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2019年03月31日04:39

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Iran vs Israel

去年書いた原稿です。

イスラエル対イラン

 日本のメディアは大きく報道していないが、いま中東で緊張が高まっている。その台風の目は、イスラエルとイランだ。欧米の安全保障関係者たちは、イスラエル北部の状況を注視している。
 内戦で混乱が続くシリア西部には、同国のアサド政権を支援するイランの革命防衛隊、同国に支援されるテロ組織ヒズボラ(神の党)、シリアの友好国ロシアの戦闘部隊が拠点を持っている。
 今年2月10日に、イランは無人偵察機をイスラエルの領空に侵入させた。イスラエル軍はF16戦闘機で無人機を撃ち落とし、シリア領内でドローンを操縦していたイランの施設を破壊した。これに対し、イランの革命防衛隊は、イスラエルの戦闘機1機を対空ミサイルで撃墜した。2人のパイロットはパラシュートで脱出したが、イスラエルの戦闘機が敵国に撃ち落とされたのは、36年ぶり。
 多くの軍事関係者は、この事件を深刻に捉えている。その理由は、イスラエルとイランが初めて直接交戦したからだ。
 イスラエルはイランを最大の脅威と見ている。イランは、イスラエルの北隣のレバノンに拠点を持つヒズボラにミサイルなど大量の武器を供与している。イスラエルは、シリア経由でレバノンに輸送されるミサイルを、空爆によって破壊してきた。だがこれまでイランは、直接イスラエルと銃火を交えることは避けてきた。あくまでもヒズボラの戦闘部隊を使って、間接的にイスラエルとの「代理戦争」を続けてきた。だが2月10日の小競り合いは、この不文律が破られたことを意味する。
 シリアの盟友であるロシアのプーチン大統領は、イスラエルのネタニヤフ首相と電話で会談し、事態をエスカレートさせないように要請。
 だが再びイランがシリア経由で、ヒズボラに武器を輸送しようとした時、イスラエルがどう出るか。イスラエルが空爆で武器を破壊した場合、イラン側が反撃する可能性もある。イスラエルが武器の輸送を黙認した場合、イランはさらに露骨にヒズボラを軍事支援するだろう。イスラエル軍事筋は、レバノンにヒズボラが保有するミサイルの数が、13万発に達すると見ている。
 私がインタビューしたイスラエル・ハイファ大学のダン・シュフタン教授は、「イスラエルとヒズボラ、もしくはイスラエルとイランの軍事衝突は避けられない」という悲観的な見方を持っている。全面戦争で得をする者はいない。関係各国の自制を求めたい。
(文と絵・熊谷 徹 ミュンヘン在住)ホームページ http://www.tkumagai.de



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