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2019年11月19日11:31

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台湾のTPP加盟を急げ 河崎真澄

 下記は、2019.11.19 付の 【一筆多論】 です。

                        記

 日本が主導し、オーストラリア、シンガポールなど、アジア太平洋地域の11カ国が参加した多国間の通商協定「環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)」が昨年12月に発効して間もなく1年となる。

 世界の国内総生産(GDP)の13%を占め、域内人口が5億人を超える新たな経済圏が誕生した。このTPPを次のステップに進めるカギとして、日本政府は加盟国・地域の拡大に向けた「第2ラウンド」交渉への助走を始めている。そこで優先すべきは台湾だ。

 外務省幹部は、「通商や投資、金融などを通じたアジア太平洋の経済安全保障上の考えからも、台湾の加盟支援を急ぎたい」と話している。台湾の蔡英文総統はかねて「米中貿易摩擦による不確実性への対処」としてTPP正式加盟への意欲を示し、日本に支援を求めてきた。台湾は独立した関税地域として世界貿易機関(WTO)に2002年に正式加盟ずみで、TPP参加資格も十分にある。

 そもそもTPPは、覇権を強める中国に対する経済包囲網の側面も考えて設計された経緯がある。トランプ政権はTPP参加を見送ってはいるが、貿易摩擦で中国製品に高関税をかけており、「メード・イン・チャイナ」の行き場はどんどん狭められていく。中国から外資系の製造業撤退が今後、急速に進むだろう。

 その受け皿として、ベトナムなどとともに台湾は有力な候補になる。台湾は人件費が高騰した中国とコスト面で差がなくなった。労働力は豊富で質も高く、港湾などインフラも整っており、「メード・イン・タイワン」が再び脚光を浴びる可能性がある。IT技術の情報漏れリスクや農産物の安全性なども、台湾に軍配が上がることは明白だ。

 ただし、台湾の加盟実現までには課題も多い。台湾内部の問題と中国による妨害の懸念だ。台湾では福島など5県産の日本食品について野党、中国国民党などが科学的根拠のない「核食品」とレッテルを貼り、蔡政権を批判して政治問題化させた。昨年11月の住民投票で、輸入禁止継続が多数を占める事態になった。

 仮に来年1月に行われる総統選で、TPP加盟を求める蔡氏の再選が阻まれた場合、日台間の通商拡大でトゲとなっている5県産食品の輸入禁止問題は、解決のメドが立たなくなる。

 TPPで新たな加盟を認めるには、原加盟11カ国すべての承認が必要となるが、台湾による国際社会での動きを阻害する中国の動きが懸念材料だ。メキシコやペルー、チリなどのTPP加盟国は、中国から経済的な恩恵を受けているケースも多い。中国が政治経済の両面で、これらの国に圧力をかける恐れがある。

 日本はもちろん、台湾内部の問題には関与できないが、TPP加盟国に台湾加盟のメリットを説くとともに、中国の干渉を排除するために、リーダーシップを発揮することは可能だ。

 これに加え、台湾の東海大日本地域研究センター長、陳永峰氏は、「『自由で開かれたインド太平洋』構想を進める日本には、米国のTPP復帰と台湾加盟を同時に進めることが国益にかなう」と話し、米台セットの加盟交渉へ日本の政治力に期待感を示した。米国も来年は大統領選を控える。TPP拡大とアジア太平洋地域の安全保障問題をリンクさせる議論が加速することを望みたい。(論説委員)

 https://www.sankei.com/column/news/191119/clm1911190005-n1.html
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