https://youtu.be/R-fQPTwma9o
恋愛映画の傑作誕生。
2019年のカンヌ国際映画祭で、脚本賞、クィア・パルム賞を受賞した「燃ゆる女の肖像」
脚本の背景には、西洋文化の伝統が濃縮されている。
オルフェウスとサッポーの物語が「燃ゆる女の肖像」にどのように登場するかは観てのお楽しみ。
ギリシャ神話に登場する「オルフェウス」は、詩人で竪琴の名手です。
オルフェウスの妻エウリュディケは、毒蛇に噛まれて亡くなります。オルフェウスは妻を取り戻すため冥界に下り、詩と音楽に感動した冥界の神から妻を連れ出す許可を与えられます。但し一つ条件が附けられます。それは、「冥界から抜け出すまで、決して後ろを振り返ってはならない」というものです。
フェデリコ・セルベーリ「オルフェウスとエウリュディケ」
オルフェウスは、地上世界の入口にたどり着いた瞬間、後ろを振り返り妻を抱き寄せてしまいます。
妻をうしない哀しみに暮らすオルフェウス。彼はアポローンの神を唯一崇めたため、怒ったディオニューソスが、トラキアのマイナス(狂乱する女)たちにオルフェウスを襲わせ、オルフェウスを八つ裂きにして殺してしまいます。(異説では、彼がトラキアの娘たちを無視したため、侮辱されたと怒り殺された。)
モロー 「オルフェウスの首を運ぶトラキアの娘」
エミール・ビン 「オルフェウスの死」
殺されたオルフェウスの首と竪琴は川に流され、海に流れ、レスボス島に漂着する。
アンリ・レオポルド・レヴィ 「オルフェウスの死」
レスボス島は、古代ギリシャ第一の女性詩人サッポー(サッフォー)が生まれ、亡くなったギリシャの島です。
島にはサッポーによって選ばれた若い娘たちの学校があり、文芸や音楽、舞踊を学んでいたらしい。
サッポーは女性に愛の詩を残している。
シメオン・ソロモン 『ミュティレーネの苑におけるサッポーとエーリンナ』
サッポーはレウカディアンの崖から飛び降りて自殺したと云われている。
アントワーヌ=ジャン・グロ 「サッフォー」ジェラール男爵美術館
映画の舞台は、1770年のフランス・ブルターニュの孤島。
激しく揺れる小舟、画家のキャンバスが海に放り出される。
画家はキャンバスを取り戻すため海に飛び込む。
キャンバスを担ぐ画家、
まるでオルフェウスの首と竪琴のようだ。
たどり着いた島で出逢う二人の女。
1770年は、フランス革命の19年前、ロココの晩年。
フラゴナールがサロンで活躍していた時代。
ビバルディの四季・夏の旋律が二人心に夏の嵐を呼ぶ。
https://youtu.be/tn4VFCMkQEk
脚本が良い作品は、やっぱり素晴らしい。
お薦めします!!
付録
2021年1月1日 ロードショーですって。
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