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2017年08月30日12:28

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民進党とウリふたつ? フランス社会党の凋落がとまらない

 下記は、2017.8.30 付の【三井美奈の国際情報ファイル】です。

                        記

 民進党の代表選が告示され、夏休み明けの政局が動き出した。注目の小池百合子・東京都知事が、5月のフランス大統領選で二大政党候補に勝ったマクロン大統領を意識しているのはよく知られているが、フランスと重なるのはむしろ民進党かも。マクロン旋風で解党寸前に追い込まれた仏社会党とソックリなのだ。

 代表選の2候補を見て、「またか」の思いを抱いた人も多いだろう。在日韓国人からの不正献金で6年前に閣僚を辞任した前原誠司元外相と、福島第一原発事故の対応が記憶に新しい枝野幸男元官房長官。どっちも「改革の担い手」という期待感が沸かない。

 魅力のない「党の顔」選びに、離党ドミノ。まさにフランス社会党がたどった道である。

 仏社会党はオランド前大統領時代、上下両院とも左派が過半数で、盤石与党を形成した。それが5月の大統領選、6月の下院選と立て続けに大敗し、今や少数野党に転落した。下院選(定数577)の獲得議席は30で、改選前から8割以上減。選挙前には船から逃げるねずみのように離党者がマクロン新党に走った。

 転落の始まりは、大統領選に向けた1月の予備選で「ガッカリな候補」が勝ったこと。一般有権者にどう映るかより、党内の力関係で決まった結果だ。

 今回の予備選では、不人気だったオランド氏が再選を断念したため、「オランド派」と「反オランド派」の対決になった。当選したのは反オランドの党内左派、アモン元国民教育相。社会党は元来、労働組合や左派が強い。規制緩和で雇用創出を目指したオランド路線に不満がたまっていた。アモン氏は政権に反発して更迭された造反閣僚だ。

 党内で支持を集められても、一般の人気はサッパリだった。「国民全員に最低9万円の所得を保障する」など、非現実的なバラマキ公約で失笑を買った。大統領選の得票率は6%。共闘を呼びかけた共産党候補の3分の1以下という屈辱的惨敗だ。オランド派のバルス前首相ら党内中道は続々離党。党分裂が支持者をさらに幻滅させる悪循環に陥った。翌月の下院選ではアモン氏ら党幹部がそろって、マクロン新党の素人政治家に敗れた。

 党員投票は一見、民主的な制度だが、現実には党内の力学で勝利が決まる。若手はなかなか出られない。今回の民進党代表選が示す通りだ。マクロン氏は官僚出身で党内基盤がないから、出ても勝ち目はなかった。オランド政権の経済相だった頃から「党の制度は順番待ち」と批判してきた。そこで新党を作って出馬する道を選んだ。

 社会党は労組がコア票を固める一方、若者や都市部の支持を集めることで成長してきた。現状変革の要求も強い人たちだ。党は期待に応えられず、新星マクロン氏に支持を奪われた。

 社会党は将来を担う「新顔」候補まで持っていかれた。マクロン新党には、社会党で出世の順番待ちをしている若手や自治体の首長が飛びついた。現在、デジタル相のムニール・マジュビ氏は、5年前の大統領選でオランド陣営の運動員だった。コロン内相は前リヨン市長だ。

 マクロン氏の政策は、オランド路線の延長。昨年まで経済相だったから、当然である。違いは下院選の大勝後、ただちに雇用法改革などの規制緩和に着手したこと。労働組合や党内根回しに追われ、成果を出せなかったオランド政権の轍は踏まない、という決意からだろう。補助金カットへの反発に加え、「態度がエラそう」との批判もあり、60%以上あった支持率は36%まで落ちた。それでも、マクロン新党の支持率は49%で首位を保ち、社会党が16%に低迷する状況は変わらない。

 「マクロン氏は私と似ている」と言った小池知事は、彼のように民進党を凋落に追い込めるのか。フランス人のフランク・ミシュラン帝京大学教授は「衆院選は、政党が支持を競う。候補者個人の人気を競う大統領選と異なり、政策論争が重視される。フランスと状況は異なる」と言い、小池新党が国政に進出しても同じ旋風を起こせるとは限らないと指摘する。

 社民勢力の退潮は日本やフランスだけでなく、欧州全体に広がる。3月のオランダ総選挙では、同一労働・同一賃金の生みの親である労働党が議席を4分の1に減らした。今秋総選挙を控えたドイツでも社会民主党は支持が伸びず、メルケル首相の4選がほぼ確実。英国やスペインでも政権復帰のめどがたたない。

 欧州では1990年代、社民勢力が労組依存を脱却し、環境政策や女性の地位向上、人権重視を訴えて各国で政権を握った。いまでは保守系もこうした課題に熱心に取り組んでいる上、左派伝統のバラマキ=赤字財政に有権者が厳しい目を向けるようになった。

 フランスの話には続きがある。社会党を凋落させたアモン氏自身も「新党を作る」と言って離党。党は再建を担う代表すら選べない惨状にある。一方、大統領選でアモン氏との共闘を蹴った共産党候補は、「真の左派野党」を目指して新党を設立。この極左ポピュリストは、マクロン氏への対抗軸として若者の支持を集めている。

(外信部編集委員 三井美奈)

 http://www.sankei.com/premium/news/170830/prm1708300004-n1.html
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