安倍元首相が射殺された事件は、彼の支持者以外の人にも強い悲しみと不安の感情を与えている。
その最大の理由は、彼が誰も予想だにしていなかった、非業の死を遂げたということだろう。
もう一つの理由は、「安倍元首相ほど有名で影響力がある人物でも、白昼路上で撃ち殺されてしまう」という厳然たる事実に多くの人が強いショックを受けたからだろう。
「安倍元首相ほど有名な人物ですら、こうした暴力から守ってもらえず、殺されてしまうのならば、我々は誰によって守ってもらえるのか」という無力感である。
日本社会の「体感治安」は30年前に比べて悪化しているが、今回の事件は市民の不安感を一段と高める。
政治家は、仕事の性格上、多数の人と接触や関係がある。
どこでどんなトラブルに巻き込まれて、恨まれるかわからない。
だが私は、元首相の命を絶つという第二次世界大戦後初めての凶悪なテロが、1人の男による犯行だとは思えない。
犯罪者の世界では、銃撃などの実行行為者を「鉄砲玉」と呼ぶ。
「鉄砲玉」の供述は、鵜呑みにしてはならない。
警察は先入観を持つことなく、間口を広げた捜査を行い、背後関係を徹底的に解明してほしい。
ログインしてコメントを確認・投稿する