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会社法判例百選コミュの10

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10

10共有株式の権利行使者の指定方法
最判h9.1.28
106条
? 有限会社の出資持分を準共有する共同相続人らが会社法106条に定める権利行使者の指定及び通知の手続きを履践していないが原告適格を認めることができるか
? 持分の準共有者間において権利行使者を定めるにあたっては、いかなる基準でこれを決するべきか
* ?の争点は事実の概要を読む限りは判断の必要性が読み取れないが判旨に記載があるので争点とした。?の争点は理論上、?の原告適格があることが前提のうえでの論点といえる

事案  訴外AはY1及びY2有限会社の全持分を有していた。Aには妻X1・長女X2・二女X3がいたが、その他に訴外Bと重婚的内縁関係にあり、長男Cがいた。
Aは平成元年11月9日に死亡したが、それ以前の同年10月18日にB及び訴外Dを取締役に選任する社員総会(実際は行われなかった模様)の決議がなされたので、X1〜3が決議の不存在確認を求めて訴えを提起した。この総会は行われなかった。
 ところで、本件審理はAの死亡時にBに全ての持分が遺贈されていればXらに原告適格が認められないことになるが、これに関する訴訟が別に係属していた。そこで、Xらが法定相続分の持分を取得したとの仮定の下に審理がなされていることに注意が必要である。

第一審  訴え却下。原告適格否定。

第二審  同上

最高裁
?原告適格は認めない
?過半数で決する
 *本件の訴え自体は争点?において、権利行使者の指定及び通知の手続きを欠くので原告適格を有していないとして上告を棄却している
【理由】
 有限会社の持分を相続により準共有するに至った共同相続人が、準共有社員としての地位に基づいて社員総会の決議不存在確認の訴えを提起するには、有限会社法二二条、商法二〇三条二項により、社員の権利を行使すべき者(以下「権利行使者」という)としての指定を受け、その旨を会社に通知することを要するのであり、この権利行使者の指定及び通知を欠くときは、特段の事情がない限り、右の訴えについて原告適格を有しないものというべきである(最高裁平成元年(オ)第五七三号同二年一二月四日第三小法廷判決・民集四四巻九号一一六五頁参照)。
そして、この場合に、持分の準共有者間において権利行使者を定めるに当たっては、持分の価格に従いその過半数をもってこれを決することができるものと解するのが相当である。けだし、準共有者の全員が一致しなければ権利行使者を指定することができないとすると、準共有者のうちの一人でも反対すれば全員の社員権の行使が不可能となるのみならず、会社の運営にも支障を来すおそれがあり、会社の事務処理の便宜を考慮して設けられた右規定の趣旨にも反する結果となるからである。

【あてはめ】
 記録によれば、亡新井重行は、被上告会社らの持分をすべて所有していたものであり、その法定相続人は、妻である上告人新井とよ子(法定相続分二分の一)と子である上告人新井久美子及び同新井千恵子(同各五分の一)の外、亡新井重行と新井幸子との間に生まれた新井吾一(同一〇分の一)の四名であるところ、上告人らは、新井吾一の法定代理人であった新井幸子が権利行使者を指定するための協議に応じないとして、権利行使者の指定及び通知をすることなく、被上告会社らの準共有社員としての地位に基づき、本件各社員総会決議不存在確認の訴えを提起するに至ったことが明らかである。
 しかしながら、さきに説示したところからすれば、新井幸子ないし新井吾一が協議に応じないとしても、亡新井重行の相続人間において権利行使者を指定することが不可能ではないし、権利行使者を指定して届け出た場合に被上告会社らがその受理を拒絶したとしても、このことにより会社に対する権利行使は妨げられないものというべきであって、そもそも、有限会社法二二条、商法二〇三条二項による権利行使者の指定及び通知の手続を履践していない以上、上告人らに本件各訴えについて原告適格を認める余地はない。その他、本件において、右の権利行使者の指定及び通知を不要とすべき特段の事情を認めることもできない。
 本件各訴えを却下すべきものとした原審の判断は,以上と同旨をいうものとして是認することができる。
?原則として法の定める手続きを履践することを要する。この手続きを欠くときは特段の事情がない限り原告適格を有しないというべきである。
 *特段の事情を認めた判決では、会社側に信義則違反がみとめられる場合などが挙げられている。具体的には、決議不存在の訴えを提起された会社側が決議の効力を維持しようとしながら、反対する株主の権利行使者の指定がないので原告適格を有しない旨の主張がこれにあたる。すなわち、権利行使者の指定がないのに議決権の行使を認めて決議の効力を維持しようとすることは相反する態度であるからである。会社が行使者を決定してはならない。

?準共有者間で権利行使者を定めるにあたっては持分の価格に従って、その過半数をもって決するのが相当である。なぜなら、準共有者全員の一致がなければならないとすると1人でも反対すると全員の社員権行使が不可能になる。また、会社運営に支障をきたすことになり会社事務処理の便宜のための本規定の趣旨に反するからである。

* 学説の対立ではないが、訴訟の進め方において本件事案に関する限り遺言書の真否の確定が先決ではなかったかという指摘がある(百選10)
* 法定相続を考えると、「特段の事情」を認めても良かったのではないか?遺言書の真否の訴訟が係属中だったという特殊事情があった。だったら、遺言書の真否を先に判断すべきであった。その結果によっては、減殺もありえたのではないだろうか、とのこと。

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