注意が必要なのは、これは「再雇用」であって「転職」ではないこと。
この記事の例に出ているようなトヨタやポーラといった大手メーカーのように、社内に高度な技術を蓄積しているところは、60歳だからといって引退してもらっては困るから再雇用というか定年退き伸ばしているだけで、60歳以上の労働市場が全般的に活性化しましたという話ではない。
この記事につくコメントを見ると、還暦過ぎて働きたくない、という意見も散見されるが、社内技術留保のために高度技能職を60歳以上でもキープするような大手は、労務環境も給与も社会保障費も良いので、いつ貰えるか分からない年金を待つよりは継続して働く方が得する。
今の日本の労働市場がマズイのは、新卒時の一発勝負を外したらその後の再チャレンジがほぼ不可能なところで、最初にブラックを引いてしまったらその後立ち直るのがとても難しい。新卒時にブラックを引いて辞めたら、その後はまたセミブラックか安売り派遣しか転職の道がないケースはザラにある。
新卒時にババを引かないためには、エリート校に入るか、各種のコネをつけるのが大事ということになり、そのためにガリ勉したり政治的に動いていたら、多様な学生生活など送れるわけがない。
欧米は生涯学習的な考えが多いが、東アジアは若い時の一発勝負の傾向が強い。日本などまだ緩い方で、中国や韓国は子供の教育に非常に熱心でやり過ぎなぐらいビシビシ突っ込む。東アジアがそういう伝統なのは、たぶん科挙の歴史が背景にあるからのような気がする。
子供にガッツンガッツン教育を押し込む中韓とゆとり志向の日本が、障壁なしでまともに競合した場合、日本の若者はほとんど負けるだろう。それは中韓が正しいから勝つのではなく、勝つために手段を選ばず競合者を蹴落として容赦なく戦っているから勝つ。
それに欧米(白人)に比べてアジアは人口が増えやすい。今でこそヨーロッパは先進地域だが、新大陸からジャガイモ、トマト、トウモロコシを持ち帰るまでは薄ら寒くて小麦の収穫が伸びない故に人口が増え難く、食の余裕がないから文明が進み難い地域だった。
食が乏しかった環境はその地域に住んでいたネイティブ民族のDNAにも刻まれている。
白人は人口が増え難い特性だから頑張ってセックスして増やさないといけないし、産まれた子供は間引く余裕はないし、大人になったら男女の別なくフルに使って行かないといけないので、東アジア地域よりセックスにオープンで、間引きの伝統がなく長男偏重でもなくて、男女平等傾向になる。
逆に言うと東アジアは相対的に降水量が多くて温暖で、単位面積あたりの収穫量が多いコメの産地なので人口が増えやすく、人口が増えやすいが故に人の無駄遣いも出来る。
ほっとくとポコポコ増えるから貞節を重んじ、産まれやすいから要らない子は間引いたり売るし、男性だけで足りる(というか余ることもある)から女性は主婦傾向になる。
昨今、人手不足とは言っているものの、自国の人口リソースを最大限活かすやり方はせず、人口が余っている地域とリンクして安く労働力を輸入する方向に行ってしまっているので、企業の経営指標は安い輸入労働力を充当して数値が上っているが、日系日本人庶民の暮らし向きは良くなっていない。
欧米は既にやり過ぎグローバリズムの反動で、いわゆる右傾化、保守化、ナショナリズム化の傾向が強まっているが、全員に十分に行き渡る夢のような新資源でも出てきたのでない限り、安い外国人を輸入していたら元のネイティブ国民が不満になるのは当然だと言える。
日本もすぐ同じ状況になるが、日本の場合は近隣の労働力輸出国である中韓朝(朝鮮系中国人はけっこう多い)に忖度しないといけない政治事情があるので、日系日本人庶民がもう外国人はけっこうですと言ったところで、構わず外国人を輸入する可能性が高い。
そのため大手企業の正社員以外は、むしろ60過ぎの日本人はコスパ悪いからお断りになる可能性が高い。だから還暦過ぎて働きたくないという人は安心だが、働かなければ当然収入は下がる。老後の福祉は当てにならない。
■企業、シニア人材に熱視線=再雇用の上限撤廃、若手にはマイナスも
(時事通信社 - 10月20日 17:05)
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=4&from=diary&id=5340182
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