【新ドラマ・映画】コミュのｽﾍﾟｼｬﾙﾄﾞﾗﾏ『美ら海からの年賀状』

～ストーリー～

　2001年正月、沖縄にある国営沖縄記念公園水族館が大規模なリニューアルを構想中で、その目玉としてジンべエザメの複数展示に挑戦すると館長の浦崎(時任三郎)がテレビのニュースで熱っぽく語っている。巨大魚でしかも複数。捕獲や飼育も困難だというジンべエザメを水槽で飼おうというその無謀ともいえる構想・・・

　その様子を北海道の病室で見ていた和也（須賀健太）は魚に興味があり、わずかながら知識がある中で、夢のような話を真剣に語る浦崎のことを半ばあきれ顔で見ていた。
　そして、母親の芳子(菊池桃子 )と隣の子供に年賀状を届けに来ていた郵便局員の宮下(水嶋ヒロ)にこう言ったのだ。「あの人はきっと病気とかしたことないんだろうね。おれ、あの人に年賀状書くよ。“ジンべエザメのおじさん、あんたムカつくよ”って」。
　いつ治るかも知れぬ心臓病での長期入院。年賀状をくれる友達さえいなかった和也にとって、夢のような話をいとも簡単に言ってのける浦崎は、信頼できない大人。だからこそ、「不可能なことってあると思いますよ」と思ったままを見知らぬ浦崎へと書き送ったのだった。
　「ジンべエザメを複数で、しかもマンタやマグロのような大型魚と一緒に展示するなんて、どこの国でもできないことが、どうして自分ならできると言いきれるんですか

どう考えても無理だと思います」。

―沖縄。
浦崎は和也からの手紙を受取っていた。
千尋(比嘉愛未)ら水族館の職員たちも和也と全く同じ思いで浦崎には協力してくれない状況。さらに娘のエリ(大後寿々花)でさえ、父の途方もない発想に家族が犠牲にされていると思っている。一人で夢に走る浦崎は、四面楚歌状態。それでも、夫のことを信じる妻の寛子(床嶋佳子)や飲み友達であり、少ない浦崎の理解者である郵便局員の小原(川田広樹)の励ましを受け、浦崎は水槽造り、ジンベエザメの捕獲へと奔走を続けた。
　だが、世界一そして世界初というこの夢の水族館実現は、困難を極めた。
　ジンベエザメ捕獲を依頼した海人の島袋(西村雅彦)は、狭い水槽に魚たちを押しこめることに突如反発を覚えたからと絶縁宣言。巨大水槽はなかなか完成しなかった。

　ある日のこと、エリは和也の母から浦崎に宛てられた手紙を発見した。
そこには、和也から始まった浦崎との文通に対する礼のことばと一緒に、病気を治したいと思ってもできない和也の病状と、それに対して「不可能はない」などとはもう言わないでほしいという内容が綴られていた。優しい言葉の方がかえって残酷になるという・・・。
　この時初めて父と和也の文通のことを知ったエリは、周りのことを考えず走り続ける父の言動を気にしないでほしいという手紙を浦崎に内緒で、和也へと送った。
　和也には予期せぬ手紙。でも友達のいない和也にとっては嬉しいもので、それは今後二人の交流を深める一通ともなった。
　そうとは知らぬ浦崎の元にさらに予期せぬ事態が持ち上がった。
千尋が辞表を提出。連鎖するように他の飼育員たちも浦崎についてはいけないと言い始めたのだ。これに対して浦崎は、「一緒に夢を見られないような奴らは、こちらから願い下げだ」と言い放ってしまう。

その夜、浦崎は、馴染みの民謡酒場の大将(ゴリ)の店で小原と飲み、頓挫しそうな夢への実現を再度自分の中に燃え上がらせた。そして、和也への手紙を書いた。
「おじさんは決して諦めません。お正月にはジンベエザメたちの写真入り年賀状を送るので楽しみに待っていて下さい」と。
翌日、浦崎はジンベエザメ捕獲に協力してほしいと再び島袋の元を訪れていた。
そして島袋に強く問いかける。

「あなたは沖縄の海が好きですか?10年後も100年後もこの海を守りたいと思いませんか

・・・足踏みしていた世界で初めての水族館の構想が再び進み始めようとしていた

あなたも、大切な人に心のこもった年賀状を出してますか?

キャスト

浦崎信夫・・・時任三郎
国仲千尋・・・比嘉愛未
宮下幸太・・・水嶋ヒロ
森田和也・・・須賀健太
浦崎エリ・・・大後寿々花
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小原吾郎・・・川田広樹（ガレッジセール)
大将・・・ゴリ（ガレッジセール）
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島袋紀夫・・・西村雅彦
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浦崎寛子・・・床嶋佳子
森田芳子・・・菊池桃子