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2020年08月03日08:47

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(転載)中国・チベット女子一人旅−11

ドゥンドゥク・ゴンパ行こう!

ゾンボと、友達のローファンユンと三人で、てくてく歩こう。
朝晩はふるえる寒さでも、日中は日差しが強くて、皮膚が熱い。歩いていると段々汗ばんでくる。

街に帰ってきて、少し早い夕飯を安い中華食堂で食べた時、まだ明るいうちからビールを飲み始めた私を見て、
二人はすこし驚いたけどすぐに嬉しそうに、「お酒飲むんだ。」と言った。
「どれくらい飲むの?」「たくさん。」
「へぇ〜!じゃ、今日の夜は三人で飲もうか。」
ローファンユンは甘孜の街の中心から少し離れたところに一人暮らししている。
そのアパートにゾンボと遊びに行って、反町隆史が出ている安っぽい香港アクションを見たりしながら、ぬるいビールを飲んだ。

彼らの日本への興味の全てが私にぶつけられる。
日本にはいくつの民族があるんだ、と訊かれた。
これは私の語学力ではかなり難しかった。ほとんど絵と筆談によって、アイヌ民族と琉球民族のことを説明する。
もうちょっと自分の国の事について勉強してくるべきだった。
千葉県の人口と面積とか、
着物の帯の結び方に意味はあるのか、とか・・・困った。
チベットの人達は、中国のTV放送でしか、日本を知る事が出来ない。
彼らは、パスポートがもらえないのだという。それは初耳だった。もちろん中国人なら問題なくパスポートくらい取れるはずだ。
チベット人は、どこか外国へ行くとしたら、いちいち渡航先の国籍を持った人に、中国政府に宛てて紹介状を書いてもらわなければならないのだという。
「君はここに居れば外国人、僕は日本に行けば外国人。
国なんて無くなってひとつになれば、誰も外国人じゃなくなるのにね。」
とゾンボが言った。
チベット人の彼が言うと、そんな言い古された言葉も妙に説得力があった。

ローファンユンの家のビールがなくなったので、場所を変えてバー(?)で飲むことになった。
ピンクの蛍光灯の下、チベッタンラグの掛かった古びたソファーに深々と座る。
何か、昔のヤクザ映画とかに出てきそうな、陳腐でいかがわしい雰囲気。半裸のオネーチャンが出てきそうな。
お酒はやはりぬるいビール。そして肴はヒマワリのタネ。

彼らは少しいい気分になってきたみたいだった。それでなぜかすごく政治的な話になってしまって、
これはもう全く私の語学力では無理だった。ほぼ全く言葉を使わずに、ダライラマ14世が、9.11テロの直後にブッシュ大統領に宛てた書簡の内容(ブッシュに、武力による報復は武力の循環を生み出すだけだ、と穏やかに戒めていた)と、
ブッシュが平和主義者の味方ではないんだ、というようなことを説明する。が、やっぱり無理がある。
中国に脅かされ続けているチベット人にとって、アメリカというのは正義の味方、頼みの綱なんだろう。何度も裏切られてるのにね。


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