知人たちの多くは、島に仕事をしながらしばらくいる。広告、飲食、物販、サービス業のさまざま。それでいてみんな、ナイチー(沖縄以外の土地)のひとたちばかり。島一番の繁華街、『国際通り』の飲食店を経営するナイチーのひとは、ナイチーのアルバイトを雇うほうが安心だとさえいう。島の出身よりよく働くからだそうだ。一年の半分以上が常夏で、ちょこっと冬が来てまた夏ばかり。春と秋はいずこへ・・・。


朝方、家の近所を歩く。裏に畑がひろがり、里イモのたぐいか、風に大きな緑の葉が揺れる。椰子の木だって広いベランダからさわれそうなぐらいだ。縁側の椅子に腰掛けて朝日を浴びる褐色のおじさん。鳥篭のなかの鳥がヒヨヒヨと鳴いている。あっ、島のひとだって一瞬畏怖した。昨今、定年を過ぎて余生を求めて島に住みつくひとも珍しくない。新しい洋風の家。ダイソーにユニクロ、イオンにあまたのリゾートホテル。


観測史上、記録的な暑さのなか車を走らせ、斎場御嶽(せーふぁうたき)という琉球王国以来の聖地を訪ねる。ここは大きな自然石が寄り添うように立ち、大海原が遠くまで臨める。永い年月、無垢な民衆の祈りが石や木や虫や綿々と生きるひとびとに捧げられてきたのだろう。蝶々が頭のうえをいつまでも舞っている。


それから、平和祈念公園に立ち寄る。沖縄近現代の歴史はあまりにも過酷だ。アメリカとの戦争が熾烈を極め、島民は日本軍に強制的に戦場に駆り出される。米軍はおよそ容赦のない攻撃をしかけ、島民が懸命にこしらえた動かない木の戦車の模型のまえで困惑する。洞窟に隠れた島民のなかには、日本軍に泣き声で見つかるといって赤ん坊の命を絶たれたものもいる。老人たちは、裸足で大きな目をむいて焼けはらった大地に立ちすくむ。


人間じゃねえ ・・・ こんなこと平気でやれるのは人間だけで ・・・ こいつらニンゲンじゃねえええ。


岸壁のうえの大きな公園に、戻ってきた太陽の日ざしがたまっていく。枇杷の木であろうか、橙の実がいくつもいくつも道にこぼれ落ちている。



車は那覇の空港に向かった。途中、県道7号線沿いのそば屋で待望の沖縄そばをたいらげる。よもぎが特別にはいっている。てっきり、すき焼きにはいっている春菊みたいなものかと思っていたら、よもぎはやっぱりよもぎだった。これも美味しかった。


観光会社に立ち寄り、思い切って石垣島行きの飛行機のチケットを購入する。竹富島に住まう神々に、もういちど会いたくなって。世話になった友人はしばらくこのまま沖縄にいて、手に職を磨いてさらに遠くで暮らしていきたいそうだ。ここで別れ、僕はさらに南の島に飛んでいった。


 2008-11-17

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