宝塚が好き！（Gay Only）コミュの宝塚歌劇「はいからさんが通る」

宝塚歌劇が帰ってきた。７月25日（土）に行ってきた。最後に宝塚大劇場に行ったのは今年１月31日、それ以来だ。２月29日に大劇場に行く予定だったが、上演中止。それ以来、僕がチケットは取っていたすべての公演が中止となった。やっと７月17日に再開し、その翌週に行く事が出来た。

今回の演目は、この３月13日に初日を迎えるはずだった花組公演「はいからさんが通る」である。言わずと知れた原作は大和和紀、テレビアニメ化もされ大ヒットした。

宝塚駅を降りて大劇場に向かう。花の道の向かいには完成した宝塚ホテルが見える。いつものように歩いているのだが、なんとなく違和感がある。大劇場の門の前には、いつものようにチケットを持って、とか、チケットを求めて立っている人はいない。大劇場の入り口で、手指を消毒し検温してはいるようになっている。入り口は一カ所、正面入り口のみ。はいって目につくのは至るところにある足跡マーク、そう、「間隔を空けて下さい」と言う印である。

売店・食堂はすべて開いていた、と思う。ただ、異様に静かなのだ。生徒さんの名前を書いたプラカードを持ってたっているファンクラブの人達もいない。

改札は、公開されている通り、チケットがなくてもカードさえあれば入れる。機会にカードがかざすと利用票が出てくる。しかし、これはチケットではない。だから、早めに来てチケットを発券する事をおすすめする。座席はちょうど両隣が空いている感じである。とにかく、静か、いつものざわめきがない。なにか異様な感じがする。

いつものようにトップの挨拶から始まる。ただ、オーケストラボックスが空なのが寂しい。幕開きは花村家、紅緒（華優希）と蘭丸（聖乃あすか）が剣道の稽古をし、それを花村家の人達がたしなめている場から始まる。そして、伊集院忍役のトップ柚香光がせり上がって来て全員が出てくるプロローグが始まる。すると、あっという間に舞台に引き込まれる。これが僕が見たかった宝塚歌劇だ。現実の舞台に夢の世界が、漫画の世界が繰り広げられる、それが宝塚歌劇だ。「魔術師」小柳奈緒子の見事なお手並みである。

良いのは、とにかく原作のイメージにぴったりだと言う事。花村紅緒、伊集院忍、青江冬星（瀬戸かずや）、漫画から抜け出してきたような感じである。花村紅緒の衣装は典型的な大正時代の女学生、矢絣の中振袖、海老茶の袴、足下は編み上げ靴、頭にはリボン、である。ちょっと面白いのは紅緒の学友の衣装である。振袖が矢絣ではなく、普通の振袖で、紅緒のよりも長いのだ。

音楽は大正時代、浅草オペラ華やかなりし時代を反映して、「恋はやさしい野辺の花よ」「女心の歌」を引用しているのが嬉しい。作曲・編曲は手島恭子・藤間仁、テレビシリーズで使われてたテーマソングを使ってくれるのかと思ったが、それはなかった。ちょっと寂しい。しかし、これはこれでいいものだ。今回は録音だが、オケはいつもの宝塚オーケストラ、それに宝塚ニューサウンズとある。指揮は佐々田愛一郎。彼が生で振ってくれたらならもっと盛り上がっただろうに。

今回一番残念なのが、音楽が録音出あることだ。柚香光・華優希共に歌が弱い。これが生オケなら、カバーしてくれるのに、と思う。それに、殺陣の場でも生オケならもっと盛り上がるのに、それに舞踏会の場で流れるウィンナワルツも生ならもっといいのにと思う。これも、経費削減のあおりを食ったのだろうか。

フィナーレの黒燕尾で曲が「黒い瞳」なのが面白い。第二幕でロシアの亡命貴族がでてくるのだから。それに、ロケットが「はいからさん」、つまり衣装が矢絣なのが面白い。このロケットで使われてた音楽に、やっとテレビシリーズの主題歌を使っていた。歌は無かったが、メロディだけでも聞かせてくれたのが嬉しい。

そしてパレード、羽根を背負ったトップにスポットライトが当たる。ああ、生きていて良かった、ここに来られて良かった、今回切に切にそう思った。これは宝塚歌劇、現実は厳しくつらいものだ、しかし、ここに来たら３時間だけ夢が見られる、昼の日中に夢が見られる、それはとても素晴らしい事ではないか。これがあるから、これからも生きていく事が出来るのだ。