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SS作家の集い(仮)コミュの【東方STG系SS】冬の夜空と。

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適当にお蔵入りになったSSをせっかくなのでアップ。
途中までしか書いてませんケド。特にこの先の理由も無かったので書くのを辞めたSSです(ぉぃ
気が向いたら書くかも?
霊夢*魔理沙な品。でつ、

コメント(1)

「…んっ。」
空になった盃に透明な液体を注ぐ。
もう一口含み、喉を通る熱さに目を閉じた。
魔法の森の奥深く。普通の人間はまず立ち入ることの無いその空間にひっそりと建つ家。
鬱蒼と茂る木々の間から漏れる僅かな月の光だけが唯一の光源。
その家の家主である霧雨魔理沙は自宅の裏の庭で一人で盃を傾けていた。
闇夜に慣れた目は暗闇の中それなりに視界を提供してくれる。
見上げる空にため息を一つ付き、その立ち上る自分の白い吐息に視線を泳がせた。
季節は初冬。
日を追うごとに厳しくなる冷え込みは既に体の芯まで染み込むようになり、そろそろ訪れる本格的な冬を予感させていた。
「また冬が来る、か。」
足元に転がる瓶は二つ。
一つは既に空き瓶、もう一つは残りが半分ほど。
飲むペースの速さも手伝ってか、流石の魔理沙も頭がぐらぐらしている。
ふと、今日はろくな食事を取っていない事に気がついた。
思い出すと余計に空腹感を感じる。
一気に盃の中の御酒を飲み干すと、空いた胃に熱い何かが当たる感覚。
すぐにそれは全身に染み渡り、肌を刺す寒さとぶつかる温かい壁になった。
「ふ…」
あははは…
乾いた声が乾いた空気の中に弾ける。
時々、降って沸いたように感じる負の感情。
破壊衝動や自虐衝動ではない、強い虚無感を伴うその感情は魔理沙はとても嫌いだった。
しかし原因も分からず突然訪れるそれは防ぎようが無い。精々人目に触れないように涙を流し、あるいはごまかし発散するように魔力を放出し、またあるいは酒を飲み忘れる。
酔いの状態において妖怪に襲われたりする場合もある。
が、その状態はいわばリミッターの緩んだ状態であると共に目の前に立つ妖怪は的でしかなくなる。ふらふらなその彼女は妖怪にとって好機ではなく逆の状態を意味するもの。
彼女の放つその制御を忘れた魔力の塊は妖怪の姿を消すだけでなく夜空に一筋の光の道を残すものとなる。
しかし今日の夜は静かなもので、辺りを騒がすような気配もない。
身を切るような風が頬を掠めるが、震える体を家の中に向けるようなことはしない。
「…」
変わりに残り半分程になった一升瓶に口をつけ一気に飲み干す。
この寒さの中睡魔に負ければ風邪どころではすまないかもしれない。
それを承知で空っぽになった瓶を自分の後ろに放り投げた。
視界が歪み、益々重さを増した頭を支えきれずに庭の芝生に全身を預ける。
「なんで、私は弱いんだ…っ…。」
人前では決して見せようとしないその姿を月に晒し、しかし口をつく悪態に答える声は無い。
虚無感の多くは自分に対する無力さだった。
幻想郷において人間でありながら多くの妖怪や人外と対等以上の立ち合いを見せる魔理沙だが、ライバル視する相手もまた人間であり、幻想郷トップクラスの実力。
稀に勝つ事もあるがほとんどの場合、魔理沙は勝利を手にすることは無い。
胸を張るに十分な強さは持っている。事実、日ごろ誰かの前では常に実力に裏づけされた自信を持ち弱気になることなどほとんど無い。
だが、人知れずそれこそ血を吐くような努力や知識の吸収を繰り返しつつもこの幻想郷で最も力の無い、自分と同じ人種である人間に勝てないで居るその現実。
博麗の巫女である霊夢は幻想郷の結界を守るものとして生まれ持っての特異な資質がある。
分かってはいる。が、だから勝てないという形式は成り立つはずは無い。そう考えていた。
しかしいざ彼女の実力を目にすると、その底知れぬ稀有な才能と力に圧倒されてしまう。
日ごろ霊夢が何をしているかといえば何もしてない。彼女は努力やそういった行為はめんどくさい、の一言で片付ける。
「ちくしょう…。」
嫌いなはずは無い。それは日ごろの魔理沙の行動に裏づけされる。
だがそれとこれとは話が別。
逆に好意があるからこそ、無力な自分を彼女にさらしたくなかった。
そんな事を気にするタイプではないのも分かっている。
わかって居ても自分が納得できない。
だから極力そういう状態を彼女の前で出す事も無い、というか誰の前でも出すことはない。
自分が自分を嫌いにならないために。
自己満足と言われれば素直に頷くだろう。
しかしそれを問う相手も居る筈も無い。日ごろ魔理沙が見せる姿とは鏡のように反するものだから。だから、素直に頷くだろう。そう思える。
目に映る星々を、瞼を降ろすことで遮る。
光の無い世界。
体内に過剰に侵入した御酒は寒さと共に全身から力を奪っていく。
御酒は体内に熱さを。風と寒さは肌を刺す寒さを。
その間に体を預け。
月が提供する僅かな光から。
光の届かない闇の世界へ。
意識はゆっくりと沈んでいった。
頬をなぞる暖かな、涙の熱を残して。


