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勅賜屏風書了即献表
蒼嶺白雲観念人 等閑絶却草行真 心遊仏会不遊筆 不顧揚波爾許春
豈謂明皇交染翰 鵠頭龍爪為君陳 祥雲濃淡御邸出 瑞草秋冬感帝仁
青山翠岳見翔鳳 花苑瓊林望走�瓠々考�懸針与倒韭 切思相伴竭丹宸
龍管臨池調漆墨 烏光忽照点豪賓 暴風驟雨莫来汗 此是君王所愛珍
松巌数霧菴中湿 恐汗望晴経月旬 画虎画龍都不似 心寒心暑幾逡巡
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☆読み下し文
蒼嶺（そうれい）白雲（はくうん）観念の人
等閑（なおざり）に絶却す 草行真（そうぎょうしん）
心は仏会（ぶつえ）に遊んで筆に遊ばず
揚波（ようは）を顧みざること爾許（いくばく）の春ぞ
豈（あに）謂（おも）わんや明皇（めいこう）
染翰（せんかん）を交（かわ）し
鵠頭（こくとう）龍爪（りゅうそう）君が為に陳ぶ
祥雲（しょうん）濃淡（のうたん）御邸（ぎょてい）より出で
瑞草（ずいそう）秋冬（あきふゆ）帝仁（ていじん）を感ず
青山（せいざん）翠岳（すいがく）翔鳳（しょうほう）を見る
花苑（かえん）瓊林（けいりん）走�瓠覆修Δ蠅鵝砲鯔召�
更に懸針（けいしん）と倒韭（とうきゅう）と有り
切に思い相伴って丹宸（たんしん）に竭（つく）す
龍管（りゅうかん）池に臨んで漆墨を調（ととの）え
烏光（うこう）忽ちに照らして豪賓（ごうひん）を点ず
暴風驟雨（しうう）来り汗（けが）すこと莫（なか）れ
此れは是れ君王の愛珍したまう所なり
松巌（しょうがん）数（しばしば）霧ありて菴中湿す
汗（けが）さんことを恐れ晴を望んで月旬を経たり
画虎画龍都（すべ）て似ず
心寒く心暑くして幾たびか逡巡（しゅんじゅん）す
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☆現代語訳（筑摩書房『弘法大師空海全集』より）
蒼い嶺、白い雲、そこに住む禅定に専念する人間
なおざりにして捨て去っていた草書、行書、楷書
心は仏の世界に遊んで、書の世界には遊ばない
世間をふり返らないで、どれだけの春を過ごしたことか
それを明天子と書簡をかわし
鵠頭の書、龍爪の書を主君のために列（つら）ねるとは思いもかけなかった
めでたき雲（雲書）は濃く淡く御殿より出で
めでたき草（芝英書）は秋も冬も天子の仁愛に感じてはなさく
青い山、みどりの岳には飛ぶ鳳凰（鳳凰書）が見られ
花の苑、玉の林には走る麒麟（麒麟書）が眺められる
そのうえ懸針（たれさがった針）と倒韮（さかさに生えたニラ）とがあって
切なる思いをこめて宮殿を埋めている
筆をとって池に臨んで墨を調えると
日の光はたちまち照らして筆に墨をつける
暴風やにわか雨が訪れて汚すでないぞ
これは天子さまの愛し珍重するものなのだ
松の生える岩にはしばしば露がたちこめ、庵の中は湿る
汚すことを懸念して晴を待ち望んで月日を経過した
虎を画き龍を画いてもまったく似ても似つかず
心はこごえたり熱くなったりして、何度か奏上をためらった
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勅賜屏風書了即献表
蒼嶺白雲観念人 等閑絶却草行真 心遊仏会不遊筆 不顧揚波爾許春
豈謂明皇交染翰 鵠頭龍爪為君陳 祥雲濃淡御邸出 瑞草秋冬感帝仁
青山翠岳見翔鳳 花苑瓊林望走�瓠々考�懸針与倒韭 切思相伴竭丹宸
龍管臨池調漆墨 烏光忽照点豪賓 暴風驟雨莫来汗 此是君王所愛珍
松巌数霧菴中湿 恐汗望晴経月旬 画虎画龍都不似 心寒心暑幾逡巡
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☆読み下し文
蒼嶺（そうれい）白雲（はくうん）観念の人
等閑（なおざり）に絶却す 草行真（そうぎょうしん）
心は仏会（ぶつえ）に遊んで筆に遊ばず
揚波（ようは）を顧みざること爾許（いくばく）の春ぞ
豈（あに）謂（おも）わんや明皇（めいこう）
染翰（せんかん）を交（かわ）し
鵠頭（こくとう）龍爪（りゅうそう）君が為に陳ぶ
祥雲（しょうん）濃淡（のうたん）御邸（ぎょてい）より出で
瑞草（ずいそう）秋冬（あきふゆ）帝仁（ていじん）を感ず
青山（せいざん）翠岳（すいがく）翔鳳（しょうほう）を見る
花苑（かえん）瓊林（けいりん）走�瓠覆修Δ蠅鵝砲鯔召�
更に懸針（けいしん）と倒韭（とうきゅう）と有り
切に思い相伴って丹宸（たんしん）に竭（つく）す
龍管（りゅうかん）池に臨んで漆墨を調（ととの）え
烏光（うこう）忽ちに照らして豪賓（ごうひん）を点ず
暴風驟雨（しうう）来り汗（けが）すこと莫（なか）れ
此れは是れ君王の愛珍したまう所なり
松巌（しょうがん）数（しばしば）霧ありて菴中湿す
汗（けが）さんことを恐れ晴を望んで月旬を経たり
画虎画龍都（すべ）て似ず
心寒く心暑くして幾たびか逡巡（しゅんじゅん）す
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☆現代語訳（筑摩書房『弘法大師空海全集』より）
蒼い嶺、白い雲、そこに住む禅定に専念する人間
なおざりにして捨て去っていた草書、行書、楷書
心は仏の世界に遊んで、書の世界には遊ばない
世間をふり返らないで、どれだけの春を過ごしたことか
それを明天子と書簡をかわし
鵠頭の書、龍爪の書を主君のために列（つら）ねるとは思いもかけなかった
めでたき雲（雲書）は濃く淡く御殿より出で
めでたき草（芝英書）は秋も冬も天子の仁愛に感じてはなさく
青い山、みどりの岳には飛ぶ鳳凰（鳳凰書）が見られ
花の苑、玉の林には走る麒麟（麒麟書）が眺められる
そのうえ懸針（たれさがった針）と倒韮（さかさに生えたニラ）とがあって
切なる思いをこめて宮殿を埋めている
筆をとって池に臨んで墨を調えると
日の光はたちまち照らして筆に墨をつける
暴風やにわか雨が訪れて汚すでないぞ
これは天子さまの愛し珍重するものなのだ
松の生える岩にはしばしば露がたちこめ、庵の中は湿る
汚すことを懸念して晴を待ち望んで月日を経過した
虎を画き龍を画いてもまったく似ても似つかず
心はこごえたり熱くなったりして、何度か奏上をためらった
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