mixiユーザー(id:91293)

2019年01月19日23:51

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その昔、レーダーの資格をとったことがあってな・・・

まず先に断っておくことが2つある。
・私がもっているレーダー関連の知識は古い。
・日本が公開する、と言われているのは「哨戒機の警告音」ではない。「レーダー照射を受けたときに哨戒機内で記録した電波信号の音」という報道がある。

さて、まずは探索用レーダーの話。一般のレーダーと同じである。
アンテナから細いビーム状の電波を出し、反射してきた電波をうけとって距離(と方向)を知るための装置がレーダーである。

まず、アンテナから発射される電波はごく短いパルスの繰り返しで、細く絞り込まれている。レーダーに限らず、多くの電波利用機器はスマートフォンも無線LANも通信機も「同時に同じ周波数での送受信はできない」。だからレーダーはものすごく短い時間だけ電波を発射し、しばらく受信する、ということを繰り返している。
100Km先のものを探知する場合、電波の速度が秒速30万キロメートルなので、電波が行って、反射して、戻ってくるまでに667マイクロ秒かかる。その間は電波を出さずに受信している。時間的にまったくロスがないようなレーダーだとしても、電波を「音にしたもの」は毎秒1500回の繰り返し信号となる。1500ヘルツをそのまま耳で聞けば「ピー」と聞こえる。
一般のレーダーは、一方向だけを探索するわけじゃないので、アンテナは回転させる。そうすると、アンテナの向いている側だけに電波が届く(向いていない方向には電波が来ない)ので「ピッ・・・ピッ・・・ピッ・・・」という断続した音になる。
もちろん、探索用レーダーである以上、電波を秘匿する必要はない。できるだけ単純な電波形式が選ばれる。

さて、軍用の対空火器管制レーダーはどうだろう。
知らなければいけないのは「敵がどのへんにいるか」だけではない。敵との正確な距離、敵の速度(当然3次元空間なので3次元のベクトル)であり、それが刻々と変化する。アンテナを一定速度で回転させながらでは間に合うわけがない。
さらに、敵も馬鹿じゃないのでジャミングをしかけてくる。つまり、レーダーが受信中に無茶苦茶な信号を送り込んで探知されにくくするわけだ。そのジャミングなどに対抗するために、対空火器管制レーダーなどは周波数や発射間隔をわざと変えながら、より正しいデータを得る仕組みが組み込まれている(それを民間に応用したのがスペクトラム拡散などの技術で、携帯電話や無線LAN、GPSなどでも使われている。変化パターンは特定の鍵がなければわからないはずなので混信を低減しながらより安全な通信ができる)。
見かけ上は「乱数的な電波でありながら、ある程度のパターンが存在する」電波ということになり、音にしたら「ジャー」「ギャー」といった感じになるのではないだろうか。
自衛隊の哨戒機内の録音でも「この音を覚えておいてください」「ひどい音だ」という会話があったのは、そういうことだろう。

さて、問題の「音」だが、当然のことながら公開されれば各国の軍は解析するだろう。自衛隊はとっくにやっているはずだ。つまり、韓国軍が使っているレーダーの性能(当然軍事機密事項)の一端が世界中にバラされるわけだ。
韓国軍が使っているレーダーシステムはオランダ製だという話も出ていたが、同じシステムを使っている国、軍からはよく思われないだろう。
日本はこれまで「韓国と対等に話をし、情報を交換することで他の国に迷惑をかけないように」心掛けてきた。が、韓国側がその提案を蹴った以上、しかたあるまい。だれがより多くの国・軍から疎まれるか、試してみても、日本は困らない。

さて、どんな「音」が公開されるのか、楽しみである。

■韓国国防省、「警告音」公開検討を批判 レーダー照射
(朝日新聞デジタル - 01月19日 19:58)
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=168&from=diary&id=5463346
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