原宿の太田記念美術館で、月岡芳年の「月百姿」展をやっています。この、月を題材にした浮世絵のシリーズは題名の通り100枚で一揃いなんですが、今回は全作を一挙公開です。
太田記念美術館では、つい先週まで同じく芳年の妖怪画展をやっていて、実はそちらにも足を運んだのですが、やっぱり「月」のほうがイイ版画が揃ってるように感じました。テーマを妖怪に絞ってしまうと場面がどうしても限られて、描きにくいのではないかと。
対して、月がテーマとなれば摺絵のどこかに月が顔を覗かせていれば、あるいは月明かりさえあれば、古今の物語、出来事や言い伝えの中の一場面でも、美人画でも、市井の一コマでも、風景画でもいいのですから、はるかに自由に描けます。
ああ、また図録が増えた。なるべくやめようと努めてたのに、さんざん迷った挙句に一冊買い求めてしまった。でも確かに、後で思い返したい作品が一杯あったんだよなー。
浮世絵の人気が影響してか、原宿という土地柄からか、外国人の観覧者が多いのもこの美術館の特徴でしょうか。ときには数人固まり、絵について熱心に、でも周囲へ迷惑を掛けないよう小声で語り合う様子は、世の東西を問いませんね。
中にはあまり興味がないのに、家族や友人の付き合いで入場した人もあり、同行者の深い洞察に対して、気のない感想を返す光景も....これまた世の東西を問わないと言いますか。なんとも微笑ましいのでありました。
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