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2018年07月18日22:01

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インドでボンカレー、華麗にデビュー? 大塚食品の挑戦

 下記は、2018.7.18 付の産経ニュースの記事です。

                        記

 カレーと言えば思い浮かべる国、インド。しかし、日本人が食べる一般的な「カレーライス」と、日本にあるインド料理店で出てくる「インドカレー」は随分違う食べ物に見える。前者は白いご飯にドロッとしたルーがかかっている。インドカレーはどちらかと言うと、さらっとした汁とナンやパラパラしたご飯を一緒に食べることが多いようだ。

 では、日本式カレーを現地のインド人は果たして食べてくれるのか。世界初の市販用レトルトカレー、ボンカレーを擁する大塚食品がこのテーマに挑戦している。インド・バンガロールに飛んだのは同社の国際事業開発部インド室室長、植松宏和さん。毎日カレーを食べているインド人の舌をボンカレーはうならせられるのか、追った。

 ■発売50周年を記念してインド進出

 ボンカレーは2018年に発売50周年を迎えた。植松さんらは約3年前からこの「50周年」に合わせたボンカレーの新たな市場開拓を模索していた。海外、特に長期保存しやすいレトルトの強みが生かせるアジア圏に売り込もうと考えた。

 タイやインドネシアも候補に挙がったが、最終的にインドに決定。「タイなどは既に日本食が浸透している。逆にインドのスーパーではインド料理用の食材くらいしか置いておらず、食に対して保守的。一方、最近ではマクドナルドなどの外食チェーンが増加している。人口の多さや経済成長の速さもあり可能性を感じた」(植松さん)。

 しかし、インド市場を調査し始めた植松さんは「インドのスーパーに(日本で売られているような)レトルトのボンカレーを販売するのは難しい」と痛感した。

 ■社員食堂向けに活路

 日本のカレーは既製品のルーを使って作ることが多い。だが、植松さんによるとインドの家庭ではそもそもルーを使わず、多種類のスパイスを組み合わせて具材と炒めたり煮たりする。こうした料理がインド人が普段食べる「カレー」に当たる。

 インド人は毎日食べているこのスパイス料理を必ずしも「カレー」と呼んでいるわけではないが、日本のような煮込んだカレーだけでなく炒めたものも、日本人から見ればスパイスを使っているので「カレー」なのだという。

 植松さんによると、そもそもインドの飲食店で日本式のカレーはほとんど目にしない。「日本のカレーはインドとは別物だが、新しいスパイス料理として受け入れられるのでは」(植松さん)と期待した。

 しかし、「インドの人は食に対する好奇心に乏しい傾向がある」(植松さん)。インド人は外食するよりも家で手作りの料理を食べる傾向が強いが、意外にもスーパーではレトルト食品が置いてある。しかし、その使われ方は日本とかなり違う。「インド人がインド国内を旅行した時、よその土地の食事は不安で食べられないという人は実は多い。彼らが買っている」(植松さん)。

 食に保守的なインドで、知名度のないボンカレーを旅行用のレトルトに売り出しても受け入れられにくいと判断した植松さんが次に目を付けたのは業務用。企業の社員食堂でレトルトを使ってもらい、まずボンカレーを知ってもらおうと考えた。「レストランではまず客を呼び込まなくてはいけないが、社員食堂では業者に買ってもらえれば確実にボンカレーはインド人の口に入る」(植松さん)。

 植松さんによるとインドにある企業の社員食堂で出てくる食事は、日本人から見ればほとんどがスパイスを使った「カレー」。ライスやナン、同じく小麦粉を焼いたチャパティなどに、日本食のおかずのような感覚で数種類のカレーがつく。「このおかずの1つにボンカレーがなれればいいなと思った」(植松さん)。

 ボンカレーを売り込む舞台に選んだのは、“インドのシリコンバレー”と呼ばれるバンガロール。IT企業が多く集まっており、そこで働くホワイトカラーなら新しい料理に敏感に反応すると踏んだ。

 ■現地の文化を否定しない

 実際にバンガロールにある企業の社員食堂で、約1500人にボンカレーを無料で試食してもらった。味の評判は悪くない。しかし、彼らはすぐには手を付けなかったという。「バンガロールの人は比較的新しもの好き。それでも肉が入っているか、どんな原料で作ったかを聞いてくる」(植松さん)。実際にボンカレーをお金を出してまで食べるとは思えなかった。

 そこでカレーの食べさせ方を変えた。野菜をたくさん入れて煮込んだり、揚げた野菜をトッピングしたり、うどんにルーをかけてみたり…。その中で可能性を感じたのは「カレーパン」だったという。

 まず、揚げたパンを切ってルーに付けて出したところ好評を得た。もともと、インドの社員食堂ではサモサ(具材を小麦粉で作った皮で包んで揚げた料理)などの軽食を置く売り場がある。ボンカレーを、サモサに少し似ているカレーパンに仕立てて売ることにした。

 植松さんによると、インド人は日本人に比べて同じ料理を週に何度も食べる頻度が高いという。「日本人はカレーパンを好むがそう頻繁には食べない。しかしインド人はスパイスを使った料理が大好きで、毎食『カレー』を食べるのが普通」。このカレーパンを種類がさほど多くない食堂の軽食として置ければ、高頻度で食べてもらえると考えた。

 5月にはバンガロールに現地子会社を設立。植松さんが現地で指揮を執り、18年内の発売を目指す。「最終的には(パンだけでなく)インド人の主食の中にボンカレーが入れればいい」(植松さん)。

 日本と比べてかなり保守的に見えるインド人の食生活。植松さんは「日本のカレーを無理やりインドに売り込み現地の文化を否定することは、決してしない。現地の人が食べたいと思う、ローカルの料理より少しだけ変わった新しい料理ならば、きっと受け入れられるはず」と話す。

 ただ、カレーパン用のボンカレーはインドで生産するものの味はローカライズせず、日本のオリジナルに近づける。スパイスも現地調達するが、インドの物は香りが強く日本のレシピ通りでは味を再現できないという。食文化や風土の壁を乗り越え、ボンカレーはカレーの本場で華麗なデビューを飾れるか。

 http://www.sankei.com/economy/news/180718/ecn1807180024-n1.html
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