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会社法判例百選コミュの12

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12(126)株主平等原則
最判s45.11.24
特定の株主(多くは議決に影響を及ぼす持株数を有する大株主)に無配時に金員を渡すことは株主平等原則に反するか:反する。無効。

事案   Y会社(被告)は600万株を発行する会社である。X(原告)はYの株式20万6500株を有する株主で、Xの持株数は発行済み株式の100分の3以上に相当する。
 Y会社は昭和38年9月期の決算において無配にせざるを得なくなったが、株主総会で無配決議案を通過させるため大株主であるXに事前の了解を取り付けようとした。しかし、Xは不満を示し無配による損失の補填、自己の顧問就任を要求し、委任状の交付を拒否した。さらに、100分の3以上の株式を保有しているので少数株主権を行使しうることを強調して、毎月10万円、中元および歳末に各5万円の支払いを求めた。
 Y会社はこれを承諾せざるを得なくなり、減額交渉の末、月額8万円、中元および歳末に各5万円で合意し、Xはこの株主総会には出席しなかった。この合意に関しては株主総会後の翌年昭和39年2月初旬ころに文書で正式に契約した。
 その後、XはY会社に対して昭和40年7月から昭和42年6月までの未払い分204万円および遅延損害金の支払いを求めて訴えを提起した。(このあたりの事情は明確でないが、Y会社がXの要求を拒否して支払いをやめたか、配当があったにもかかわらずさらに金員を要求したかであろうと思われる)

第一審  Xは持ち株数100分の3以上の所有継続維持の義務の対価として金員が支払いされるべきと主張した。
しかし、一審、二審とも本件契約内容の解釈として、所有継続義務の約定はされていないと判断し、これに伴う金員の支払いの必要もないと判断。

第二審  原告の控訴棄却
株主平等原則に反し本契約は無効

最高裁  株主平等原則に反し無効
【理由】
  本件贈与契約が締結されるにあたり、上告人が当初要求した月額金一〇万円は、昭和三八年三月の決算期(被上告会社において無配決算となる直前の有配の決算期)における上告人およびその家族所有の株式二〇六、五〇〇株についての、利益配当率一割二分、一株につき金六円の割合で計算した配当金年額金一、二三九、〇〇〇円の一か月分金一〇三、二五〇円に見合うものであり、この金額を基礎として本件贈与契約が締結されるに至つたものであり、本件贈与契約は無配による上告人の投資上の損失を填補する意味を有するものである旨、そして、本件贈与契約は右のように株主中上告人のみを特別に有利に待遇し、利益を与えるものであるから、株主平等の原則に違反し、商法二九三条本文の規定の趣旨に徴して無効である旨の原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らして首肯でき、右認定の過程において採証法則違背は認められない。

 本件事案は、会社法制定前の事案である。会社法の下でも株主平等原則を表明する条文はいくつもあるが(例えば、308条1項、454条3項、504条3項)、非公開会社では株主間に異なる扱いをする旨を定款で定めることができることに注意が必要(109条2項)

(会社法成立による変化)
 株主平等原則は、多数決の濫用から少数株主を保護する機能を持つ。その反面、出資額に応じた平等であるので、多数派支配を強力にする機能を有することも忘れてはいけない。
 会社法では、配当の対象として現物配当が肯定された(454条4項)。これまで、現金による配当が常識化していたので金銭交付以外の配当は擬似配当と認定されるおそれはなかった。しかし、現物配当が肯定されたことで擬似配当と看做されるおそれのある行為が金銭給付に加えて現物給付にも拡大したと考えられる。例えば、一部の株主に商品券を渡す行為は(商品券は無記名債権で動産とみなされる)、現物配当との嫌疑をかけられるおそれがある。
 要約すると、これまで株主に現物交付をしても配当ではないとか、総会決議をかけていないから配当でないとの抗弁の余地があったが、このような防御が難しくなったといえる。

 本件事案当時は、利益供与の禁止規定(会社120条、970条)がなかったが、現在であればこれに該当する可能性が高い。そうすると、Xはすでに受領した金員の返還をしなければならず、Y会社の取締役は弁済責任(120条4項)を負うことにもなる。

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