お鼻がピカッ

　あび１０歳。最近ますます面白いのは、ちょうど思春期の少女と子どもの間だから、「大人の女性」にあこがれる部分と、妙に純粋なところが混ざっている、その微妙な混ざり具合。

　藤吾さんにはあまり感じないのは、女の子のほうが成長が早いからか、そもそもいくら待っても男の子ってあのままただ単にシンプルなのか・・・
　過去１０年の写真を見ていていつも面白いと思うのは、あびはその年齢年齢でかなり様子が変わるのに、藤吾さんはいつ見ても大体同じ。時々おっさんみたいな赤ちゃんとかいるけど、３０年くらいはずっとそのままじゃないかっていう・・・まあああいう感じは、たいていの男の子にはあるのではないかしら。仕事で出会う、50代以上のおじさんたちだって（自分も50代だけど）、幼稚園の頃どんな子だったか想像できる感じがする。女性のほうが、変身する。

　私が一生覚えていそうなあびの最近の発言。学校から帰ってきたあびが甘えてきて、ハグしたら、いつもそうだけど髪の毛は柔らかくつやつやしていて、頬っぺたはぷくっとして皮膚がぴんとしていて、心地よくかわいらしい。「あびちゃん、つるつるだね。」というと、あびはちょっと内緒の話のように声をひそめて、
　「今日の朝、あびちゃんクリーム塗ったの。」という。体中肌がカサカサしやすいから、お風呂上りに塗るクリームを時々私が塗れというのだ。私は顔を触って「つるつる」と言ったので、「お顔に塗ったの？」と聞いた。うちにある医薬部外品のヴァセリン入りクリームやニベアの青缶は、顔に塗るとべたべたする。あびはうなづいて、
　「顔にも塗ったの。お鼻にも。」
　「お鼻にも？」鼻みたいに脂の出やすいところに、超べたべたクリームを塗るとは。
　「うん。お鼻がピカッとしてるの、かわいいから。」

　お鼻がピカッとしてるとかわいいんだ。それは、メイクで入れるハイライトのことか？