「根回し」

　「根回しなんていらない」と東京都の小池知事がおっしゃっていらっしゃるというのは本当でしょうか？私たちは何事も出会いがしらに、「出たとこ勝負」で物事を判断し、（若干過去の経験や現在の環境に影響されながら）その場その場で判断して動くことを要求されて、失敗したり後悔したりしてはいないでしょうか？人間は「感情の動物」であるだけに、ほとんどの場合「何を言っているのか？」を聞く前に、「誰が言っているのか？」で判断してしまいます。ですから、私たちがＳＮＳで書く場合でも、「どこの馬の骨か分からない奴が、何を言ってるのか！」と初めから「偉そうなことを言うな！」という目で見らています。まして若干でも「東京都」という１６万人もの方が働く組織の中では、立場の上下関係や組織上の利害関係、その裏に潜む「メンツ」や過去の経緯などもあって、「藪から棒に突然決められて、自分の立場や役割を崩されてしまえば、その怨恨が報復に繋がり、大きな損失になります。それよりも、お互いの立場や役割を認め合い、スクラムを組んで大きな仕事を成し遂げることが本当は大事ではないのか？と思います。

　そのことよりも『逆に』事前の「根回し」が出来ていないために、ある担当者が「独善的な思い込み」が、ほかの分野への配慮や検討不足を引き起こす、いわばその典型が『縦割り行政』の結果ではないかとも思います。今回の豊洲市場の地下空間の問題も、素人の僕らから見ると、「土木局」側の立場からすれば「盛り土」という決定に異論はないでしょうが、「建設局」の立場からすれば「建物の下に点検設備としてのビットを作る」ことは常識の範囲だと言います。お互いがお互いの協議の中で相手の領域を理解できず、勝手な線引きをして『根回し』を怠ったから起きた問題であって、この「責任追及」をしても、どちらからも「犯人」を特定できない話ではないかと思います。ここで「根回し禁止」となれば、それぞれが「自己中心的な展開」をもくろみ、その齟齬を補う莫大な経費が追加されることになります。最近も大阪のビジネスパークの地下鉄の駅でビルを建設した「松下興産」が準備した地下鉄のホームが「大阪市営地下鉄」の計画と齟齬を来して、現在使われていないという報道がありましたが、これなども「根回し」を嫌がり、「我田引水」をもくろんだ結果ではないかと思います。

　全く逆に「根回し」の上を行って、「世界を変える」というプロセスを重んじるべきではないかという考えもあります。このところが日本人の非常に弱点なところで、あらかじめ方向を定めて、その中で一歩ずつステップを踏んで、「世論を規制」しながら、気が付いたらすっかり世の中が変わってしまっていた」というようなやり方の方が、周囲を固められてしまっていて、抜き差しならない状況に追い込まれて、多勢に無勢で「後悔先に立たず」で「既成事実化」することによって、却って「急がば回れ」的な意味で、「経済合理性」も生まれてくるのじゃないかと思います。その典型例が例のＧＨＱの「ＷＧＩＰ」などです。このように「真綿で首を締める」ように、法律制度だけでなく教育も生活も一挙手一投足ガンジガラメに縛り付けるルールを「根回し」して作り上げていたからこそ、その一部に過ぎない「日本国憲法」だけを切り取って「憲法改正」しようとしても、ほかとの整合性が取れないために困難になるという事もあるのではないか？だったら「憲法改正」したければ、「ＷＧＩＰ」そのものをひっくり返す流れを醸成して、戦後日本の裏で根回しされてきた「勝共運動⇒平和運動⇒市民運動⇒在日特権⇒在日支配」という中で培われてきた壮大な『根回し』という蜘蛛の巣にからめとられて、今更「日本会議」なるものを作っても中国や韓国ののコントロール体制がまた中に入り込み、にっちもさっちもいかなくなっているのであって、根本的に『日本精神の回帰』を目指すというのなら、イチから『アンチ・ＷＧＩＰ』のようなものを作って新しい流れを執念深く『根回し続ける』しかありません。

　例えば原爆資料館に展示しておくだけではなく、その検証をした資料をたくさん作って外国語にも翻訳して、「原爆の悲惨さ」を認識させて「見るのも嫌、作るのも嫌」と言わせる流れを作る事に取り組んで、「核兵器廃絶への流れを作る」ような『根回し』をすべきで、毎年「原爆の日」に「核兵器廃絶」を言うだけでは戦後７０年続けても何の効果もありませんでした。ちなみの、「原爆投下３時間後の写真」のドキュメンタリーを証言に基づいて構成した動画をご覧ください。

https://www.youtube.com/watch?v=8bNZzp6Zh7U

https://www.youtube.com/watch?v=V0UX18AP2gY

　要は、いくらこのような資料が沢山あっても、誰もそれを効果的に『使って流れを変えようとしない』だけで、「おいてあるから、分かってください」では誰も気づいてはくれません。『広島大虐殺２０万人』と言って、『あなたが北朝鮮の核開発を止めなければ、この何百倍もの犠牲をあなたの国が払うのです』と世界に呼び掛けていけば、そこで初めてアメリカのしたことが世界に知れ渡るのであって、その『根回し』の価値を日本人自身が見失っているから、「南京大虐殺」や「従軍慰安婦」の根回しで貶められるのではないかと思います。

　「世論形成＝根回し」は、自分たちの思い通りに事を運ぶには非常に大事なことなのです。