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2017年09月11日06:00

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多文化都市ミュンヘン


私の住んでいるミュンヘンのマンションに、新しい住民が引っ越してきた。南アフリカや英国に住んでいたというインド人の家族だ。ミュンヘン市内の日本企業で、エンジニアとして働くエリートである。マンションの最上階の、最も見晴らしが良い部屋を借り、BMWの新車に乗っている。彼の家族が入居して以来、マンションの階段では、時々香ばしいカレーの匂いが漂う。
ここ数年、ミュンヘンではインド人もしくはインド系市民の姿が目立つようになった。ドイツでは多くの大企業が工業生産のデジタル化などの先端技術についての研究開発を進めているが、この国では好景気が続いているために、高学歴を持ち、外国語に堪能な技術者が払底している。ミュンヘンがあるバイエルン州では、今年5月の失業率が3%まで落ち込み、事実上の完全雇用状態になっている。ここにはジーメンスやBMWなどの大手メーカーの本社がある。最近ではIBMが人工知能を使ったビジネスモデルを研究開発するための拠点を、ミュンヘンに置いた。
このため、多くの企業が高いスキルを持つインド人を招聘している。ドイツ語が話せなくても、英語で会話ができれば問題ない。ドイツ企業が求めているのは、彼らの知識だからだ。外国人の子どもたちが通う、ミュンヘン郊外の国際学校でもインド人の生徒の数が目立つという。
ちなみに私が住むマンションには、レバノン人とオーストリア人の夫婦も住んでいる他、中国人の姿も目立つ。最近地下鉄やバスに乗ると、色々な民族の人がいるので、米国や英国の大都市に似た雰囲気が生まれつつある。
ミュンヘンは、180ヶ国の国籍を持つ人々が住む、多文化都市だ。2017年5月の時点でミュンヘンの人口に外国人が占める比率は、27.6%。これはドイツの都市の中で最高の比率だ。ドイツ国籍を取得した「元外国人」も含めると、その比率は41.6%に達する。高いスキルを持った外国人技術者の流入が続けば、外国人と元外国人が、ミュンヘンの人口の半分を超える日も遠くはない。ちなみにドイツの全人口に外国人が占める比率は21%。市民の5人に1人は、外国人だ。ドイツでは高齢化と少子化が急激に進んでいるので、この国の政府は基本的に移民を奨励する政策を取っている。彼らは50年後に労働人口が激減することを知っているからだ。さて日本は労働力の減少にどう対処する?
(文と絵・熊谷 徹 ミュンヘン在住)ホームページ http://www.tkumagai.de



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