「まったく…忘れ物なんてらしくないわね。」
夜の空気を裂いて、一つの影が夜空を走っていた。
眼下に広がるのは魔法の森。向かう先はその奥にある一軒家。
「うぅ、寒…魔理沙の家に着いたらちょっと暖まろう…」
霊夢が手にするのは魔理沙の忘れ物。
大事なものだと言っていた小さな石。
前回着たときに忘れたらしいものでさっき置いてあるのを発見したものだ。いつもなら届けるなどという事はまずしないが、三日も顔を出さないのは珍しいと思いついでに魔理沙の家に向かっていた。
「っと…。」
極普通の西洋風の一軒家。もっとも西洋風などというのは霊夢は知らないが。
そのドアの前に立つ。
「魔理沙―、忘れ物届けに着たわよー」
ノックではなく扉を開けてそのまま中に入る。
特に遠慮する仲ではないし、魔理沙だって時々神社に来ては勝手にお茶を入れている時もある。
「あら…?」
大きくない家の中を一回りしてから魔理沙の姿が無い事に首をかしげた。
暖炉に火がくべてあるところを見れば遠出しているわけでもなさそうである。
少し体を温めてから表に出てみることにした。
扉を開けた瞬間、冷たい風が一気に温まった体から体温を奪って行く。
「うぅ、寒い…。」
慌てて家の中に戻ってから、応接間に置いてある魔理沙のローブを勝手に手に取った。
小柄な魔理沙に合わせてあるそのローブだが暖かい。
羽織り、再び表に出る。寒さは相変わらずだが上着のおかげで随分ましになっていた。
「…変ね。」
後ろ手に戸を閉めてからさてどうしたものかと悩む。
もしかしたら緊急の用事で出かけたのかもしれないし、実験の途中で薬草か茸か何かを探しに行った可能性もある。
ただ忘れ物を届けに来ただけであるが何となく顔を見に来たのも事実。となるとこのまま帰るのも癪ではある。
あれこれ考えてはいるがとどのつまり彼女は寒くて余り表に出たくないだけだったりした。
一層冷たさを増す風が吹き、ロープの襟元を握って体を震わせる。
「寒…もー、どこいったのかしらまったく…。」
そこで一つの出来事に気がついた。
自分の握るロープの襟元。いうまでもなくこれは魔理沙の上着であり、確か複数所持しているものではない。となると出かけて要るということはまずありえない。この寒さの中箒を支えるのはかなりの体力を要するため、出かけるときは結構厚着をする。
そういえば夏場は良く裏庭で月を見ながら盃を傾けていたことがあった。
何度か一緒したが、ここから見える夜空が好きだと言っていた事を思い出した。
空を見上げる。
澄んだ空気の中の浮かぶ綺麗な星々。吐く息は白い霧となってその夜空に消えていく。
とてもじゃないが上着も着ずに表に居る気にはなれない。
「まさか…ね。」
裏庭へ足を向けながら、なんとなしの独り言。
体の後ろへ流れるその独り言と白い吐息が、透明な暗闇に吸われていった。

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